【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
一緒にバカになって殴り合えるような、男友達みたいな子。
二人にそれが芽吹くのは時間の問題だった。
積年の呪いを、それはもう歪んだ呪いに変えて。
「なあ、お前さ。もしかして俺の事好きなの?」
何でもない、とある任務帰りの夜。
クラスメートからとんでもない自意識過剰発言が飛び出した。
「は、はあ? 馬鹿も休み休みにして下さい。貴方のような人を好きになる人なんて、よっぽどの面食いでも無ければいませんよ」
飽き性の自由人で、自分以外の他人はゴミとでも思っているような人間だ。最近は多少マシになったけど。
こんなのを好きになんてなりたくないし、そもそも野郎に友人以上の好意を抱きたくはない。
でも、枯れた青春じゃなかった。
独り身だった私に言わせれば、人生なんて恋だの愛だのが全てじゃないし、友情だけでも価値があった。
桃鉄99年を悟や傑たちと夜なべしてやり込む、なんて青春らしいバカな事もやったもんだなぁ。
「ひっでぇ。てか、お前がその面食いじゃねぇの?」
「違います。もしそうだったら、今頃悟くんにベタベタと触りにいってるはずですからね」
「ふーん……」
なんとも興味なさげな空返事が飛んできた。
今までの会話は何だったのか。
お前と話すと、無駄に気力が擦り減るんだよな……
長く溜息を吐くと、ふと、悟が足を止めた。私も止まって振り返ると、正面で向き合った。
今度は何だ? 毎度毎度お前に振り回される私の気持ちにもなって────
「じゃあ、こういうのどーよ」
「ちょっ……!?」
悟の呪力が廻る。
術式行使の予兆。こんな市街地で不必要な術式の行使ともなれば、蝶n……ではなく夜蛾先生からの叱責だけでは済まないだろう。
悟がいくら頭のぶっ飛んだアホとは言え、天内さんとのアレコレで常識は身につけたもんだと思ってた。
ああくそ、ちょっとでも信じてた私が馬鹿だった。
そして齎されたのは…………背中が強く引っ張られる感覚。
直後に、発生していた引力が消失し、私は慣性のままに後ろに倒れ込む。
……まあ、流石にこのまま倒れてやろうとは思わないけど。みみっちい嫌がらせだなぁ。
片手を地面に付けようと手を伸ばしかけた所で、ピタリと、倒れかけた身体が静止した。
それも当然だ。
背中を支えられていて、目の前に悟の顔があって……
「うっは、顔真っ赤じゃん」
「な、ぁ……え……」
サングラスをちらっと外して、水晶のような六眼で見つめられる。
掛け値無しの、国宝級な素顔。
ちょっと生意気な表情でも、万人を魅了する顔には違いない。
故に、容赦なく私の〝縛り〟の対象内に入ってきた。
「めっちゃウブじゃん。ウケる」
その縛りとは…………ぅぁ……ぃやああ……!
マジで、顔がカッコ良すぎて……って精神汚染がぁぁぁ!!
「お、おい?」
「ふぎゅ……ふあああ!!」
心臓がバックバクして、思考がうまく纏まらない。
くそ、かっこよすぎるのが悪いんだよ
ああもうダメだ、頭がやられるっ!!
