銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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7-7 戦闘“地下駐車場”②

 走り出した凛々奈に先に立ち塞がったのは金髪の少女、ライカだった。ライカは小柄な体を器用に動かし凛々奈の頭に回し蹴りを放つ。

 

 (コイツ、なかなかいい動きするじゃないの!)

 

 ギリギリで上体を反らして躱した凛々奈にライカは追撃の蹴りを何度も放つ。

 

「調子にのんな!!」

 

 隙を見て凛々奈もライカの胸元を狙い蹴り返す。しかしその蹴りをライカは両手で受け止めた。

 

「にゃはは! いっくぞ〜!」

 

 凛々奈の脚を掴んだままライカの髪が光り出しビリビリと閃光が走る。

 

「なッ!?」

 

 驚いて脚を引き戻そうとするがその瞬間にライカの掌に触れている箇所から電撃が凛々奈に伝達する。

 

「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ」

 

「あはははは! あびゃびゃびゃだって!」

 

 それを後ろで見ていたフーカが笑っている。

 

「はなっせ!!!」

 

 凛々奈が手にしていたナイフで切りかかるとライカは脚から手を離して距離をとった。

 

「凛々奈さん! 大丈夫ですか!!」

 

 背後からみいなの心配する声が届く。

 

「だ、大丈夫!」

 

 返事をしてから触れられた脚と体のダメージを確認してみると少し違和感に気付く。

 

(・・・・? 思ったより大した事ないな?)

 

 以前のフラムとの戦闘を思い出すと能力をゼロ距離で直接喰らったにしては体にダメージは入っていない。更に手にしていた拳銃を確認する。

 

(あっぶな・・・ 今ので弾の火薬が暴発したらやばかった・・・ てか電撃で暴発すんのかな?)

 

「どーだ!! ビリビリきたっしょ!!」

 

 エヘンッと胸を張るライカ。

 

「はッ! 静電気かと思ったわよ」

 

「なにぃ〜! 本気だしたらアンタ今頃丸焦げなんだぞ〜!!」

 

「直接触れなきゃ問題ないでしょ」

 

 凛々奈は銃を構えてライカに発砲する。

 

「うわっとっと!!」

 

 それをライカはバク転で回避するが凛々奈は銃を連射しながら走り出す。ライカを隅に追いやり孤立したフーカの方へ。

 

(触れないアイツを殺るのは骨が折れる・・・ 先にこっちを黙らせるッ!)

 

 カチッカチッ

 

 銃の弾丸が無くなるがライカは回避に気を取られ駐車場の端近くまで下がっている。凛々奈は左手のナイフを構えてフーカに飛びかかろうとするが。

 

「ふっふっふ、僕だって強いんだぞ〜」

 

 フーカが凛々奈に向かって右手を大きく払うと凄まじい風が凛々奈に向かって吹き荒ぶ。

 

「クソッ!!」

 

 なんとか前のめりになりながら豪風に吹き飛ばされない様に耐える。

 

「凛々奈さん!! 危ない!!!」

 

 後ろからのみいなの声を聞き咄嗟にフーカとライカの動きを確認する。しかしフーカは目の前でこちらに右手を突き出したままでライカはのんびりとゆっくり歩いて来ているだけだった。

 

「えっ? なにぃ!? みーちゃん!!」

 

 顔の前に手を翳し豪風に耐えていると。

 

「した!! 下!! スカート!!」

 

「ん?」

 

 言われた通りに下を見ると自分で切り込みを入れたスカートが大きくなびいている。

 

「見えちゃう!! 見えちゃう!!!」

 

 顔を赤くしてチラチラと見える太腿を凝視しながら言っている。

 

「そんなこと!?」

 

「にゃははははははははは!!」

 

 それを見ていたライカはお腹を抱えて笑い出す。

 

「フーカ! やっぱりこの人達面白いよ!!」

 

「そーだねえライカ」

 

「バカにすんな!! チビ共!!」

 

 風を受けていた凛々奈は一端後ろに飛んで距離をとった。

 

「みーちゃん大丈夫、ほらレギンス履いてる」

 

 みいなに向かってスカートを軽くたくし上げると優雅なドレスの下に不釣り合いな地味な薄手のレギンスを履いていた。

 

「・・・・そうでしたか」

 

 急に真顔になるみいな。

 

「なんでちょっと残念そうなの!?」

 

 二人がそんなやりとりをしていると風が止む。

 

「どうだ! 私達の強さ思い知ったか!!」

 

「早くしないと爆弾爆発させちゃうぞ〜」

 

 合流したフーカとライカ。

 

「ああ、そうだったわ、さっさと片付けないといけないんだった」

 

 もう一度二人に向き直りナイフ構える凛々奈。

 

「そんなこといっても僕達に勝てないでしょ〜」

 

「そんなナイフ一本でどうするの〜」

 

 クスクスとバカにしたように言う二人に凛々奈は真面目な顔で答える。

 

「ハッ、私を舐めてかかった事、後悔させてやるわ・・・」

 

 そしてまた二人の能力者に向かって走り出した。

 

「にゃはは! さっきと何も変わんないじゃん! フーカ!!」

 

「あ〜いよ!」

 

 距離が詰まる前にフーカが1歩前に出て再び風を起こす。その瞬間に凛々奈は手にしていたナイフを全力でフーカに向かって投擲した。 

 

 真っ直ぐに飛ぶナイフは起こり始めた風を切るように進みフーカの顔へ向かう。

 

「フーカ!!」

 

 それを見たライカが咄嗟にフーカの前に飛び出してナイフを蹴り上げて弾いた。驚いてフーカの風が止まる。

 

