【急募】TS美少女が呪術界で生き残る方法 作:うぇいうぇい
そしてエイプリルフールです(遅い)
「悟くん」
気絶した人々の中を掻き分けて現れた人物は、見慣れた高専の制服を身に着けていた。
「久しぶりですね。お元気でしたか?」
懐かしい笑み。
だがそれは、去年、自らの手で摘み取ったはずのもの。
六眼は示した。彼女の呪力と術式が、本物であると。
そして、彼女と過ごした日々が、走馬燈のように思い出される。
その瞬間、身体が動かなくなった。
さっき、獄門疆とか言われていたものが、身体に纏わりつく。
「馬鹿ですね、悟くんは。何をそんなに考えていたんですか? ふふっ」
「……で、誰だよオマエ」
そう言うと、彼女はむっと頬を膨らませた。
「もう忘れたんですか? 貴方のファーストキスの相手なのに……流石の私でも怒りますよ」
「ああ……この六眼は、お前を加茂式那と判断した。全部がそうだってな」
だが、俺の思考はノーと答えた。
お調子者で、意味の分かんねぇ行動ばっかして、変な所でキレる、頭の良いバカだった式那とお前とじゃ、何もかも違う。
「だが俺の魂がそれを否定してんだよ……!! 俺の愛した奴は、お前みたいな腐れ外道じゃない! さっさと答えろよ……オマエは、誰だっ!!」
「────キッショ」
額の縫い目が解ける。
そこに埋まっていたのは、人の脳味噌じゃなかった。
呪いにまみれた、術式そのものがそこにはあった。
「なんで分かるんだよ」
式那の、身体を乗っ取った呪詛師。
それが、この渋谷で事を起こした元凶だった。
「……とまあ、そういう術式でね。脳を入れ替えれば、肉体を転々とできるんだ。勿論、肉体に刻まれた術式も使える。加茂最強最古の相伝を喪うには惜しかったから、使わせてもらったよ」
そして次に、彼の手に持っているモノが目に留まった。
球体状の、一目にはスノーボールの様にも見える呪物だった。
だが、俺の目には、まるで別の物がそこに映っている。
「……お前、まさか傑を」
「ああ、コレかい。躯躰総術の産物だよ。夏油傑の脳やら脊椎やらを加工して、呪力を流すだけで呪霊操術を発動できるようにした代物でね。これが便利なんだ」
渋谷に放たれた呪霊は、呪霊操術によるもの。
……クソ。最悪の手札を持ってやがる。
「詰めが甘いですね〜、悟くん」
「その声で喋るな、クソが。人の身体借りてるオネエ野郎が」
「心外だね。私は生まれた時は女だよ。男の方が便利だから、そっちをよく使うけど」
「どっちにしたって最悪だよ。式那の中にババアが入ってんじゃ、魅力半減じゃ済まねぇっての」
「……それを言うと、この子も大抵凄い事になってるんだけど」
「あぁ?」
「おっと。彼女の名誉の為にも、その秘密は伏せておこう」
チッ、人を苛つかせる天才かコイツ。
いちいちマウント取りやがって、お山の大将じゃないと気が済まないのか。
「おやすみ、五条悟。新しい世界でまた会おう」
「僕から言わせてもらうとね……
オマエはそろそろ起きろよ」
「来世でとか言ってた奴が、身体良いようにされてんじゃねぇよ」
「────そんなの、私だって!!」
……雰囲気が変わった?
