凄まじい威力で胸を貫かれた凛々奈はコンクリートの壁に叩きつけられてそのまま壁にもたれ掛かる
「ゴボァッ」
ビチャビチャ
そして咳をする様に勢いよく血を大量に吐き出した。
カヒュー、コヒュー
悲痛な異音の混じった呼吸音だけが聞こえる。
凛々奈は霞む虚ろな目で自分の右手の方を見た。そこには破壊され砕けた愛銃"バレットパレット"と裂け千切れたぐちゃぐちゃになった右手があった。
カツカツカツカツ
前方から聞こえる足音が近づいて来る。
「今、楽にしてあげます・・・」
歩いてくる死神はまた紅い大鎌を手に持つ。
「ゴハァ」
また少し血を吐くが凛々奈は口を開いた。
「あはは・・ 流石に・・・・ 舐めてたわ・・・ 手加減できる相手じゃなかった」
「手加減・・・? 負け惜しみですか?」
死神、サクラは立ち止まる。
「出来るなら殺したくなかったからね・・・ なんかあんた昔の私に似ててさ・・・」
「自分を殺しに来ている人間に同情ですか・・・?」
止めを刺そうとサクラはまた歩き出す。
「まだ、終わってないんだなぁ〜 さっきも言ったけど死ぬ気はないよん」
ボロボロの状態で凛々奈はニヤッと笑った。
そしてポケットから何かを取り出す。
血の様に紅黒い不気味な色のキャンディ。その先端をサクラの顔に向けて言う。
「今から5分間、私、意識トブから、5分間生きてたらアンタの勝ちよ」
「なにを・・・」
サクラは意味が分からなかった。目の前に居るのは右手と武器を破壊され胸に大きな風穴が空いた瀕死の少女。 放っておいても数分の命だろう。
その少女は手にしたキャンディを勢い良く口に運び・・・・
ガリィッ!
勢いよく噛み砕き呟く。
「ブルームベルセルク」
(なにか・・・ 嫌な予感がします・・・)
サクラは感じた不安からすぐに凛々奈の首を落とそうと走り出すが。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「ツッ!!」
同時に凛々奈が叫ぶ、それはまるで獣の咆哮、瀕死の状態の人間が出せるレベルのものではなく、その凄まじい声に駐車場は軋み震えていた。
サクラも咄嗟に耳を塞いで距離を取る。
「一体なんなんですか・・・」
体制を整え状況を確認しようとすると。
ボゴォッ
「がはッッッ!」
腹部にとてつもない衝撃を受け吹き飛ばされ凛々奈がいた壁の反対側の壁面に叩きつけられた。
「な・・・に・・・?」
叩きつけられた衝撃で舞った砂埃が晴れると元々サクラがいた所に人が立っている。
服装から今迄戦っていた相手、凛々奈である事は分かったが服以外は異常な変化をしていた。
髪は膝下程まで長く伸び、その色は先程手にしていたキャンディの様に紅黒く不気味に揺れている、そしてその表情はまるで獣の様に険しくサクラを睨みつける。
そしてサクラは気付く。
「すぐに・・・ 首を落とすべきでした・・・」
破壊された筈の右手、穴の空いた胸は綺麗に元通りに回復していた。
◆ 数年前
「シエルさ〜んこれは〜?」
事務所のソファで凛々奈が手にして居るのは紅黒いキャンディ。
「それは3つ目の貴方のキャンディよ」
「3つ目? クロノスタシスと回復用の〜、りじぇねれいと? だっけ? あれがあれば十分じゃないの?」
「かもしれないわね、だけどこれから先 貴方達はもっと辛い戦いに巻き込まれるかもしれないから・・・って唯牙がね」
「ふ〜ん、なんでもいいけど強くなれるの!?」
「これはね、貴方の血から作った物でクロノスタシス以上の身体能力と動体視力。リジェネレイト以上の回復力を引き出せるわ」
「えーッ!じゃあそれ一本でいいじゃん!!」
「だけどこれは貴方の中に眠っている力を無理やり起こす物、多分貴方の理性は使ってる間なくなるわ・・・」
「じゃあなんも使えないじゃんか!」
「恐らく使う時は誰かと戦っている時、貴方の中の闘争心だけが残って効果時間内は近くにいる人に見境無しに襲いかかってしまうかも」
「めっちゃ危険人物じゃんか〜 嫌だよ私! そんな可愛くないのいらない!!」
「そうね、だけど周りに敵しかいない時、そして側に唯牙がいる時は使って大丈夫」
「ん? 敵しかいないなら分かるけどなんでセンセ?」
「ふふ・・・ 唯牙なら必ず止めてくれるから」
◆