歌を聴いた、プラントの中にある美しい花園を称えるそのような邸宅がある。嘗てはスカンジナビア王国にて極秘に創られた偽りの人類が住まう。この建物から、耳を傾けるに値する歌が聞こえてきたのだ。
未だ幼い私はその歌に聴き入った。
心安らぐその声に、幾ばくかの高揚感を覚えるとともに、この歌の主の悲壮感が込められていた。
ただ一人で過ごす日々、籠の鳥のように締め付けられた閉じられた世界から見る、外の世界への希望と憂いを。きっとそれに呼応したのだろう私は、いつしか自然と声をかけていた。
私は少し勇気を出した、この人ならば私の声だけでも覚えてくれるかしら?と。
「美しい歌声ですね、どういう意味の歌にするんですか?」
「…?どなたですか?その様に、垣根の外からお声をかけていただけるなんて、お顔を見せてくださいな。」
そんな言葉に私は答えられない、まさか本当に返答が来るなど思いもしなかったから。
「月に一度こちらに来ます。故あって名を名乗ることはできませんが、またお聞かせください。」
私はそういうとそそくさと逃げるように、帰路に就いた。
「本当にうざったい敵ね!」
私は、私の動きに合わせて攻撃を回避してくる、この坊主頭を苛立ち気に睨みながら、三馬鹿が見事な連携で動いてザクを翻弄している。
「本当に見事な連携だこと!」
機体を一気に加速させて激突する瞬間に敵のライフルを盾で弾き飛ばし、非装甲部分にイーゲルシュテルンで攻撃しようとする。
それに対して思い切り蹴り上げてくることを予見して、ライフルを盾にしようと、今度はマニピュレーターを突き刺そうとしてくるのを利用して、敵のマニピュレーターをライフルの隙間に差し込ませて、それごと折る。
そしてその間に少しだけ間隔をあけて肩部レールガンで首を吹き飛ばし、その首元に直撃させコックピットを破壊する。
『ありがとう』
そんな声が聞こえてくる、普通の相手ならここで断末魔の一つでも聞こえてきそうなものだけど、感謝されるなんて、正直おかしく感じる。
「馬鹿たち‼そいつ頼んだ!」
「おいおい!持ち場離れんのかよ!」
私は間髪入れずに機体を加速させる、そうしなければならないから。もしここで三人を助けても三人は大丈夫だと思う。けど…キラとアスランだけは例外だ。
遠目から見てわかる、とてつもないプレッシャーを放つ感覚の塊が四つの人形を連れている。キラたちは他の機体に気が付いていないけどあれはきっと態とだ、自分の存在感を堅持する為に態と攻撃させていないんだ。次第にその存在感は大きくなっていく、なんだ?この違和感は、彼の力が増幅されていくような嫌な感覚は。
そう知覚する間にも動きがある、私の目には見える。四機がキラとアスランにそれぞれ相手になって攻撃していく、二人が翻弄される姿を横目に赤い奴がイリスに向かっていく、予定通りことが進んでる。
刻を見た人って言ってたけど正直、予言みたいなことを言って皆を騙してたけど、いざとなったら頼もしいものね。
『こっちのことはいいよ、君は君のやりたいことをやるんだ。』
「わかってますよ!言われなくたって、守りたいものを守りますよ!」
ナチュラルにこんなことやってるけど、キラ…私のほうがよっぽど化け物よ?この選択がいいか悪いかなんてどうでもいい、未来なんて確定したものじゃないんだ。
ちょうど向かう途中にイリスが爆散する。これも織り込み済みだ、そもそもあの砲撃が威力がありすぎる為に、態とやっているのだ。ビーム兵装だけで船があんな爆発するわけ無いのだ。
巨大なプレッシャー同士が互いに睨み合うように並んでいる、それが私には末恐ろしい感じた。
そして私は機体を翻して彼のもとへと急いだ。
まだ持つ、急がなきゃここで私が行かないと二人共命を落とすかもしれないもの……。
大丈夫、まだエネルギーは持つ一機くらいなら仕留められるから。