「……え?」
奴がマジマジと俺を見て、次に自分の掌を眺める。
「おーい、式那〜」
「やあ真人、見てく──むぐっ、ちょっ、私喋りた──君どこからでて来たあばっ──パーシャはずっと借りてたんでしょうぐぉっ──分かった分かった、話したい事があるなら猶予をあげるよ。ただ、話し過ぎたら抵抗するからね。──大丈夫。話したら約束通り返すから。ちょっと待っててね、真人くん」
「あ、うん」
式那の姿をした呪詛師が、こちらにやって来る。
だが、見た目以外の何もかもが、ガラリと変わっていた。
「久しぶりです。相変わらず、目だけはクソ良いですね。目だけは」
「おい、なんで目だけって強調した」
「いや悟くんの良い所って目と……あと顔以外何かあります? それ以外ドブじゃないですか」
「殴るぞコラ、GLG五条舐めんな」
「やーいやーい、何もできないくせに口だけはお達者な悟くん。ほら真人くんも一緒に、やーいやーい」
「やーいやーい、ざーこ、雑魚五条悟〜。よっわーい。現代最強が負けるなんて情けないねっ」
「良いメスガキムーブですよ真人くん! いえーいハイターッチ!」
「いえーい!」
…………なるほど、これが無量空処を食らった時の気分か。
情報が全く完結しない。
式那っぽい奴が、敵の特級呪霊──しかも触れられたら身体を弄られる術式持ち──と戯れてる。そこに、さっきの呪詛師入りの時のような冷たさは全く感じられない。
……考えろ、五条悟。万が一の事もある。今の内に、得られる情報を得て、持ち帰らなくては。
「まあ、それはさておき……本当に情けないですよ、悟くん。私なんかで脳内時間一分経過させるとか、何考えてたんですか」
「ベロチュー」
「んなっ……こ、このクソ……! もっとオブラートに包んで下さい! 私だって、べ、べろ入れるのは、かなり勇気が……っ」
「わぁ、式那が漏瑚みたいになってる。おもしろ」
……って、この反応じゃ無駄かぁ。
さっきのやりとりに、顔真っ赤にして目を回してる式那を見れば、六眼なんて無くても分かる。
「……生きてたんだな、式那」
「……とっくに死んでますよ。悟くんと話してるのは、残留思念みたいなものです。私、ちょっと特殊でして」
たった一年ぶり、されど一年。
東京校に来る日は、いつもお前と傑の墓の前で手を合わせていた。
傑はほんのついでだけど。
ここんところは夢に出て来る程重症だったから、兎にも角にも、式那と会えた事自体が嬉しかった。
「……その身体の主導権を、取り返せないのか?」
「無理です。今はパーシャ……羂索さんの好意でこうしてくれていますが、次完全に入れ替われば、意識ごと無くなるでしょうね。目覚めたのも、奇跡みたいなものです」
「…………そっか」
「気にしないで下さい。生前から、死んだら羂索さんに身体を明け渡す予定でした。すっごい嫌でしたけど」
「それ、大問題じゃん。去年教えといてよそれ」
「ふふっ、呪詛師ですから」
何秒か沈黙が下りてきた後、式那はいきなりぶっ込んできた。
「……悟くん。私の事、愛してるんですね」
「おいおい、聞いてたのかよ」
「俺の愛した奴はー、って所は、なんとなく」
「ふはっ、お前気付いてただろ。俺の大事な物に文字彫ったくせに」
式那の顔が、赤から青へ急転落する。
まだ持ってるよ、と言えば、絶望顔で俺の服を漁り出した。
「黒歴史! やめてぇ、あんなの自作ポエム並の出来ですからぁ……!」
「あ、アレ憂太以外にも、パンダと真希と、恵にも教えちゃったんだよね」
「アッ……ああっ……知り合い皆知ってるとか……もうだめだぁ、おしまいだぁ……」
「えっ、何それ気になる。どんな内容?」
「ツギハギ君も気になる? ええと、確か……『六才のときのホネをもってるなんて ヘンタイですね』」
「わーわーわー!! なんで大人しく黙らないんですか! 悟くんの鬼畜、変態、目隠し!」
「え、目隠しって罵倒語なの……? 日本語ってほんと難しいなぁ」
手で口を塞がれてしまった。
