その蒼い宇宙を見て   作:丸亀導師

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時間の境界線












木樵と守り人

眼の前に鎮座するものは、人と比較しても巨大な胴体。全長は戦闘機の翼端から翼端までのそれとほぼ同じと推測されるそれは、まるで壊れたガラクタのように部品一つ一つが分解され、番号が割り当てられる。

 

それを直ぐ側で老人が見上げながら、ライトに彩られたその損傷した物を見上げる。

 

「こいつが損傷した原因は何だ?」

 

「腕や脚の欠損は恐らくは大気圏突入の際の、空気摩擦の影響でしょう。尤も、これに使用されている装甲材の融点は、断熱圧縮に耐えうるものですから。

大気圏突入時以外で、何かしらの損傷があったと推測されます。」

 

「こいつの調査にはどのくらいかかる?」

 

「年単位は確実かと、それだけならまだ良い方です。

データのサルベージをする為に、コネクタから作りませんとなりませんし。

機体の心臓部を把握にするには、やはりそれ相応の時間がいります。」

 

老人はその言葉を聞くと、目を細め同時に何やら考え出す。

 

「パイロットは集中治療室か、まあ良い。目覚めたら話を聞こう、その前にパイロットの名前程度は知りたいものだな。」

 

偉そうに言うと、暗がりの中へと姿を消した。

 

 


 


 

プラントの武装組織、ザフト

正式名称は長ったらしくて正直覚えたくもないものだから、ザフトで良いだろう。

その艦隊が眼の前に展開し、砲戦距離へと近付いてくる。

数の上では俺達の方が圧倒的に有利であるものの、向こうの艦影は、何かに特化しているようにも見える。

 

先制攻撃のために出撃していったピースメーカー隊、核搭載型メビウスを使っての攻撃は、もうそろそろ結果が出てくる頃合いだと思うのだが。

 

「ピースメーカー隊との音信途絶!」

 

耳に入ってきたのはそんな事実だった、先程飛び立ち敵艦隊に向け一直線に向かっていた揺動部隊。

そして側背を突くように突入していった、かの部隊が何の戦果も挙げられずに沈黙した。確実に言えることは

 

「核の火が無い……まさかな。」

 

耳から入ってくる情報と共に、雑音が混ざり出す。何か此方にとっての不都合な事が起こりすぎている。

核の不発、無線機の雑音に何かがあるとすれば。

 

「各機に通達!機体制御をオートからマニュアルに切り替えられるよう、準備しておけ!

相手はどうやら電子兵装に何らかの支障をきたす、物を使った可能性がある!」

 

「た〜い長、そりゃ本当かい?」

 

「予測だが、核に火が灯っていない以上そう断定したほうが。」

 

レーダーに霞がかかる、遠距離の敵の反応が無くなっていく。これ程広域のジャミングだと…?だが、どういう事だ。そんな存在、目視では…?

 

ガンカメラには何も映っていない、だが確実に何かが来る!

 

「全機!」

 

砂嵐が舞、味方との連絡が取れなくなる。

音信不通だと!?だが、若干ではあるが聞き取れるか?

〘有視界戦〙その言葉が脳裏に写る。

親父が言っていた事だ、機械に頼り過ぎるなとはこういう事か。

バッテリーが心配だが、この際それは抜きだ。

 

「各機!光音声通信を使え!何か来るぞ!」

 

目の端に、小さな彗星の様な火炎の跡が見える。

艦隊はレーダーに影響が出始めてから、火力をザフト艦隊へと集中させていて防空へと目が行っていない。

殺気を感じる、敵はこちらを嘲笑っているのか?

 

「全機集結、スリーマンセルで敵機と交戦しろ!ピースメーカー隊が殺られた!油断するな!」

 

そこからは地獄だった、敵部隊と交戦すると巨大な人型の兵器。確か、MS(モビルスーツ)とプラントが言っていた兵器が次々と味方を撃ち落としていく。3対1でやっと互角か、互いにまだまだ戦争に慣れていないからだろう、恐怖という感情が大いに戦場に蔓延し互いに血を血で洗う。

 

一機また一機と撃墜されていく味方、手足の無いMAでMSとやり合うということがどういう事か、何となくだが理解出来ていたつもりだったが、これは不味いな。

 

 

その後幾つかのMSが防空網を抜け出し、艦隊へと殺到する。

負けじと俺はそれを追跡し、幾つかを撃墜に成功するがそれでも俺が離れる事で、戦線の維持は少しずつ難しくなっていく。

メビウスのガトリングでは、敵機へのダメージが思ったよりも少ない。

 

ゼロのリニアガンならば敵をやれなくもないが、機体性能の差が大きすぎる。ノーマルのメビウスでは、旋回性能が低過ぎで良い的になっているのか!

ゼロならばその場で切り替えられるが、最悪だな。メビウスはメビウス・ゼロの簡易量産型だ。アップデートした先が、奈落の底とは!

 

また一機来るか!

真正面から敵が来る、銃を構え乱れ撃ってくるが弾の軌跡が手に取るように解る、まるで未来を見ているように。次に何が起こるのか、それが。

 

徐々に近付いてくる交戦距離、まず一撃のリニアガンを撃ち敵を回避させ、その回避先へと弾を置くように撃つ。するとどうだろうか、敵のコックピットがあるだろう場所へと吸い込まれていく。

 

そして、その直後敵からの殺気は消えまた別の目標へと移動をし、艦隊を狩ろうとする敵を次々と相手取る。

ガンバレルによる牽制と、一撃離脱。アポジモーターによる姿勢制御細かい機動をする。

 

「ちぃっ!反応が鈍いか、だが!」

 

未だに艦隊は健在だ、だがそれでも。

 

「アムロ中尉!隊の損害が、4割を超えた!このままだと、全滅も時間の問題だ!」

 

「だがまだ戦えている!損傷機のみ帰投し、修理の後再度出撃しろ!それまで、堪らえるんだ!敵の艦隊も無傷ではない!」

 

戦局は刻一刻と変化するものだ、元々防御主体の行動を取っていた、この世界樹の防衛艦隊は次第に中央部から食い破られ、戦力を左右に二分化された。

 

尤も、それはザフトの艦隊戦力も同じ事で前線に出て来ていた艦の内損傷していないものは皆無だろうことは想像に難しくない。

それでも、機動兵器同士の戦闘では敵プラントの部隊が圧倒的に優勢であり、俺達は押されている。

 

俺が不甲斐ないのもそうだが、本隊の防空部隊の情けなさに涙も出てこない。

だが、MSの脅威は想像以上だろう俺も初めて死を覚悟した。この感覚に慣れるまで生き残れるか…?

いや、生き残らなければ、自分の産まれてきた意味さえも見失いたくはない。

 

何としてでも、コロニー群だけは守りきらなければ!

 

 

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