僕らはイリスを守り切れなかった、それでも僕らを殺そうと現れる敵は容赦なく僕らを追ってくる。異様に早い反射神経で、的確に避けるその姿はフレイを彷彿とさせる。そんな光景見たくもないけど、もし彼女が敵になったらこんな動きをするんだろう。
「キラ!このままではまずいぞ。」
「アスラン!判ってる、だけど」
攻撃が当たらないんだ。こんなにもいやな敵がいるなんて、本当にやりずらい。
ニコルの言っていた攻撃方法は、僕のそれをモデルに彼がいろいろと模索していたけど、これは想定以上の動きだ。
それに、次第に僕たちの動きに順応していっている、これで焦らない方がおかしい。
どれだけの時間戦っているんだろう、無限に長い時間を永遠に戦っているみたいに錯覚する。でも、流れる景色は殆ど代わり映え無く、それだけで時間はそれ程進んでいない事がわかってしまう。
フリーダムは僕の動かしたいように動いてくれる、けど本領を発揮出来ないこの状況がもどかしく、逆に言えば。抑え込まれてる。
華麗な機体さばきの割に、無機質でGを考慮しない動きに戦慄している。あんな動きしたら、普通なら意識を刈り取られていてもおかしくはない。
それでも、意識を失うこと無く戦い続けてくる敵に僕は一瞬負けるビジョンが見える。
「このままじゃ、でも僕だって守りたい人たちがいるんだ、だから負けるわけにはいかない!」
僕達は守るべきものを守れなかったけど、それでも。今目の前にいる敵に僕が負ければ、今度は皆のところに行ってしまう。だからこそ、ここで僕は足止めしなきゃならない。それが、僕が全く他のコーディネイターと別の存在として産まれてきた、定めなのかもしれない。
2対1、今まで戦ってきた中でマシな部類に入るはずのこの戦いが、あまりにも厳しい。
ニュータイプという存在が、僕達に対するある種天敵の様な存在だと実感する。
「二人ともなにぼさっとしてるのよ!」
思考の中に声が響く、いやきちんとコンソールを通したスピーカーからの声。
そして、その声と共に僕らの目の前の敵に突貫してくる、一機のMSいやフレイのストライクの姿があった。
「フレイ!」
彼女は僕たちを相手している一機をかっさらうようにスラスターで押していく。
良く見れば、彼女の機体にはライフルのような遠距離装備がない、彼女は確実に消耗してそれでも彼等を打ち倒したんだ。
僕のところから剥がしてくれたおかげで、僕はアスランと協同で三機を相手に戦うことが出来る。
これならなんとかなるだろう。特別な装備が有る訳でもない敵のザクは、普通のMSと武装は違わない。
唯一核動力だからこその力、継戦能力。それでも彼女には勝てなかった、それもそうだろう。彼等と違って彼女は考えながら戦うことが出来るんだ…。
でも、動きがわかるっていうのはそんなにもいいことなのだろうか?
相手の動きがわかるのは、戦争するうえでそんなにも良いことなんだろだろうか?でもそれって誰かを殺すときの悲鳴も感じちゃうってことじゃないのかい?
「くそ、僕は!」
彼女を本当の意味で守ることができていないじゃないか?迷いながら僕は戦う、それが答えを求めるという事なら。それは僕の使命の一つだろうと、それが造られた命である僕の道なら。
フレイ、君がみている世界を僕は見ることができない、でも僕は僕なりにやっていくしかないんだ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
気合を入れるために僕は叫ぶ。
フレイがやった動き、近接戦闘ならその可能性があるんじゃないかって。
それでそれは、きっと彼女が僕達に見せた答え合わせみたいなもので、だからこそそれを実践する意味はあると思う。
「アスラン!」
「ああ!やってやるさ!」
見えないのなら見えないなりに、コーディネイターにはコーディネイターなりの戦い方がある。だから、君たちが苦手そうな近接戦を僕はしかける。悪く思わないでくれよ、守るためには勝つしかないんだから!
