原神世界に孫悟空の力を持って転生した主人公が好きに生きるだけの話 作:フリーナー!!
過去編 前章 嘘の代償
「ねぇ、まーくん。」
『なーに?』
「私と、これからもずっと、一緒にいてくれる、、?」
不安そうに僕の顔をみて、答えを待つ彼女。そんな彼女に、僕は胸を張ってこう答えた。
『うん!!もちろんだよ!!』
「わたしのこと、すき?」
『大好き!!』
そういってぼくは彼女の手をにぎる。
「——まーくんは、私が守るから、、もう、寂しい思いはさせないから、だから、まーくんも、私を、守って。」
『うん、わかった。』
「もう、さびしいおもいは、まーくんにもうさせたくないし、わたしもしたくないの、だから———
ーーーーーーーーーーー
『んー、、んぅ、、?』
僕は目を覚ました。なんだか、懐かしい夢を見ていた様な気がする。思い出そうとしても、なかなか思い出せない。....っと、そろそろ朝ごはん作らないとな。うーん、、先にユリ姉起こしにいくか?いや、あの人は眠りが結構深いからな、こんなに早い時間じゃ起こしに行っても恐らく起きないだろう。というわけで、僕は先に朝ごはんを作る事にした。
『、、、よし、出来た。』
朝ごはんを作り終えたので、ユリ姉を起こしにいく。今の時間は7時、学校へは8時に家を出れば間に合うので、いつもこのくらいに起こしている。—両親は、いない。物心ついた時にはもうどっちもいなかった。
ユリ姉の両親も、僕達が幼稚園を卒業した後すぐに亡くなった。僕は自分の両親の事をあまり覚えていない。元々両親とはあまり話していなかった様な気もする。僕の両親は両方とも海外で仕事をしていたらしく、僕と会うのも年に一回あるか無いかくらいだったという。でもその代わり、預けられたユリ姉の両親は、僕に優しくしてくれて、沢山話した記憶がある。ユリ姉とよくままごとして遊んだりして、ユリ姉の両親もたびたび混ざって遊んでくれた。そのおかげか、両親がどっちも仕事でいなくても、僕は寂しいと感じたことは無かった。
だけど、そんな日常にも終わりは来る。幼稚園に入り丁度一年たった頃、僕の両親の仕事が一区切りついたので、日本に帰ってくるということだった。テレビ通話などで度々顔を合わせていたが、実際に会うのは本当に久々だったので、楽しみだった。
だが、僕の両親が日本に足を踏み入れる事は無かった。
乗っている飛行機がジャックされたらしく、僕の母は飛行機に搭乗しているみんなに逃げる意思を失わせる為の見せしめとして、殺された。
それを止めようとした父も、同じように見せしめとして殺された。両方とも頭に銃を撃たれた為、即死だったらしい。
飛行機ジャックは、二日間続き、約2名の死傷者が出たので、大々的にニュースにもなった。当時、僕はこのことをすぐには知らなかった。
ユリ姉の両親が、僕に伝える事を躊躇ったのだ。でも、彼らの気持ちもわかる。当時の僕は幼稚園に通っていて、意思疎通が出来る程度には話せるようになっているものの、死という概念を知るには、余りにも幼かったからだ。だから、両親は僕がもう少し大きくなってから伝えようと思い、真実を隠した。その日の僕は、何か様子が変な彼らの事など気にせず、もう帰る事の無い大事な人達の事を、ずっとずっと待ち続けた。
—もう会うことは出来ないと知らずに。
それから僕の生活は、ご両親に変わり、メイドさん.....白雪紗良が担当する事になった。雇ったといっても、週に2回きて、掃除や、金銭の管理等をするだけで、別に僕の生活が劇的に変わった訳でも無かった。ただ、僕の父と母に電話する事の一切を、禁じられた。理由を聞くと、「今とても大事な仕事に取り組んでいるから、邪魔してしまっては悪いから」みたいな話をされた。当時幼かった僕は、その言葉を信じて、仕事が早く終わる事を願いながら、ただひたすらに、両親からの電話を待ち続けた。