さっきそこのツギハギ呪霊にも煽られたし、意趣返しぐらいしても良かったと先生思いまーす。
解放されると、至近距離で式那が睨み付けていた。今度言ったら殺すと言わんばかりだ。
「……キスする?」
「っな……し、しません!」
「えー……まあいっか、他人に乗っ取られちゃってるし」
「………………それは癪なので、ちょっと口、開けて下さい」
「……へ?」
顎を指で押さえつけられ、式那の顔が迫った。
……ったく、なんで俺からさせてくれないのかな。
妙に男らしいっていうか、大胆というか……まあ、そういう物怖じしないところ好きなんだけどさ。
「うわー、過激だね。この国だと、この手のフレンチキスをする人はそうはいないよ。国柄、風土って奴なのかな……って聞いてないし」
血の味はしない。
甘い……のかも良く分からなかった。
ただ、式那から流れてくる呪力は、なぜだか心地が好かった。
どうしてこんなにも気持ちいいのかは、良く分からない。
負けじと呪力を流すと、彼女の身体が震えた。
本来呪力とは、人間の身体にとってそういいものではない。
実際、俺は領域展開をした直後に焼き切れる術式を、脳を呪力で破壊し反転術式で再生することで回復している。
相手の呪力を受ければ、ダメージを受ける。それは常識だ。
「はぁっ……んぁ……!」
「あむっ、じゅる……っ」
しかし、この刺激的な味は、止められそうにない。
身体の相性って話はよく聞くけど、呪術師同士でもあるのかもしれない。
これはもう大発見って言っても良いんじゃないかな?
「……は……ふ……ぅ」
「いやー、長かったねー。前の時より続いたかな?」
「さ、悟くん……キス慣れるの……早すぎ……」
「あーほら、暇な時にアレやってたんだよ。舌でさくらんぼのヘタ結ぶやつ」
「そんな都市伝説で上手くなるとか、おかしいですって……」
でも、舌動かしまくっても疲れなくなったからね。
間違いなく収穫があったよ。
そう思っていると、式那の口の半分が、もごもごと動き出し……
「あー、悪いけどかなり時間押してるから、あと二分だけね」
それだけを言い残して消えた。
今のは、式那が言っていた羂索とかいう呪詛師の言葉か。
それを聞いた式那が、俺の肩をガシッと掴んだ。
「──え、何それ、待って待って何言えばいいんですかこれ!? 何かしますか!? あ、そうだセッ○スしましょうセッ○ス! もう三十路なのに青臭い童貞と処女のまま魔法使いになるのは流石にヤバいと思います!」
「ヤバいのは式那だよ。そもそもいつ俺が童貞って……何も言わずにズボンに手をかけないでズボンに。獄門疆かけられた状態でムリでしょコレ」
ほぼ膝立ちみたいなもんだし。
できなくはないけど、最中に呪詛師に変わったらマジモンのオ゛ッエーものだよ。俺はヤダね。
「……しゃ、しゃぶります?」
「や、そういう問題じゃなくない?」
「あっ、じゃあ私の骨で即席の結婚指輪作りましょうか!」
「ガチ目の呪い掛かってそうでウケる」
「そこの真人さんに神父になってもらって、略式で神前式を……」
「いや、仮に結婚するとしてもさ、俺達付き合ってないっしょ」
ピタリ、と止まった。オイル切れのモーターみたくガクガクと首が上がる。
「……そう、でしたっけ」
「うん。俺もちゃんと伝えられなかったからね」
その時、獄門疆から、腕だけが外れた。
どうしてかは分からなかった。呪力は練れないし、力はちゃんと入らない。
獄門疆が空気読んでくれたり……なんて事ないか。
呪具が意志持ってたら、世の中の特級呪物は全部勝手に動き出す事になってしまう。
でも、丁度良かった。
ようやく、これが取れる。
「それは……私の小刀」
「指輪の材料にはうってつけだよ。ポエムの証拠隠滅もできる」
「っ……言い触らされたら意味無いんですけどねっ」
俺から小刀を引ったくると、式那は、小刀の骨を術式で圧縮し、一対の指輪を作り上げた。
「式那」
「……はい」
「ずっと、愛してる。だから、付き合ってくれ。来世でもなんでもついてってやる。沖縄旅行でも、なんでも」
