つくもがみん!~え?この召喚陣に素材をおいて付喪神を作れる?じゃあ、何にし──「オ、オエエエェッ…………!(吐瀉物噴射)」──召喚陣「ピカァ…」~   作:環状線EX

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主人公「全属性魔法使えます」
受付嬢「そんな前例はありませんが鑑定してみます。……本当に!?」

みたいな話。(適当)


三話 付喪神対策管理協会

 

 後につくもがみんと呼ばれることになる、それと、人類が付き合い方を模索し始めたころ、当時の日本では特に犯罪が横行した。

 つくもがみんの見た目やその特徴は多岐にわたるが中でも注目を集めたのは媒介となったものを関した能力だった。

 ハサミのつくもがみんは体の一部を刃物に変える事が出来るなど、様々ではあったがそれを悪事に利用しようとするものたちがいた。

 強盗から詐欺まで様々な犯罪につくもがみんは使われることとなった。

 つくもがみんの性質上、表面上所有者と正反対に見えても考え方や価値観の根幹は所有者に似通っている。

 それが更に拍車を掛けた。

 たとえ、一時でもつくもがみんが反論しても話し合いをすれば結論は同じところに落ち着くのだ。

 それは人間側にも言えた。

 本来理性を保ち法を守ってきた善良な市民でもつくもがみんの影響で犯罪に手を染めることは多くあった。

 最も、実際の行動を起こした人々は何とか踏みとどまっていた人たちで、相当普段からその手のことを考えていない限りは特に影響はなかった。

 

 とは言え、犯罪は頻発し全国各地で被害は増加した。

 結果、それを防ぐための組織が生まれた。

『付喪神対策管理協会』通称『協会』と呼ばれるものだ。

 そこでされた政策として一般の印象に強く残るのはつくもがみんの登録を義務化だろうか。

 そのため、満十五歳になった者はそこから三日以内につくもがみんの登録をするのが当たり前となっている。

 

 それは、俺も例外ではなく俺はゲロ子の登録に行くこととなったのだ。

 

 

 

 

 

「あの、こちらは正式なものになりますのでこれはちょっと……」

 

 手元に置かれた用紙には『吐瀉物』と書かれていた。

 対面に座るお姉さんの引きつった顔が俺の心を傷つける。

 まるで十五歳になったばかりの調子に乗っている中学生を見るような目。

 その目は迷惑な他人を巻き込んでのドッキリ動画の撮影でもしているのではないかとなお一層こちらに鋭い視線を向ける。

 

「その、あの。これ本当なんです」

「ですが。げ、吐瀉物と言うのは……」

 

 早く非を認めろとでも思ってるのだろうか?聞いているふりをしてはいるが完全にこちらの話は信じてくれない。

 

「あのですね。付喪神と言うのは縁のあるものでしか召喚されることはないのです。ですから――」

「あ、あの、信じられないと言うのであればそちらの解析器を使用していただいて結構なので」

 

 確かこういった施設にはつくもがみんを解析することの出来る機械があったはず。

 そもそも、つくもがみんは元になった物へと擬態できるため、本来はそれで登録の際確認をとるため必要とされないらしいが、此処でゲロになるわけにもいかない。

 

「ですが。いえ、分かりました。使用の予約は入ってないでしょうが上に確認を取りますので少々お待ちください」

「ありがとうございます」

 

 とりあえず、機器を使ってくれるようだ。

 そもそも、埃をかぶっているような代物なので先約はいないだろうし他を待つことはないだろう。

 

「お待たせしました。許可が取れましたのでこちらに来てください」

「はい」

 

 案内された場所にあったのは電話ボックスくらいの大きさの箱だった。

 何かの金属に白い塗装が施されているだけの質素な箱であった。

 

「こちらにゲ、ゲロ子さんが入ってください」

「……はい」

 

 ゲロ子は素直にしたがって箱に入る。

 扉を開けた際に見えた内面は壁に埋め込まれたモニターだけがあった。

 こう見ると電話ボックスよりプリクラなんかが近いように思う。

 

「はい、終了しました」

 

 ほんの五秒程度でゲロ子は出てきた。

 

「どうだった?」

「特になにもないわよ。入って出ただけだし」

「結果が出るまで十分ほどかかりますので先ほどの席までご案内します」

「どうも」

 

 つーことで十分後お姉さんは結果を見て目を見開いた。

 

「本当だったんですね」

 

 お姉さん、本音出てるよ。

 と言うことで手続きは終わることができた。

 

 

 

 

 

「「はぁ……」」

 

 建物から出てきた俺とゲロ子は同時にため息をついた。

 

「最悪」

「ごめんて」

「帰りにアイス買って」

「了解」

 

 これは頷くしかないだろう。

 すっげー不機嫌だし。

 

「はぁ。それで千草は大丈夫なの?」

「ん?なにが?」

 