それでも、一年経っても電話の一本も来ないとなれば、当時幼稚園児であった僕も、流石におかしいと思い、ユリ姉の両親に問い詰めた。
どれだけ詰め寄っても、仕事が忙しいという返事しか帰って来ないので、紗良さんにも聞いたのだ。
『パパとママは、いつ仕事がおわってぼくにでんわしてくれるの?』
それを聞いた紗良さんは、驚いたように目を見開いたあと、少し青ざめ、泣きそうな顔をしながら、僕の頭をそっと撫でて、こう言ってくれた。「まだ、ユリ様のご両親は、その事を伝えていなかったのですね。...伝える言を先延ばしにすればする程、傷は深くなっていくというのに。」後半の部分は小声だった為僕の耳には届かなかった。その後、すぐにユリ姉の両親の元へ行き、すぐに僕に本来の事を言う様に言った。
「ぼっちゃんは、、、いいえ、マリーはとても強い子です。貴方たちが思っているより、何倍も。確かに、真実を伝えるには、幼いと思うのもわかります。ですが、選択を先延ばしにすればする程、その揺り返しが大きくなる事を、貴方方もご存知でしょう?」
それを聞いたユリ姉の両親は、悩みに悩み、幼稚園の終業式が終わったあとに説明すると言った。それを聞いた紗良さんは今すぐに!!と言おうとしたが、「あと一ヶ月で、マリーも、ユリも終業式を迎える。辛い過去を背負ったまま、悲しい顔をして、卒業してほしくないから。初めての卒業が、悲しいものであって欲しくないから。」と言った。確かに、彼らの気持ちも、痛い程わかる。だから、
「わかりました...でも、もうこれ以上、先延ばしにはしないで下さいね。」
—情けと思って出したこの選択が、紗良さん自身への罪と変わる事になるとは、思ってもいなかっただろう。
話が終わったあと、紗良さんから「坊ちゃんが無事幼稚園を卒業したら、ユリ様のご両親から、坊ちゃんの両親の事を聞けますよ。」と言ってくれた。あの日から感じていたなんとも言えない寂しさが、少し軽くなった様な気がした。『あともう少し我慢すれば、パパとママにあえる!!』幼き子の、小さなわがまま。それは、卒業が迫るに連れて肥大していき、小さな小さな願いはやがて、大きな希望となって、僕の心の割合を占めていった。そして、とうとう来た卒業式。そして、ユリ姉の両親から、こういわれた。
「まーちゃんの両親の事で話す事があるから、明日、うちに来なさい。」
やった!!パパとママに会える!!そう思った僕は、周りが見えなくなるほどに嬉しく思い、今までにないほどな笑顔でコクンと、顔を縦に振った。顔を縦に振ったせいからか、その時の周りの人達が全員暗い顔をしている事を、僕は知らなかった。
—そうして、その日の僕は、久しぶりに両親と話せるのが楽しみすぎて、生まれて初めての夜ふかしをしてしまった。いつもは9時には寝てるのに、その日だけは、1時まで起きて、ユリ姉とのことや、紗良さんのことをたくさん話そうとおもっていた。
朝起きて、すぐに着替えて、ユリ姉の家へ向かった。そして、ピンポンを押す、、、、だが、反応がない。あれ?と思い、もう一度押す。だがやはり、反応がない。おかしいなーって思いながら、ドアノブに手をかけ、回す。
ガチャッ!
いつもしまっている鍵が、今日は空いていた。
中へ入る。
そこには、
一人でぽつんと座り、泣いているユリ姉がいた。
『ゆりちゃん!!どうしたの!!?』
急いで彼女の元へ駆け寄る。彼女は、ゆっくりと顔をあげて、とてもか細く、小さな声で、こう言った。
「わたしの、パパとママが、、、いなくなっちゃった。」
『—————え?』