凛々奈は震える足でみいなの元へと辿り着く。すると浮いていたみいなを包む球体は彼女を優しく包んだままゆっくりと凛々奈の顔の高さ程まで降下してきた。
「あ・・・・」
その球体の放つ暖かな光に凛々奈は無意識に手を伸ばした。指先が球体の縁にそっと触れる。
すると触れた物を消滅させていた筈のそれはまるでシャボン玉のように音もなく弾けて消えた。それと同時に浮いていたみいなの体は重力のまま落下し始めた。
「えッ!? てうわぁ!!」
それを見て凛々奈は前に倒れ込むように腕を伸ばす。
「いだだだだだだた!」
全身の傷の痛みに思わず声がでる。しかし傷だらけの彼女の腕にはやっとの思いで取り戻した大切な、守ると決めた少女が、みいながギュッと抱かれていた。
「・・・・・おかえり、みーちゃん」
遥か長い間見ていなかったようにも感じるその顔を、凛々奈は愛おしそうに見つめ安堵の息を漏らした。その時
「わたし・・・・」
凛々奈の腕の中でみいなが薄く目を開く。
「信じて・・・ました・・・よ・・・」
虚ろな目だがしっかりとみいなは凛々奈を見つめて言う。
「えへへ、凛々奈・・・さん」
「うん、帰ろ! みーちゃん!!」
二人は安らかに微笑み見つめあう、時間を忘れそうな幸せな感覚の中、そうしているとみいなの目はゆっくりと閉じていき静かな寝息を立て始めた。
「もう少し眠ってて大丈夫だからね・・・・」
凛々奈はそっとみいなの額に口づけをするとまた顔に力が入る。
「よし、サクラ達も心配だし急いで戻らないと」
彼女はみいなを抱いたまま足に力を入れて出口へ向かって歩きだす。
──ボタボタッ
その時、何か液体が滴り落ちたような音がした。
「え」
音の方を凛々奈は見る。自分の胸に両腕で抱いているみいなの辺りから音がした。目だけを動かして下を見ると。
みいなの着ていた白い服に紅い斑点がいくつか広がっていた。
「あ・・・・」
───ボタボタッ
その斑点はまた増えていく、斑点同士が繋がり紅い大きな染みを作りみいなの服を染めていく。その紅はどこからか滴り落ちているようだった。
「あ・・・」
またボタボタと更に紅い染みを作るそれは凛々奈の顔から流れ続ける。目から、鼻、耳からドクドクと真紅の鮮血が顔を伝いみいなへ落ちる。
「うぶッ!!・・・がはッ!!」
更に彼女は吐き気よりも強烈に体内からこみ上げた血を勢い良く口から吹き出す。そして凛々奈の意識は薄れていく。体に全く力が入らず膝から崩れ落ちるもみいなを抱く腕だけは彼女は離さなかった。
(あー)
ぼやけていく頭で凛々奈は思う。
(そりゃぁ・・・・ こうなるかぁ)
──これはルールを破った彼女への罰。
【1日3本、同時に2本以上使用してはいけない】
限界を超えた反動に彼女の体は内部からも崩壊を始めていた。
(やっばぁ・・・・ 死ぬかも、これ)
指先から感覚が無くなっていくのを感じる。
そして彼女の目からゆっくりと光が失われていく、彼女の目に最後に映ったのは・・・
「あははっ」
腕の中で安らかに眠るみいなの寝顔だった。
「みーちゃん、かーわい・・・・・」