【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
メスガキに遊ばれたり、逆に分からせたり……
そうしてできるのが、私達の
朝6時、起床。二週間も経てば、そろそろ天井も見慣れてくる。
加茂家が所有しているこの別荘から学校には、術式を併用しつつ走って二時間。
六眼で呪力を操る感覚を普通の状態でも保つために試行錯誤を繰り返し、全身の強化を万遍なく行っても二時間は余裕で発動できるぐらい、呪力効率が良くなった。
黒閃のお蔭もあるのだろうが、前とは比べ物にならない燃費の良さだ。力をセーブする方が難しくなってきた。
校舎に入ると、下駄箱で見知った顔を発見する。
「おはよう、まりちゃん!」
「式那ちゃんおはよー!」
……うーむ、可愛いロリっ子だ。
私は今紳士じゃないから、イエスロリータ、ノータッチの原則が破れるのではなかろうか。
いやでも、女性は淑女になれる。
本物の淑女はショタを汚さぬものだ。それはロリータに対しても同様である可能性が……
「や、式那」
「──ひゃあっ!?」
吐息と無駄なイケショタ声が耳介に吹きかけられ、ぞわぞわっと、背筋が不自然に張る。
視線を横にやると、傑はニコニコと手を振る。
最悪だ。情けない悲鳴まで上げてしまうとは。
この男、顔もタイプじゃないが性格も全くもってタイプじゃない。私の嫌いな陰険野郎だ。
「……す、傑くぅ〜ん? それ、私苦手だって、言いましたよねぇ〜?」
「あれ、そうだったっけ。ごめん、忘れてたよ」
「惚ける嘘つきの口はこれですかコノヤロー」
「いたっ、ちょ、いたい、痛いって!」
いつもニヤけてるくせに、ずいぶん伸縮性の無い頬だ。
羂索はもっとみょ~んと伸びる。まだ嘘つきの口になりきれていないらしい。
「っはぁー……懲りない人ですね。そんなに私を弄んで楽しいですか?」
「ひかえめに言って、かなり楽しいね」
「うわ、嫌われるタイプ」
「ははっ、ならだいじょうぶだよ。式那にしかやらないから」
慇懃無礼にも程がある。五条にも通ずるクソさだ。
しかも、程度が高校生ぐらいの。温室栽培の単純バカより、よっぽどタチが悪い。
「傑くんは嫌がらせをする性悪だって言い触らしてやりますよ」
「ひどいなぁ。僕はこの学校で一番信用されてる人間なのに」
サラッと切り返してきた。噂が流布する事はあり得ないとでも言いたげだ。
躯躰総術でやりようはあるが、流石に大人げないというもの。
やり返すなら、女らしく。
隣を過ぎる直前に、耳にこそりと口を寄せる。
「……そんな所も、好きですけどね?」
「っ!?」
あ、顔が真っ赤。
こういう所が初心なのは、からかい甲斐があっていい。
「んふふっ、冗談でーす」
「あはははっ…………そっちがその気なら、僕にも考えがある」
「うぎゃ〜、にーげろ〜!」
上履きに履き替えるのも忘れて、校舎の中で追いかけっこが始まる。
「あっコラお前ら! 廊下を走るな!」
「「すみませーん!」」
「いやだから! 走るなぁ!!」
途中でぱったり先生と遭遇して、爽やかな笑みで走り去ると、先生にも追いかけ回され、結局一緒になって逃げ回って……
「朝の会には来たのは偉い。……が、お前らには廊下を走り回った罰を与える」
「先生先生、それはおかしいのでは。最初にあおってきたのは式那さんです」
「ちょっ……元はと言えば傑くんが驚かして来たんでしょうが! 先生信じて下さい、私は冤罪なんです」
案の定下された罰に猛抗議し、お互いに不毛な罪の擦り付け合いが。
これが、日に一度はある。
喧嘩は日常茶飯事で、組んず解れつの大立ち回りが繰り広げられ時もあるのだから、今日は割とマシな方である。
「おまっ……んんっ、僕はあいさつしただけです。その後挑発してきたのは間違いなく式那の方だ。僕に悪い事は一つもない」
「いいや嘘だね! 嘘の味がプンプンしますね!」
「味はプンプンしないぞ加茂。それはそれとして、二人共走り回ったのは本当の事だろ? 昼休みに職員室前の廊下、雑巾掛け20周だ。勿論見張りには俺が付く。騙せると思うなよ」
そんなの晒し上げじゃないか。なんて横暴な。
90年代の教師の恐ろしさを垣間見た。
「……こうなったのは、君のせいだからな」
「違いますー。傑くんのせいですー」
「同罪だ。ほら、喧嘩してないでとっとと授業の準備しろよ」
