IWSPストライクから
コンバインドシールド
(30mm径6銃身ガトリング砲)
(ビームブーメラン)
105mm単装砲
アンカー等を排除し、パイロットの負荷を軽減した。
実体剣を一本簡略化しビームサーベルとなっている。
面白い物を見つけた。
プラントに軟禁されている私は外部からの情報を殆ど得ることが出来ない、唯一外部からの情報を得る手段として数少ない選りすぐりの部下が、私にとって重要であると思える物を持ってきてくれるのだ。
今日はクローンと言うものについてだ。
メンデルというコロニーで最近、人間の業を煮詰めたような研究を行い、思考する集団がいる。
医学的に重要な者たちであり、超法規的な存在である彼等のうち、幾人かが人工子宮の開発に成功したという。
出資者はアル・ダ・フラガ、自分の息子の才能に納得のいかない哀れな父親だ。
可哀想なことをすると、幼少期の自分に重ねてその息子君を同情する。
この男には不思議な経歴がある。投資家として頭角を表した時、この男は未来を見ているかのようにそれを行うという。
そんな存在を私は知っている、だが今更この世界でいたとして私には手の出しようが無い。
だが、この男のクローンには利用価値があろう。強化人間として扱えば立派な兵士になるだろうからな。
ドミニオンの船体に風があたり、旋風が音を立て艦内にその音が鈍く響く。
そんな音も、数分前には聞こえなかったというのにもう、私達は戻ってきたのだこのオーブへと。
「フレイ・アルスターさん、良いですか?そのVer.−2.0は機体の特性が大きく変わりまして、ストライクでも長距離戦闘を行えるとは言え、実体弾を使うのでPSには効果は少ない代物です。
それに、今回が初の使用なのですから無理をなさらず、データの収集を行ってください。」
「解ってます。でも、この子の特性はなんとなくですけど把握できたので大丈夫だと思いますよ。
それよりも、3羽烏は大丈夫なんですか?初の実戦ですよね、本当に機能します?」
私は一緒に出撃する例の3人のことを心配している。確かに訓練の時の彼等の動きはとても優れているものだって解っているけれど、私と違って実戦未経験だから。
「アルスター少尉、お前も初戦闘の時はヤマト少尉の足手纏にならないように必死であったろう?それと同じだ、だからさっさと行ってこい!」
「あぁ!!まだ、行かないでくださいね?重要な話です。
連合の機体には貴女の学習型コンピューターから抽出された、自己回避判断プログラムが組み込まれています。索敵範囲で攻撃を探知すると即座に回避します。
幾分か貴女よりは劣りますが、手強いですよ?」
あぁ、あのアムロ・レイ大佐?が私達の為に取り付けてくれたっていう奴からのデータが入ってるんだ。
確かに、あれなら新兵からベテランまで幅広く使えるわよね、だって私の経験を元にしてるんだから。
宇宙戦闘はアムロさんの回避データからだって聞いた覚えるはあるわ。
「そんな事解ってるわ。大丈夫、今の私は無敵。今までの私なんか相手にならないほどに強いわよ、だから出撃してキラを助けに行く。」
「アルスター少尉、武運を祈る。行ってこい。」
ドミニオンのハッチが開放されて大量の空気が流れ込んでくる、眼の前に広がる黒煙の風景は、嘗て買い物に行ったり観光したりしたこの国を焼く炎は、私の中に深く刻み込んでくる。
最も上陸部隊が多い場所へと私達は向かわなければならない、そこには必ずキラがいる。
アズラエルさんからの情報だ、どうやらウズミさんと知り合らしいので、そんな情報をくれた。
カタパルトへと足を固定し、撃ち出されるのを待つ。タイミングは私の判断で、このパックの飛行性能と射程を見極め私の判断で…。
「フレイ・アルスター!
グンッ!と加速される機体、体色が切り替わりレッドコートへと移行する。
私はもう護っていられるばかりの花じゃない。戦い、前に進んでいくレッドコートなのだ。
ドミニオンを後方に置いて、私は単身キラの下へと一直線で向かっていく。雲の中へと突き進み、機体のコンソールをいじりロックオン管制をマニュアルに切り替える。
アムロ大佐はよくマニュアルで戦っているという、そんな噂があるから、だから回避も難しいんだとか。
真偽の程は解らないけれど、私の回避プログラムなら確実に避けようとするはずだ。
後は……勘で行くしか無い。
雲から出る瞬間、肩部リニアガンを起動し上陸しようとする敵に撃つ、撃つ、撃つ。
機体が反動で若干遅くなるけれどそんなもの誤差の範囲内だ。
今ので何機か落とした、でも街を蹂躙する姿は未だに確認出来る。
「どうやらこっちに気付いたようね!でも、少し遅いのよ!」
敵の艦隊のど真ん中に現れるすれ違おうとする私を、撃ち落とそうと近接戦闘を仕掛けてくるダガー達、確かに動きは良いし瞬発力もある。だけどね。
「攻撃が隙だらけなのよ!」
攻撃動作中は回避プログラムとの兼ね合いで、動きが鈍くなる。嘗てのポージング現象とかそういうもので固定化されたりはしていないけれど、それでも遅くなる。
そんな瞬間にビームライフルを叩き込む、見事に命中してくれる。
そのまま地面に向けて進みながら、機体を一回転させる最中にもう一度リニアガンを今度は敵空母に向けて撃つ。
これで幾分か戦線が楽になるでしょう!
