【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
悟と直哉、二人と戦ってから、二日が経過していた。
自爆攻撃で負った傷も、軀體總術で全快させた。
これほどの傷は負った事が無かったから、回復に多少の時間が掛かったが、次はもっと上手くやってみせよう。
そんでもって、あの戦いを終えて、分かったことがある。
俺の実力不足は明確だ。
二人が更に成長したら、全くもって勝てる気がしない。
特に、あの五条悟とかいうチート。
あの力を身を以て体感したから分かる。
……アレ、絶対ラスボスポジションじゃね?
この和風ファンタジー世界に原作があると仮定するなら、五条悟は闇堕ちしてラスボスに居座るような奴だ。
あの最強っぷり、主人公が特殊な術式を持っていて、唯一対抗可能とかじゃないと勝てないだろ。
領域ごときで無効化して勝てる相手じゃないぞ。
闇堕ちも、なんか全てが腐ってそうな呪術界の酷さに絶望して、人類殲滅とか、俺が天に立つとか言いそう。
BLE○CHかな?
逆に、禪院直哉はラスボスの側近ポジに居座っておきながらラスボスを裏切って味方につくタイプだ。今の所性格がドブカスっぽいけど。
やっぱりBL○ACHかもしれん。
じゃあ、俺のポジションは?
序盤の中ボスだったら最悪だが、御三家の次期当主に選ばれる術式を持っている。もっと大事な場面で出てきそうだ。
もしくは、ヒロインポジション。
これは最も考えたくない。俺が嫌だ。せめて親友ポジぐらいにしてくれ。
百合ゲーなら全くモーマンタイなんだけどな。
可愛い女の子に攻略されたい。
でも、呪術とか呪霊の設定に、少年漫画あるいはエロゲ味を感じるんだよな。百合ゲーにはならない気がする。女の子がバチクソに凌辱されるタイプだ。
という事は、俺も凌辱の可能性が……?
エログロ系だった場合を考えると、こんな呑気に異能を楽しんでる場合じゃないかもしれない。
普通に命と貞操の危機だ。
やべぇやべぇ、術式を更に使いこなさないといけないし、結界術で身の安全が確保できるようにはしたい。
でも、あと十年くらいで手っ取り早く強くなれる気がしないし、悟に勝てるとも思わない。
うー……どうしよう。
取り敢えず、困った時のお父様だな。
○ ✕ △ □
……我が娘は、加茂家の光となるやもしれん。
加茂家当主は、五条悟にあと一歩という所まで迫った式那の才能に確かな希望を見出していた。
呪術総監部にも籍を置いている彼は、五条悟という存在を酷く疎ましく思っていた。
五条悟は呪術界に単独で叛逆できる。総監という立場を利用し、呪詛師に依頼するといった後ろ暗い事情すら隠匿してきた当主とて、これを暴かれれば、揉み消すすべは無い。
……あの存在だけは、五条家に知られてはならないな。
それとは、縛りを結んでいた。上手く利用すれば、加茂家を呪術界の頂点に押し上げてくれると踏んでいる。
だが下手を打てば何をしてくるか、それすら当主にも読めなかった。
近く、式那にも会わせる予定を立てており、自分が表舞台から消え去る準備を着々と進めている。
「失礼いたします」
「……ああ」
襖の向こう側から、まさに思案していた人物がやってきた。
「お父様。至急、お聞きしたい事が」
「なんだね。そんなに慌てた様子で」
「……私、悟くんを倒せるぐらいの力が欲しいです。何か、方法はありませんか」
「ふむ?」
加茂家当主は、いきなりの質問に少し考え込んだ。
五条悟への敗北は、娘の希薄な感情に火を灯す事となったらしい。
これは目論見通りといった所だ。可愛い娘だが、呪術師として、なにより御三家当主としての強さを持ち合わせていなければ、示しもつかない。
強くなるには、という質問への回答には無論、鍛錬と返すのが普通だろうが、この聡い娘がそんな事をわざわざ聞きに来たわけではないだろう。
そうとなれば、当主の頭に思い浮かぶ単語は一つ。
「〝縛り〟であろうな」
「……呪言、呪符による契約、あるいは等価交換の儀式ですか」
「概ね、そのようなものだ。二つの物事が等価であるかの価値基準は己によってのみ定まるがな」
ただ、〝縛り〟を幼い時分から定めるのは、あまりにリスクが大きい。
縛りを結ぶ加減というのは、一朝一夕では身につくものではなく、強く縛り過ぎれば、日常生活にすら影響を及ぼしかねない。
「……では、大嫌いなパクチーを毎日一回1gは食べなくてはならない、という縛りでも力の源にできると?」
ほう、と当主は感嘆の声を漏らした。
なぜパクチーなのか、という疑問はさておいても、食事の制限は縛りの中でも最も実行に容易い部類に入る。
仏教の波羅蜜にも、肉食を禁ずる精進があったり、他の宗教で牛や豚を食べてはならないといった禁戒が存在するようなものだ。
「そうだ。死んでもパクチーは食わんと思っているのなら効果は絶大だろう…………そもそも食事にパクチーなど出した覚えはないのだが、嫌いなのか」
「大嫌いです。ハーブ系はミントとシナモンぐらいしか。シソも嫌いです」
……今後は料理からシソを抜いておこう。
コホン、と咳払いしつつ、先に例に挙げられた縛りの場合における注意点を挙げる。
