銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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8-4 ちーむけっせい

 

 ヒートアップしたドッジボールも終わり4人はUNOのカードと紙袋の乗った机を囲んで椅子に座っていた。

 

「いや〜 楽しいかったね〜」

 

 座ったままリズムよく足を揺らしてご機嫌にフーカが言う。

 

「楽しくないわ!! ただ鳩尾にボールぶち込まれただけだぞ私は!!」

 

 バァンと机に手を叩きつけてフラムは叫ぶ。

 

「・・・・というか4回ボール投げただけじゃない?」

 

 破裂してペラペラになったボールだった物を摘んでいるサクラ。

 

「あはははは、ちょっと短期決戦すぎたね〜 でも楽しかったよね? ライカ?」

 

 フーカが言いながらライカの方を見る。

 

「え・・・ああそうだね、うん、楽しかった楽しかった」

 

 そこにはがくんと頭を下げてテンションがガタ落ちしているライカ。

 

「なんだよこいつ! 急にテンションガン下がりじゃん!!」

 

 フラムが驚きながら言う。

 

「にゃあ〜 楽しかった楽しかった うん、うん楽しかった楽しかった」

 

 死んだ魚の様な目でライカは虚ろに繰り返している。元気にぴょこぴょこ跳ねていたツインテールもしなしなになって垂れ下がっていた。

 

「あらあら〜 ライカ電池切れか〜 よいしょっと」

 

 その様子を見てフーカは立ち上がった。

 

「電池切れ・・・?」

 

 サクラが首をかしげて言う。

 

「そうだよ〜 ライカは電気が元気だからね〜」

 

「なんだよそれ」

 

 フラムもよく分からないでいるとライカに近付きながらフーカはポケットから何か取り出す。

 

 取り出したのはフーカの片手でギリギリ掴める程の大きさの黒い機械。先端がクワガタのハサミの様に二股に分かれている。その両端を繋ぐ様に電気の閃光がバチバチと音を立てて走った。

 

「え・・・ それスタンガ」

 

 サクラが言い終わる前に。

 

「エネルギ〜チャ〜〜〜〜ジ」

 

 バリバリバリバリバリバリバリバリ

 

 フーカがライカの首元に迸る電撃を押し付けた。

 

「うううううあああああおおおおおおおおおおあああばばばば」

 

 謎の言葉を発しながらライカが黄色く発光する。

 

「あ! これアニメとかだと骨が透けて見えるやつだ!!」

 

 何故かテンションがあがるフラム。

 

「・・・・女の子が女の子の首筋にスタンガン当ててるこの絵面なかなかショッキングだと思うよ・・・」

 

 引くサクラ。

 

 Pー!

 

 甲高い電子音が鳴るとライカの発光とスタンガンの電気が止まった。

 

「ど〜お? ライカ〜?」

 

 スタンガンをポケットに仕舞いながらフーカが尋ねる。

 

「うおおーーー! 元気100倍ぃ!!」

 

 死んだ魚の目をしていたライカは元の元気な綺麗な瞳になりぴょんっと元気に両手を上げてジャンプした。艶々になった綺麗なツインテールも元気に跳ねる。

 

「ほんと騒がしいやつだなー! お前ら!」

 

「・・・・まあ元気なったなら良かった」

 

 復活したライカを確認するとサクラは立ち上がる。

 

「それじゃあ、私、帰る・・・・」

 

 机の上の紙袋に手を伸ばそうとすると。

 

「待て待て待て待て待てぇえええい!! 待てぇ!!!!」

 

 ライカがとてつもなく大きい声で制止する。

 

「ちょっ! なに!? うるさい!!」

 

 驚くサクラ。

 

「決めた! またこのみんなで遊ぶ!!!」

 

「おお〜! いいねぇ〜」

 

 双子が勝手に何かを決めようとしている。

 

「・・・・え」

 

「この4人なら折角全力だして遊べるんだ! それに全力で戦った私達はもうマブダチだぁ!!」

 

 ・・・なんか同じ様な事を最近言われたなぁとサクラは思う。

 

「そうだ! 折角だからチーム名をつけよう!」

 

「そうだねぇ、特別な力を持った女の子4人なんてなんだかアニメみたいだよねぇ〜、日曜日の朝にデビューしちゃおうか〜」

 

 どんどん話が進んでいく。

 

「ちょっと! 私やるなんて言ってない! フラムも何か言って!!」

 

 このまま行くと訳のわからない事に巻き込まれ続けてしまうと思いフラムに助けを求める。

 

「えへへ〜 じゃあ私がリーダーかな〜? 炎って絶対主人公だもんね〜」

 

 ノリノリだった。

 

「にゃはははは!じゃあとりあえずチーム名を決めよう!」

 

「あ! あれがいい!! プリキュ」

 

「それは駄目だねぇ〜」

 

 ちびっ子三人がとてつもなく盛り上がっている。その様子だけを見るなら可愛らしい女の子達が楽しそうに話している可愛らしい光景だが、サクラはこのままではマズイ事になるとこっそり逃走の準備をする。 すると

 

 ブルルル

 

 サクラのポケットのスマートフォンが振動した。

 

(?・・・ハル?)

