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血を吹き出しながら堕ちる男を確認すると後ろから声が聞こえた。
「さっすがサクラお姉ちゃんだね〜」
「おもたんの最年長だけあるね!」
振り向くとフーカとライカが歩いてきていた。
「二人共! 大丈夫!? 怪我してない!?」
慌てて駆け寄るサクラ。
「よゆ〜よゆ〜ゆ〜♪」
「私達の敵じゃないってーの!」
二人は揃ってドヤッと胸を張る。
「良かった・・・ 後はフラムが・・・」
その時少女達の横を何かが吹き飛んで行った。
ドゴンッ!
勢い良く倉庫の壁に叩きつけられたそれを見る。
「むきゅ〜・・・」
そこには目をグルグル回してダウンしているフラムが居た。
「だっ大丈夫!? フラム!!」
また慌ててサクラが駆け寄る。
「なははは! やられてる〜!」
「貴様ぁ! それでもおもたん隊員なのか!!」
その後ろを双子がスキップで追う。
「うう〜、痛ってー!!」
するとフラムが後頭部を抑えて起き上がった。
「フラム、大丈夫? 怪我見せて・・・」
心配そうにサクラはフラムの後頭部を確認し始める。
「にゃはははは! ざーこざーこ!」
「ざ〜こざ〜こ! おもたん最弱〜」
全く心配していない双子はサクラの後ろで全力で馬鹿にしている。
「ああん!? 雑魚じゃないわ!! だってアイツ・・・」
フラムが双子に言い返すが彼女の飛んできた方からガシン、ガシンと重い足音が響き4人に聞こえる。
「めちゃくちゃ強いって!!」
フラムが相手をしていた両肩に砲台を装備した巨体が歩いてくる。サクラはフラムの前に立って庇うように構えた。ふざけて煽っていた双子もその横に並ぶ。しかしその男は少女達を無視して別の方向へ歩き出した。男はサクラが戦った男が倒れている場所へ向かった。
「なに・・・・?」
サクラは警戒を怠らずその様子を見ていた。すると砲台の男は倒れている男の腕に装着されている鎧殻、巨体なブレードを引きちぎりそれを自らの右腕に装着した。
「まさか本当に勝つなんてな〜、やるな〜嬢ちゃん達」
男からノイズがかった声が聞こえた。
「・・・・?」
その声にサクラは違和感を覚える。その横で双子はニヤリと笑うと
「なんでもいいけどッ! フーカ!」
「 らじゃ〜」
「アンタで最後だ!」
二人は男に襲いかかった。
「ちょっと待ってろって」
またノイズがかった声が聞こえる。二人は左右から同時に攻撃を開始したが。
「うぎゃ!」
「うきゃ!」
双子は吹き飛ばされ倉庫の壁にもたれ座り込んでいるフラムの横にぶつかった。サクラはその瞬間を見ていたが。
「この人・・・ 強い・・・」
フーカとライカが反応出来ない速度の攻撃、遠巻きに見ていたサクラでも目で捉えるだけで精一杯の速度。そのまま男は今度は双子達が倒した男の元へ歩いていくと脚に装着された鎧殻に手を伸ばす。
ガシッ
倒れていた男が伸ばされた手を強く掴んだ。
「どうイうつもりダ?」
息も絶え絶えといった細い声で言う。
「あん? まだ生きてんのか、まあもってあと数分って感じだけど・・・ どういうつもりって・・・」
倒れた男の顔面に分厚いブレードが突き刺さる。
「なッ!?」
サクラが驚きの声を上げる。
「最初から死人が出たら報酬、支給された武装、生き残りで山分けって話だったろうが」
ブシュッ
ブレードを引き抜いた顔面から血が吹き出す。そして息絶えた男の脚から鎧殻を取り外すと自らの脚に装備する。
「お前らも傭兵なら分かんだろ?」
砲台、ブレード、鋼鉄の両脚。更に一周り大きくなった巨体がサクラ達に振り向く。
「お待たせ、こいつら死んでくれたらラッキーって思って適当に戦い長引かせてたけど、嬢ちゃん達のお陰でボーナス出たわ、ありがとさん」
「仲間・・・・ じゃないの?」
冷や汗を流しながらサクラは口を開いた。
「ん? 違う違う! たまたま同じ所に雇われたってだけの知らねえ奴らだって、日雇いのティッシュ配りで一緒になったおっさんと一緒」
はっはっは、と世間話をするように笑いながら言う。そして左手でヘルメットの顔を掴む。
「嬢ちゃん達のお陰でウチのボスに土産も出来たしな、名乗ってやるよ」
ガチャガチャッと機械音が響くと白い煙を吐きながらヘルメットが取り外された。
「えっ・・・ 女・・・?」
露わになった顔はショートカットの白髪に褐色の肌、ヘルメットを通さない声は先程よりも高い声。
「傭兵旅団フェンリルタスク、第二師団師団長、ディン=マグナリア、さあ!闘ろうか!!」