「久々ね〜 これ着るの」
純白でフリルが多めに装飾されているブラウス、胸元には高等部の生徒である事を示す真っ赤なリボンと紺色のロングスカート。凛々奈は自分のジャージから華皇学園の制服に着替えていた。鏡の前でくるりと回る。
「今日はその制服を貸しますから、大人しく目立たない様にお願いしますね」
「了解しました!」
ビシッと敬礼をして答える。
「それで今みーちゃんは何してるんですかね?」
「今日は始業式ですから、丁度式も終わる時間です、初等部は昼食を食べたら帰宅する予定なので、今頃は食堂に居ると思いますよ」
「あーそっか、始業式の日って授業は無かったっけ、あれ? 学園長さん始業式でお話とかしないの?」
首を傾げてキョトンとする凛々奈。
「・・・・その予定でしたが校内に現れた不審者に対応する為に別の方にお願いしました」
穏やかな表情をしているが抑えきれていない怒りのオーラが凛々奈には見える様だった。
「誠にごめんなさいでした!」
ビシッと90度に腰を曲げて一礼してから凛々奈は部屋の出口へ向かった。
「えへへ、それじゃ学園長さんいろいろありがとね! またセンセと一緒に改めてお礼しにくるよ!」
バイバーイと手を振って凛々奈は応接室から出ていった。み〜ちゃ〜んと叫ぶ声が遠ざかっていく。
「全く、相変わらず元気な子ですね・・ でもあんなに生き生きとした笑顔ができる様になったのは、唯牙さんハルさん・・貴方達のお陰でしょうね」
出会ったばかりの、唯牙に保護された直後の凛々奈の姿を思い出す。暗い瞳に深い憎しみが渦巻いていたあの少女を。
「新しい家族も増えて、あの子達がこれからも笑顔でいられるといいですね」
窓から指す気持ちのいい日光を感じて外を見ながら華皇学園の学園長はまた紅茶を口にした。
◆
「みーちゃあ〜ん」
応接室から出て暫く走った凛々奈は急に立ち止まった。
「あれ? 食堂がある棟ってどこだっけ?」
周りを見回すと窓の外のベンチに二人の女子生徒が座っているのがみえた。リボンの色から察するに高等部の生徒だ。
凛々奈は窓を開けてヒョイッとジャンプし外に出てベンチの二人に近づいた。
「ねえ、ちょっといいかしら」
「え、はい、なんでしょう?」
二人組は凛々奈の顔を見つめて少し顔を赤らめる。
「いきなりごめんね、食堂って何処にあるんだっけ? 教えてくれる?」
「食堂ですか? あっちの棟の一階ですけど・・・」
「OKあれね、ありがと」
軽く手を振ると凛々奈は食堂の方へ駆け出した。
走っていく凛々奈を二人はぽけ〜っと見つめていた。
「・・・あんな綺麗な人高等部に居たっけ?」
「見た事ないけど・・・ でもなんで食堂の場所分からなかったのかな・・・ あ! もしかしてあの幻のっ!」