そして転校初日。
制服に着替えたみいなとハルは靴を履いて出発の準備をしている。
「送ってもらってすまないな、ハル」
唯牙は二人の見送りに来ていた。
「大丈夫よ、みいなちゃん忘れ物ないかしら?」
「はっはい! 大丈夫です!」
みいなは新しい生活にワクワクを隠せないのか、顔を赤くしてそわそわと落ち着かない様子だった。
「あれ? そういえば凛々奈ちゃんは? あの子がみいなちゃんのお見送りに来ないなんて、熱でもだした?」
ハルは部屋の中を見回して言った。
「学校に行っている間みいなちゃんに会えないのを嫌がって最近荒れてたからな、拗ねて引き篭もってるんだろう」
やれやれと唯牙は頭を抱える。
「まあ気にしなくていいよ、二人とも行ってらっしゃい」
「はい! 行ってきます!」
「行ってくるわ」
扉を開けて二人が外へでようとした時。
「あ、みいなちゃん、悪いが帰ったらアイツの事を少し構ってやってくれ、君が相手してやればすぐに機嫌も治るだろうから」
申し訳なさそうに唯牙はみいなに伝える。
「えへへ、分かりました! 世話のかかるお姉ちゃんですね!」
全く嫌そうな顔をせずみいなは返事をして出発していった。
唯牙は二人を見送った後、珈琲を淹れようとお湯を沸かす。
「全く、みいなちゃんの方が落ち着いてるんじゃないか? あのわんぱく娘は・・・・ あ、そういえば」
忘れていたが少し仕事の野暮用があった事を思い出した。今日は客がくる予定もある。
「凛々奈に頼むか」
お湯はまだ沸きそうにない、唯牙は二階の凛々奈の部屋に向かい扉をノックする。
「おい! いつまで拗ねてる! ちょっと頼まれてくれ!」
声を張って扉の向こうへ呼びかける、しかし何も反応が帰ってこない。
「チッ、凛々奈! 寝てるのか!」
ダァンダァンと強く扉を叩くが相変わらずの無反応。ガチャガチャとドアノブを回すが鍵が掛かっている。
「・・・・まさかな」
ドガァン! 凛々奈の部屋の扉が唯牙の蹴りでぶち破られる。
「はぁ、修理代はアイツの小遣いからだ」
部屋の中は特に異常もなく、凛々奈が暇つぶしに買った漫画やゲームが散らかっているだけだった。
そして部屋の中には誰もいない、居るはずの部屋の主も何処にも姿は無かった。昨日の夜には居た筈で、朝も部屋から出ていなかったのに。
そして唯牙はふと気付く、開けっぱなしの窓とひらひら風に揺れるカーテンに。
「はあ〜、100%みいなちゃんの所だろうなぁ」
溜息をついてまた頭を抱える。
「たがあそこならあの人も居るし、すぐに捕まえてくれるか・・・・暫く小遣い大幅カットだな」
そろそろお湯も沸く時間かなと一階に戻りつつ、野暮用は明日にするかと唯牙は大きく欠伸をした。