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二人はお風呂から上がって着替える。凛々奈はいつもの黒いジャージ、サクラは凛々奈の灰色のジャージを借りて着る。
「凛々奈さん!! ほんとに大丈夫ですか? そちらの方も・・・・」
みいなは風呂上がりの二人に駆け寄った。
「うん!ありがと! あとこの子はサクラっていうから」
みんなに名前を伝えながらサクラの背中をパンパンと叩く。
「私は花守みいなです! サクラさん、怪我大丈夫ですか?」
「えっ、あ、うん 大丈夫・・・」
少し照れてもじもじしているサクラ。人見知りなのだろうか。
「で、結局何があったのよ! 一応心配だから待っててあげたんだからね!」
ソファに座ったままフラムが大きな声をだした。
「あ、あそこに居るうるさいのがフラム、その奥の気の弱そうなのがアキね」
ソファの二人を指差して凛々奈はサクラに言う。
「うるさいのってなんだよぉ! 人が心配してやったってのにさ!!」
腕を振り回して怒るフラム。
「もしかして噂の死神にでも襲われたんですか〜」
奥のアキが冗談っぽくのんびり言うと。
「え、そうだけど」
凛々奈はキョトンと答えた。
「え」 「え」 「え」
みいなとフラムとアキの目が点になる。
「んで噂の死神この子だけど」
サクラを指差す凛々奈。
「うぇ〜〜〜!?」
ズサササッ
フラムとアキは一斉に凛々奈達の反対の壁まで後ずさりしてブルブル震えている。みいなは驚いた様だがサクラの前から動かない。
「あ、あんた馬鹿なの!? なんで連れて来て一緒にお風呂入ってんの!?」
フラムはアキに抱きついて涙目になっている。
「み! みいな! 早く離れて! 危ないわよ!!」
みいなへ手招きするフラム。
「えっと・・ でもこの人悪い人じゃないと思いますよ?」
「何いってんの!!」
「フラム〜 早く逃げようよ〜!!」
騒がしいフラムとアキ。
「凛々奈さんサクラさん、何か飲みます?」
「あ・・・・じゃあ、ミルク」
「私りんごジュース〜」
「はい、持ってきますね!」
「あ、ありがと」
みいなは冷蔵庫へと向かった。
「それで、何があった?」
唯牙がデスクから二人に声をかけた。
「いや〜それが大変だったんだから〜」
凛々奈は話した。 帰り道に機関の襲撃があった事、その後に死神、サクラとの戦闘があった事、そして彼女をlastparmへ迎え入れたいということを。
「ふむ、事情は分かったが」
「あ! てかあの機関の奴生け捕りにして情報聞き出せばよかった!! サクラが止め刺しちゃうから!!」
「え・・私・・・?」
「そこは無駄だよ、あいつらは拷問されても情報は吐かないだろうし多分その前に機密保持の為に自決か自爆する」
「やべ〜奴ら〜」
「それで、サクラだったか?」
唯牙はデスクから立ち上がってサクラの前に来て顔をじっと見る。 そしてその頭に手をぽんっと置いた。
「何があったかは聞かないが・・・・ 色々大変だったろう、私は神代唯牙 よろしくね」
「え・・・あの、私・・サクラ・・・です」
サクラがどうしていいか分からずもじもじしていると唯牙は軽く笑った。
「はっはっは、 ウチに来た時のそこの凛々奈より全然素直そうないい子じゃないか」
「はぁ〜!? そんな事ないでしょーが!!」
「いや? あの時のお前の事を"やさぐれイキりりりな"って私とハルは呼んでるぞ?」
「はあッ!!? なにそれ!? めちゃくちゃバカにしてんじゃん!! 私も一応悲しい過去持ちの悲劇のヒロインなんですけど!? てかイキりりりなって言いにくすぎだし!! イキりりなでいいじゃん!!!」
そんな二人にのやり取りを見て。
「フフフッ」
サクラは少し笑う。 それに横の凛々奈は気付き。
「・・・・・アンタ、仏頂面より笑ってた方がずっと素敵だわ」
「あ・・・」
(そういえば、私いつから笑ってなかったっけ・・・)
『サクラの笑顔が私は大好き』
いつかの姉の言葉を思い出す。
「私を変な呼び名でバカにしてた件は今度ハルさんもいる時に追求するとして・・ 本題に入るけど、センセ! サクラをハルさんのボティガードにするわよ!」
「するわよ・・って決めるのはハルだろ」
「この前信用できて強い人がいたらな〜って言ってたじゃん」
よく分からない内に話が進んでいく所にサクラが割って入る。
「ちょっとまって・・・・ なんで私がやるって事で話を進めてるんですか・・・!」
「え? だって結局戦って私勝ったし」
「引き分け!!」
「一応ハルにも確認しないとな、今日は来る予定だったんだが、この時間に来ないなら明日になりそうだ 連絡だけしておく」
「だから私はやるなんて一言も・・・・」
「とりあえず一晩よく考えて決めればいいさ、今日は凛々奈の部屋にでも泊まれ」
また唯牙はサクラの頭をぽんぽんとすると自分のデスクへ戻った。
「話も終わったしみーちゃんが淹れてくれた飲み物飲んで今日は寝ましょ」
凛々奈はソファに座ってみいなが用意してくれていたりんごジュースをゴクゴク飲み干す。
「ほらせっかくみーちゃんが用意してくれたんだから!!」
サクラを横に座るよう促す。
「あ・・・うん」
凛々奈の横に座ってミルクを飲んでいると対面にある向かい合わせのソファから何か視線を感じた。 するとソファの後ろに隠れて顔だけ出してサクラを涙目で見つめるフラムとアキと目が合う。
「な、なにしてるんですか・・・・?」
困惑するサクラ。
「わわわわ、私達の事 ここここ、殺さない?」
「え・・・ うん」
「ほんとにほんと?」
「私がちゃんと言っといたから大丈夫よ」
空になったグラスを置いて凛々奈は言った。
「凛々奈さん おかわりはいりますか?」
「ありがと〜 大丈夫だからみーちゃんも座りな〜」
言われてみいなはサクラの反対側の凛々奈の隣へ座った。
「じゃ、じゃあサクラ・・・だったよね、 これあげる」
サクラの横に来てフラムは何かを差し出す。
「めんたい味とコーンポタージュどっちがいい? 私はめんたい味が好きなんだ〜」
その手には2本のう○い棒。
ガシィッ
凛々奈がフラムにアイアンクロー。
「どっから持って来やがったテメェ〜!!」
「うぎゃ〜!!! アキ〜!」
サクサクサクサクモシャモシャ
「サクラさん、飲み物おかわり大丈夫ですか?」
「大丈夫、ありがとう」
いつのまにかフラムの持っていたう○い棒を並んで食べているサクラとみいなだった。