EX1 クリスマス
「う〜ん! チキンにケーキ! クリスマスさいっこ〜!」
クリスマスイヴ、事務所の中では凛々奈達が集まって沢山の料理を囲んでパーティーをしていた。
「今年はみいなちゃんがお料理手伝ってくれたからいつもより気合い入ってるわよ〜」
ハルは楽しそうに小皿に料理をよそって隣にいたサクラに手渡した。
「あ・・・ありがとう」
サクラは受け取った料理をまじまじと見つめている。
「どうしましたか? もしかして嫌いな食べ物ありました??」
その様子を見てみいなが心配そうに言う。
「あっ ちが、・・・クリスマス、お姉ちゃん以外と過ごすの初めてで・・・ 普通の家ってこんな風なのかなって」
「なーにセンチメンタルになってんのよ、今日はただこの美味しい料理を何も気にしないで食べればいいの!」
凛々奈がクリスマスチキンをサクラの口に突っ込んだ。
「ふがっ!?」
サクラは驚いた後にモグモグとチキンをたべだす。
「おいしい・・・」
「ふふふっ 良かったわ」
ハルは満足そうにサクラを見ていた。
「今年はいつもより賑やかだな、凛々奈がいたから前迄も騒がしかったが」
唯牙はグラスに注がれたシャンパンを片手に料理を楽しんでいた。
「なによー! 二人が静かだからわたしが盛り上げてあげてたんでしょーが!!」
「ふふふ、私もユイも凛々奈ちゃんの明るさで元気を貰ってるわよ」
「ふん! センセも感謝しなさいよね!」
「別に嫌だとはいってないだろ、あ、そうだサクラはハルと今日かえるんだろ? これ私とハルから」
唯牙はリボンでラッピングされた小袋をサクラに手渡した。
「えっ? これは・・・?」
「クリスマスプレゼント、欲しいものが分からなかったからな、ハルに決めて貰った」
手渡された袋をサクラはじっと見つめている。
「開けても・・・いい?」
「ふふふ、どうぞ」
サクラが丁寧に袋をあけると真っ白なマフラーが入っていた。
「一緒に夜中にお仕事してるとき寒そうだったから」
手にしたマフラーをギュッと胸にだいてサクラは唯牙とハルに向き直った。
「あの・・・ ありがとう、ハル、唯牙」
「どういたしまして」
「メリークリスマス、サクラちゃん」
「ジーーーー」
そんな三人を凛々奈は睨みつける。
「わたしの」
「ん?」
「わ! た! し! の!!!」
バンバンとソファを叩きながら叫ぶ。
「お前は毎年25の朝にあげてるだろ」
「そうだけど人が貰ってるの見るとすぐ欲しくなる!!」
「持ってくるのめんどくさいから明日」
「ぶ〜!」
「みいなちゃんも明日でいいかな?」
唯牙はプンスカ怒っている凛々奈を無視してみいなに声をかけた。
「うぇ!? わ、私も貰えるんですか!?」
「当たり前だろう、ふふ、楽しみにしてていいぞ」
やさしく唯牙は微笑んで言った。
「えへへ、ありがとうございます・・・ 唯牙さん」
みいなは嬉しそうにはにかんだ。
「もちろん私からもあるわ!!」
凛々奈が空気を読まずに割り込む。
「え!? 本当ですか?」
「まずはこれをあげるわ! みーちゃん!」
凛々奈は背後から真っ赤なソックスをとりだしてみいなに渡す。
「これを枕元に置いて寝たら明日の朝にはそこに最高のプレゼントが入ってる筈よ!」
「これにですか? えへへ、凛々奈サンタさんですね」
みいなが嬉しそうに凛々奈を見つめるとその可愛らしい笑顔に凛々奈は赤面してしまう。
「みーちゃんきゃわわ・・・」
ぼそりと口から小さく声が溢れた。
「? どうかしましたか?」
「ほらほら! イチャイチャしてないで沢山お料理あるんだから! 冷めない内に食べましょ!」
ハルが手を叩いて仕切り直す。
美味しい料理と暖かな空間はいつのまにか時間が過ぎて楽しいクリスマスイヴの夜はふけていった。
◆
みいなは自分の部屋にもどってベッドに入る。そして凛々奈に貰った赤いソックスを枕の横に置いた。
「えへへ、たのしかったな・・・ プレゼント・・・なんだろうな・・・ 楽しみだな・・・」
パーティーの事を思い出したり、明日のプレゼントへの期待を膨らませているといつのまにか、みいなは心地よい眠りに落ちていった。
◆
「う〜ん」
目が覚めると暖かくて柔らかい感覚に包まれているのに気付く。
「むにゃ」
前を見ると目の前に凛々奈の顔が。
「うひゃあ!!」
驚いて変な声がでる。
「な! なんですか凛々奈さん!」
上半身を起こして横で爆睡している凛々奈をよくみるとその右足には赤いソックスが。
「え・・・ もしかして・・・ プレゼントは私ってアレですか・・・・・」
なんともいえない気持ちになったみいなはベッドから降りる。
「はぁ、ほんとうに凛々奈さんはしょうがないですねぇ」
呆れた様に言うと毛布を凛々奈の肩までかける。
チュ
凛々奈の頬に軽くキス。
「メリークリスマス、凛々奈さん」
◆
唯牙からのプレゼントは前々からみいなが欲しがっていた料理本と料理道具。あまりの喜び様に凛々奈は嫉妬して何か買っておけばよかったと後悔していた。