銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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10-13 サクラと剣マン②

 サクラの首の装備から紅いキラキラとした粒子が周囲に舞う。背中からサクラを包み込んだそれは一つ一つが手を取り合うように緩やかに繋がり、折り重なりフードの付いた深紅のマントになってサクラに重なった。そしてサクラは脚に力を込め男に駆けた、紅い閃光が走る。 迫る少女を迎撃する為、男は右手に装備したブレードを振り上げ間合いに入った瞬間に切り下ろす。サクラはそれに合わせくるりと華麗に回転した。

 

 たなびくマントが男の右手に絡みつく。

 

 

 レッドフードはサクラの能力を拡張させる為にシエルから貰ったサクラのデータを解析し浅葱が作り出した1点物の専用装備。彼女の力は自らの血液を媒介に硬質の武器を精製する。それは彼女の復讐心、姉を奪った奴らへの殺意の具現。

 

 レッドフードの補助を得たサクラは血液から何かを傷つける為ではない守る為の力を作り出した。布のように優しく柔らかく。

 

 きっとこれは装備だけの影響ではなく、凛々奈達との出会いで変わったサクラの進化がなせる力。

 

「やあッ!!」

 

 サクラは巻きつけたマントを引き男の振り下ろす力も利用して地面に腕ごと叩きつけた。

 

「落ちろッ!!」

 

 マントを男の腕から解きすぐに体制を立て直したサクラは男の首に大鎌を振り下ろすが。

 

ガギンッ

 

 しかしその刃は通らない、男は首筋の装甲の隙間を狙った刃に向けて顔を上げて頭突きで弾き飛ばした。

 

「クソッ」

 

 弾かれたサクラは少し後退してしまう。

 

「硬い・・・ ですね・・・」

 

 刃が打ち込まれた男のヘルメットには浅く傷が付いただけだった。

 

「なら・・・ 全力で・・」

 

 サクラは大鎌を手放した。それは粒子になってレッドフードの下の傷口に戻っていく。

 

「ぶち抜くッ!!」

 

 徒手空拳でサクラはまた男に接近した。立ち上がった男も応えるように振りかぶる。男のブレードの間合いでサクラは攻撃を全力で避けつつ隙を伺う。

 

 サクラが狙うのは自身の攻撃の中で最大の威力を持つ【ブラッディランス】しかしこの攻撃には短くない溜めの時間が必要だ。何とかその一撃を決めるべく好機を窺う。しかし。

 

「痛ッ」

 

 サクラが傷の痛みで回避に一手遅れた。男はその隙を見逃さずブレードはサクラに襲いかかった。

 

ガギッ

 

 少女を切り裂く筈の刃は紅い何かにに阻まれた。斬撃とサクラの体の間へ割り込ませたマントが一部硬化してそれを防いでいた。レッドフードを通して精製された物はサクラの意思で自由に硬化する事も出来る。

 

「ここ・・・」

 

 その現象に驚いた男の隙を、今度はサクラが見逃さない。サクラは左足を強く地面に踏み込み背中のマントを全体を硬化させると地面に突き刺してもう一つの軸足とした。

 

「おりゃあああああああああ!!!」

 

 サクラは残った右脚で男を全力で蹴り上げた。装備を含めれば100kgを優に超える巨体を数m宙へ浮かせた。しかし、それでも男にダメージは入っていない、分厚い装甲を貫くには至らない。

 

「これで・・・ 回避は出来ないですね・・・」

 

 サクラは右手でマントを掴み振り払うように脱ぐ。それはサクラの掌で形を変え深く輝く。

 

「織り紡げッ!!」

 

 レッドフードは精製後に一度だけ。

 

「ブラッディランスッ!」

 

 タイムラグ無し、ノーモーションで違う武器に変化させる事ができる。残された力を全て乗せてサクラは必殺の一撃を放つ。

 

 その槍は強靭な装甲を打ち砕き、男の胸を貫いた。

 

「お姉ちゃん・・・ やったね・・・」

 

 槍は夜空で紅い粒子に戻りキラキラとサクラの元へと戻る。

 

 少しだけ、サクラの頭を撫でるように揺らめいてから。

 

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