「ただし、嫌いなものを食べるという行為には、必ず慣れが存在する。縛りを結んだとしても、長年為し続け、慣れる事でその効果が薄れる可能性がある。それ故に、好きな物を食べられない、とした方が効果はより高く、長く続くことになるな」
「なるほど。果物やデザートが食べられないとした方が良いと」
「…………好きなのか、果物やデザートが」
「女の子ですので」
……今度ケーキでも買ってきてあげようか。
それは今日の任務の帰りにでも買うとして、問題はどういった縛りを結ぶかだ。
「さて、復習だ。〝縛り〟の結び方には二種類が存在する。……分かるか、式那」
「はい。〝遵守〟と〝強制〟です」
縛り、とよく一口に言うが、縛る内容を〝遵守〟するか、〝強制〟するかによって効果に変化が現れる。
〝遵守の縛り〟は、自ら定めた縛りを、自分の意志で行うものだ。*1先程の、パクチーがどうのという話は、〝遵守の縛り〟を用いて結んだ場合になる。
〝強制の縛り〟は、縛りを課した時点で自分の行動を強制してしまうものだ。*2強制されるために効力が相応に上昇するが、生涯にわたって強制されるため、危険性も高い。
当主としては、そもそも地力のある式那に、無理やり縛りを課そうとは思わなかった。
「良いか。縛りは細心の注意を以て結ぶものだ。特に、〝強制〟を考えるには時期尚早。安易に結ぶものではない」
「……しばらく、考えたいと思います」
「賢明だな。縛る内容が定まったのであれば、また私に声を掛けると良い。相談があるというのなら受け付けよう」
「はい」
失礼いたします、と去った娘の跡を眺めつつ、背後に視線を向ける。
透明な膜が消え、男が一人現れた。
式那が来る前より当主の部屋を訪れていた客人だった。
「……中々に優秀だろう、我が娘は」
「いやはや素晴らしいよ。聞きしに勝る聡明さじゃないか。まるで、ちっぽけな子供の身体に大人の脳味噌を詰め込んだみたいだ」
最近、サ○デーでそんな探偵漫画があったような、と付け加えられた知識は聞き流して、前半部には当主も同意する所だった。
「あの子の呪力の流れには、一切の淀みが無かった。読み難い呪力だ。……呪力操作はいつから訓練させてる?」
「……術式が判明してからだ」
「へぇ……あれは独学か。誰に言われるでもなく理解し、制御するとはね。私があの域に到達したのは二十代後半……加茂式那は、歴代の軀體總術の中でも、最強に至るだろう」
「お前にそう言わせるとは、余程のようだな」
「将来が待ち遠しいよ。何せ、私の存在にも気付いていたようだし」
「……なんだと?」
そんな素振りは見せていなかったはずだが、と会話の様子を振り返っていると、違う違うと手を横に振られる。
「私の秘匿結界を解析されかけたんだよ。そこの戸を開けてから数秒でね」
「……本気で言っているのか」
「そう言う君こそ、父親ならもっと娘さんを信じてあげなよ」
コレの結界術は、あの天元と同等の力量だという。
実際にそうだろう。
あの空性結界を張れる術師など、現代には天元とコレしか存在していない。にわかにも信じがたかった。
「……でも、君の言う通りただの天才じゃあないだろうね。呪物で受肉した平安の術師と言われたほうがまだしっくり来る。それ程までに高度な理論立てと実践経験に基づいた結界術だ。ここまで私の理解の範疇を超えてくると、もう笑うしかないよ」
「……何者かが受肉している可能性は?」
「十割無い、とまでは言い切れないけどね。ただ、身体の弱い赤子や子供に受肉する程の呪物を与えれば即死は免れない。まあ仮にそうだった時の一番の問題は、誰が受肉させたかって事なんだけど」
どう思う? と尋ねられ、当主はしばし閉口する。
娘の振る舞いを見てきたが、受肉したというのなら不可解な点が多い。
縛りさえまともに知らなかったのだ。
しかも呪術の勉強に熱心で、積極的に質問をしている姿も見受けられた。
術師が受肉したというのなら、あまりに無知過ぎる。
それすら演技だとするならば、騙し抜かれた自分が、あまりに愚かだったというだけ。
それでも、加茂が永遠に存続するのなら……
「何者の思惑が絡んでいようが、加茂家を任せるに値する人物かどうか。私にはそれだけだ」
「実に呪術師らしい考え方だね。その潔さ、嫌いじゃないよ」
そう言って、額に縫い目のあるその男は姿を消した。
張り詰めていた気が抜けて、大きな溜息が漏れる。
「私も、そろそろ潮時であろうな……」
受肉、間者の存在……それは当主には至極どうでも良かった。
最強の相伝を受け継ぐ式那がいる限り、加茂家は安泰だ。必ずや総監部の総監となり、呪術界を導いてくれるだろう。
あの才能を見て、そう信じずにはいられなかった。
「その前に、布石を打たねば」
であるならば、最愛の娘を支えるものを用意する必要がある。
全ては、加茂家繁栄の為に。
彼もまた、腹に一物を抱え、己が目的を果たすべく動き出した。
チキチキ、独自解釈どこまで許されるかレース開催中
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