そして、足が地面に着いて勢いのままに地面を削りながら滑っていく、その間にも右腕のビームライフルで敵ダガーを撃つ。リニアガンを畳む。
私の足が停まると近接攻撃でサーベルを上段から斬りつけてくるのを盾を左肩に固定し、機体の半身を捻ることで回避させ、右脇の実体剣を居合の要領で左手で抜き機体を切り裂く。
嫌な感覚が脳をよぎる、断末魔だ。
私はそれを無視するように、次の目標へと移動を開始する。
……
暫く戦闘を続けていると、見慣れた色のストライクとストライクと良く似たMSとでダガーを迎撃している集団とであう。
動きからしてキラじゃない、でもたぶんだけど知っている人だ。
「ストライクのパイロット、応答しろ!」
「あ"ぁ?こっちは今いそがしいのって、おいおいさっきの感覚で似たやつ知ってるからまさかと思ったがっ!
フレイ・アルスターかよ!最悪だな!」
はぁ?この人何いってんの?無言でダガーを撃墜して見せる、互いに動き回りながら。
「これでどうよ?解った?フラガ少佐殿!」
「はいよ!まさか、お前まで来るとはな。アズラエルの子飼いになったって噂があったんだぜっ!」
その話はあっている、あっているけれどたぶん認識の齟齬があるのかな?
戦闘しながらも会話をしつつ、フラガ少佐はそれでも一応余裕のあるような感覚で、やっている。流石はエースパイロットの1人だ。
「今、
残念だけど、私の目的はただ一つ。
「はあ?俺への援軍に来てくれた理由じゃねぇのかよっ!だったら気をつけろ、まるで機械みたいな奴達が相手だからな。あいつ等の感覚、まんまだぜ。」
フラガ少佐の言葉の、その意味が何なのか解らないけれど私達と違いまるで恐怖を削ぎ落としたようなそんな感覚が、キラのいる場所に複数ある。それの事がその嫌な気持ちの悪い感覚の正体なんだろう。
「解ったわよ、援軍はもう少し待っててね!」
「あいよ!」
私は急いでそこへと向かう、どうやら相手が悪いようだから。
艦隊がカオシュンの上空に到達する、今日は曇りだ。空からその景色を伺うことは出来ないだが、だからこそ奇襲が成り立つ。
「ミノフスキー粒子戦闘濃度散布完了しました。」
「良し、直掩機を残し全機速やかに発艦せよ。まずはマスドライバー周辺部の無力化を行う。」
滑るように機体を飛ばし、MS部隊が降下を開始する。
俺は雲を抜け、上空から敵を見定める。
どうやらレーダー員が何かに気が付いたらしい、外に出ていることが解る。
俺達のことが早々にバレたようだが、有線式じゃないと電磁波は遮断されるぞ?
ミノフスキー粒子がなければ、失敗していたな。
上空から遠距離狙撃で、防御火器類を滅多打ちにし、まずはMS格納庫を制圧する。動き回る敵の機体を遠距離から一方的に撃ち殺していく、まるで狩りだ。
収束火線ライフルでも無いにも拘らず、俺の手持ちのライフルはその遠距離狙撃を行うに足る火力が出る。
部隊の俺以外のMSは、基地に取り付く。
歩兵戦力を潰すために、真っ先に兵舎を潰し根こそぎこのカオシュン基地を無力化する。
虐殺だとか言われるかもしれない、だが俺達はまだ降伏の言葉を一切耳にしていない。故に、虐殺ではない。
ものの10分、基地の無力化が完了したようだ。
次に基地周辺に防御陣地の建造を開始し、そして俺は信号弾を高空へと打ち上げ機体を地上に降ろす。
新兵たちには丁度いい戦闘だろう、能率的に動く事を教えなければならない。
「各隊、防御線構築を急げ。敵はまだ気が付いていないが、いずれ来るぞ?
