【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法   作:うぇいうぇい

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前々回に引き続き……


簡易領域

 

「……結界術は奥が深いですね。縛りを幾多にも掛ける事で、性能を強化できるとは」

 

 シン陰流の道場にて、最高師範に結界術の応用を教えてもらっているが、なるほど。これは中々頭を使う。

 

 俺の能力を底上げする縛りだが、どうやら結界術にも適用が可能らしい。

 条件設定は結界の出入りするものの選別の為に用意されているものだと考えていたが、それはまだまだ序の口だった。

 

「シン陰の簡易領域もその一つってコト。門外不出の縛りによって、多くの人に扱いやすく、かつ領域展開に負けない精度に仕上げてる」

「では、結界の範囲を狭くするというのも?」

「その通り。そもそも簡易領域なんて言われてる所以の一つが、自分近辺に結界の範囲を限定してるから。こうでもしないと、相手の領域に競り負けてしまって意味が無いんだよ」

 

 簡易領域は、あくまでも結界の中和を主な目的とする。

 領域展開に対する対抗策であるからこその、この門外不出の縛りと言うわけか。

 

「というより、生得領域を使用しないから、簡易なのでは?」

「ワオ、着眼点が素晴らしくて助かるなぁ〜! お兄さん感激しちゃう!」

 

 ……時々オネエっぽくなるの、普通にキモいんでやめてほしい。

 

 冷ややかな目で見ていると、師範もコホンと咳払いする。

 

「でも、簡易領域にも欠点はある。結界には強いけど、術式の中和はできない。自分の領域という点において、相手の術を弱める事はできるけどね。まあ結界自体がある種の領域だから、そういう使い方もあるってだけなんだよ」

 

 そう、それだ。

 簡易領域は、思っていたほど万能ではなかったのだ。

 

 呪力の消費量も少なく、維持しやすく、難易度もやさしい。

 それゆえに、色々な部分を省いているのだ。

 

「例えるなら、一から作る領域はフロッピーディスクで、生得領域はハードディスクドライブ……って言っても分からないか。元より術式の受け皿になる容量が、簡易領域はかなり少ないんだ。中和なんてとても無理だよ」

 

 この時代(1990年代)にハードディスクってあるんだ。

 

 いやまあ、それはさておき。

 さっきの説明では少々納得がいかなかったので、ちょっと口を挟んだ。

 

「……それを言うならメモリの容量の差異では? 領域展延でも中和する術式によっては、処理しきれずに軽減にしかならないものもあると言いますが」

「……式那ちゃん、ホントに六歳? 一回輪廻巡ってない?」

「お付きの人がPCマニアなもので」

 

 適当に嘘こいてはぐらかした。

 ごめん羂索さん。

 

 というか、俺も立場上かなり変だと思うが、コンピューターの知識がある道場の師範ってそれはそれで変じゃね?

 この時代、ネットすらまだまだ一般向けとは言えないんだぞ?

 

「最高師範の面目丸潰れだねぇ、これは。式那ちゃんほど結界への理解が進んでる術師はそうはいない」

「いえ、まだまだ師範には及びません」

「いやぁ、一週間で私超えられたら、それもうただの道場破りだから……まだまだ及ばないでいて貰えると嬉しいな」

 

 俺を何だと思ってるんだ。

 確かに多少適性はあるかもしれないが、殆どは独自の結界理論で解釈しているからだ。

 

 俺自身に才能は無い。

 五条悟と禪院直哉、あの二人の様な存在が真の天才というものだ。

 

 それに、結界においては、師範以外にも計り知れない技術の持ち主と出会っている。

 

 俺の結界解体術(切界)では手も足も出なかった、謎の人物。

 お父様の部屋に居た事から、客人か何かだったのだろうが、あの結界の境地に辿り着いてみたいものだ。

 

「でも、いずれは私を超えてもらう予定だからね。現代最強の結界術師になれば、六眼と無下限呪術の抱き合わせにだって負けはしないよ」

「……ええ。必ず超えてみせますよ」

 

 五条悟を打倒する力を手に入れる。

 そうして、この世界で最強になる。誰にも負けないぐらい、強くなるのだ。

 

 

 ○ ✕ △ □

 

 

「という訳で、よろしくお願いします羂索さん」

「……君、さっきまで簡易領域の道場に行ってなかったかい?」

「復習も兼ねて、羂索さんに結界術を教わろうかと。人間は一時間もすれば、学習した記憶の半分を忘れると言いますから」

「エビングハウスの忘却曲線だね……あれには同意するよ。私も千年生きているから、ふとすると忘れる記憶も多いし、宿主の記憶もあるから、その記憶量は莫大だ。まあ、術式が術式だから記憶容量に限界は無いみたいだけど、逐一メモしておかないと、記憶の引き出しを見つけるのに時間がかかって……っと、話が逸れたね。じゃあ、授業を始めようか」

「はい、師匠」

 

 すると、羂索はギョッと表情を固めた。

 かと思えば、次の瞬間には、ふっと息を吐くように笑った。

 

「……師匠、か」

「嫌でしたか?」

「いや、懐かしい気分になってね。自分の生涯で、一人だけ取った弟子が居たんだ。それを思い出しただけだよ」

 

 そう言う彼は、普段の隠しきれない胡散臭さとは程遠い表情をしていた。

 

 それ以降取っていないというのも気になる。

 弟子を取って、なにか後悔したのだろうか。

 

「では、なぜ私を二番目の弟子に?」

「それは単純に、私が出会ってきた術師の中でも際立った才覚の持ち主だからさ。……ただ、君に彼女の面影を見ていないと言えば、嘘にはなる」

「……そんなに、似ているのですか?」

「……まあね。それより、簡易領域についてだったか」

 

 あ、はぐらかされた。

 

 でも、そうやって話を打ち切るあたり、過去に何かがあったんだろうな。

 

「君が習っているシン・陰の簡易領域だけど、源流となる結界術がある事を知ってるかい?」

「源流……いえ、知りません」

「だろうね。今日はその源流、彌虚葛籠の話をしながら、簡易領域のおさらいをしようと思って────」

 

 深く追求するつもりも無かったけど、彌虚葛籠とかいう単語につられて授業に聞き入ってから、羂索の過去についてはすっかり頭から離れていった。

 

 

攻略したい子を選んでねっ♡

  • 王道?:五条悟
  • 邪道:禪院直哉
  • 外道:夏油傑
  • 覇道:羂索
  • 非道:宿儺
  • 寡夫:伏黒甚爾
  • 百合:庵歌姫
  • 呪霊:真人
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