【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
ある日、コンクリートジャングルの中。
熊さんに、出会った。
「わぁ……熊さん」
「誰が熊さんだ」
背がでけぇ、肩幅でけぇ、そんで二足歩行。
こうなれば熊さんしか居ない。
いや熊さんって二足歩行しなくね?
「で、熊さんはこんな所で何してるんです? ここ、悪い人いっぱい居ますよ?」
「あぁ? それは呪詛師の連中の事を言ってんのか?」
「……呪力が無い一般人かと思ったのですが、こちら側ですか」
「このナリで一般人はねぇだろ」
血塗れで、刀の呪具を肩に担いでる。
確かに。
「お仕事中で?」
「ああ……邪魔が入ったがな」
邪魔したつもりはないんだけどなぁ。
乱雑にそれを放り投げると、熊さんはサッカーみたいに足で受け止めた。
人の頭でサッカーしたくないな。
リアルお前ボールな! なんて惨すぎるにも程がある。
「なんだ? テメェは同業者じゃねぇのか?」
「同業者というのはよくわかりませんが、ちょっとした事情でこの人達を消さないといけなくなっちゃって。なので、お金目的とかじゃないんです」
「……そういう訳か」
主に上層部のお爺ちゃん達のせいだ。加茂家の一員だからって、私を便利屋のように扱き使っている。
これでもお父様が間に入って、かなりの面倒事を引き受けてくれているから文句は言えまい。
「……つうか、お前何歳だよ。ちっさ過ぎだろ」
「? ピチピチの八歳です」
「十個下かよ。腐ってんな……」
「でも、今回は貴方が手伝ってくれたので助かりました。お名前をお聞きしても?」
すると、一瞬考えた素振りを見せて、頭をガシガシと掻きながらぶっきらぼうに吐き捨てた。
「……禪院甚爾だ」
「……もしかして、最近話題の術師殺しの?」
「あぁ」
話題、と言っても裏での話。
金さえあればどんな相手でも殺すとかいう、
「銃とか近代兵器使います?」
「…………あぁ」
「相手の
「…………」
「体内時間を加速させて何倍にも速くなったりします?」
「それはねぇ」
ニアミスケリィじゃん。
くぅーっ、この世界も捨てたもんじゃないなぁ。
「……色々聞き過ぎてしまいましたね。私は加茂式那。加茂家次代当主のお嬢様です。どうぞ、よしなに」
「よりにもよって御三家かよ。チッ……面倒だな」
それもそのはず。
この甚爾さん、禪院家から勘当されたばかりである。
暇潰しで連絡を取ってるメル友のドブカス君が、『甚爾くん家から叩き出された。ざけんなや』って私に八つ当たりじみた暴言メールを送ってきたもんで、色々探っていたら、彼が立派な傭兵になってた事を知った。
ただまぁ、天与呪縛で呪力ゼロとかいう特異体質が災いして、お家で猿扱いされて、生きづらい人生を送ってきたとか。
ようやく家から開放されたのに、そこに近しい人物と関わろうとは思わないだろう。
「ドブカ──直哉くんから聞いてますよ。とてもお強いとか」
「…………もう帰ってもいいか?」
「そこで提案というか、儲け話があるのですが」
「聞かせろ」
うおっ、圧凄っ。
金の話になった途端、顔の色を変えてすっ飛んできた。
もしやそういう?
