銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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2-6 凛々奈 怒りの直行直帰

 

 階段を降りて十数人の男といろんな物がごちゃごちゃに散らかっている部屋を抜けようと歩き出す。ごちゃごちゃにしたのは私だけど。

 

 その時正面の玄関の扉が開いた。

 

「うわぁあ! なんなんだよこれ!!」

 

 酒やらスナック菓子やらが大量に入った袋を両手に抱えた男が入ってきた。金髪になっていて分かりづらかったが、顔を見ると依頼人に教えてもらったユウキに間違いなかった。

 

「あー彼氏君か」

 

 どうしたものか凛々奈が悩んでいるとユウキは此方に気付いた様だ。

 

「うわぁ!何だお前!お前がやったのかよ!」

 

 面倒くさいなぁと思ったが伝える事だけ伝えてさっさと帰ろうと凛々奈は口を開いた。

 

「まあそれはそうなんだけど、君さ佳穂ちゃんの事知ってたでしょ? なんでこいつ等にすぐ教えなかったの?」

 

「ああ!? なんでテメェが佳穂の事知ってんだよ!」

 

 佳穂ちゃんが心配なのか、混乱より怒りが強くなっている様だ。

 

「答えて」

 

 冷たく返す。

 

「別に、あいつは関係ないだろ!」

 

「そうね、アンタが喋ろうが喋らまいがその内コイツ等に見つかっちゃうでしょうね」

 

「ああ!?」

 

「まっあの子可愛いからね、こんな奴らに捕まったら何されるか分かったもんじゃないけど」

 

 

「そんな事っ! させねえよ!」

 

 

「アンタに止められる訳ないでしょ」

 

更に冷たく告げる

 

「アンタねぇ、身内が酷い目に合っても何も感じないか、一緒になって彼女を傷付ける事が出来るくらいのメンタルじゃないと半グレなんてやってけないわよ?」

 

「そんなこと・・・」

 

「まっ、思春期で悪ぶってカッコつけたい気持ちも分かるけど、ちょっとディープな所まで来すぎたわね、このまま続けてたらアンタが壊れてマトモじゃなくなるわ」

 

 両手を挙げてやれやれのポーズをとる。

 

「堕ちるとこまで堕ちるか、もう一度やり直すかはアンタの勝手」

 

「ただ私の気紛れサービスでね、足洗うってんならすぐ辞めれる様に話は通してあるから、後はアンタ次第よ」

 

「え?」

 

「あと佳穂ちゃんの事も全部解決してるから」

 

 さて言いたいことは全部言ったから帰るか。凛々奈は出口に向かって歩いていく。ユウキとすれ違ったが俯いて何か考えている様だった。

 

「アンタ一体なんなんだよ!!」

 

 扉に手を掛けた所でユウキが叫んだ。

 

「正義の味方、ではなくて」

 

()()()()かな」

 

 それだけ告げてその場を後にした。

 

 

 帰り道にあった町中を流れる川沿いの柵にもたれ掛かって私は電話を掛けていた。

 

 「もしもーし、ハルさん? 全部片付いたよ、報酬もちゃんと取立てたからセンセから手数料貰ってね」

 

「うん、大丈夫! 怪我してないよ、ありがとね、じゃあまたね!」

 

 もちろん紙袋はもう被ってない。

 ふう、と息を吐きポケットにあった棒付きの飴を舐める。別にコレは普通のキャンディ、疲れた時は甘いものだ。

 

「センセみたいにここでタバコ吸ったらカッコイイのかな?」

 

 なんて事を言いながら川を見ていた。仕事が終わると一人で少しだけ、ボーっとしていたくなる。疲れている訳でもないが、なんとなく。

 

「これだけ舐めちゃったら、帰ろ」

 

 なんて思ったときに凛々奈のスマートフォンが鳴った。事務所からだった。

 

「ん? センセかな?」

 

 通話ボタンを押して耳に当てる。

 

「凛々奈さん! 大丈夫ですか!?」

 

 みーちゃんの声だった。

 

「みーちゃん? どうしたのー? えへへ、心配してくれたのかなー?」

 

「そうですよ! 怪我してないですか? 一人で帰って来れますか?」

 

 なんだかとっても心配してくれている様で。

 

「大丈夫だよ〜 何処も怪我してないし、お仕事も終わったからもう帰るよ」

 

 大した仕事でもなかったが、これだけ心配して貰えるとなんだか嬉しかったのでニヤけてしまった。

 

「唯牙さんも心配してますから! 早く帰って来て下さいね!!」

 

「うん、ありがとね、すぐに帰るよ」

 

「はい! 唯牙さんとお買い物に行ったので凛々奈さんにもケーキとクッキー買ってありますから! 帰ったら一緒に食べましょう!」

 

 ん? ん?? は???

 

 私にみーちゃんとのデート中止させておいて二人でお買い物??

 

「ちょっとセンセ! どういうこと! 説明してもらうからね!!」

 

「えっあっ、ちゃんとケーキとクッキーありますよ?」

 

「そういう問題じゃなーーい!」

 

 私は通話を切ってからまだ残っていた飴を噛み砕いて全速力で家に帰った。

 

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