【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
TS娘は、得てして男性特攻持ちである(断言)
2018年。
東京都立呪術高等専門学校にて。
「なぁー、伏黒。お前好きな人とかいる?」
本を読んでいた恵は、出会って二週間と経たない学友からの禁断の質問に呆れ果てた。
「……居ない。いきなり何でそんな事を聞くんだ」
「いや、呪術師でも恋愛とかすんのかなって」
「まず無いな。呪霊が視えない非術師と生活を共にするともなれば面倒事も多い。呪術師同士ですら、そういう機会は滅多に無いぐらいだ」
「へー……」
恵とて、荒れに荒れていた中学の時、多少意識した事もあったし、何なら告白された事もある。
しかし、どうしても現実的ではなかった。非術師と関係を持つ、という事が。
そして何より、身の回りにいる女性が女性であったが為に、周りの女子がどうしても幼く見えてしまったからなのだが。
「相手も視えたら、理解してくれるもんなのかな」
「どうだかな……」
話を切って、目の前の本に目を落とそうとする。
あ、と悠仁が声を上げて、廊下を指差した。
今日はいつもに増してうるさくなってきたなと、諦めて本を閉じる。
「あの人とかスゲェ綺麗だぞ。お前好みっぽさそうじゃね?」
「ハァ? 虎杖、お前な……普段から出払ってる補助監督を除けば、東京校にいる女性なんて、釘崎と禪院先輩、あと家入先生しか────」
目が合った。
勢いのまま席から立ち上がってしまう。
左眼には白い眼帯。しかもノースリーブの、カーディガンというには丈夫そうな上着を身に着けた大和撫子など、日本広しと言えど彼女しか居ないだろう。
恵好み、というのもあながち間違いではない。
この掃き溜めの様な呪術界で、恵が尊敬している数少ない人物だった。
まさか、ここで会うとは予想だにしなかったが。
「ご無沙汰です、式那さん」
「久し振り、恵。……ずいぶん大きくなったね」
「そういう年なんで……」
加茂式那。
五人の特級術師の一人であり、恵にとっては、自身の親権者で育ての親でもある。
「最近はずっと出張って話でしたよね。どうしてここに?」
「任務帰りに、たまたま近かったから寄ってみたんだよ」
そう笑う彼女の姿は、十年前と何ら変わらない。
これで二十代後半のアラサーなのだから、自らの恩師といい、少し浮世離れし過ぎではなかろうか。
それに、彼女の術式の特性上仕方ないとは言え、腕やら脚やら、そのスタイルの良さが分かるほど露出も激しい。
これで御三家の当主にして呪術総監という立場なのだから、なお信じられない。
「……それと、件の宿儺の器というのは、彼なのですね」
────呑気にしている場合じゃねえ!!
恵は隣にいる存在をすっかり忘れていた。
悠仁は高専上層部、すなわち総監部によって秘匿死刑にされかけた存在。
呪術総監は、その総監部のトップ。呪術界における規定適用の最終決定権を有している。
加茂式那は、悠仁を死刑に処そうとした張本人なのだ。
「あ、どもっす。虎杖悠仁です。伏黒のダチやってます」
「初めまして、加茂式那です。恵がいつもお世話になっております」
「いやいや! こっちこそ、色々教わってばっかで……」
総監部は一枚岩ではない。
五条悟が言うには、連中は腐ったミカンだという。その手綱を捌いているのが式那だ。
『大丈夫大丈夫。上層部の情報回してくれてるのは式那だし、色々浅からぬ縁だから、そういうとこは信頼してんだよね』
談笑する悠仁と式那を眺めながら、無用な心配かと頭を振る。
彼女はいつも、術師の味方だった。
高専の所属ではないが、目指す所は五条悟と変わりない。
「こっちの世界には慣れてきました?」
「いや全然です! 呪霊もおっかねぇし、呪術も訳わかんねぇしで……」
「呪術についてはもっと二次元的に考えると楽ですよ、『東京レ○ヴンズ』とか『双○の陰陽師』みたいに。あとオススメは『結○師』とか、ちょっと古いですが『幽○白書』とか見ると理解の幅も広がりますね」
「うわすげぇ! ソッチで話合う人初めて見た!」
