【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
軀體總術……めんどくさいから躯躰総術でいいか。
この術式は、自分の身体を操るのだが、その対象は中々広い。
例えば骨。
皮膚を突き破ることになるが、骨のある場所から骨を伸長させられる。骨は術式によって強度が変化する。
例えば血液。
我が家の相伝の赤血操術みたく、血を使って攻撃する事ができる。血は術式によって補充可能だ。
そして、あらゆる感覚器官。
特に視覚を強化すれば、あらゆる戦闘に対応できる。逆に痛覚を鈍くするなど、感覚を鈍らせる目的でも使える。
とまあ、身体といっても色々過ぎて、人体の構造やら細胞の働きやらを知る必要がある。
だが逆に言えば、身体の事なら何でもできる。
それがこの術式の真骨頂だ。
今の所、自分の身体を操作の対象としているが、ゆくゆくは他人、そして呪霊に対しても発動できないかとも思っている。
触れただけで致命傷を負わせるとか、ロマンあるよな。
しかも簡易領域や展延も併せて、五条悟への勝ち目も出て来る。もっと術式の練度を上げないと……
「式那、いるか」
「は、はい」
襖の向こうから声、しかもお父様だ。
お父様自らこっちに来るなんて珍しい。
術式を解除し、お父様を部屋に招きいれる。
「珍しいですね。今日はどういったご用向きでしょうか?」
「紹介したい者がいる……入ってくれ」
お、まさかもう許婚候補が見つかったのか。
ちょっとばかりウキウキしていると、入ってきたのは……
「こんにちは、お嬢様」
「……一昨日ぶりですね」
任務の時に同行してくれるお付きの人じゃないですか。
確かに、この固定観念だらけの世界でやけに気が合う人ではある。
でも、ええと、この人が許婚?
嘘でしょ? 年齢差どうなってんの?
マジかよお父様と軽蔑の視線を送っていると、お父様は眉間のしわを揉みながら言う。
「こちらは加茂
「ああ、名前も名乗ってなかったね。関わる機会もあるだろうし、以後、お見知り置きを」
お付きしてくれた時と違って、めっちゃ馴れ馴れしい。
なんだか途端に胡散臭くなったな。
「お父様。なぜ、この人を私に?」
「……お前も当主になるのならば、知っておいて良いだろうと思ってな」
エッ、なんかそんな大事なのかコイツ。
ふと見てみると、いつもの髪型とは違う。
額に傷……いや、縫い目がある。
これまでは前髪で隠れていたから、気が付かなかった。
この人物が只者では無いということは、それを見て一目で分かった。
「改めて、私は加茂一輝……の身体を借りてる、羂索という者だ。式那ちゃん、私と共に、六眼を葬り去ってみないかい?」
怪しい。言葉のどこをとっても、というかそのニヤケ顔が特に怪しさを醸し出している。
葬り去る、とかなんとか言ってる奴に碌な奴は居ない。
事実、俺が全くもって碌でもないんだよな。
「具体的に、何をしてくれるのですか?」
「そうだね、私が一千年培ってきた術式と結界術のノウハウを────」
「よろしくお願いします」
「判断が早い……!?」
怪しい奴と怪しい奴はタッグを組むものである。
だから決して、何それめっちゃ面白そうとか、興味本位で承諾したのではないのだ。決して。
「……式那。流石に、私でもそれはどうかと思うぞ」
「エッ、いや! だって、こんな面白そ────素晴らしい知識をくれるのなら、多少の協力は惜しみませんよ! 多少の!」
「こんな怪しそうな奴の言う事を鵜呑みにするなと言っているのだ。せめて縛りでも結びなさい」
「あ……ご、ごめんなさい」
「あははっ、それを私の前で言うとは、君も根性あるね」
ふん、とお父様がそっぽを向いた。やっぱり、この身体を乗っ取ってる羂索さんって人物は、余程呪術界への影響が強い人物なんだろう。
お偉方かぁ……と、ちょっとだけ面倒くささを感じてると、羂索さんがこちらに微笑みかけた。
「強さに貪欲なのは感心に値するよ。自ら変化を追い求めなくては、停滞する一方だ」
「……永遠の停滞はお嫌いですか?」
「ああ、とてもね」
ふむん……進化、革新を見るのが好きなタイプか。
俺もぐっちゃぐちゃに引っ掻き回して、様子見をするのは楽しいと思いはする。
しかし観察者たる俺の平穏が担保できなかったら、進化なんてしなくていい。
それだとつまり、目指すは型月のマーリンポジション……?
