その蒼い宇宙を見て   作:丸亀導師

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オーブ沖海戦2

私は何故こんなところにいるのか、隔離施設であり研究施設であろうこの場所がどういった場所なのかは解らないが、わたしには身に覚えのない施設だ。

 

少し星を見た時、この場所がL5中域であることがなんとなく月と地球の位置から察したが、それでもこんなところに私を入れてどうしようというのだ?

 

「君名前は?」

 

金髪の男が眼を煌々と輝かせて私にそう聞いてくる、まったく何なのだ?

余韻の中で死を覚悟していたのも束の間、このような場所に入れられるとは思いもしなかった。

 

「私はシャア・アズナブルだ。」

 

「シャア・アズナブル……?それは、初めて聞く名だね?どうしてあんなところにいたんだい?」

 

この男は惚けているのか、私という人間をまったく知らないようにしている。だが、嘘を行っていないと直感が囁く。

 

「私は名乗ったのだ、君の名前を聞きたいがね?」

 

少々苛ついていた、あと少しと言うところでこの男に拾われたらしい事が解ってからというもの、苛ついてたまらない。

 

「僕かい?僕は、ジョージ・グレン。探検家さ!」

 

まったく聞き覚えのない平凡な名前の男がそう答えた。

 

 


 


 

ゆっくりと進む2隻の艦は白い航跡を作り海を割りながら、東へと航行する。

俺達の艦は喫水線が低いがためにカタパルトが水を被る、錆びてしまうことを懸念しているが設計上どうしようもない。

 

既にオーブを離れ1時間以上が経過していた、予定された航路は何の障害もなく静かな海をその姿を横たわらせている。

アークエンジェルを先頭に立ち、俺達はワイヤーを後方に垂らしながら進んでいく。

 

ブイから得られる情報を下に敵のだいたいの位置関係が解ってきているが、これは予想以上の成果だな。

 

「敵が来ているな?思ったよりも数が多い、だがまだ浅瀬がある海域だから本格的な攻撃はまだだな。」

 

ここまで散発的な攻撃ばかりで、相手は手札を見せないでいる。攻撃に慣らせるつもりだろう、次は隙をついてくるな。

 

俺の感覚から、これ程にまで狙われているというのを感じるのは低軌道会戦以来だろ。 

だが、敵の目標はアークエンジェルこそが主目標のようだ、俺達に出来ることは艦が進む事に対する露払いか。

 

ソナー員も解っていると思うが、敵の潜水艦は確実に俺達を狙っていてわざと攻撃を仕掛けてこない。

静音性もへったくれもないような潜水艦を使って、こちらを狙ってくるというのは、俺達を舐めているのか?

いや、そういうわけでもないか。

 

俺達の上空を2機のグラスパーが常時旋回し、浮上してきた瞬間船体に穴を開ける準備は出来ている。問題は水中のMSだが、この前相応の数は減らした、どの程度出てくるかは不明だがカーペンタリアの敵も連合艦隊を警戒してこちらを狙う戦力は絞られるだろう。

 

後は、何も仕掛けてこなければ良いが!!

俺は攻撃を察知して、海面下へとバズーカを叩き込む。

着水後次の瞬間大爆発が発生し、何かに誘爆した事が解った。

ソナーを掻い潜ってくるか、いやそもそも騒音が大きい潜水艦を敢えて出して囮にしたか。

 

そして水平線上から殺気が近付いてくる、ポツポツと大きくなっていく機影。

本格的な攻撃が始まったのだ。

 

 

……

 

迫りくる敵を灰色に塗り替えたグゥルに跨って空をかける、グリップを溶接で取り付けた事から少し重量が増したが、お陰で曲技飛行のうような操作方を取ることができる。

 

数にものを言わせてくる敵を引き付け、グゥルの後方に重心を倒しグゥルを上に向け自機のスラスターを吹かし更に上昇を加速させる。敵を下にしたところで、盾を背面ラックにジョイントし片腕で機体を支えながら半身を捻り隙間に攻撃を逸らす。

間髪入れずに下方へビーム・ライフルを斉射し、数機を纏めて葬り去る。

 

機体を、水平に戻し次に急降下させすれ違いざまに更に一射、ディンが追随出来ないことを逆手に取り相手のMSが行わないこの戦法は意外と利きが良いようだ。

 

家の連中は皆俺の真似をするだけじゃなく、自分自身で組み替えているから、マニュアルに似たようなところもあるが。

数での戦いにも慣れてきたな。

3倍の数までなら、まだなんとかなるな。

 

「第2第3波が一斉に来るか。これで、未だにG兵器が来ていないんだから、消耗戦になったら不味いな。」

 

後ろから!?