この人活用したら、色々できそうだな。
「特訓を付けてくれませんか? 週二4時間、月100万で。」
「……ソイツは安すぎるな。300くれ」
「300なら週三にしますが」
「週三は面倒くせぇな」
「なら、妥協して175。これ以上は引けません」
「……いいぜ、乗った」
交渉が成立し、固い握手を交わした。
手もデケェな。すっぽり埋まる。
「だが、似た契約をしている奴がもう一人居てな。ソイツと一緒でも構わねぇか?」
「似た契約? 誰ですか?」
「……これから稽古の予定だ。付いて来い」
「うわっ、いきなり担がな──うひゃあっ!?」
コイツ、熊さんじゃねぇ。
ゴリラや……
○ ✕ △ □
「で、このクソガキ連れてきたっちゅう訳かいな甚爾くん……」
「お久しぶりです、ドブカスくん」
「誰がドブカスや、そのおめでたいドタマかち割ったろかカスが」
そんな事言ってるから私にドブカス言われるんだぞ。
しかし、三家会議で会ってから、もうかれこれ二年か。
あれから背も大きくなって……まあ私の方が高いけど。
この背の高さって、小学校の女の子の特権だよな。
「コイツの方が、お前より条件良かったしな」
「はぁー……最悪や。こんなメスガキと乳繰り合ってたら、やる気が削げてまな板より平らになる自信あるわ」
「誰の胸がまな板と?」
「言うてへんわタコ」
まな板じゃないもん。ロリだもん。
それはそれとしてロリにはおっぱい付けず貧乳であって欲しいと願う紳士です。ロリ巨乳も好きだけど。
「……甚爾さん、お家から勘当されたのでは?」
「ここは禪院家の別荘地だ。それも直哉のな」
「俺の場所やし、甚爾くんと稽古したって文句は言わせへん。あんな無能の蛆どもに構ってる方が時間の無駄や」
無能の蛆て。
まあ上のお爺ちゃんもそんなもんだからなぁ。
「では今から禪院家滅ぼすのどうです?」
「アホか、俺が当主になる家滅ぼすなや。ま、カス共は始末したいんはずぅっと思っとる。ただ、オヤジが許してくれへん。あんなゾンビの集まりからも、相伝が生まれんとも限らんしな。所詮は禪院の血だから生かしてもらってるだけや」
ゾンビ……ゾンビ?
生きながらに死んでるって事か? えげつねぇ事言うな。
「……どこでそんな罵倒語覚えてくるんですか」
「あの家住んどりゃ勝手に降って湧くわ。やけどなぁ、あいつらホンマ俺と同じ言語喋らんで欲しいわ。虫酸走るってレベルやないで。無言で突っ立って、俺の言う事だけ聞いてればええんよ」
いやいやどうしたらそんな思考が出てくるん?
禪院家ってそんな地獄みたいな家なの?
「どう思います甚爾さん。これ生かしといたら人類の為にならないですよね?」
「女のヒモになって、毎日ギャンブルに金溶かしてる俺よりひでぇな」
「そっちも十分ヤベェですよ。禪院家ってこんなんばっかなんですか」
そろそろ突っ込むの疲れてきたんだけど。
そうしてなんやかんやあって、取り敢えず稽古しようかという話になった。
結構広い別荘だ。何人か使用人さんもいる。
中で少し休憩してから、外の広場に出ると、直哉が嫌そうな顔で待っていた。
「……お前と稽古なんて癪やなぁ」
「粘着質は嫌われますよ。……それより、直哉くんは甚爾さんに勝った事はあります?」
「無いで」
「え?」
まさかの即答。
あまりに意外で、思わず声が出てしまったぐらい。
「一度もや。あの人に勝てるビジョンが見えん。フェイント、騙し討ち、誘い込み、全部試したけど無理やった」
「……貴方のあの速度に目が追いつくんですか、あの人」
「全部見られとった。なんとか音速まで加速してから攻撃しても見切られる。多分光速にでもならんと無理やね」
まあ冗談やけど、とか直哉がほざいたが、マジかよ甚爾さん。
そりゃ、建物をぴょんぴょん飛び回る時点でクソヤバゴリラだとは思ってたけどさ。音速を目視とかそれもう生き物じゃないじゃん。
「勝てるかなぁ〜」
「下手な小細工は通用せんで。みんな身体能力でゴリ押されて真正面から潰される。……ジブンなんか切り札とか無いん?」
「切り札は全部悟くん対策ですからね。まあ、フィジカルのみで勝負してみますよ」
「使えへんなぁ。この二年何しとったん?」
「だからこうして特訓に来てるんじゃないですか」
その、やれやれだぜみたいな呆れ顔やめてくんね?
めっちゃ腹立つわ。
「おいガキども、用意はいいか? 俺から仕掛けるつもりはねぇ。いつでもかかってこい」
甚爾さんは、長い棒状の呪具を一本だけ持って広場にやってきた。
しかも、仕掛けてくる気はないと来た。よっぽどの余裕だ。
それじゃあ様子見がてら、こちらから。
「────『脊燐躍動』」
呪詞省略、簡易詠唱で発動。
これでも身体能力が二倍向上する。
「ほな、いくで」
「了解です」
相変わらずのトップスピードで加速した直哉が、甚爾に殴りかかると、それを事も無げに呪具で受け止めた。
えぇ……何それ、バケモン過ぎん?
