銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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6-10 満身創痍な二人の家路

 

「う〜ん・・・」

 

 サクラは目を覚ました。どこか懐かしい温もりと感触に包まれて。

 

「おねえ・・ちゃん・・・」

 

 夢を見ていたのか眠気眼で声が漏れる。

 

「あっ起きた」

 

 顔の上から声がした。 横になったまま上を見るとさっき迄戦っていた相手、凛々奈の顔があった。

 

 一緒に全力を出し切って気を失ったのは覚えていたが、なぜかサクラは頭を胸に抱きしめられて眠っていた。

 

「・・・なにしてるんですか? 先に起きたのなら止めを刺せばよかったのに・・・」

 

「ん〜? それはもう引き分けって事でいいじゃん、別に私がアンタを殺す理由もないし」

 

「だからってなんで私は抱かれてるんですか・・・」

 

「だって、泣いてたから」

 

「え・・・・?」

 

「あんたずっと泣いてたから、なんとなく」

 

 サクラは手で目元を拭うとほんのりと湿っていた。

 

「あ・・・」

 

「まっ! アンタも色々あったんでしょ、あの碌でもない機関の連中の事だしさ、深くは聞かないけど」

 

「・・・それで、これからどうするんですか」

 

 サクラは自分の体に意識を向けるがまだまともに動けない事を察する。

 

「とりあえずは、 よっと!」

 

 凛々奈は抱いていたサクラの頭を離すとピョンっと跳ねて立ち上がった。

 

「もう動けるんですね・・・」

 

「フッフッフ、 実質これは私の勝ちって事かな?」

 

 ニヤリと凛々奈はサクラを見下ろす。

 

「さっき引き分けって貴方が言ったじゃないですか・・・」

 

 少しムッとするサクラに凛々奈は近づいて肩に手を回して立ち上がらせる。

 

「な、何を・・・」

 

「帰る!!!」

 

「は・・・・?」

 

「服も体もボロボロだからさっさとシャワー浴びる!!」

 

「なんで私を抱えてるんですか・・・」

 

「アンタも行くの!!」

 

 ギュッとサクラの体を抱き寄せて肩を支えて歩きだす。

 

「連れて行って尋問でもする気ですか・・・?」

 

「ん〜、 着いたらとりあえず応急処置してから〜風呂に突っ込む」

 

「は・・・・?」

 

 さっきから驚いてばかりのサクラを気にせず凛々奈は続ける。

 

「あんたは・・・ サクラ? だっけ? 家で預かる!」

 

「何言ってるんですか貴方は・・」

 

「凛々奈! 最初に名乗ったでしょーが」

 

 腰に回していた手で凛々奈はサクラの横腹をムニッとツネった。

 

「!? やッやめ!!」

 

「あっはっはっは! くすぐったかった?」

 

「ほんとに何がしたいんですか!!」

 

 凛々奈のテンションにすっかりついていけなくなったサクラ。

 

「私達もあいつら、機関の事は調べてる、きっとサクラの力になれると思うよ」

 

 急に真面目な顔で喋りだす。

 

「・・・必要ありません」

 

「復讐したい気持ちは分かるよ、私もあいつらはぶっ殺したくてぶっ殺したくてたまらない・・・・ 大事な親友を・・殺されてるから・・・」

 

 珍しく曇った表情で俯きながら呟いた。

 

「・・・・そう・・ですか」

 

「でもさ!」

 

 凛々奈はバッと顔をあげた。

 

「どうせ悪い奴らぶっ殺すならさ! 私達みたいに苦しめられる人達もついでに守ってあげればいいんだよ!」

 

「守る・・・?」

 

「そう! 私も昔はアンタと一緒だったけどさ、私をあいつらから助けてくれた人達が変えてくれたんだ・・ 怒りと絶望しか無かった私の心も、救ってくれた」

 

「・・・・・」

 

「だから昔の私と同じ目をしたアンタは、ほっとけなかった」

 

 凛々奈の声は優しく語りかけていた。

 

「私の家はそういう悪い奴らから人を守る仕事をしててさ、 フッフッフ、それで丁度今欲しいポジションがあるんだな〜」

 

 またニヤリとサクラを見た。

 

「守る・・・・ よく分かりません」

 

 サクラは目を逸らすがそのまま凛々奈は語り続けた。

 

「それに・・・・・ 私は別に死後の世界とか信じちゃいないけどさ」

 

「?」

 

「復讐の為に生きて、殺し続ける私達でも、誰かを守る為に戦えていたならさ・・・ いつか地獄に落ちたとしても、閻魔様がオマケしてくれるかもしれないよ」

 

 力強く凛々奈は言った。サクラが凛々奈の方を向き直ると。

 

「なんてね!」

 

 さっき迄のふざけた笑顔ではなく、ニッコリとサクラへ笑い掛けた。

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