うわぁ、楽園に引き籠もって、誰とも話せないのも嫌だなぁ。
「……君も、そうではないのかい?」
「部分的には。でも、私はできる事なら、
「ほう、そこまで言わせるとは……益々、君の過去が知りたくなってきた」
「ふふ……ただの一般人ですよ」
ふふふっ、あははっ。
そんな笑い声を二人で出し合っていたからか、お父様がドン引きしていらっしゃった。ごめん。
でもこうして、俺はついに協力者を得た。
打倒五条悟に、一歩一歩着実に近付いている。
転生から四ヶ月。
この調子なら、いつかきっと届く。
……次会ったら、絶対に勝つ。
○ ✕ △ □
……完全に、あの子と同じではないようだ。
一ヶ月、彼女の為人を見てきたが、共通点が多いというだけで、ものの見方がどうにも違う。
羂索はくつくつと笑うと、思いを馳せる。
そもそも、平安の世とこの平成の世では、時代がまるで違う訳で、あの頃の様に魑魅魍魎が跋扈していない。
少々予想が外れたが、少なくとも敵対的でなく、師弟関係を結べただけでも儲け物だ。
「……あ、パーシャじゃないですか。今日は家に居るんですね」
向かい側から来た弟子は、私を慣れない呼び名で呼んだ。
羂索の梵語だ。一応、名前を公にしない為の対策だそうだ。
授業中は師匠、それ以外ではパーシャと呼び分けている。
しかし、彼はそもそも羂索の名で表舞台に出る事が少なく、この現代で羂索の名を知る者は天元しか居ない。その上、姿も変わる為、名前だけで特定するのは至難の業だ。
そういった事情からわざわざ呼び分ける必要も無いのだが、本人的には、その方が格好良いらしい。
「式那。ちょうどいい、少し見せたい物があったんだ」
「はぁ、見せたい物ですか」
「これだよ」
羂索はさらりと、抜き身の小刀を渡す。
それを見て、彼女の疲れ気味な眼が僅かに開かれた。
「これ……三家会議の試合で私が作った物ですよね。拾っていたのですか?」
「……ああ、そうだよ。それで、君の術式について気になる点が一つあってね。この小刀を改めて、術式の対象にできるかい?」
「それは、もちろんできますが」
式那が小刀に手をかざすと、それは十字架やS字など様々な姿に変わる。
やがて元の小刀に戻ると、羂索は満足したように微笑んだ。
「ありがとう。ところで、これは貰ってもいいかな」
「構いませんけど……変な事に使わないで下さいよ?」
「いやいや、呪具の素材にしたくてね。それだけだよ」
ジトッとした視線を貰いながらも、そそくさとその場を離れる。
加茂家から離れると、腹の底に渦巻いていた感情が沸々と湧き上がってくる。
「く……くくっ、あははははっ!!」
羂索の計画は全てにおいて順調そのものだったが、今回ばかりは笑いが込み上げるしかなかった。
まさか、自分の所有物の所有の是非を他人に問うことになるとは。羂索は笑い転げるの我慢するのに一杯一杯だった。
「見ているかい宿儺、君の願いはようやく叶う……!」
どんな状況をも覆しうる、最強の保険。
たとえメインプランに支障が出ても、その全ての代替となる万能の駒。
「彼女さえこの手中にあれば、勝ったも同然……と騒ぎ立てたい所だが、これでも油断ならないのは、一千年も邪魔されたが故か」
余計なフラグでも立って、今回も計画が失敗すれば、また五百年後。
その頃には日本の人口は大きく落ち込んでいる事だろうし、六眼を倒せる逸材が現れる保証も無い。
「不確定要素を排除しなくては……先ずは、彼女の賛同を得るところから始めようか」
かつてない喜びに身を震わせながらも、今日とて彼は、弟子の好感度稼ぎの為に教鞭を執り続ける……
「師匠! 反転術式のやり方が掴めないので、一度私を瀕死の重傷に追い込んでくれませんか!」
「君、ちょっとかなり頭おかしいよ?」
「決してドMではないので誤解の無きよう。これも、私の考えた領域反転という新技を開発する為であって……」
「いや、それはできない。術式反転したものを領域に付与する事はできても、正の呪力で領域を満たす事は不可能なんだ」
「師匠……諦めたらそこで試合終了です!」
「安○先生を軽々しく使うのはやめてもらおうか! 完結したばかりで私の心は痛いんだ!」
……悲願成就の日は、たぶん近い。
ラスボス格が協力者とか、お前それでも主人公か……?(今更)
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人