その蒼い宇宙を見て   作:丸亀導師

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友人

「今日も届いているな、マメなものだ。」

 

あの一件からマルキオと、たまにメールでやり取りをしている。結構マメな性格なのか、代筆なのだろうが高頻度で細々とした物を聞いてきたりする。

 

彼にとって俺との会話は、好印象を与えたようだ。俺も彼のその思想に関して言えば悪くないと思うが、現実をかなり甘く見ている人物なのかもしれない。

政治的な分野にもコネクションを持っている彼は、このまま行くとプラントと連合双方が啀み合ったまま、世界は混沌としていくといった。

 

俺はその言葉に対して、このまま行った場合確実に戦争は起こるといった。それを彼は熱心にも否定しようしたが、俺は人間のあさましさというものを嫌と言うほど見てきた。

人というものの愚かさと、愚かであるが故に傲慢になり切れないという中途半端さ、それこそが可能性であり希望であるということを。

 

だが、どんなに一人の人間が頑張ろうとも、戦争を回避するのは到底無理なことだ。

ここまで行けば、ライターの火でも容易に火が付く。

そういう点では俺も、本格的に動く時期なのかもしれない。

願わくばあの子が戦場に出ないことを祈るばかりだ。

 

 

 


 


 

皆と話をしていたら突然警報が鳴り出し、僕らに出撃命令がでた。

敵が来たというあまりに突然の話で騒然とする一同と、鳴り出す前に動き出したフレイ、それに即応するザフトの3人とボク。

CICの皆やカガリは一瞬の間を置いて動き出した。

 

そして、僕等が急いで出撃した頃にはアムロさん達艦隊が、敵に対して迎撃をしていて既に対応が終わっていたみたいだった。

アムロさんの機体は僕等を、無視してコロニーの中に入っていった。

 

「いったい何が?」

 

「索敵に引っかからない敵がいたのか?」

 

それぞれが反応する中、アムロさんの部下の人たちはそれぞれがそれぞれの船に返り、メンデルのドックの中に船をいれる続きを始めた。

どうやら入港の許可を受け取ったらしい。

 

僕等が港の方へと戻ると、先程いた艦隊が所狭しと言った感じに並んで、コロニーの中央区画は人で溢れている。

この放棄されていた筈のコロニーに活気が取り戻されてきていた。

 

色々な事が1日の間に起こり、僕のキャパシティに響く。

とりあえずその日は、そのまま僕等はメンデルに長期間滞在する

ということになり、僕等パイロットも含めた人員は休憩に入った。

次の日も、その次の日も僕等は休む。力を温存するために、武器の整備を怠らないように。

 

……

 

僕等がメンデルに到着して10日程経った頃アムロさんの艦隊が到着して3日程経った頃だろうか、アムロさん達の艦隊の乗員の半数が交代で休息を取りに降りてくる。

 

僕はその中で、パイロット組と呼ばれる人達と話をできることを楽しみにしていた。

彼等はコーディネイター、ナチュラル問わず腕の良い人たちばかりで、模擬戦もこの数日でやってもらった。

 

データリンクでの、シミュレーション戦ではあるけれど互いのMSの性能がしっかりと反映される中、彼等は僕の乗るフリーダムを集団で撃墜したんだ。

それこそ5対1位の戦力だったけれど、彼等非常に強い。僕が護らなくても、きっと生きていける程度には。

 

でも、とても違和感を覚えた相手がいる。Gタイプ、嘗て戦ったブリッツを、13艦隊のカラーにした機体に操縦しているパイロットの動きは、まるで僕の癖を知っているのかのように動いて、それを僚機の動きに混ぜて戦っている。

 

僕の癖がバレているのはたぶんこのパイロットのせいもあると思う。僕を良く研究して、まるで僕専用に作られたフォーメーションまで取ってくる、完全に天敵のような人だ。

そんなパイロットが今日降りてくる、僕はその人が誰なのかわからないけれど、きっと現れると確信していた。

声からして絶対に女性か、僕と同じ歳の人だと。

 