「……何でチョイスが沖縄なんです?」
「なんとなく」
なんとなく、南へ。
自分が欲しいものがある気がした。
そんなふざけた告白に、式那は肩を竦めながらも、涙を流して笑う。
「私も、悟くんが大好きです。愛してます。お付き合い、しましょうか」
「晴れて、これで恋人だな」
「ええ……真人くん、お願いできますか」
式那がツギハギに呼び掛けると、奴は頭をポリポリと掻き、うんうんと唸りながらやって来た。
「なんか俺便利に使われてね……? まあ、いっか。面白いもの見せてもらったし。俺、人間が見せてくれる恋は嫌いじゃないよ。千差万別だから、毎回見ていても飽きないんだ」
どこで拾ってきたのか、神父の衣装に身を包んだツギハギ呪霊は、分厚い本を片手に祝詞を唱える。
「えー、じゃあ僭越ながら。病める時も、健やかなる時も……なんだっけ? 知ってる?」
「知らね」
「適当でいいですよ」
そもそも、呪術師の家だから仏教系の婚姻しか知らないんだよな。
呪術師がキリスト教の結婚式って、グローバル化を感じるよ。
「じゃあ……病める時も健やかなる時も、お互いを呪い合う事を誓いますか?」
呪い合う……ね。
呪霊の癖に、適度にイカれてて洒落てる事言うじゃん。
「っは……俺、五条悟は、加茂式那を永遠に呪うことを誓います」
「私、加茂式那は、五条悟を永遠に呪うことを誓います……ふふっ」
互いの呪力を籠めた指輪を、嵌め合う。
他の皆が、必死に戦ってくれている中で、何ともまあ、教師失格な事をしているんだろうか。
でもまあ、うん。
式那が嬉しそうだし、いっか。
「今が、人生で一番幸せですよ」
「……世の中には、結婚からは嫌いになっていくだけの夫婦も多いっぽいよ」
「ロマン無い事言わないでくれません……!?」
「その分、俺達は絶好調で終われるから、一番幸せな夫婦だよ」
「……やりたい事、沢山ありましたけど」
「それはまた来世だね〜」
「そんなまた明日みたいなノリで言われても……」
はぁ……と、振り回されて疲れた様子の式那の頭に、サッと手を回す。
時間的に、これが最後かな。
「え、なんです……」
「目、瞑って」
ふんわりと、触れるぐらいの軽さで。
最初と二回目がアレだったけど、誓いのキスぐらいは、自分からやりたかった。
これでもう、彼女と思い残した事は何もない。
「……時間、ですね」
「ああ。一思いにやってくれ」
だから、完全に不意打ちだった。
額にキスを落されるとは予想だにせず、驚く俺に、式那は手を振った。
「また、来世で。──『獄門疆、閉門』」
……それが、現世で彼女の顔を見た、最後の瞬間だった。
○ ✕ △ □
箱に収まる彼を見つめながら、身体の主導権が喪われていくのを悟った。
羂索の術式が、私を塗り替えようとしているのだ。
「自分で五条悟を封印するとはね。それも、愛故にかな?」
「そうかも……ほら、私、呪詛師になったと口で言いましたけど、縛りで非術師は殺せませんから。それを貴方が漏らして、とことん悟の自尊心を傷付けてから閉門すると予想しました」
私の縛り……呪術師として生きるというのは、お父様が教えてくれた呪術師としての在り方、信念をもとに結ばれている。
要するに、呪術規定を何も破れないのだ。
たはー、困っちゃうよね。縛りが悪く作用した結果だ。
まあ、その呪術規定がゆるゆるだったお蔭で、悟と戦う事ができたんだけど。
「素晴らしいよ。私のやる事を言い当てるとは……良くわかったね?」
「だって、一心同体ですし。そもそも何年付き合ってると思ってるんです」
コイツ、いつも人の弱点を突く事に余念がないんだよな。
だから天元さんに嫌われるんだよ。
喧嘩別れしたの、絶対その口さがなさのせいだって。
私見てたから分かる。めっちゃわかる。
「全く、我が弟子ながら不遜だね」
「貴方を手放しで尊敬できる人なんてこの世に居ないです。私でも多少ですからね、多少。人類補完計画実際にやろうとする人がいたら、阻止する人達が現れてもおかしくないですよ」