 

 何かあったのかとポケットから取り出して画面を見ると通知が1件来ていた。

 

『グループ おもたん に招待されています。』

 

「?」

 

「私達が全力で遊べる事を探す探検隊! おもしろい事探検! 略しておもたんよ!」

 

 いきなり目の前に近づいて来たライカがスマホを片手に言った。

 

「えッ!!? なんで私の連絡先知ってるの!?」

 

 サクラはいつものクールな表情が完全に崩壊した驚いた表情になる。

 

「この前凛々奈が手が空いてない時に何かあったらこっちに連絡して助けてもらえって教えてくれた!」

 

 ライカの後ろからひょこっとフラムが顔を出す。

 

「勝手に!?」

 

「えへへ〜 これも運命だよ〜」

 

 フーカも後ろから顔を出す。

 

「・・・・・・・い」

 

 嫌だと断ろうと口を開こうとすると三人の少女たちがうるうるとした瞳で上目遣いで見つめてきた。

 

「お姉ちゃん・・・お願い・・・・」

 

「ううッ!」

 

 圧倒的なおねだり力でサクラの心が揺らぐ。少し額に手を当てて考えるが涙目で訴える少女達を見て。

 

「・・・・・・時間がある時だけだよ」

 

 折れた。

 

「「「イェイ!!」」」

 

 ちびっ子三人が元気にハイタッチして喜ぶ。

 

「ね〜? おねだりすればいけたでしょ〜?」

 

「サクラって案外チョロいんだな」

 

「これでチーム結成だ!」

 

 どうやらさっきの潤んだ瞳は作戦だったみたいで。呆れてハァッとため息をつくサクラだったが楽しそうに笑う三人を見ていると自然に表情が緩む。

 

「・・・・・まあ、いいか」

 

 こうして“おもしろい事探検隊” おもたん が結成された。

 

 

 

「・・・・・でもおもたんは嫌だから変えて」

 

「「「ええ〜〜〜」」」

 

 おもしろい事探検隊 おもたん(仮) が結成された。

 

 

「じゃーねー!!」 「ばいば〜い!!」

 

 そんな事をやっている内に日が傾き始め、辺りが夕陽で赤く染まる頃、もう帰る時間だと言って双子は手を降って帰って行った。

 

「ハァ・・・・ いつもの何倍も騒がしい1日だった・・・・」

 

 疲れ果てた顔のサクラ。

 

「私もそろそろ帰ろっと」

 

 横にいたフラムも帰宅しようと机の上の紙袋を手にする。

 

「・・・・・そういえば引き分けだったけど取られなくてすんだね・・・・・」

 

 サクラも自身の紙袋を持って帰る準備をする。

 

「あ! そういえばそうだったね! とりあえず取り返せて良かったよ! へへへ、1個食べながら帰ろっと!」

 

 フラムがガサガサとパンのハイタッチ袋を開く。

 

「ん? あーーーー!!!」

 

 すると中を確認して大きな声をあげた。

 

「・・・・・どうしたの?」

 

「1個減ってる!!!」

 

 どうやら中にある筈のパンの数が少ないらしい。

 

「・・・・まさか」

 

 サクラも紙袋を開く。するとたい焼きも一つ無くなっていた。

 

「あっ! いっこ無い!!」

 

「あいつら!一つずつ持ってきやがったなぁ!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 なんとも言えない沈黙の後にサクラが口を開いた。

 

「・・・・・・・一つ・・食べる?」

 

「・・・・・・・うん、じゃあこのメロンパンと交換しよ?」

 

 なんとなく一つずつパンとたい焼きを分け合って、二人はそれぞれ帰るべき家へと向かっていった。

 

 

「にゃはははは! 楽しかったねえ! フーカ!」

 

 たい焼きをかじりながらフーカと手を繋いでスキップしているライカ。

 

「そうだねぇ〜 面白いお友達も出来て良かったねぇ〜」

 

 片手にあんぱんをもって並んでスキップするフーカ。

 

「早く帰って時雨にお話しよ! フーカ!」

 

「うん! ライカ!!」

 

 夕陽に照らされる双子のご機嫌な声が紅い空に響いた。

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