壮年男(以後アムロ)は、1人の研究者と対面していた。執務室や、研究室とは言う場所のようでそこには、研究者の欲望の塊である、様々な実験資材があった。
「あの金属、アレはなんですか?装甲材が硬すぎて、ドリルビットが折れるほどです。既に2年近く経っているのに、中心部に有る炉心に辿り着かないのです。」
「ガンダリウムか?いや、ルナチタニウムと言ったほうが正確かもな。」
「ルナチタニウム?」
「地上で創り上げるのは無理だと思うよ、俺も材料工学とかは素人だからなんて言えば良いんだろうな。
月面という特殊な環境下でしか精製できない、微小な分子配列によって起因する装甲能力、なのかな?」
それを聞いた学者は、タイピングを速め突然と止まる。
「それは…月に行けば必ず創れるのか?」
「こっちの世界でも、目の前にあって分解してないところを見るに、物理法則は同じなんだろう?だったら創れるんじゃないか?」
研究者はパソコンを閉めると、物凄い鬼の形相で部屋を走り出て言った。
世界は蒼い、どんなに皆が暗い暗いと言い放つこの宇宙空間は、俺にとっては蒼色に見える。
悲しみに暮れる、木魂達の残響が響き時には導き手となり、時には死神となる。
デブリベルト帯から少し離れたところを航行する6隻の船団が有る。
オーストラリアから宇宙へと旅立ち、プラントへの鉱物資源を届ける戦時定期航路便。
護衛艦艇と思われるプラントのロゴが入った鹵獲されたドレイク級護衛艦2隻を伴って、彼等はプラントへと急ぎ進んでいく。
そんな連中を俺達は、真正面で待ち構えていた。
「副長、まだ敵に動きは無いな?」
ジンのコックピットに乗り込み、画像に映り込む副長の顔を見ながらそう問う。
「はい。どうやら奴さんこちらに気が付いている様子がありません。ミラージュコロイドって言うやつは正常に機能しています。」
「了解した、作戦空域に到着しだいMS及びMA隊は出撃する。
MA隊は、MSが発進後30秒の間隔を開けてくれ。
MSでの初の実戦だ、色々と試したい事がある。」
コンソールをいじり、機体の各種状況を整理する。
一度試し運転した際、未熟なOSである事が判明し俺はマニュアル操作をすることになった。
慣れれば簡単なもので、すんなりと操縦出来たのは俺自身の才能のおかげか、それとも細胞が覚えているのか?
俺は休憩時間を使ってあるものを組み立てている、物理的にも電子的にも。
コーディネイターの学者肌の奴も巻き込んで、俺達は将来の為に必要な事を今行っているんだ。
もし成功すれば、生存性を極限まで引き上げられるかもしれない。
思考していると、どうやら時間になったらしい。発進ゲートが開いていく。
艦中央部にあった巨大な観音開きの扉が開放されていく、コックピットから望む宇宙の眺めは、非常によろしいようだ。
ジンをカタパルトに接続し、姿勢を低くする。
ゲートが、開き切ると敵艦を真正面に見据えてのスキー台が完成した。
「艦長、武運を祈ります。」
「ジン、発進どうぞ!」
「アムロ・レイ、ジン出るぞ!」
加速と共に身体がシートに引き付けられ、後方確認用の小さな画面にイリスが映り込む。
と同時にスラスターを全力で、更に加速させる。
すると、画面からイリスがうっすらと消えていく。映り込む瞬間にイリスは頭を左下に傾け射線から離れていく。
ミラージュコロイドとは、こういうものか。
「MSが出てくる前に仕留めたいものだな!」
機体を進める事に大きくなっていく輸送艦隊、コックピット内にロックオンアラートが鳴り響く。
「ようやく見つけてくれたか、だが遅いな!」
直後、対空ミサイルが発射されたのを確認し、映像に出てくる予測進路と頭の中のイメージとを重ねていく。
「コレは時限式か?」
スルスルと合間を縫うように進んでいく、幾つか後方に流れた瞬間爆発し、俺はそれを背にどんどんと機体を前へと進ませる。
遠目に敵がMSを発進させた事が見えた。カタパルトがないのだから、緩慢な加速だ。だが、一機船体を思い切り蹴り跳躍するように加速してくる機体がある、手練れか?
