つくもがみん!~え?この召喚陣に素材をおいて付喪神を作れる?じゃあ、何にし──「オ、オエエエェッ…………!(吐瀉物噴射)」──召喚陣「ピカァ…」~   作:環状線EX

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二話 これだから最近の吐瀉物は

 

 

「服ない?」

 

 そうつぶやいたのはゲロ神だ。

 やっと出てきたと思ったらそういわれたのだが。

 

「何かお前、さっきと違くないか?」

「さっきって?」

「いや、なんていうか、雰囲気?」

 

 なんかさっきは恥ずかしがってたのに、今は全裸のくせに何食わぬ状態で立っている。

 未発達な体形ながらもくびれもある美しい体のはずなのだがなぜか反応しない。ゲロだからだろうか?やはり、ゲロはダメなのだろうか?

 というか、改めて思うがゲロのくせに美少女なのはなぜなのだろうか?

 

「あなたと接してたら恥ずかしがってるのとか馬鹿らしくなって。さっきのことも気にしない事にしたの。それより服」

「あ、ああ。えっと、そこに俺の服が入ってるから取りあえずそれを着ててくれ。どれ使ってもいいから。時間が出来たら服は買ってやる」

 

 ほんとに気にしていないそぶりに驚きながらタンスを指さす。

 この変わり様は怖いまであるが。

 あまり、根に持ってなさそうなので良しとしよう。

 

「わかった……くっさ、そんなとこで突っ立てないでさっさと風呂入ってきた方がいいわよ」

「おい、やっぱ根に持ってんだろ」

「そんなことないわよ」

 

 そういって、服を物色しに行ったのを確認してから俺も風呂に向かう。

 後片づけもしないとな。

 床にぶちまけられた吐瀉物を見ながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

「いや~スッキリした……はぁ、忘れてた」

 

 風呂上がりの俺を俺を迎えたのはゲロだった。

 いや、ゲロ神の方じゃない。ガチの方だ。

 風呂に入って完全に忘れていたが、これを片付けなければならない。

 

 と、思っていたのだが。

 

「それなら片づけられるわよ」

 

 俺のTシャツをダボっと着たゲロ神がそういってきた。

 

「え、マジで?」

 

 どうやら、付喪神パワーでなんとかできるらしい。

 嬉しい誤算。まさに棚ゲロってやつだ。なんかきたねぇな。

 

「じゃ、じゃあ、頼め──」

「あー肩こったなぁ…………あ、ごめん、聞いてなかった。なんだって?」

 

 ゲロ神は自身の肩に手を置きながらわざとらしくそういう。

 

「えっと、ゲロを──」

「こんなにこってたら動けないかもなぁ」

 

 コ、コイツ……!

 胸部装甲がねぇくせに。

 

「あ、あー、めっちゃ肩揉みたい気分だなぁ」

 

 こんなことをするのは気が進まないが仕方ない。

 ゲロを触るよりゲロ神の肩をもんだ方がマシだ。

 

「ふーん、あ、そう。あ、でも私はダメだよ。なんてったって神様だからね。どうしてもっていうなら考えなくもないけど……」

「ど、どうしても揉みたいなぁ」

「えーどうしようかなぁ。でもなぁ、女の子の身体を揉みたいって言われたからって……」

「おい、身体じゃなくて肩だ。大体何が女の子だ?ゲロだろただの」

「え、なに?それが神にものを頼む態度?」

「チッ」

「あれ?もしかして今舌打ちしたぁ?」

「いいえしてませんとも」

「そうだよねぇ。びっくりした。それにしても人にものを頼むときってどうするんだっけ?」

「……ボクニカミサマノカタヲモマセテクダサイ」

「ん―、まぁ、仕方ないからさせてあげる」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、やっとか」

 

 やっと片付いたと思い、先ほどまで吐瀉物が散乱してた床を見る。

 ゲロは見る影もなく床はきれいになっている。

 ここまで完璧でなかったら普通にやった方が良いと後悔していただろう。それくらい時間がかかった。

 

 あれから何とか能力を使わせることに成功したのだか、腐っても付喪神ということだろうか。ゲロの神にふさわしい力だった。

 彼女が手のひらをかざした瞬間消えたのを見て驚いた。

 ふと気になり付喪神パワーで自身の身体に吸収でもしたのかと聞いたら睨まれた。どうやら違うらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば名前は」

 

 ふと気になり我が物顔でソファで寛ぐゲロの化身を見る。

 

「名前?」

「そう、名前、ゲロの神でもいいと思ってんだが、俺が恥ずかしいだろ」

「それ元凶のアンタが一番言っちゃダメな言葉でしょ。それにこっちだって恥ずかしいわよ。自分の主人(マスター)がこんな……ぷっ……くすっ」

「お、おい、今どこ見て笑った?俺はどこに出しても恥ずかしくないと定評のある男だぞ」

 

 笑われるはずないのだ。

 というか。

 

「性格面を筆頭に非の打ち所がないはずだ」

「え、それ本気で言って……ああ、なんだジョークか」

「いや、ちげぇよ」

 

 なんか、性格悪くない?