そんな僕はフレイの行動に奮起していた。僕は眼の前の出来事に一瞬では判断できない事態が起きていた事を、見逃していたのだ。
この時、フレイの機体の左脚部の色が若干灰色がかっていた事に。
粉塵が舞い散る、その目の前に佇む一機のMSザク。そのコックピットの周りからは蒼い光が現れ、まるで何かを語り掛けるように粉塵の奥を見据えている。
ザクから見て粉塵の奥のほうから俄かに何かが動き出す、爆発に巻き込まれたにもかかわらず、それはまるでそんなもの関係ないとい言わんばかりに、赤い閃光がザクへと放たれる。それを予測していたのかザクはあらかじめ半身をずらし、攻撃を避けたと同時に間髪入れず次の動作である回避を行う。
必要最小限、傍から見れば談合でもしていたかのように見事な動きに拍手喝采というものだろう。しかし、この場所は戦場。
命のやり取りをする場所である。
人間の反応速度を超えた回避は、内部の人間に容赦なくGを掛けるものだがそれを涼し気に行うパイロットのそれは、常軌を逸している。
粉塵の間から非常にゆっくりと流れる時間の中顔を出すのは、鬼のような角を持った白磁の貌をした機体ガンダムだ。盾もなく、兵装などライフルと背部にマウントしたサーベルしか無い、あまりにも簡素なガンダムの姿があった。
ガンダムは姿を現した瞬間後ろから現れたもう一機の、黄色いザクを見向きもせずまるで興味もないと言わんばかりに、スラスターで切りつけを回避し見失った黄色いザクはそれを感知しようとしたところで、胴体を切り裂かれる。
それを見た赤いザクは、嬉々としてそのガンダムが造り出した舞台へと足を踏み入れ、互いの距離を一定に保ちつつスラスターを前回に吹かした。
追うガンダムと追われるザク。ザクは追われながらも的確な機体動作で華麗に攻撃を避けつつも、時には態と隙を見せガンダムを誘惑する。
ガンダムは敢えてその誘惑に乗じて、ライフルで牽制射を放ちながら急速に両者は近付いていく。
互いに一進一退、その軌道は実に美しくそれでいて鋭く研磨された刃のように剣呑だ。
ザクは機体の左手にライフルを持ち替える。
交差する瞬間に、ザクは何処から出したのかサーベルを出しガンダムは、ライフルで刃を形成する。
サーベルの刃が緩衝し、周囲に小規模な爆発を起こしながら互いにジリジリと、回転し遠心力によって機体は引っ張られる。
ふとした瞬間にガンダムは力の交点をずらし、半身を動かす様に左回転させライフルの銃床部分からサーベルを展開、ザク目掛け斬り込む。
それに対してザクは右回し蹴りの要領でガンダムを蹴る、ザクの脚に僅かにサーベルがかするものの、機体へのダメージとしてはそれ程大きくはない。
反動によって機体は一時的に離れるも、先手を取ったのはザク。離れた瞬間ライフルを撃ち、ガンダムがサーベルからライフルに機能を転換する僅かな瞬間を狙い撃つ。
それを僅かにアポジーモーター吹かし、縦横に僅かずつ逸らすだけで回避していく。
互いに一歩も譲らず、延々と続くような戦いはたったの10秒の間に、どれだけ動きを詰め込むのか。
もはやその速度は人間が及ぶ領域なのだろうか、観測する者にとってその動きはもはや意味がわからない。
攻守は逆転する、しかし避ける間に時折織り交ぜるように反撃を行うガンダムは、全ての動きに代替を用意するようにザクを翻弄する。