そうしていると該当者が一人現れる、緑色の髪をした少年…。たぶん僕を一番研究している人だ、だとしたら僕の弱点だとかそういうのを教えてくれるかもしれない。それに、アムロさんとの約束も有る事だしね。

 

無重力区画をフワリと飛びながら、彼等の前辺りに着地する。

 

「すいません、あの……」

 

「うん?……おい坊っちゃん、ご友人が遊びたそうにこっち見てるぞ?」

 

「え?いや、人違いじゃ……無いでしょうか、僕は知らないかなぁ……。」

 

この雰囲気何処かで見たような…、いやたぶん気のせいかな。

 

「はじめまして、僕はキラ・ヤマトです。貴方方と模擬戦をしたフリーダムのパイロットの。」

 

「え?っと、僕はく、クラウス・ニュンペー少尉です…、一応ブリッツのパイロットをしています…。

あの、何の御用でしょうか?」

 

余所余所しい返しだ、いや実際僕と彼はそういう関係なわけだし、余所余所しくまなるよね?

 

「あの、貴方が連携を取った部隊との模擬戦で、完膚なきまでにやられちゃったので、ちょっと対策したいなぁと……。駄目ですかね?」

 

「おら坊っちゃん、友達が悲しそうな顔してるじゃねぇか、行ってやりな。」

 

「え?いや良いんですか!?司令に許可貰わないと。」

 

「良いんだよ!俺達がやっとくからよ!!」

 

ガハハと豪快に笑う人達、良い人たちばかりなのかもしれないけれど、それでも顔が怖い。

 

「では、少しだけ待っていてください。資料を持ってきますので、この施設の地理だとかそういうものがまだ頭に入っていないので、案内されながらお話しますよ?」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

僕は彼、クラウス少尉と共にフリーダムの格納庫へと赴いた。

 

 

 


 

アムロ司令と共にこのコロニーメンデルに来てから3日、僕達は束の間の休暇を取っていた。

この部隊はあまりにも不規則な戦闘行動をとっており、いつ平時でいつ戦時なのか全くと言っていいほどわからないものがある。

 

特に、戦闘への入り方は独特で行き当たりばったりとか、そういった言葉が一番良くあっている艦隊だろう。

良く言えば臨機応変だけれど、その作戦行動はまさに奇襲強襲専門の部隊で、海賊みたいだ。

けど、それでも損耗率が極端に低いのだから戦闘との距離の取り方が上手いんだろう。

 

実際僕達はここに来る間に3度、ザフトの艦隊と戦闘してきた。数はそれ程多くはないけれど、基本的に僕達は敵を撤退に追い込んで深追いはしていない。

そんな部隊で僕は元々あった、連携というものに対して深く考えた。

 

それをフリーダム相手に実行しただけだ。元々練度の高い部隊があるからこそだけど、僕は誰よりも彼の挙動に詳しかったから。だから、僕が指揮することを立候補した。

 

フリーダムの特性を今までの連合の戦闘データと照合し、中距離からの1対多の戦闘を考慮して設計された機体、である可能性が上昇した為に、基本的に懐に入り込む超接近戦が有効ではないか?という結論に達した。

 

ただ、実際の戦闘データ。ストライクのパイロットの可能性が大という、アズラエルさんとの交信によって得られた情報によって、近接戦闘にも強いオールラウンダータイプのパイロットだということであるという。

 

オールラウンダー、汎ゆる全ての成績が90点以上を叩き出せるパイロット。

僕等の中にもそんな人はいたりする。

特に司令は、汎ゆる戦闘距離において無類の強さを発揮し、何より死角から攻撃すら察知される。  

 

人間レーダーのような人なので、飽和攻撃による偶然で倒すしか無い、そんな人がいるからこそ僕はこの作戦を思いついた。

フリーダムのパイロットの反応速度は僕等コーディネイター以上、司令以下だ。

つまり、確実に目で見て判断している。

司令みたいに完全に見えない位置の攻撃を回避するのは出来ない。

 

そんな当たり前の事が、こんなにも重要になる相手だと解ったとき、僕は何故朱いストライクにやられたのかという結論が出た。

そう、あの機体は司令と同じように、死角からの攻撃を避けて見せていたのだと。

 