「……り……りょ……」
「ん?」
「…………領域、展延っ」
「……は?」
いかに乙女心に染め上げられ、イケナイ妄想に浸りかかっていようとも、息を吸うように使ってきた結界術は容易に行使できた。
結界術が一つ、領域展延。
その効果は、術式の中和。
たとえ、悟の無下限呪術であろうと、薄く纏われた領域内で術式が完結し、無効化される。
後はもう、勢いのままに拳を突き出せば、悟の顔にクリーンヒット。
実にシンプルな図式だ。
「へぶらっ!?」
きりもみ三回転半の綺麗なトリプルアクセルを披露しながらぶっ飛んだ悟を尻目に、荒くなった息を抑え、火照った顔を空を仰ぐ。
「……好きになんて、なりませんから」
いくら縛っているとはいえ、好きになる人を決めるのは私だ。
それでも、好きになってしまったのなら……
「いってぇ……ぐらぐらする」
いや、たとえ好きになったとしても、私の目的が変わることは無い。
五条悟は、いつかこの手で……
……。
…………。
「お、おい式那? わ、悪かった、俺が悪かったっつうの! いやでも泣くとかありえねぇし、これくらいで泣くタマじゃねぇだろ!?」
「うるさい! ……全部悟くんが悪いんですからねっ」
無下限を突破する方法を、私は幾つも持っている。
最悪、パーシャから貰った呪具もある。
倒すのに不足は無い。
今からでも、最強を殺して、私が最強となれる。
そうすれば、私を脅かす存在はどこにもいない。
呪術界の頂点で、己が平穏を享受できる。
…………でも。
それでも、今の私に、彼を本気で殺そうと思える理由が見つからなかった。
悟を殺したとして、それで悲しむのは傑や硝子ちゃん達だ。
私がやったと知られれば、皆が私を恨むだろう。
はは……なんというか、我ながらチョロ過ぎるっていうか……揃いも揃って、こんな性格クソ坊っちゃんの、一体どこがいいんだか。
『……ったく、だんまり決め込みやがって。いつまでも空気が悪くてこっちがイライラすんだよ。いつまでも湿気た面見せられるぐらいなら、愚痴聞く方がマシだわ』
『それガチで言ってる? 自己評価蟻ん子レベルじゃん。……ここんところ、お前に負け越してるんだけど。それ分かって言ってるなら、俺の超寛大な堪忍袋の緒でもプッツンしちゃうわけ。茈撃たれたくなけりゃ、もっと自信持てよ〜クソガキ』
……思い出すほどコイツの良さが分からねぇ。
いや、あの時期は私も辛かったから、フォローしてくれたんだろう。
それにしても、気遣いのキの字も感じられない言葉選びじゃないか。
その度に激昂して、領域に引きずり込んでボコボコにしてたし。
「……なー、早く帰ろうぜ。俺腹減ったんだけど」
「はぁー……こんな無神経なクズなのに……」
誰かを犠牲にしてでもって、決めたはずなのに。
五人と過ごした青春の時間が、悟と交わした確かな友情が、その全てを押し留めた。
『じゃなきゃお前に天内任せっかよ、クソ鈍感』
……私を頼ってくれた。
『ぶっは、死にかけてやんの。……後は俺がやる。死ぬ気で逃げろよ、式那』
……私を救ってくれた。
クズでも、想ってくれる気持ち確かにあって、だから私も本音を吐き出せる唯一の相手になっている。
私にとって、悟は親友にも近しい……
「うわ、コイツまだウジウジ言ってやがる。そろそろ機嫌直せよ〜気色わりぃ」
「いい加減黙らせますよ、マジで」
「──イヤ〜ッ!! やめてぇ殺されるぅ〜!!」
「ちょっ、街中で叫ばないでください!」
こ、このクソ野郎……マジでシメてやろうか。
あーやめだやめだ。こんな奴好きになるとか有り得ないわ。
建人か雄の方が遥かにいい。傑はちょっとアレだからパス。
先輩より同級生の方が頼りになるってマジかよ。
あ、硝子ちゃんと庵パイセンは別カウントで。
「いつか背中刺されても知りませんからね…………私に」
「いやいや、この俺が刺されるわけ……え、今なんつった?」
「お前を殺す」
「めっちゃ直截的になったじゃん! 式那ってなんでいつも俺に殺意マシマシなんだよ。恨み買われる事でもした?」
純粋に不思議そうな顔だ。つまり思い当たる節が全く無いと。
コレに人の心とか無いんだろうか。
「その賢い頭で考えて下さい。ほぼ全ての言動と行動でイライラさせられてますから」
「嘘でしょ……?」
さっき私に何しでかしたのか覚えてないのかよ。
ここまでくると、呆れて物も言えなくなる。
コイツの事は諦めよう。
「ほら、さっさと帰りますよ。瞬間移動、できるんですよね」
「俺、これでも最強なんだけど? 最強様の扱い雑じゃね?」
「貴方と傑くんで最強でしょう。貴方一人なら私でも何とかなります」
「あ゛? んだとゴラ、お前なんて茈で余裕だわヨユー」
「は? 茈なんて避ければなんとでもなりますよ」
「「────はああ!?」」
結局、殴り合いに発展して夜蛾先生にバチボコに怒られた。
二人して頭に大きいタンコブを作り、ドナドナされて教室に入ると、硝子ちゃんが腹抱えて机に突っ伏して、傑は温かい目でこちらを見ていた。
……もう学校に行きたくないでござる。
【名前】加茂式那(16)
【術式】躯躰総術……長年現れなかった加茂家の相伝
黒髪を三つ編みに結び、任務以外では眼鏡を着けている。術式使用時に目が赤く染まる。
悟の一個下の高専一年で、加茂家現当主。打倒五条悟を掲げ、裏でコソコソ準備しており、やがては呪術界の頂点に君臨しようとしている。
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人