「では、お手並み拝見と行くか!」
相対速度は音速を遥かに後に置き、敵が突撃銃を構え射撃を開始する。一発一発の軌道が殺気が込められたそれが、猛然と突進してくるように見える。考える隙もなくただ直感に任せてそれを回避していく、敵から見たらどんな風に見えるだろうか。
突撃銃を腰溜めに控え、ただその時を待つ。
そして、その距離が0に成りその瞬間にコックピットに向けただ一発、対装甲弾を撃ち込む。
その一瞬で敵の意識が掻き消える。後MSは3機。
この間、30秒。
イリスからMA隊が出撃したのだろう、IFFに反応を確認した。
「機体の挙動が思ったよりも遅いな、コーディネイター用と言ってもこの程度か…。」
戦闘中ですら余裕がある、余計な思考はやってはならないが、今は検証もあるのだ。
もう少し、先を見据えて動いたほうがより確実だろう。
敵MSを置き去りにし、ドレイク級に肉薄する。
艦橋を潰すのが一番手っ取り早いが、少しの間恐怖の内に漂流してもらうとしよう。
的確に敵の兵装を一機ずつ沈黙させていく、それはあたかも嬲っているように。そして、エンジンすら沈黙させる。
2隻いたドレイク級のもう片方は、味方艦に張り付いているせいで、こちらを攻撃出来ないでいる。
その間にMSが現れる。近接で突撃銃を撃ってくるそれをアポジモーターとAMBACを使って最低限の機動で避ける事で、確実にドレイク級へとその弾は吸い込まれていく。
それを悟ったのか今度は接近し重斬刀で来る。横殴りの一閃を機体を少し仰向けにする事によってギリギリで躱し、腰に佩いている重斬刀を左手の逆手で下方から逆袈裟に切り払い、敵のジンの右腕を完全に切断する。
そして、振り子の要領で左手のマニピュレーターを解除し重斬刀を回転させ、半周した段階で再び握らせ、返す様に今度は左腕をスラスターを一瞬瞬かせて回転する要領で切り払う。
腕を切断されても撃墜しない様子に、恐怖の色が見えるとそれに合わせて、後方から今度はドレイク級等構わないと言わんばかりに、撃ちながら猛然と格闘を挑んでくる。
それをアポジモーターとAMBACの動きでそらしつつ、一気呵成に上段から斬り掛かってきたそれを、機体を右半身を反らしつつすれ違い、回転力を加えた左腕で、敵のコックピットを後ろから一突きの下に押し潰す。
「後一機。」
恐怖におののくそれを視野に入れる。最早戦う気すら無いのか、こちらに突撃銃を向けながら一向に撃とうとしない。
敵の無線の周波数に合わせる。
「どうした、来ないのか?」
「なんだ……お前は。何なんだ!!」
傷一つ無い白亜の俺の機体を見て、そう叫ぶと本能の赴くままに、弾をばら撒く。
「コレは無傷で、手に入れたいが…。」
スラスターを一気に吹かし、敵の真後ろへ横滑りの様に侵入する。撃ちまくる突撃銃を難無く避けきり、俺の銃が敵のスラスターを破壊する。カメラ・レンズを割り、一切の武装を破壊し抵抗力を奪う。
コックピットが有れば、誰かに充てがえるな。
ちょうどMA隊が来襲し、対空戦闘を始めるもう一隻のドレイク級
、それを難無く反らしていくMA隊も良い腕だ。
本当ならMSを充てがいたいが、その瞬間ドレイク級の斜め前方40度辺りから青白い1条のビームがドレイク級を貫き、大規模な誘爆を発生させる。
そして、そこに我が艦イリスが姿を表した。
「アレでゴットフリートと同じ収束砲か、物凄い貫通力だな。少し過剰じゃないのか?」
通信回線を開き
「こちらのドレイク級は無力化した、放置で良いだろう見せしめにちょうど良いからな、生き証人っていうのは。イリスはミストラルを出して鹵獲品を選別してくれ。
輸送船は4隻の内1隻貰い受ける。後の3隻は撃沈せよ。」
「アイ、キャプテン」
さて、俺の方はジンのパイロットにもう少し恐怖を与えておくとするか。
パイロットスーツを脱ぎ捨て、女性用更衣室から出るとちょうど男性用から出てきたアムロさんと目があった。
私はふわりと足元を蹴って、近付き彼に対して平手打ちをする。
けれども、彼はそれを手で受け止め私を引き付ける。
「どうしてあんな無茶な事をするんですか、あんな戦い方。
まるで、自分の性能を確かめるみたいに命を粗末にしている人の戦い方です!」
「いや、実際に確かめたんだよ。俺自身何処まで出来るのか。」
そういう彼は、私の瞳を覗いてくる。
何を見ているのだろうか、私はただ貴方が心配だから。だからこうしているのに、周囲の人間はそれを見てニヤニヤと。
「確かに君の言うとおりだ、悪かったよ。今度やる時は事前に君に相談するよ。」
「そう言う意味じゃありません、解って言っているでしょ?」
マジで切れている私を見て、部隊配備前から知っている相手はドン引きしている。
殺気立っているんだ、茶化しに来るなよ殴るぞ?
「ああ、でもね。必要な事なんだ、自分の実力を見るにはこれしか無いんだ。」
「良いですか、貴方はこの部隊の隊長なんです。120人の命を預かっているんです、そこをもっと自覚してください。
貴方だけの命じゃ無いんですよ!」
野次馬が、何を見ているのか。
私は彼から離れて艦橋へと急いで行く、副長にこの艦の状況を聞きにだ。決して、ここから離れたい訳じゃない。
不意に廊下で乗員と、当たる。
「あ、おい…大丈夫……。」
どうしてだろうか…前がぼやけてくる。
あの人はあんなにも強いのに、あの人なら必ず帰って来る、そんな確証があるのに、こんなにも悔しくて怖くてたまらない。
L1暗礁宙域へと帰還した私達は、鹵獲した輸送艦にデブリの偽装を施して、それを大破した艦隊の中に紛れ込ませた。
暫くの間、こうして隠して手頃なジャンク屋へと品物を横流ししたり、連合へ暗号文や各種資源の引き渡しをする事になるだろう。
帰還した翌日から鹵獲したジンの修復とパイロット選抜試験が始まった。私は勿論立候補した。
メビウスからの機種転換試験、負けられない。ライバルは皆コーディネイターだ、戦闘者となる為に遺伝子を弄った人もいる。
だけど、この中で誰よりも格闘センスが私にはあるんだ。
だから、私が誰よりも上になって彼の隣に行くんだ、そうすれば彼だって無茶をせずに済むはずだ。
「よぉ〜し、やるぞー!」
明日のために闘志を燃やせ!
間違っている記述等が有ればどんどん知らせてください。
NTというかアムロ・レイ特有の〘気持ちの悪い戦闘〙を描写出来ていたでしょうか、改善点なども頂けると嬉しいです。
誤字、感想、評価等よろしくお願いします。