そして、フリーダムに対する攻撃の方針は決まった。

当たり前の事を当たり前に行って、それをより密度を濃くすることによって克服する。

数と連携と練度によって、フリーダムに対する。当たり前の事だった。

 

そんな研究対象であった彼が、僕にその対策に対する対策を聞きに来ることは想定外だった。

キラ・ヤマト、元トリコロールのストライクのパイロット。僕の見立ては正しかったと、そう実感しよりいっそう彼に対する連携を強化する必要があると確信した。

 

だけど……、僕の現状を忘れてはいないだろうか?僕は、連合にいる。つまりザフトをプラントを裏切った裏切り者で、この格納庫にはアスラン、イザーク、ディアッカの3人がいる。

バレたらどうなるだろうか、軽蔑されるならまだ良いほうで、最悪の場合は……、考えたくもない。

 

冷や汗がダラダラと滝のように流れてくる、バレないように。露骨に断れば怪しまれると、そう思いながらいたのに僕は裏切られたのだ、あの人たち僕の同業者に!

 

重力区画での整備を行っているという、フリーダム。

そこに行くまでの間に、ちゃちゃっと会話を終わらせて帰ってしまおう。難しい専門用語を使えば、簡単に引き下がってくれるに違いないと思っていたのに…。

彼は話に飛び付いた。

 

「なるほどね、じゃあさ…」

 

段々と話しのテンポが上がっていく彼に、僕は焦りを感じていた。

そう、ここはエターナルという艦に程近い格納庫、つまりアスラン達が確実に近くにいるのだ。

 

「キラ君、そろそろ僕戻らなくちゃならないからさ、また明日でも良いかな?」

 

「え?あぁ、そうだね。もうそんな時間か、ありがとう!また模擬戦やろう!」

 

良い人なんだろうけど、オタク気質だなぁ。

 

「おいキラ、こんなところにいたのか。ラミアス艦長がお前のことを探していたぞ?」

 

ドキッとする、この低音ボイスそして少し冷淡そうな感じの声といい、完全にアスランである。でも、顔を見せなければまだなんとか…。

 

「それではこれで、アスラン(・・・・)もお元気で。」

 

そう言うと一目散に彼の横を通り過ぎる。

 

「ちょっと待ってくれないか?俺は貴方に名前を教えた覚えはないですし、何よりその声何処かで聞いた覚えがあるんですが?」

 

「そ……そんな事無いですよ、僕みたいに高い声の人なんてそれなりにいるとおも……、あの何で目の前にイザークにディアッカがいるのでしょうか?」

 

「ほお、自己紹介をした覚えもければ、名前を敬称無しで言われる仲になった覚えもないが…。

その顔と言い、背格好と言い服装と士官帽は兎も角、生きていたんだな、ニコル。俺はディアッカが生きていたことにも驚きだったが……、良く生きていた…!」

 

あのイザークが感激している、怒る姿は想像できますがこれは意外です。というか、何で3人が揃っているんですか!

 

「あの……、僕は地球連合のクラウス・ニュンペー少尉です。どなたかと、勘違いされているのでは無いでしょう……!」

 

「ごめんねニコルさん、これアムロさんに頼まれて僕が皆に協力を仰いだんだ。だからパイロットの人達も、積極的に送り出してくれたんだよ。」

 

あの人たち……人がせっかく悩んでいたことを、どうして言ってくれない!いや、絶対に楽しんでいるだけだ!

 

「さて、ニコル。何故お前が地球軍にいるのかは、置いておいてだな。生きていてくれて、本当に良かった…。」

 

複雑な気分ですね、どうやら完全に僕の正体を知った感じですよ。

 

「五体満足……では、無いですけどね。心配をおかけしました。ニコル・アマルフィ只今戻りました。」

 

怒られなかっただけでも良かったです。

 

 


 

首脳陣会議に参加するが、正直言って現在の戦力ではプラント本国に対するのは非常に困難と言えるだろう。

たった9隻、俺の艦隊には後一隻来るがそれでも10隻だ。

勿論良いところもある、まず情報収集能力は世界的に広がるブルーコスモスネットワーク。

 

失脚したとはいえ、現在でも数多く潜伏し自らの思想を隠しているプラントのクライン派。

連合に関して言えば、ユーラシアはガルシアから聞けば良いだろう。

月面に関して言えばハルバートン提督だ。

ここまで行けば、だいたいの戦力の動向は把握出来ている。

 

やはり問題としては実働部隊の少なさだろう。なにせ、クライン派の殆どは地球上にいて基地司令等させられている…。

いや、それを利用できるか?