グゥルから飛び退き、脚で祓う様にスライドさせておく。切り付けが上からくる、合わせてサーベルに手を掛け振り下ろされるタイミングで機体を四分の一回転させるように、敵機の横へと行くと振り下ろされるタイミングで頭部とコックピットが一直線に並び、そこを兜割りする様に振り下ろす。

 

綺麗に上から切れていく機体、敵から見た場合俺のこの姿勢は致命的な隙だろう。だから、慣性の法則に任せ前転しながら、来るロケット弾をビームサーベルで切り払いつつ降下する。

一周して帰ってきたグゥルに海面すれすれで着地する。水しぶきが、機体を濡らす。

 

敵の練度も高いな、これが一大勢力を築いているからこそ落とされないわけか!

 

上空から撃たれるところを、右へ左へと躱しグゥルを急上昇させるのと同時に機体を屈伸させ、そこからスラスターに物を言わせて機体を更に上に押し上げる。

敵の集団の中に入り込み、敵を足蹴にしながらライフルで上方から敵を落として足場とし更に上へと登っていく。

 

三角跳びの要領を用いて機体の制御を上手く使えば、飛べない機体でも敵よりも上を取る方法はある。

問題はスラスターの内部容量と、ソレを補充する時間が無いことか……!!

 

鋭く指すような殺気が近づいて来ている、これは?なんだ?こんなものを知った覚えはないはずだが!

このプレッシャーを放つものはなんだ!

 

 

 


 

 

潜望鏡から得られる映像には、木馬に似た戦艦とそれの後ろに付き従う双胴艦が映っている。

アークエンジェルと言うその船は、美しい白磁の肢体からMSと戦闘機を出撃させ、我々の攻撃を迎撃している。

 

後方の艦からもソレをしていて、数の暴力によって我々は彼等を押し込めているが、それでも手間取っている。

どれほど彼等の練度が高いのか、対MS戦闘に関して言えば彼等のほうがこの基地の誰よりもあるのだろう事が、その動きから解る。

 

時間をかければ撃沈する事など容易いだろうが、それでも敵の援軍が来ないとは限らない。

 

「アスラン君、そろそろ出た方が良いだろう。このままでは損害が増えるばかりか、最悪敵の艦隊と合流されるぞ?」

 

「そうですね、これよりザラ隊は出撃を開始する。CIC合図お願いします。」

 

潜水艦からの出撃など一年戦争以来だな、だが一度経験した事だそれ程緊張するようなことでもあるまい。

 

「SFSの設定は簡単に切り替えられるのだろうな?」

 

「はい!ですが、本当にマニュアル操作を中心に置いて良いんですか?」

 

「所詮は土台だ、地面と同じ感覚で使っていてはいかんよ。」

 

 

久し振りの実戦だ。感覚を研ぎ澄ますには丁度良い戦闘になりそうだ、待っていろアムロ君。君の相手は私だ、落とされてくれるなよ?

 

 

……

 

我々のMSが群がるように集う場所にたった一機のMSがいる。その一機は他の機体たちとは一線を画した動きをし、あらゆる攻撃をそらしながら我々の機体を撃ち落としていく。

 

私はそれに向けて小手調べとして、銃を一斉射する。奴は機体を動かしてそれをそらしていく。

私は嬉しくなってそれに対して更にもう一斉射する、すると今度は避けるだけでなく、ライフルを瞬かせ反撃してくる。

 

素直な性格ではない、捻くれ者の一撃は私を誘導する為のブラフ、間髪入れずにシールドが瞬くと避けようとした位置に銃弾が掠める。

良い腕だ、どこで磨いたかは解らぬがそれでもあの動きは〘アムロ・レイ〙の動きに似ている!

 

私の事を認識した、来るか!

 

私も期待(機体)を加速させ、互いに距離が近付いてくる。互いに遠距離戦を数度交わせ、その度に急激な機動を取らされる私の身体は悲鳴を上げる。

だがこれで良い、これでこそ

 

『それでこそアムロ・レイだ!』

 

『言葉を喋るか!』

 

互いの距離が0になり、向こうはビームサーベルを最小限の動きで斬りつける。

私はそれを鍔迫り合いの要領でビームクロウにかけようとして、一瞬思考した。

 

確かビームサーベルは緩衝し合わないと言ったな?

 

意識的に盾をずらして攻撃を一瞬受け逸らす要領でかかる力を逃し、前傾姿勢になった奴の身体へ反らしたままの盾を叩きつけようとしたところ、ライフルを捨てたのかもう片方で下から斬りつけてくる。それを既のところで機体をずらし躱す。

 

重力下の戦いに、機体はそれ程負荷は掛けられないだがいい気分だ、これ程やれるのであれば私の身体が万全でも互角に戦ってくれるだろう!

 

クロウを灯しそれで突刺そうとする瞬間防御をしてくる機体に、私は機体を無理に左脚部スラスターを灯して、蹴りをいれる。

盾が崩れたか!

機体の体勢を戻して、下からの斬り上げを放つ様にすると機体を逸らすか!

 

嬉しくて仕方がない、この男と再び戦えるこの瞬間をこの運命を!

 

『喜んでいるのか、ふざけるな!』

 

『喜んで何が悪い、私はこの時を28年待ったのだ!』

 

『貴様の理屈!そうか……貴様、シャア・アズナブルというのか!』

 

言葉が走った、それに私の事を理解したか、ますます嬉しい限りだな。

アムロ……貴様の最高傑作は、今私と共にこうしているぞ!