防御してる隙に私が懐に入り込むと、右脚が容赦なく顔を狙ってきた。
身長の低さでなんとか避けきり、正面から殴る。
体格差が問題だ。こちとらまだ130センチしかないのに、コイツ180はある。
拳撃が、届きづらい。
「もっと間合いを詰めろ。近付く事を恐れんな」
「……俺の事忘れてるんとちゃう?」
直哉が甚爾の顔面に蹴りを入れようとするが、棒に阻まれ、地面にはたき落とされた。
ついでに私まで巻き込んで。脇腹くっそ痛いなおい。
「直哉、お前はクソわかり易いんだよ。嫌がるってとこにしか攻撃を出さねぇ。術式で拳の乱打みたいな愚直な戦い方もしてみろ。投射呪法は逃げる為の術式じゃねぇだろ」
「チッ……俺が逃げる訳ないやろアホ」
「俺と一対一でやってた時より動きがトロいんだよ。そこのガキにでも遠慮してんのか?」
うわ、それ私が弱いって事?
間違ってないから否定できねぇよ……
「いくら甚爾くんでも、言っちゃアカン事ってあるよなぁ……? このクソごと殴ったるわ」
「いや何する気!?」
怖っ。
でも行くしかない。
と思ったら、直哉が初手で跳び上がった。
そして、宙に浮かびながら、空気を蹴った。
「拡張術式『
「……えぇ?」
高高度から、投射呪法で加速。拳、蹴り、払い、その他諸々を一秒のうちに甚爾さんに見舞う。
そんでそれを的確に捌いてる甚爾さんって何?
この戦闘に混ざるには、正直『脊燐躍動』だけでは足りない。
直哉が頑張ってるし、ここはゆっくり詠唱してやろう。
○ ✕ △ □
(今んとこ、パッとしねぇんだよな)
加茂家の次代当主とか言っていたのを、甚爾は思い出す。
『赤鱗躍動』と言っていたのを聞くに、相伝の『赤血操術』なのだろうが、まだ底が見えていない。
そもそも、本気を一ミリも出しているような素振りが無いのだ。
「どらぁ!!」
「ハッ、甘ぇよ」
直哉が間髪入れない攻撃で翻弄しようとする中、甚爾の耳にその呪詞は聞こえてきた。
「『病者と忍辱』」
「『死者と般若』」
(……あん? 何をするつもりだ?)
異様な気配。
そして、赤く染まっていた式那の瞳に、空のような色が混じり、紫へと転じる。
続いて、身体に回路のような赤黒い線が奔り、首から指先、足先にまで広がった。
「『肉骸・成』『天覚・統』」
甚爾と直哉の間に割り込んだ。
だが、甚爾は驚きと共に体感した。
……やりゃあできんじゃねぇか、力押し。
自分が一撃の拳で仰け反る、なんて事は無かった。
それも、こんな子供にだ。足まで後ろに下げさせられた。
それでいて、直哉のスピードに追いついている。
直哉が縦横無尽に駆け巡りながらちょっかいを出し、そこに意識を割かざるを得ない状況で緩急付いた式那の衝撃。
いくら己の身体が特別製とはいえ、亜音速の速さの二人を完全に見きるには目の数が足りない。四つ目でもない限り、二人を同時に視界に入れるのは難しい。
「……くはっ」
おもしれぇ。
防御に使っていた棒の持ち方を変え、術式中の直哉の攻撃を棒で軌道そのものを変えて強制終了。フリーズでガラ空きの腹に突きを入れ、その姿勢から左に振り回し、膂力で式那を吹き飛ばす。
「前言撤回だ。俺からも仕掛ける。骨の二本三本は覚悟しろよ」
二人の顔が、一気に青褪めた。
ストック尽きました(白目)
なお、今回から集計するアンケートは本編には関係無いので、己の股か──ん゛んっ、ティンときたカプを選びましょう(汚い)
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人