銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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6-13 一緒に居なよ

 

「せっかく忠告しに来たんですけど、余計なお世話だったかもですねぇ、まさか死神を連れて帰ってくるなんてびっくりですよ〜」

 

 

「でもみいな達とお出かけ出来たから、来てよかったよ! アキ!」

 

 フラムとアキは帰ろうと事務所の玄関から外へ出る。

 

「それじゃあね! また遊びに来るからね〜!」

 

 フラムは大きく手を降る。

 

「はい! またね! フラムちゃん!」

 

 みいなも大きく手を降った。

 

「食った分のう○い棒ちゃんと次持ってきなさいよ」

 

 フラムを睨む凛々奈。

 

「うう〜 分かってるわよ! じゃあね凛々奈」

 

 そう言うと二人は手を繋いで帰って行った。

 

「さてとッ 今日は疲れたしもう寝ましょっか」

 

「・・・・うん、眠い」

 

 凛々奈とみいなの後ろにいたサクラは眠そうに目を擦っている。

 

「そういえばサクラさんの寝る所どうしましょう?」

 

 みいなは首を傾げて凛々奈に尋ねる。

 

「とりあえず今日は私の部屋で一緒に寝るわ、二人なら多分ベッド入れるから」

 

「私、別に床でもだいじょ」

 

 サクラが言いかけた時。

 

「駄目ですッ!!!!!」

 

 何故かみいなが叫んだ。

 

「びっくりしたッ! どったのみーちゃん」

 

「そんな年頃の女の子同士が一つのベッドなんていけません!!!」

 

 顔を真っ赤にして必死に訴えるみいな。

 

「え? 女の子同士だから大丈夫なんじゃないの?」

 

「大丈夫ですけど凛々奈さんは駄目!!!」

 

「なんでッ!? みーちゃんも、たまに私のベッドで一緒に寝るじゃん!!」

 

「わ、私はいいんですよ!!」

 

「・・・・・・・・やきもち?」

 

 見ていたサクラがボソッと言った。

 

「うへへぇ? そーなのぉ〜 みーちゃぁん」

 

 凛々奈の顔が嬉しそうに緩む。

 

「そんなっ事はないですけどッ!!」

 

 赤い顔のまま目を逸らすみいな。

 

「ん〜 じゃあこうしよう!」

 

 凛々奈は掌を拳でポンっと叩いた。

 

 

 事務所の二階の凛々奈の部屋。まだ扉は修理されておらず、申し訳程度のカーテンが入り口に掛けられている。

 

「・・・・・・・せまい」

 

 凛々奈のベッドの上には身を寄せあって三人が横になっていた。

 

「ほら〜 狭いってさ〜 みーちゃんもっと私にひっつかないと〜」

 

「な、なんで三人一緒なんですか!!」

 

「だってサクラとだけだとみーちゃんが嫉妬するし〜」

 

 真ん中に寝ているみいなを右から凛々奈が抱きしめて密着している。左側には仰向けになっているサクラ。

 

「嫉妬じゃないです!!」

 

「・・・・・・・せまい」

 

「みーちゃんが望むならこれから毎日一緒に寝てあげるよ〜」

 

「そこまでは言ってません!!」

 

 

 そんな事を言いながら三人で横になっていると、疲れもあってかいつしか三人は静かに寝息を立てていた。

 

 

 

「う、ん」

 

 真夜中、丑三つ時。寝苦しさからかサクラは目を覚ました。上半身を起こして横を見ると抱き合って寝ている二人がいる。その姿に過去の自分と姉の姿が重なった。

 

「・・・・・・」

 

 サクラはズレていた掛け布団を二人の肩まで掛けなおすと音をたてない様に立ち上がった。

 

そのまま静かに階段を降りて事務所から出る。そして入口の横の壁にもたれかかると、左手で首の傷跡をそっと撫でる、その手で顔の前に人差し指を立てると、その先にはふよふよと紅い球体が浮遊していた。その球体にサクラは話しかける。

 

「お姉ちゃん・・・私、どうしたらいいと思う? 今迄、私達を苦しめたあいつらに復讐する事だけ考えて生きてきたから・・・」

 

 答えは帰ってこない。静かな夜にサクラの声だけが静かに響く。

 

「あのね、お姉ちゃん・・ ちょっと、ほんとにちょっとだけだけどね、凛々奈ってお姉ちゃんに似てるんだ・・・・」

 

「自信満々な瞳で、私の手をとって前に進んでくれる・・・」

 

「お姉ちゃん・・・・私は・・」

 

バタンッ!

 

 何か音が聞こえた。それに気付き、顔の前の人差し指をサッと振ると浮いていた血はサクラの首筋に戻っていった。音の方を見ると車が一台停車している。

 

「・・・ぼーっとしてて気づきませんでした」

 

 サクラが少し警戒しつつ様子を伺っていると、よいしょっと言う声と共に一人の女性が車から降りて近づいてきた。

 

「あらあら? こんばんわ」

 

 優しそうな雰囲気の女性が話しかけてくる。

 

「え、あ、 こ こんばんは・・・」

 

 余りにも自然に挨拶され、警戒していたサクラも自然に返してしまう。

 

「ん〜? あっ、もしかしてあなたがサクラちゃん?」

 

 現れた女性は人差し指を頬に当てて少し考えたあとサクラの名前を呼んだ。

 

「そう・・ですけど・・」

 