「お返しよビリビリチビ!」

 

 その一瞬の行動の内に凛々奈は距離を詰め二人の目の前まで来ていた。そしてライカの鳩尾めがけて拳を振るう。

 

「がっは!」

 

 ボゴォと鈍い音がしてそのまま吹き飛ばされようとするがライカはなんとか腹にめり込む凛々奈の手を掴んだ。

 

「にゃはは、さっきと一緒じゃんかさ」

 

「やってみろガキ」

 

「もごもごもごもご」

 

「お腹痛いからさっきよりもっと強くしてやるから!!」

 

 何か変な声が聞こえた様な気がしたが腹部を殴られた痛みですぐにやり返そうとライカは能力を使い掴んだ腕へ電撃を繰り出した。

 

「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ」

 

「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ」

 

「あえ?」

 

 面白い悲鳴が何故か重なって聞こえる。ライカが声のした方を見ると痺れている凛々奈の後ろ、死角になっている位置に凛々奈の左手で口を塞ぐように顔を掴まれているフーカがいた。その腕を通して二人はライカの電撃を連鎖して喰らっていた。

 

「ちょっ!! フーカ!!」

 

 すぐに手を離してフーカの元へ駆け寄るライカ。その横を電撃のダメージを無視して凛々奈は駆ける。目指すは爆弾の停止装置。

 

「大丈夫!? フーカ!?」

 

「・・・・ビリビリしたぁ」

 

 それを気にせずライカは倒れたフーカを心配している。

 

「はい、これでお終いよ」

 

 停止装置までたどり着きボタンのついた機械を手にして勝利宣言する。

 

「あ!!」 「あ!!」

 

 気付いた二人が立ち上がる。

 

 凛々奈がボタンを押そうとした時。

 

ドゴォーン

 

 遠くから何か爆発音の様な重い音がして地下が揺れる。

 

「わわ! 地震?」

 

 エレベーター前のみいなが驚く。

 

「これって・・・もしかしてセンセしくった!? ちょっとアンタたち!! これアンタらの爆弾!?」

 

 凛々奈は焦り二人に問いかける。

 

「え? 爆発? なんで??」

 

「僕わかんない」

 

 何故か二人も困惑している。

 

「なんであんたらが困惑してんのよ!! とりあえずこっちのだけでも停止させないと」

 

 手にしていた機械のボタンを押す。すると。

 

ババーン!!

 

 前にあったダイナマイトの描かれた箱からデフォルメされたピエロの人形が両手を広げて飛び出してきた。

 

「・・・・・は?」

 

 理解が追いつかない凛々奈。

 

「「ドッキリ!! 大成功ーーー!!!!」」

 

 そこへ二人の大声が響く。

 

「・・・・・は?」

 

「爆発なんて嘘でしたー!」

 

「ただ僕達の所へ来てもらう為の理由作りだったんだよ〜」

 

「・・・・・は?」

 

「にゃははは!! 楽しかったよ!! それじゃあね〜!!!」

 

 そのまま二人は背を向けて帰ろうとする。

 

「・・・・・は? って帰すわけないでしょおが!! こんな訳分かんない事に巻き込んどいてはいお疲れさまですって見送るかあ!!」

 

 ブチ切れる凛々奈。

 

「おおー? まだやんのかー? これ以上やるなら私達ももうちょい本気だしちゃうぞ〜!」

 

「僕達の必殺技使っちゃおうかなー?」

 

 二人はパーカーのポケットに手を入れて何かを取り出そうとする。

 

(武器・・・!?)

 

 凛々奈が警戒し構えをとろうとすると。

 

♪〜〜

 

 賑やかな音楽が流れ出す。

 

「あ、これ」

 

 みいなが何かに気付く。それは日曜朝にやっている女児向けアニメのオープニング曲だった。

 

「フーカ?」

 

「僕のスマホさっきのビリビリで壊れたからライカのだよ」

 

「あ、そっか」

 

 ライカはスカートのポケットからスマートフォンを取り出す。音楽はそこから鳴っていた。

 

「あーあ、僕も時雨に言ってライカのみたいにスマホに耐電の改造してもらうんだった」

 

 フーカもスマートフォンを取り出すがプスプスと黒い煙を上げて動かなくなっていた。

 

「もしもーし」

 

『君達! タイムアップだよ!! 帰る時間だ!!』

 

「はーい! フーカ、時間だって」

 

「おっけぇい」

 

「時雨いま何処にいるの?」

 

『今は夜空を舞い降りているよ!!』

 

「にゃはははは! なにそれ!」

 

『とりあえず約束の場所で落ち合おう!』

 

「はぁーい!」

 

 プッ

 

 通話が終わるとライカはスマートフォンをしまう。

 

「というわけだから今日はもうお開きね」

 

「バイバーイ、楽しかったよぉ〜」

 

 また帰りだそうとする二人。

 

「だから! 逃がすかって!!」

 

 その背中を追おうとすると。

 

「にゃははは! フーカ!」

 

「あーいよ!」

 

 フーカはパーカーの内側から何か丸いものを取り出すと勢い良く地面に叩きつける。するとモクモクと煙幕が大量に吹き出す。

 

「チッ! この! 待て!!」

 

 煙幕の中を突き進み二人の後を追うがすでにもう二人の気配は感じなくなっていた。

 

「凛々奈さん!」

 

 少し時間が経ち煙が晴れるとみいながとてとてと小走りで寄ってきた。

 

「みーちゃん・・・・」

 

「凛々奈さん・・・・」

 

「あいつらなんだったのよぉ!!!!!!!!!」

 

 凛々奈の雄叫びが地下駐車場に響きわたった。

 

 

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