「……まあ、残る二人の特級、乙骨憂太と九十九由基が邪魔に入る事は想定の内だ。なんとかしてみせるさ」
「……あんまり早くこっち来たら、一生からかいますからね」
「君の身体を使うんだ。そんなヘマはしないよ」
どっちを応援すればいいのやら。
まあ、倫理的にも呪術師側を応援するのが筋なんだろうけど。
「じゃあ、真人くんもさよなら」
「うん、さよなら。魂も中身も面白い人」
「え、ひどい認識のされ方……」
まあ、彼はさておき。
そうだ。最後に、羂索に伝えないと。
「この指輪……できたら、高専の私のお墓に埋めて下さい。地獄まで持ってきますから」
「いいよ。弟子の最後の頼みぐらい、聞いてあげる。必ず届けるよ」
「それなら、もう安心です」
これで、本当に思い残しもなくなってしまった。
満足に生きられなかった前世。
約束も果たせず、孤独に死んで、後悔ばかりが募った。
師匠の下で逝けて、私は幸せだよ。
「……新しい世界、存分に味わってきて下さいね」
「勿論さ。来世に君が生まれる場所は、私の作った世界である事を祈っているよ」
理想郷、なんて良いものじゃないとは思うが。
それでも、私達が何にも縛られることなく生きられるのなら。
「その時は、きっと悟くんと一緒に見て回りますよ……────」
「や」
「うっわ」
隣に、久しい親友の姿があった。
「ざけんな、最悪だよ」
「失礼だな。人の顔を見るなり」
あーあ……
そうか。
もう、終わっちまったのか。
「チクショー……」
「お疲れ様です、悟くん。マッ缶練乳マシマシ飲みます?」
「ゲロ甘じゃん! 飲むわ」
そして、左隣には、薬指にお揃いの指輪を着けた式那が座っている。
「結婚したとは聞いたが……正気かい式那? こんな性格が終わってる奴と夫婦になったら、罵詈雑言の嵐が飛び交うんじゃないかい?」
「まぁ、そこも愛嬌ですかね。遠慮なく罵倒できますし、寧ろ気が楽です」
「てんめ、それでも俺の妻の自覚あんの? こちとら亭主だぞ亭主」
「古クッセー価値観ですね、亭主関白とかクソ喰らえですよ。家事も仕事も分担です」
「悟はまず家事できないと思うよ。お坊ちゃんだしね」
「は? 何言ってんの? できるしそれくらい」
やいのやいの言い始めると、これまた聞き馴染みのある声が。
「──ッハーなんややかましい。人が気持ち良く寝とるっちゅうのに。その綺麗なお目々は飾りかいな、悟君」
新聞とサングラスをどけて、口をひん曲げてグチグチと言い出した。
あー、クッソ面倒な奴がいるなぁ。
「うーわ、直哉じゃん。なんでそこに居んだよ」
「んなもん馬鹿でも分かるやろ察せやクソ目隠し。勝手に封印されよって……ざけんなや。禪院家も真希ちゃんが全部壊したって真依ちゃんから聞いてもうたし。はー、俺の人生何やったんやろなぁホンマ。向こう側来ても良い事無いやん。あのメロンパン、次会ったらボコボコしたるわ」
何だかんだ言いながら、お前も戦ってくれたのか。
多少見直したよ。俺はてっきり、恵を暗殺とかしそうだと思ってたし。
「まあ、皆なら大丈夫でしょう」
「倒せると良いですね、宿儺!」
「良い、ではなく、宿儺を倒さなくては我々の負けですよ……少し、厄介な未来を託してしまったかもしれません。でも、後ろ向きな私が、最期に未来を託せて、良かったとも思っています」
七海と、灰原。
そうか……七海も来ていたのか。
「俺も、託しっぱなしにしちゃって、本当に申し訳ないんですけどね……」
「それはどうだか。君の呪いが私を生かしたように、私の呪いが虎杖君を生かすかもしれない」
「あ、私も盛大に悟くんを呪いましたが……見事に道連れにしちゃいましたね」
「……そのままジブンの遺体ごと道連れにしとったら、俺は死ななかったんやけどなぁ。んー?」
「ご、ごめんなさい……」
「ちょっとー、人の嫁いじめないでくんねー?」
「うわ、悟が独占欲出してるよ。あんなヤツを好きになったら駄目だからね、美々子、菜々子」
遠くから、生暖かい目で見てくる夜蛾学長。
黒井さんにガミガミと怒られてる伏黒甚爾。