会議室の中央に座るシーゲル閣下、彼はどうやって戦力を集める算段でいるのだろうか。

 

「地球上に残っているザフトの戦力には、クライン派だと言う人物が多いと聞いたことがある。それを宇宙に上げることは出来ないだろうか、そうすれば俺達の戦力は充実するはずだ。」

 

「だが、どうやって上げるのかね?ピストン輸送しようにも、大気圏を自由に航行できるのは君の艦くらいしかいない、それにだ。カーペンタリアには絶対死守命令が出ている、早々我々に協力はしないだろう。」

 

八方塞がりだな、第八艦隊は戦力はあるが、それでも自由に動かせるかと言われればそれはない。

 

「そうですね、アムロ君の懸念も尤もです。我々の現有戦力はあまりにも少ない、だが同時に隠密性に優れている。

これを上手く活用出来るんじゃないかい?」

 

「どれ程隠密性に優れた特殊部隊であろうと、即応した物量の前には無力です。

最低でも20隻は欲しい、そうすれば100機近い艦上戦力を得られますから。相応の打撃力を得られれば、容易く侮られない。」

 

いや、待てよ。戦力をある程度保持しつつ、宇宙空間に独自で動き回れる存在。

中立宣言をしたL1、これは月に近すぎる。だが、勢力としては独立したものだ。

そして、ここに尤も注力できる事柄がある。

 

あそこは俺の古巣、崩壊を免れてはいるが多くのコロニーが四散した。

大戦初期の頃の艦艇だが、原型を留めているものや居住不可能と判断されたコロニー内部に置かれたままのものも存在する可能性は充分にある。だとすれば、これを用いないという手はない。

後は人員だが…。

 

「アズラエル、一つ聞きたい。連合の攻勢計画はあるだろうか?それと、シーゲル閣下。クライン派の中でカーペンタリアから、本国へと帰還を言い渡されている人物たち(投獄リスト)を、リストアップしてもらえないだろうか?」

 

「何を企てているかは解りませんが、良いことを思いついたといった顔ですね。」

 

「まさかと思うが、カーペンタリアから宇宙へと上がる者達を…攫うのか?」

 

俺は静かに頷く、そしてこの計画に必要な物資と交渉相手を提示する。勿論、相手はL1自治政府の奴だ。

 

「現在L1コロニー郡の周辺には、残骸や廃墟と化したコロニーが無数に存在する。

その中でも比較的にマシな状態にあった、6つのコロニー。

 

これの内部には未だに、収容状態の艦船が存在している。と言っても殆どがドレイク級やマルセイユ三世級だろうが、中にはアガメムノン級も有るはずだ。尤も改装前の代物だが、無いよりはマシだ。

ジャンク屋に取られていなければ、という但し書きが入るがもしあるのなら、これらを戦力のアテにしたい。」

 

「それはどこからの情報ですか?私も把握しきれていないものもあるんですね、確かに無人地帯には何も情報提供者はいないですから。」

 

戦争中盤、俺達が海賊をやらされている時に補給艦として来た連中、ジャンク屋ギルド。

彼等との伝があって助かった、情報は多少古いがそれでも行けるだろうか?

 

「俺の知り合いにジャンク屋がいる、情報としては多少古いが、確度は確かなものだ。」

 

「では先に人員の確保から始めるということですか?良いでしょう、では何時行きます?」

 

「俺達3隻、いや正確には後1隻数日中に月基地から合流するのだが、その後行こう。

表向きは、ザフトの離脱船の襲撃という体でね。」

 

戦いは数だ、後はMSパイロットがいることを祈るだけか、MSの確保も視野に入れなくてはな。

 

 

 




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