時折頭部が明滅し、バルカンの弾がザクを掠める様に撃たれる。その反動を利用しながら軌道を変更する。
ザクはそれに対して、牽制でライフルを放つとガンダムの死角になるだろう位置が僅かにブレる。
すると、更にもう一機の黄色いザクが現れた。
これも赤いザクを援護しようと動いているのだろう。
そしてその機体の動きを見向きもせず、避け続けるガンダムは。
苛立つように黄色いの攻撃に3射ライフルを撃ち込む、一発は反射的に避けられるように態と中心に撃ち込み、もう一発はそれを避ける場所に置く形に。
そしてもう一発は、更に避ける場所に置く。
そしてそれは常人ならばきっと、避けることなど考える暇もなく落とされる攻撃。
黄色いザクはそれらをなんとか逸らすが、何処からか割って入って来た。ビームによって爆散する。
ビームが放たれた方向にはガンダムの盾が浮いていて、その盾はまるで意思を持ったように動き出す。
ヒラリと意思を持って逸らす盾は主の元へと帰って来ると、左腕にマウントされる。
ガンダムには十字のマーク、盾にはユニコーンと機体の主の名前を模したエンブレム肩にAをもしたエンブレムと相まって機体の主を主張していた。
アムロ・レイ。ファーストニュータイプと呼ばれ、その強さによって軟禁された男が今ここに立っている。
「いまだ貴様は大局を見ようとせず、単なる駒であろうとするか、気楽なものだな!」
「貴様のやろうとした事は決して赦されることじゃない。それに俺はお前と違って、パイロットだけをやっていた訳じゃない!」
積年の恨み嫉妬を濃縮させた戦いは、未だに始まったばかりだ。
ヤキンの防空網は徐々にであるが鎮静化していっている。
戦況の安定化に伴い、損傷機は皆個々の艦へと帰投するも、その母艦を失った者たちの憂いが宇宙に木霊する。
「エポナ、こちらアムロ・レイこれより着艦する。」
「了解しました。後方格納ハッチから入ってください、左舷カタパルトが電子回路をやられまして、苦労してます。」
13艦隊の他の寮艦である、クリーブランドの姿が見えない…。いや、恐らくはそういうことなのだろう。
「クリーブランドはどうした?」
「奮闘虚しく……、敵要塞からの砲撃被弾に伴う急激な減圧によって、内部から大爆発しました。
惜しいことをしましたよ。」
陣形を螺旋陣形からボックス陣形に切り替え、防空能力を高めつつ機体の収容を行っていく。
少しは気が緩まるようになってきたようだ、陸戦隊はMSの入れない対人用の通路からヤキン要塞へと進んでいることだろう。
「ところで、その機体は鹵獲品ですか?」
「捕虜だ、もう一機スターシャが運んでくる。手当をお願いしたい、だいぶ……参っているだろうからな。
それと、俺の機体のビットラックを外す。もう、デッドウェイトにしかならない。
スターシャ少佐には再度、MS隊の指揮を取らせる。
俺は補給後、要塞後部に向かって進むからMAを一気無人で借りるぞ?」
「了解しました。
しかし、ここまで来たんです。もうそろそろ戦争は終わりですね。」
だと良いがな。
それは、良いが胸騒ぎがする。これは、誰かに良くないことが起きるのか?ここではない、きっと彼等の方に違いない。
「急いでくれ、向こう側は少ない戦力で回している筈だ。援軍は必要だろう。」
「そうですね、ヤキンにはもういりませんよ。存分に駆けずり回って来てください。」
キラか…あるいはフレイかどちらかに危機が訪れているのか?