「あはは、友人とその父親がアニメ好きで……」
……なのだが、こうして意気投合している様を見せられると、微妙な心持ちになってしまう。
(式那さんとこんなに楽しく話した事無いな……)
サブカルに疎い、というのも大きかった。
勧められたアニメは後学の為にと一通り見てみたが、テーマがテーマゆえに暗い話も多く、中には
「っと……時間もそろそろですし、用事を済ませたら帰りますね」
結局、全然話せなかった。
加茂家の当主であるが、それ以上に特級術師として全国津々浦々に駆り出されている彼女と関われる機会はそうそうない。
それこそ、特級たる悟の居る東京では尚更だ。
ここに来たのも、本当に偶然のようなものだろう。
「その、用事って」
「ちょっと、傑くんと甚爾さんのところにね。……恵も来る?」
「……いや、いいです」
「…………そっか」
最後に少し足掻いてみたが、恵は潔く諦めた。
そこにお邪魔するのは、あまりに気が引ける。
自分がいては、本当に話したい事も話せないだろう。
「じゃあ、また今度ね。……虎杖くんも、また会いましょう」
「あ、はい。また……」
「式那さんさよなら〜!」
挨拶を交わして、教室を出ていくのを見送る。
ガバッと、悠仁は恵に顔を向けた。
「…………え、伏黒の姉ちゃん?」
「どうしてそうなる。いや、立場的にはむしろ親になるが……そうだな。確かに、義理の姉、かもしれない」
「うわ、良いなぁ。俺もあんな姉ちゃん欲しかった……」
俺、一人っ子なんだよな。と羨ましげに呟く悠仁に投げ掛けてやれる言葉を、恵は持ってはいなかった。
祖父を亡くし、天涯孤独という身の上はよく知っている。
厳密には、恵にも血の繋がった家族は居ないが、それでも二人の姉は家族であったし、一応親戚もいる。
「……虎杖は、家族が居ない事が不満だったのか?」
「うーん……でもまあ、爺ちゃんが居てくれたから、寂しくはなかったと思う。友達もいたし、別にいっかなー、ぐらいの感じだった」
「……そうか」
だが、親が居ない事に、そこまで無関心になれる悠仁の精神は、やはり常人とは違うのだろう。
『めーぐみー! 頑張ってー!』
……少なくとも、高専の制服姿のまま授業参観に来られた時には、勝手に蒸発した両親を激しく恨んだものである。
「……姉がいるのも、中々難儀だぞ」
「あー、やっぱそういうもんなんだ」
と、ふと懐かしんでいる内に、恵は思い出した。
彼女が自分の面倒を見てくれていた時が多いが、五条先生もまた、手の空いた時には呪術が何たるかを教えてくれた人である。
つまり、どちらかと居ると、もう片方の人物と出会う事もあったわけで。
『お、式那みっけ。ごめーん待った〜?』
『……待たせ過ぎです。三十分遅刻ですよ』
『ごめんてごめんて、はいマッ缶』
『わ、ありがと──ってこんな物で許すと思ったら大間違いですからね! それはそれとして貰いますが!』
『式那チョロいなぁ』
『ち、チョロくない! ──アッ、撫でないで下さい! セットしたばっかなんですよ!?』
『はいマッ缶』
『こ、このクソ、人の事何だと思ってやがるんですか……! 二本目とかいらねぇに決まってるでしょう! いっぺん殴らせろゴミ条っ!!』
『は──ぐべらっ!?』
五条先生の都合で連れて来られたはずが、式那さんと五条先生のイチャイチャを延々と見せられる一日だった。
あれは地獄だった。
好きな人が別の人とイチャコラしてるの見て耐えられる奴いるのだろうか。
少なくとも、恵の初恋は一瞬で砕け散った。
「呪術師同士のバカップル、いるぞ」
「……え、マジ誰?」
「五条先生と式那さん」
「あの二人がぁ……? うーん……………………いや、いやいやソレどう考えても嘘でしょ!?」
2018年、7月初頭。
少年院の呪胎が確認されるまで、あと数日。
「なぜ、彼奴が
攻略対象
・五条悟
・ドブカス
・羂索
・宿儺 NEW!!
これなんて乙女ゲー?(地獄)
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人