まだ戦いは序盤に過ぎないからな。」
信号に沿ってエポナが空より舞い降りる、確保した陣地に着陸し、開放した格納庫から次々と兵員が出現し、建物内部へと入っていく。
歩兵による制圧行動は時間がかかる、圧倒的な火力を持っているが破壊できない施設もあるのだ。
例えば、マスドライバー関連施設がそうだ。
別の場所ではクリーブランドと姉妹艦のルーカスも、各自別々の場所へと着陸し同様にその戦力を持ってして制圧を続ける。
「敵発見、数MS38機、内ジン18機、ゲイツ6機、ディン14機」
上空を滞空するグラスパー隊からのレーザー通信を取得し、各員に通達する。俺は、それらの指示を出しながら敵の別働隊を1人で、感覚を頼りに見つけ出す。
そう、海にまだ奴等はいるのだ。
機体を空に上げ、奇襲しに来る連中に対してビームライフルを撃つ撃つ撃つ、一発ずつ。だが、水中で動く事など難しいだろうに。
メガ粒子ビームが水中を駆け巡り、敵の装甲を穿ち断末魔が海を彩る。
ここは敵地、だが敵にとっても孤島。今迎撃に来ている部隊を潰せば易しくこの地域は連合の手に落ちるだろう。
後は民衆がそれをどう思い、どう統治するかそれは政治家の仕事だが戦時下の占領地の短期的な占領政策で、どれほどの民衆が狩られたのか、それは数字だけでも俺は当事者として知らなければならない。
戦後はこういう事を、考えていこう。
俺達の歩兵部隊が敵の防御兵装を動かして、敵の逆襲に対する遠距離迎撃を開始する。それと同時に、守備に徹した射撃とそれを援護する補給部隊とで入れ替わり立ち替わり、防御弾幕を形成し敵を寄せ付けない。
「スターシャ、部隊の指揮を頼む。」
「了解、やるんですね?」
その言葉の通り、敵MSが隠れている遮蔽物に一気に詰め寄り、ライフルの照準を置きながら、死角から出た瞬間撃つ。
敵は軽いパニック状態となる、闇雲な射撃を交わしつつ一機ずつ丁寧に落とす。
「これで戦闘が気楽なものだと思われたら嫌だな、だがだとしても初戦はこのくらいが調度良いのも事実なのがな。」
戦場の怖さというものを彼等は知らなければならない、戦争序盤から戦っている者たちならそれも解るだろうが、何名からのパイロットは、己の搭乗している機械に全幅の信頼を押し、その判断に身を委ねる。
それがどれほど恐ろしい事か、周囲を見なくなるという事がどれだけ、戦闘に影響するか。
目の前の敵を見てそれを感じる事ができる物だけが、生き残ることが出来るなど、どうやって説明すれば良いのか。
ザフトは諦めきれないだろうが、もう勝負は決している。既に艦隊が台北へと上陸を開始した。
これを止められる物量など、彼らには無いのだから。
俺はこんなところにいて良いのだろうか?
エターナルの艦内で、隠遁しプラントにもザフトにも帰ることの出来ない、そんな生活をしてのうのうと戦いもせずにいても。
俺が載ってきた機体、ジャスティス。それが俺を見下ろしながら、俺はその疑問に苦悩する。
俺がプラントに戻った時、既にクライン派に対する粛清が始まっていた。
シーゲル・クラインが率いる勢力を俺の父である、パトリックが殺し回る。こんな事をしてまで、俺達は戦争を続けなければならないのか?