やれやれと思いつつ席に着こうとすると、小学生のロリ──こほん、女児が群がってきた。
「式那ちゃん、また傑くんとふーふゲンカしてたの?」
「もー、ずるいよ! わたしも傑くんとおいかけっこしかたかった〜!」
「わたし知ってる! 式那ちゃんみたいな人って、メギツネって言うんでしょ? お母さん言ってた!」
「ちょっと、志乃ちゃんちのお母さんの情操教育どうなってるんですかそれ」
間違っても小学生に女狐なんて言葉を覚えさせるもんじゃない。
わらわらと女子を引き連れて席に着く。
すると、傑の方も男子達に詰め寄られている。いつもの光景だ。
「ふゅーふゅーっ! 今日もカノジョとイチャイチャしちゃってさ〜。結婚すればいんじゃね?」
「今日も熱愛ホードーだな傑!」
「頼む傑、五百円出すから式那ちゃんの写真くれ」
「付き合ってないし写真もないよ。ほら、あっち行った」
「けちくせー」
「変な前髪ー」
「まっ、前髪は関係ないだろ!」
「ぷふっ……」
男子達の容赦無い言葉が傑のメンタルを抉っていた。おもしろ。
これだから小学生の会話はやめられない。
「式那……ちょっと外で話そうか?」
「私は女の子ですので、連れションはちょっと……」
「やーい、傑振られてやんのー」
「傑が振られたぞー!」
「式那ちゃんオレと付き合おうぜー!」
「それは丁重にお断りしておきます」
一応、許嫁候補が目の前にいるんでね。
○ ✕ △ □
東京から新幹線で2時間。
週二回だけ、わざわざ京都に戻る日がある。
「ま、こんな所か」
「いやー、疲れましたよほんと」
「ごっふ……ちょ、ジブンら……なに楽しそうに喋ってんねん……!」
激しい訓練が終わり、地面で希望の花になっているドブカスくん。
憐れな事に、この中で最も体力が無いのだ。
個人的には、どちらも身体能力が強化されるフィジカルギフテッドと躯躰総術に付いて来れている事自体かなり凄いと思うが、ドベはドベである。
「ふふ……情けないですねぇ〜、直哉く〜ん?」
「こ、このクソガキャア……!!」
わからせてやる……! と言わんばかりの怒りの形相に、キャハッと見下げて嘲笑った。
あー、メスガキムーブ楽しい。
悟とかにやり過ぎるともれなく反撃を受けるので、直哉ぐらいしか遠慮なく煽り散らかせる相手がいないのだ。
「……何度も言っていますが、まだ身体は未発達なんです。焦らずとも、体力は自ずと付いてきますよ」
「それまで勝てへんっちゅう事やないか。……はー、アホくさ」
口を結び、むすっと黙り込んだ。
最近、直哉にディスられなくなった。
いや、正確にはディスりが無くなったのではない。斬れ味が無くなったのだ。
誇り高き狼が家畜化してワンコになったみたいな、そんな様な虚しささえ覚えてしまうほど。
これは異常事態だ。
ここまで自信を喪失している姿は、正直見ていられない。
何か解決法は無いものかと、頭をこねくり回す。
直哉の術式、投射呪法は一秒を24フレームに分割し、その24フレームに様々な体の動きを適用することで、一秒の間に倍速じみた動作を可能とした、言わば速さがウリの術式だ。
子供にとって速さが物を言う遊びといえば……
「お二人共! 息抜きに鬼ごっこしませんか!?」
「「ハァ?」」
ルールはこうだ。
鬼はもちろん、直哉。逃げられる範囲は、この禪院家別荘の敷地の範囲内ならどこでも可。
私もしくは甚爾さんが捕まった瞬間、ゲームセット。
「……おい、俺がやって何の得があんだよ」
「甚爾さんが逃げ切れたら、三十万差し上げます」
「乗った」
買収完了。まあ、甚爾さんは建前上巻き込んだだけだ。本命はそこじゃない。
「金になると途端に目が眩むやんけ。……ほんで? 俺が勝ったら何になるん?」
「捕まえた人に、何でも一つ言う事を聞かせる権利ですかね」
勿論、私側の条件も同じだ。
しかし、そのデメリットの方を聞いていなかったのか、直哉は目の色が変えて、ニヤニヤと、気持ち悪そうというか、クッソ嫌らしい顔になった。
「ほーん、面白そうやん。……せや、ちゃんと書面に書いて縛り結んどこか。後になって知らん顔は認めさせへんで?」
そうそう、直哉と言えばこんな感じだ。
上機嫌になった所で考えるべきは、一体どんな風に負けてみせるかだが……
「勝てるんです? 私に?」
「どうなんやろ。俺も正直さっぱりなんや」
……はい?