「姉さん頑張ってー! キャーッ!」とスクリーンの前で叫ぶ真依。
椅子でのんびりとする灰原と七海。
いつぞやの二人組に囲まれて、楽しそうに談笑する傑。
……ここは、きっと、思っているより良い場所ではないのかもしれないし、来世なんかでもないのだろう。
でも、
「そうだ式那、役所に籍入れる手続きしに行こうぜ」
「あっ……そうでしたね。加茂悟になるんでしたっけ」
「何でだよ、そこは五条式那で行こうぜ」
「このステレオタイプ。……まあ構わないですよ。加茂より五条の方が響きが良いですし」
「そこでお父さん泣いてんぞ」
「あ、ホントですね。私達結婚しまーす!」
これが、俺の妄想でも何でもないのだとしたら。
「五条さん。以前、冥さんから教わったのですが……」
──新しい自分になりたいなら北へ
──昔の自分に戻りたいなら南へ
もう、迷いは無かった。
「なんか寒いとこ行きたくなってきた。北海道行かね?」
「えっ、新婚旅行は沖縄の予定では?」
「やっぱやめた。結婚とか、昔の自分じゃ考えられねぇっての」
「……私は違いますけどねー。クソ鈍感」
「今更傷ほじくるのやめてくんね……? それ硝子にもやられたわ」
気が付くと、俺は目隠しを着けて、制服から教師の出で立ちに。
隣の式那も、右眼で眼帯覆って、なんか露出多めでエロい格好になっていた。
「……なにその格好、クソ可愛いな」
「かわっ…………よ、よくわかりませんが、戦装束ですか、ね?」
「腕丸出し脚丸出しで北海道はさみぃだろ」
「結界術でなんとかします」
「後でコート貸すっての」
皆に手を振り別れを告げながら、北にいく飛行機の便へと急ぐ。
「……俺、幸せだよ」
「……でしょうねー。私みたいな美少女捕まえて、幸福者ですよ、悟くんは」
「自分で言っちゃう? ……でも、間違ってないね。宿儺と全力で戦えたし、後はお前も居てくれるんなら、もう何も要らないよ」
「──私、お金欲しいです!」
「めっちゃ直球。あー、俺の口座持ってけたら働かずに済むのにな」
「働くなんて奴隷の生き方ですよ。一生ゴロゴロしましょうよー、ゲームと漫画とラノベ三昧で生きたいです」
「奴隷は言い過ぎ。……でも、今更呪術師以外の生き方見つけられないよね。わかるわかる」
肩を預け合って、手を繋ぐ。
それだけで、嬉しい気持ちになる。
……いや、段々ムラムラしてきた。
「……なんかキスしたくなってきました。キスします?」
「いいね、俺もそんな気分。盛り上がってそのままやっちゃうってのも、中々ロマンチックじゃない?」
「えっ、いやいやいや! 人が居ないとはいえ、飛行機の中じゃかなり無理が……んむっ!?」
あー……
呪い合うって、愛だね。
このあと滅茶苦茶(ry
多分きっと幸せになった二人です。
……北に行ったからって悟だけ息吹き返したら面白そう(ゲスの極み)
攻略したい子を選んでねっ♡
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王道?:五条悟
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邪道:禪院直哉
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外道:夏油傑
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覇道:羂索
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非道:宿儺
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寡夫:伏黒甚爾
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百合:庵歌姫
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呪霊:真人