そんな感情と同時に、どうして彼等クライン派はキラにフリーダムを託し、逃がしたのかと投げかけたかった。
そんな時に、クルーゼ隊長が俺の前に現れたのだ。
俺は何の気も無しに信頼していた隊長に、その事を打ち明けた。
帰ってきた返答とその事実に唖然としながら。
彼はナチュラルだった、何故ナチュラルがコーディネイターの味方をするのか、答えは既に提示されていた。
〘地球軍の味方をするコーディネイターもいる〙
ならばプラントの味方をしていたナチュラルだっていてもおかしくはない。
大戦果を上げた彼がそう言う稀有な存在だったのだろう、どうしてそんな事をするのかと、考えても無駄な事を高尚な人物なのだろうと勝手に妄想し。
そんな彼は隠れてクライン派とコンタクトを取っていたという。
彼はクライン派がフリーダムを流したのは、戦争の早期集結の為とそう言う。
だが、それならば何故連合の味方をするのか、それはただ一つ。ストライクが地球へと帰還し、戦争の潮流は連合へと大きく傾き始めているということだった。
それではそれを改善する方法を模索しないのか、と言う疑問も出てくる。
そして一つ答えを言った。
全てはパトリックのせいだと言う。どれほど勝とうとも、どれ程力強く演説しようとも、最早立場は逆転したのだ。
連合の量産機はプラントのそれよりも優秀となり、そのあり得ないほどの物量をそれに変えて襲ってくる。
いつの間にか電力問題を解決し、その無尽蔵の力を振りかぶって。
それに対するプラントの工業力は有限、コロニーであるが故に少ない人口少ない土地少ない資源…どれか一つでも払底すれば自ずとプラントは負ける。
パトリックはそれを知っているが故に、最悪のものを創り上げようとしていると。
人の業、人の夢のその先に行く為に作られたジェネシス。それを兵器に変えるという、なりふり構わぬ最悪な物を。
人を信用できないものの末路、そしてそれを阻止しようとしたクライン派それは見事に現状に即した。
嘘かもしれない、だがクライン派は殺されている。
そんな事を宣う彼を、俺はどうするか戸惑った。
そして同時にこうも言う、自分の目で見て確かめてみるが良いと、君は父を信じるか眼の前のものを信じるか。
提示されたのは、ジャスティスの場所と今この宙域の座標。殺すならば殺せば良いと、この場所にはまだ希望があると。
そして選択しろと、そこでクラインを殺すも良し共に戦うも良しと。
「まだ……悩んでいるのですね、アスラン。」
眼の前にいるラクスが余りにも悍ましく思えた。虚ろな瞳で俺を見据えて、何を考えているのかわからない。
だが自分の持っていない答えを信念に変えてここにいるという、ある種の狂った価値観を。
「俺にはまだ解らないのです、俺はこの戦争をどうしたいのか、自らの手で殺した親友の顔を今でも思い出すこの虚無感を!」
「やっと……悩みを言ってくださいましたか。」
俺はこの数日の間うじうじとここで、沼に嵌まるように考え続けた。それでも一向に答えのないこの、正義という曖昧なものに踊らされている。
「私も解らないですよ?人は何故憎み合うのか、人は何故愛し合うのかを。
それでも私は答えを探りながら、どちらが良いか行動し選択する勇気を持っていただけの事です。
お父様もそう、自らの役目を全うしようと戦争の早期集結を胸に、戦果を拡大し誤った道を選択し、多くの命を奪いました。」
態とらしく手をヒラヒラと動かす彼女の姿が、煽動家のように見える。
「私には義務があるのです、父の誤った道を正すこと。親の過ちは子である私の問題でもあるのです。
今は亡きクルーゼ様より頂いた情報より、貴方のお父上が創ろうとしている過ちを正す義務が。」
「クルーゼ隊長が亡くなった?まさか、俺のせいか!」
ラクスはそれに首を降る、違うというのだ。
「プラントに今もいる私達の仲間が仰った事です。クルーゼ様は可能性を信じていましたわ。
そんな彼は最後まで抗い〘赤い彗星〙に討たれたのだと、ですがまだ生きている可能性はあります。
私は私達の為にその命をかけている方々に報いるために、今できることをと、そう思っているだけです。
私を信用しなくてもよいのです、答えなど早きに出す必要など無いのだから。」
赤い彗星、プラントに忽然と姿を表した一人の老兵の事だ。卓越した操縦技能で敵を落とす、俺もよく知る人物がクルーゼ隊長を落とした。
だが、おかしいのだ。あの男は何故そんなにも早くプラントへと帰還する、前線にいてもおかしくはない筈だ。
「赤い彗星……、お父様から聞きました。あの方は、私達とは違うのだと。
根本から私達とは考えも価値観も違う、ただ一つの物事の為に動いていると。
あの方は、自らを殺せる存在が眼の前に殺しに来るのを待っている、その為の舞台を貴方のお父上を使って作り出しているのです。
だから、今はお力をお貸しできませんか?アスラン。」
ラクスの言っていることの真偽の程は解らない、だがもし父が踊らさせれているのなら、俺はそれを救う義務があるのかもしれない。
「あ、そうですわ?キラの事をお伝えするのを忘れておりました、フリーダムのパイロットはあの方ですのよ?
純粋でお可愛い、本当ならば私の隣に置きたかったのですが、愛する人がいるらしいので。」
は?この人は何を言っているんだ?そんな言葉を聞いたら、今までのごちゃごちゃとした考えが嘘のように飛んでいき、先程までの言葉を話すラクスに対して苛立ちが湧いてきた。
「どうしてそんな大事なことを先に言わないんですか!」
音の響かない宇宙に、俺の声が木霊した。
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