「やっぱり〜 私は白銀ハル、よろしくねサクラちゃん」

 

 ハル、そういえばさっきそんな名前を凛々奈達が言っていたなとサクラは思い出す。

 

「どうしたの? こんな時間に、眠れなかった?」

 

「いえ、別に・・・」

 

「ふふ、大変だったわね〜 凛々奈ちゃんに無理矢理連れて来られたんですって?」

 

「それは・・・」

 

 元々言えば自分が凛々奈を殺そうとした所から始まった今日の出来事だった為に少し口篭る。

 

「・・・そういえば貴方は今日は来ないと聞いていましたが」

 

 誤魔化す為に話題を変えた。

 

「うん、ただ近くを通ったから、頼まれてた物だけ置いていこうと思ってね」

 

「そう・・・ですか・・」

 

「それで? どうするか決めた?」

 

「え・・?」

 

「私達と一緒にいるか、どうするか」

 

「・・・・・・まだ、分かりません」

 

「もちろん私達は無理強いはしないし、貴方が一人を望むのというのなら、それは仕方のないことだけれど・・・」

 

「・・・?」

 

「もしもね、今日の短い間だけでもあの子達と一緒に過ごして、少しでも暖かい、安らぎを貴方が感じたのなら・・・ 私は一緒にいた方がいいと思うな」

 

「・・・・・」

 

「うふふ、ちなみに私はボディガード、貴方みたいなかわいい子がやってくれたらとっても嬉しいわ」

 

「・・・どうして、私を信用できるんですか?」

 

「ん〜? そうねぇ〜 人を見る目は確かなのよ、私達」

 

 ハルはサクラに向けてウインクをする。そしてサクラの顔をじっと見つめる。

 

「きっと凛々奈ちゃん、ほっとけなかったのね」

 

「凛々奈?」

 

「昔の自分みたいな、貴方の事を」

 

「・・・・・やさぐれイキりりな?」

 

「プフーーっ!」

 

 ハルが急に吹き出す。

 

「あっはっはっは! なんでそれ知ってるの?」

 

 ハルは爆笑しながら尋ねた。

 

「だって唯牙がいってたから・・・」

 

「えっ!? もしかして凛々奈ちゃんも聞いてた!?」

 

「・・・・うん」

 

「あっはっは、 明日ちょっと差し入れ多めに持っていってご機嫌とらないとだな〜」

 

 ハルは着ていたコートのポケットに手を入れて何かを取り出す。

 

「それじゃあ私は一旦帰るから、これ唯牙のデスクに置いておいてくれる?」

 

 ハルはサクラにUSBメモリを手渡す。

 

「貴方はここに住んでないの・・・?」

 

「うん、私は役割上各地を転々とするからね〜 適当な所に拠点を構えてた方が都合がよくてね、それじゃあ私はまた明日来るから、サクラちゃん、おやすみ」

 

 ハルはひらひらと手を降ってから車に乗って帰っていった。

 

「・・・・このまま出て行こうと思ってたんですが」

 

 手渡されたUSBメモリを見る。

 

「頼まれてしまったので仕方ありません・・・」

 

 サクラは事務所の中へ戻る。そして唯牙が座っていた机の分かりやすい所へUSBメモリを置いた。

 

「ハルさん来たんだ」

 

「ひゃっ!!」

 

 いきなり声をかけられてサクラは変な声と共にビクッと飛び跳ねた。声がした方を見ると凛々奈がソファの上で膝を抱えて座ってこっちを見ていた。

 

「起きてたんですか」

 

「まあね、起きたらアンタの姿が無かったから」

 

「勝手に逃げ出さない様に見張ろうとでもしたんですか・・・?」

 

「別にどっか行っちゃうなら仕方ないかな〜とは思ってたよ、でもさ、もうちょっとだけ一緒にいなよ、それで嫌になったらいつでも出てっていいからさ」

 

 膝を抱えて座っている凛々奈は彼女にしては珍しく憂いを帯びた表情をしていた。

 

「・・・・・・仕方ないですね」

 

 答えると凛々奈の表情はいつもの様に明るくなる。そして立ち上がるとサクラの手を取って引っ張っていく。

 

「はい! 決まり! じゃあ寝るわよ! まだ全然疲れ取れてないっしょ!」

 

「ちょっ、ちょっと」

 

 グイグイとサクラの手を引っ張っていく。

 

「本当に、仕方ない人ですね・・・・」

 

 少し表情が緩むサクラだった。

 

 手を引かれて凛々奈の部屋の扉代わりのカーテンを抜けて部屋に入ると、そこには枕をギュッと胸に抱いて二人を睨むみいながいた。

 

「二人だけでなにしてたんですか!」

 

「ありゃ みーちゃんも起きてたの?」

 

「私を置いて! 二人だけでなにしてたんですか!」

 

 何故か顔を赤くして怒っているみいな。

 

「え? 下でちょっとお話してただけだけど?」

 

「わざわざ二人きりでですか!!」

 

 抱いていた枕をみいなは右手で掴んで振りかぶる。

 

「凛々奈さんの浮気者!!!」

 

バフッ

 

 凛々奈の顔面に枕が直撃。

 

「なんか誤解してるって! みーちゃぁん!」

 

「やっぱり・・・・・やきもち」

 

「なんだお前ら!!  夜中にうるさいぞ!!」

 

 騒ぎで起きた唯牙も混ざって騒々しい夜はもう少しだけ続くのだった。

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