銃と少女と紅い百合   作:彼方リカ

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10-9 希望の光は喧しい

 

 凛々奈は倉庫の間を走る。みいなはこの倉庫地帯の端の一際大きな建物に居る筈だった。足を動かしつつ右手に握る銃を見る。

 

(これならあのクソガキに一泡吹かせてやれるわ!)

 

 強化された愛銃を握る手に力を込める。

 

(あのサクラとハルさん相手に相打ちで済む奴だったから、最悪私が死んでもぶっ殺してやろうと思ってたけど・・・)

 

 凛々奈の口角が上がる。

 

「行けるわッ!」

 

 後に控えるあの少女との戦いに勝機を見出した凛々奈の頭上から何かが迫る。

 

「次から次へとッ!」

 

 それに気付いた凛々奈はナイフを取り出し迫る影に刃を向ける。

 

ガギンッ! という音と共に激しい火花が散る。

 

 迫っていた黒い影は腕から伸びる大型のブレードで斬りかかって来ていた。お互い刃のぶつかり合った衝撃で反対に跳ねる。

 

「あら、最近流行ってんの?」

 

 受身を取り体勢を整えながら新たな襲撃者を確認する、全身を漆黒の鎧に包まれた大男が分厚い手甲から伸びる巨大なブレードを構えていた。腕以外の姿は以前サクラと出会う前に戦った機関の襲撃者と同じタイプのバトルスーツ。

 

「それ鎧殻? いいもん支給して貰ってんじゃないの」

 

 腕のブレードを見て言う。男は何も答えない。

 

(このタイプなら問題ない・・・ 前に一度殺してる)

 

 凛々奈は既に如何に相手を倒すかでは無く、如何に手持ちの弾薬、キャンディを節約して相手を無力化するかに思考を注ぐ。

 

しかし

 

「・・・まーじか」

 

男の背後から左右に一人づつ、同じ戦闘スーツを纏った男が現れた。一人は両肩に大型の砲身、もう一人は両足に分厚い装甲を装備している。恐らくそれらも鎧殻。3人の兵士が立ちはだかる。

 

(これは・・・ 一本は使わないと厳しいか)

 

 凛々奈の頬を冷や汗が伝う。今の彼女が全力を出せば苦戦する相手ではないだろう。しかし凛々奈の脳内にあの少女、みいなを連れて行った純白の少女の姿が浮かぶ。

 

(アイツ相手にキャンディ1本では厳しすぎるッ!2本つかって何とかなるかなって思ってたのに!!)

 

 類まれなる戦闘センスを持つ凛々奈。それ故に焦る。備えていた戦力プランが現れた刺客によって崩された。

 

 1日に使えるキャンディは3本まで、既にシエルの所で回復に1本使用している。

 

(弾丸1発だけで済ませたい位だってのに!!)

 

 目の前の敵はキャンディを使用しなければ太刀打ち出来ない事を五感で感じ取る。

 

(マズイマズイマズイマズイ)

 

 どうするかと凛々奈の思考が鈍った刹那。3つの影が襲い来る。

 

「クソッ!」

 

 それを咄嗟に後ろに跳ねて回避する。しかし男達の殺意は止まらない。右手の巨大なブレード、両肩から放たれる小型ミサイル、凄まじい脚力で飛び掛かってくる鉄の脚。なんのフレーバーも使用していない凛々奈は回避するだけで精一杯だった。

 

(どうする!?どうするどうするどうする!? キャンディを使う!? 残り一本であのガキに挑む!? それしかないか!?)

 

 ギリギリの回避を繰り返しながら凛々奈は何か手が無いかと思考を巡らすが。

 

「あっ」

 

 回避で縺れた足を鉄の足の蹴り払いが掠める。バランスを崩した凛々奈は背中から倒れた。その瞬間スローモーションになった凛々奈の視界には目の前に迫る巨大な刃、四方八方から降り注ぐミサイル。目前に迫る死に凛々奈の脳内にやっぱり最初からキャンディを使っておけば良かった、温存なんてするんじゃなかったと後悔が駆け巡る。そして。

 

「みーちゃん、ごめんね」

 

 死の間際、無意識に口からそんな言葉が漏れた。

 

 

 

 

 

 

「バァアアアアアーーーーニング!!!!」

 

「ラァアアアアアアアアアイトニング!!!」

 

「ウィンドオオオオオオ!!!!!!」

 

「ぶ、ぶらっでぃーーー!」

 

 

「「「「スペシャルアタァァァァック!!」」」」

 

 

 気の抜ける程元気で場違いな声が夜に響き渡った。

 

 なんだか色んな物が降り注いで凛々奈の目の前が爆発する。その勢いで凛々奈は吹き飛ばされ命に届きかけた刃から逃れる事が出来た。

 

「な、なに!?」

 

 何が起こったのか分からずに突然起こった爆発のあった場所を見る。モクモクと上がる煙の中に小さな3つの影とそれより少し大きい影が一つ。

 

「おぉい!! バーニングスペシャルだって言っただろ!!」

 

「あたしが一番強いんだからライトニングスペシャルに決まってんの!!」

 

「ウィンドスペシャルアタックが一番無難だよね〜?」

 

「みんな・・・ そんな事より気を付けて」

 

 

 煙の中から聞こえる声はいつもの、大切な日常の音。

 

「あ、あんた達・・・・・ なんで・・・」

 

 ポカンと口を開ける凛々奈。

 

 強い風か吹いて煙が晴れると何故か揃って戦隊ヒーローのような決めポーズをした友人達が居た。

 

「「「「おもたん!! 参上!!!!」」」」

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