 初めはもっと可愛げがあったのに。

 くそっどうしてこんなことに。

 

「で、話を戻すけど名前どうする?」

「どうするって、主人(マスター)がつけてよ。元来ものに名前を付けるのは人間側よ」

「えー、ゲロ子とか?」

「なに?バカなの?なんで、ゲロって呼ぶの恥ずかしいって言って名前つけようとしてるのにそうなるの?」

「じゃあ、何が……え、あれ?なんかお前光ってね?」

 

 ゲロの神あらためゲロ子は何故か光り輝いている。

 あれだろうか?

 よく規制されるときとかに使われるキラキラの応用で光ってるのだろうか?流石ゲロをつかさどっているだけある。

 

「ちょ、な、なんで!?」

「落ち着けって。あれだろ?世界の修正力かなんかでゲロに規制が入っただけだろ?」

 

 何を大げさな。

 付喪神なんてものがいる世界だ。ちょっとゲロに規制が入ったくらいで喚くなよ。

 

「ど、どうしてくれるのよ!私の名前、ゲロ子で決定しちゃったじゃない!」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し落ち着いて考えてみよう。

 キラキラネームってのはどこまでがキラキラなんだ?

 というかキラキラネームでも意外とそこまで気にしないよね。

 ほら、だって最近の子ってそういう子少なくないじゃん。

 俺だって小学校の友達とか全く気にしてなかったけど今思うとキラキラじゃね?なんてこともあるし。

 いや、そもそも名前に『子』が入っている時点でキラキラはしていないのでは?

 むしろ古風というか。

 

「まぁ、そういうわけだ、ゲロ子」

「どういうわけよ?」

 

 ジト目で睨まれた。

 

「そ、そんなに嫌なら変更はできないのか?裁判所とかで」

「出来るわけないでしょ」

「でもなぁ、そんな簡単に名前付くと思ってなかったし」

 

 そう、仕方ないのだ。

 

「本気でそれにしようと思ってたわけじゃないし」

「本気でつけようと思わないとできないようになってるのよ」

「……」

「はぁ」

「め、飯食い行こうぜ!」

 

 俺は何とか話を変えようと高性能ブレインを超回転させた。

 最終的にまだ社会に慣れていないという理由でコンビニに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 午後九時。

 トシャ高校二年C組出席番号二十三番吉田太郎は食料調達のため立ち寄ったコンビニで天使と出会った。

 それは運命ともいえた。

 二年C組出席番号二十三番吉田太郎は軍資金を握りしめ夕食を吟味していたのだが、そんな時聞聞きなれた入店音と共に天使が舞い降りたのだ。

 正式名称は知らないが薄茶色の髪に水色の瞳、そして白い肌。

 出席番号二十三番吉田太郎はこの素晴らしい出会いに感動した。

 

「おい、ゲロ子機嫌なおせよ」

「……」

 

 だが、悲しいかな天使はひどくご立腹のようだ。

 というか、なんだあの男は?

 中学生くらいだろうか?妙に顔が整っていていけ好かないが、天使の従者と言ったところだろうか?

 それにしてもなんだあの口の利き方は?

 天使様に対して無礼な!

 はぁ、まったく中学生ってやつは自分が大人になったと勘違いしてすぐに調子に乗る。

 大方つくもがみんを手に入れたばかりで強気になってるのだろう。

 天使様が怒るのは当然のことだ。

 出席番号二十三番は怒りを覚えた。

 

「はぁ、アイス買ってやるから」

「そんなんで許すわけないでしょ。取りあえずこれとこれと……」

「おい、一個に決まってんだろ」

「チッ」

 

 なんて心の狭い男だ。

 天使様のためならいくらでも、何なら工場まで買ったって足りないのに!