「ここで勝てんなら、まあ、俺は御三家の当主にはなれんのやろな。……いや、決めた。この勝負でお前に負けたら、俺は降りるで、当主の座」
いや、いやいや。いやいやいや。
直哉の呪力が目に見えて膨れ上がっていくのを見ながら、私はドン引きした。
あの感覚には覚えがある。
縛り……それも即興だ。
土壇場の即興の縛りほど恐ろしいものはない。
熟達した呪詛師の中には、後が無いと分かると無茶な縛りで自分を強化してくる奴も居た。
「直哉、お前……」
「悪いなぁ、甚爾くん。俺にも、最低限のプライドっちゅうもんはある。自分の得意分野で負かされたら、恥ずかしくて死んでしまうで」
ほな、やろか、と徒手空拳の構えを取った。
これ、鬼ごっこじゃねぇ。
鬼人から逃げるデスゲームや。嘘でしょ直哉くん?
「本気、出したるわ」
あっ、マジでちょっとこれやばいかも……
○ ✕ △ □
勢いで乗った勝負やった。
勝てれば、式那を好きにできると思ったから、乗った。
でも、今の俺に、式那を捕まえられるとは思わなかったんや。
認めるわ。俺はただ速いだけなんやって。
悟くんは文句無しに無敵やし、甚爾くんにも勝てるビジョンが見えん。
そして、式那にもや。
加茂家の規格外、歴代最年少の特別一級術師。
それだけでもう腹が立つわ。
たかが女風情がって、何度も何度も挑みかかった。
でも勝てへん。勝てへんのや。
力も……速さでも、俺を追い越していった。
『ふふん、今日も私の方が強かったですね? ねぇ、自称最速さん?』
『やーいやーい! 直哉くんの御三家最弱〜!』
あの高慢ちきの鼻を明かしたい。
上から見下して、地べたに這いつくばらせて、思い切り足蹴にして、泣かしてやりたい。
『直哉くん、行きますよ?』
輝くようなあの笑顔も。
『今日は私の奢りで焼き肉です!』
『タダ飯かよ、最高じゃねぇか』
自信満々で、誇らしげな顔も。
『うえぇ……甚爾さん〜……! 子供にジャーマンスープレックスはあり得ないですよお……!』
『ハッ、勝負なんて何でもアリに決まってんだろ』
『酷い!』
調子に乗って、涙目で歪んだ顔も。
全部、全部…………
(…………アカンアカン、何考えとんねん)
自分に対等で居ようとする女。
男の三歩後ろで歩くなんて考えられない女。
いつも自分がヒーローだと思っているような女。
そんなのは、今まで生きてきた中で式那しかおらんかった。
『ほら、悟くんに追いつきたいんでしょう? 一緒に、あの生意気白髪をぶっ飛ばすんでしょう? 直哉くんの実力は、決してそんなものじゃありませんよ』
そんなん、当たり前やないか。
俺は……禪院家次代当主、禪院直哉なんやから。
御三家当主になろう言うとる奴が、同じ御三家に、加茂なんかに勝てへんなんて有り得んわ。
そんなんで悟くんに追い付こう思う方が、恥知らずってもんやないか。
っちゅうことはな……たかが鬼ごっこで勝てんなら、ワイは当主の器やなかったって事や。
……負けたらどないしよか。式那のことやし、どうせしょーもない事させてくるんやろうけど。
当主の継承権放棄して家出たら、甚爾くんとこでも転がり込んで、それから高専に入るでもええんかな。
「……ってアホか、ジブン」
勝負出といて、端から負けを考える奴があるかっちゅうねん。
はー、止めや止めや、こんなん。
負けたら負けた時考えりゃええやないか。今は、目の前を勝ちを取りに行くだけや。
証明したるわ。
俺が、お前に並ぶに足る人間っちゅう事をな。
「最高速度でブチ抜いたる」
コイツいっつも最高速度やね(いつもの)
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人