私は、艦橋の中で内心MSパイロットたちに謝っていた。そもそも、彼らに話した作戦とは一元的な予備作戦であり、本来の作戦とはその作戦内容から口止めをされていたのだ。
キラ君等にそれを伝えなかったのには理由がある、何をお言っても言い訳にしかならないその言葉は
〖敵をだますならばまずは味方から〗
という、その言葉通りのことしかできない。
勿論これは、あの二人のレイ親子の提示したものであり、実際私はそれに乗っかっただけである。
我々の目指す本来の目標は、ジェネシス内部に閉じ込められたプラント指導部の奪還であり、その救出にあったのだ。
無論、その内容を知るパイロットは少なく我々と共に来た者たちの中では、フラガ君並びにアルスター君がそうだろう。
本当はフラガ君のみでよかったのだが、言わなくても彼女ならそれに気が付いてしまうという摩訶不思議な回答により、私は説き伏せられたのだ。
そして現に、我々はイリスから離れた後方に待機し、射線に入らぬようにバルトフェルド君が、艦隊をさりげなく動かしたことにより、敵にはまるで我々何か策があるかのように錯覚させた。
勿論、我々は突破口に突入することに異論はなく、助けられるのであれば例え政敵であろうとも無益な殺生は控えるべきなのだ。
「今より艦隊の突撃を強行します。もしもの場合がありますので、覚悟をしておいてください。」
「無論んだ。バルトフェルド君、君を信頼しているからな私からはそれしか言う事はないよ。」
エターナルはグンッと加速し始め、直ぐに大破しもはや火だるまとなったイリスの横を通り過ぎる。それに、アークエンジェル、ドミニオンも続き殿のクサナギが我々の後ろを守護するように移動する。
破戒されもはや機能しなくなったジェネシスの後方から、今更艦隊が現れ我々前に立ちふさがる
「各艦対艦戦闘用意、エターナルは三隻の射線から離れます。この艦はミーティアがなければ碌な対艦戦闘ができませんのでね。
ダコスタ君、鷹に通信。旗は掲げられた。」
われわれの周囲に広がる噴煙は、数々の命の塵である。
「ドミニオン、予定通りコース変更。第一反射鏡へと角度進んでいきます。」
ここから正念場だ。どれ程の人員が亡くなるだろうか。その業を背負うのは私達で充分だ。ラクス達に背負わせてはならない筈なのに…あの子は、私のそれを無視するようにどうやらここに来たようだ。
「ラクス、お前は奥にいろとあそこは安全な場所なのだぞ?」
「お父様、私にも…なにか出来ることはありますか?」
この娘に何かをやらせるわけにはいかない、せめてせめて手を血で染めるのは我々だけで充分なのだ。
「お前は奥に行っていなさい」
「ですが…!」
私はその言葉を聞いた瞬間、この娘に暴力を奮った。初めて、たった1度きりの暴力。顔は女の命というが、私はそこに平手を打ったのだ。決して許される事ではない、だがこれが父親としてやらねばならない事のように思えた。
「もし、何かをしたいというのなら。歌を歌いなさい。せめて、この戦場の憂いる魂への鎮魂のためだけに!
今のお前には、それくらいしか出来ないことを自覚しなさい!恨んでくれて構わない、それが今私がお前に言えることだ。
艦長…、すまないな。さあ、出ていきなさい!」
親の心子知らずか…、それでも構わんよ。ラクス……、私はきっと…お前の前からいなくなるだろう。
その後、お前が何を信じ生きるのか、共に歩めるいい人を見つけなさい。
お父様が、私に平手を打った。
今までそういう事をされたことのない私は、初めての自体に目を疑ったと同時に、この場所に自分の居場所の無さを実感した。
どれだけ誰かの役に立ちたいと言ったところで、私に工業系の知識は無く、戦術家としての知識も経験もない。
そんな私だけが戦うことが出来ない、単なる人形のように操られてきた私は、今もこうして何も出来ないでいる。
あぁ、この手が血に濡れるほどにフレイ様と同じ立ち位置に立てたのならどれ程気が楽でいられただろうか?
余りにも無責任で贅沢な私は、本当にどうしようもなく
〘お嬢様〙
なのでしょう。こんな無力さは、嫌なものです。
そこでふと、一つの事に気が付きました。
格納庫に入っていた、大尉の機体。アレは誰も近づくこと無く、操作系がわからないということで、お荷物になっている。
アレも私と同じなのでしょう。
闘うために生まれてきたのに、あの機体は動くこと無くそこにある。
私は導かれるようにノーマルスーツを着ると、その機体
〘νガンダム〙
へと近付いた。
するとどうでしょう、大尉しか開け方のわからなかったハッチが独りでに開き、私を中に入れて下さる。
それでも、一応しか動かせない私にこの方を動かすことなど到底出来ない。
勝手に閉まり、全体を映すモニターを見つめながら何も出来ない、己を見つめる。ならばせめて、この方をと共に歌を歌いましょう。
この戦争に散っていった方々の冥福を、一刻も早い平和への願いをこの方と共に歌に乗せましょう。
誤字、感想、評価等よろしくお願いします。