 二十三番は怒りのあまり持っていたおにぎりを握りつぶす。

 

「え、なにあの人ヤバ(ボソッ)」

主人(マスター)、ああいうのにはかかわらない方がいいと思う。ああいうのに限って自覚してないから(ボソッ)」

「そうだな。さっさと出よう(ボソッ)」

 

 ああ、なんて尊いんだ。

 おい、中学生そこ変われ。

 

「あの~ちょっといいっすか?」

「え?」

 

 十三番はいつの間にか店員が近づいていたことに気付く。

 もしかして品出しの邪魔かと思い少しずれる。

 だが、困ったような顔をして。

 

「あの、それ商品なんで……」

 

 手にはつぶれたおにぎりが。

 

「まさか!?」

 

 三番はふと思い到る。

 これでも頭の回転が速いという自負はある。

 そして導く出された答えは。

 

「よくもやってくれたなァ!!あの中学生ィイ!!!!」

「あの、警察呼びますよ」

 

 店員は本当に困ったようにそういう。

 何でこんな夜遅くに俺がって顔してる。

 そしてその気持ちはよくわかる。

 だから。

 

「ぜひお願いします!!」

 

 そう、あの悪逆非道の中学生を捕まえるために。

 

 

 

 

 

 

 

 コンビニから帰ってきた俺たちはテーブルの上に夕飯を並べた。

 コンビニは商品が高いが近くにあるから便利なのだ。

 俺が買ったのはざるそばだった。

 初めはおにぎりを買おうとしたのだがこちらをガン見しながら立っている変な人がいたので仕方なくだ。

 そしてゲロ子はつくもがみんだし食事しないと思ったのだがそうでもないらしい。

 でもゲロって何食べるんだろ雑食かな。いや、確実にそうだろうな。

 ということでゲロ子の分も買ったのだが今ゲロ子が食っているのはアイスだ。

 ん?アイス?

 

「いや、お前飯食えよ」

「別にいいでしょ」

「いや、アイスって主食じゃなくてデザートだろ」

「そんなのどっちでもいいでしょ。おなかに入れば全部ゲロよ」

 

 なんだその暴論。

 それを言うならおなかに入れば全部同じだろ。

 その言葉は食事の順番に対しての言い訳じゃなくて見た目が悪くなった時に使うものだ。

 

「というか食事中にそういう話するなよ」

「仕方ないでしょ。何話しても頭によぎるんだから」

「何でも下ネタに結び付ける思春期男子かよ」

「そこまで下品じゃないわよ!」

「お前冗談でもゲロが上品とかいうなよ」

 

 誰しも自分を正当化したくなるのは分かる。

 俺もそうだ。

 だからこそ言い訳を言うし醜く言い逃れを言う。

 でもさ、ゲロ子。それはダメだ。

 

「それはそうと主人(マスター)の名前は?」

「え?今更?」

 

 話を無理やり変えるなよと言いたいところだが今はそんなことを言っている場合ではない。

 これは由々しき事態だ。

 人のことをマスターと仰ぎながらも名前すら知らないなど。

 つーか、名前の下りの時に聞けよ。

 名前決まった後とかに……いや、無理か。

 

「俺の名前は束羽千草」

「じゃあ、千草って呼ぶわ」

「え?敬意を表してマスターじゃねぇの?」

「敬意(笑)はともかく、主人と書いてマスターと読むのは痛々しくて」

「い、痛々しい?」

 

 結構かっこいいと思ってたんだけど?

 

「え?もしかして気に入ってたの?でも主人(マスター)(笑)は春休み終わったら中三になっちゃうから今のうちにやめといた方がいいわよ」

「おい、マスターに(笑)を付ける必要なかったろ……あれ?目の色どうした?」

 

 俺はゲロ子の異変に気付く。

 目の色と言っても充血してるとかではないが瞳が水色になっていた。

 一番初めは髪と同じゲロ色だったはずだが。

 

「ん?ああ、これ?家出る前くらいにはこうだったわよ」

「え?そうなん?」

「はぁ、こればかりは『今日の私なんか違わない?』っていっても許されると思うけど」

「今日のっていうか出会ってから日をまたいでないけどな」

 

 というか何処情報なんだ?

 こいつには俺が触らせたスマホくらいしか情報源はないはずだが。

 そういえばコンビニでもよくわからない経験則を言ってたような。

 生後数時間とは思えない。

 まず喋るゲロの時点で意味不明だが。

 

「というか、人にイタいだの中二病だの言っといてカラコンかよ」

 

 俺は水色の瞳を見ながらそういう。

 さすがの俺でもカラコンはつけないぞ。

 

「いや、此処まで派手なのは別としても茶系のカラコンは別に関係なく使う人は使うでしょ。あとこれ、からこんちがう」

「え、そうなの?」

「これは私の能力よ。ほら私ってアレの付喪神だし、内容物の色素をあんなことやこんなことして色を変えられるのよ」

「へー」

 

 なんか聞きたくなかったな。

 

「まあ変えられるのは髪と瞳の色だけだけど」

 

 どうやら、今言ったように変えられるのは髪と瞳だけで肌の色とかは無理なようだ。

 とはいえ、髪と瞳だけでも十分に印象は変わるだろうし変装とかもできそうだ。

 まあ、顔が整ってるだけあって目立つだろうが。

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