 

 

 

 


 

夜の帳が下りてくる、迎撃戦闘が始まって既に1時間が経過し、互いに多くの損害が出始めている。

キラ君はフレイさんと共にG兵器群を相手に果敢に戦い、二人の息のあった動きは私達の戦いを幾分かマシにしてくれている。

 

「味方の…連合艦隊との連絡はまだつかないの!」

 

「…機影は確認できています!後10分、持ちこたえなければなりません。」

 

歯痒い、私達は艦の中から外を眺めることしか出来ないことが。二人が、そして私達の事を救援に来た13部隊のMSが戦っているのに、私は指示を飛ばすしか出来ないのか。

 

「艦長、私も同じ気持ちです。ですが、今は眼の前の対処を。」

 

「ええ、解っているわ。」

 

「これは……?ボズゴロフ級を探知!しかしこれは、損傷してい浮上してきています。」

 

なんだ?罠?でも、今はそれを気にしている暇はない。

 

「目標ボズゴロフ級、撃ち方初めて!」

 

どうして出てきたのか解らないけれど、撃てるなら撃たせてもらうだけよ。

 

「これは……データに無い音紋、それからグーン及びザフトの水中MS部隊が交戦しています!」

 

私達じゃない、じゃあ。

援軍!

 

「通信…開きます。」

 

「こ……だい…かん……所属アークレイス隊、電子戦機オーカーニエバー貴艦隊へと我々のIFFを送信した。

管制誘導を求む、水中は我々に任せろ。」

 

超高高度からのレーザー通信…スクリーンに確認できる。私達のシンボルマーク、友軍がやっと来た。ずっと待ち望んでいた。

だけど、安心するのはまだ早い。

 

「キラ・ヤマト、キラ!返事をして!ストライク並びに各機との音信途絶!」

 

「これは、NJ濃度増大していきます!」

 

敵も異変に気が付いたようね。

 

「味方への誤射に注意して、速力最大離床!」

 

私達は勝てるわ、だから何としてでも保たせる。

 

 


 

アークエンジェルから離された!くそっ、今はまだなんとか保っているけど、このまま敵が増えたら!既に2回換装してるっていうのに。

 

 

眼の前に少し違和感があった、これはブリッツ!

避けられない!

景色が灰色に染められていく、僕は僕はまだ!

 

「勝手に死なないでよね!」

 

ブリッツの銃口が閃光を放つ前に、フレイの機体が横から盾でブリッツを弾き飛ばす。

 

「ありがとうフレイ!」

 

「ありがとうは後よ。」

 

 

デュエル、バスター、イージスが僕達を囲っている。

 

「なんでか解らないけれど、私ブリッツの位置簡単に解るのよね。ねぇキラ、私2機相手にするのはキツイけどG+1くらいならなんとかなるから、後の3機お願いできる?」

 

「解ったよ。フレイ、愛してる。」

 

僕はそう言うと、ブリッツを彼女に任せて3機に向き直る。

アークエンジェルは、まだ大丈夫そうだ。それどころか少し余裕が見えてきてる。

 

暗い夜空を見上げると飛行機雲が幾重も出来ていてそれが、アークエンジェルの方へと向かっていくのが見える。

その頼もしい姿が僕の瞳に力を灯す、僕達は確実に勝利に近づいている。

だから、このまま止まるわけには行かないんだ!

 

 

 


 

 

………、………、……、…、ここは……?

身体中のあちこちが痛い、僕はいったいどうしてこんなところで寝ていたんでしょうか?

 

下に手を触れればゴツゴツとした岩肌がむき出しとなっている岩盤がある。

痛いそうだ何処か解らないけれど、歩いて行かないと…、おっとと。

 

ドシャッ

 

と転ぶ、足が猛烈に痛い…。いや焼けるように痛い!!

良く見れば僕の左足が脛の辺りから無くなっていて、さっきまでいたところには、僕の乗っていたブリッツがある。

 

血が何処からか流れ出たようにコックピットが押し潰されている。奇跡的だったんだ、飛び出したんだ。

足が潰れただけで、出血した後はあるのにどうして生きているんだろう……。

痛みが麻痺しているのか、頭が回転する。

 

パイロットスーツが溶けて、傷口に癒着してるんだ。

でも、このままでいたとして僕は生きられるのかな、だんだん怖くなってきましたよ。

暗闇の中、炎の灯りだけが僕の灯火、誰でも良い敵でもいいだから、誰か助けてください。

 

声が出ない、声帯がどうかなってしまったのかもしれない、それとも極限状態だからだろうか?

海の上を動く軍艦がある、それも先程僕たちが戦っていたのとは比べ物にならないくらいの量だ。

 

そこには見覚えのある、あのアムロ・レイとか言う怪物の乗る船があった。どうして逆走してるんだろう、足付きは?いない。

彼等でも良いだからせめて、あの船から一機のMSストライクに似たのが僕の眼の前に飛んできた。

 

 




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