 いきなりの話題の転換についていけない。

 

「さっきの話よ。つくもがみんを悪用する連中のこと」

「ああ、あのお姉さんの話か」

 

 と言うのも、登録が終わった後で一通りつくもがみんについての注意事項などを教えられたのだが、その中でつくもがみんによる犯罪についての話を聞いた。

 その中には他人のつくもがみんを奪う輩が居るらしい。目的はさまざまだが一番多いのはつくもがみんの売買だ。

 つくもがみんが媒介に関係のある能力を宿していると言っても多くのつくもがみんは兵器からは作られない。そのため戦力としての価値があるのはごく一部だけではあるのだが、それとは別につくもがみんの中には容姿が整ったものなどが多くいる。つまり愛玩のために使われることが多いのだ。

 そして、先ほどの大丈夫かと言う言葉はそれらに対する備えがあるかと言うことだ。

 

「お前の容姿が優れていることは認めるけど、ゲロなんだから何とかなるだろ」

「はぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 四月九日から春休みが終わって学校が始まるということもあって俺は残り少ない時間を有意義に過ごそうと考えていた。

 

「何が有意義になのよ?今やっと起きて来たけど、もう、十四時だし」

 

 起きて一階に向かうとゲロ子と母さんがいた。

 母と父は平日遅くまで仕事をしてくるため今日のような休日ではない限り顔を合わせることもない。

 ちなみに父さんはパチ屋だ。とは言え、大量に金を溶かしてくるわけでもないようで、本人曰く預けた分の中で勝ったり負けたりしているため生活には影響が出ないんだそう。まあ、俺はパチンコとスロットの違いも分からないから正確なことは知らないが。

 

「うるせーな。ここからいい感じに過ごすんだよ」

「千草、ゲロ子ちゃんに強く当たっちゃだめよ」

 

 そんな問答をしていると母さんが注意をしてくる。視界の端で「そうだ、そうだ」とゲロ子がうるさい。

 

「ゲロ子ちゃんもだめよ?それにあなただってお昼回ってから起きて来たじゃない」

「あ、いや、それは」

「いやも何もないの。次からはしっかりしてね」

「あ、はい」

 

 ゲロが母に勝てるわけがないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 つくもがみんの登録から二日後。

 四月九日である今日は一学期が始まる。

 ゲロ子はどうするのかと言えば一緒に登校だ。普通は学校や仕事などでは媒介としたものに擬態して主人(マスター)と行動することが多い。

 とは言え、ゲロ子がなれるものと言えばゲロしかないので人形のままの登校だ。

 と言うことで、登校したのだが……

 

「きゃ~可愛い!」

「え?この子が束羽君のつくもがみん?」

 

 興奮気味にそういうのはつい先日一緒に遊園地に行った女子である山田と田中だった。

 ゲロ子は早速二人のおもちゃになってもみくちゃにされている。

 そんな声に反応して佐藤、鈴木までも寄ってくる。と言うか、皆同じクラスだったんだな。

 

「そうだよ。遊園地から帰った後に召喚したんだ」

「いいな、俺の誕生日は三か月後だしな」

「それ言ったら、俺なんか十二月だぞ」

 

 つくもがみんを召喚するための陣は満十五歳にならなければ現れないため誕生日が遅いものは当たり前だが召喚時期も遅くなる。

 そのせいで三月まで誕生日がない生徒なんかは会話に混ざりにくいなんて話も聞く。

 中学の内につくもがみんが召喚できなかったりしたらもっと痛いだろう。

 卒業式までに間に合わないことも考えたら、まだ、卒業式前日にスマホをやっと買ってくれる親の方が優しいだろう。

 スマホがないと今時人間関係も危ぶまれる。まあ、俺は両方とも心配はいらないが。

 

「でも、私も憧れるよ~。うちの学年でもつくもがみん召喚した人、束羽君含めても三人くらいじゃない?」

「それでも意外と多いね」

 

 統計がどれくらいか知らないが思ったより十五歳を迎えた人が多そうだ。

 

「それより、この子の名前はなんていうの?束羽くんが決めるんだよね?」

「え、あ、うん……」

 

 山田の問いに俺は凍り付く。

 

「どうしたの?」

「え?いや、なんていうか……えっと、ゲロ子」

「え?」

「いやだから、ゲロ子」

 

 マジかよお前みたいな視線が俺へと突き刺さる。

 そして、ゲロ子を憐れむ様な目。

 当のゲロ子もなんとも言えない表情だ。

 この名前が嫌だとは言え、ゲロであることには変わりなく、ゲロである点を同情されるといたたまれないのだろう。

 

 とりあえず俺は詰められた。

 

 

 

 

 

 

 割れた窓ガラスを隠すようにして張られたシャッター。

 もう長い間掃除がされてないであろう室内にはアーケードゲームの筐体が並ぶ。

 誰もが目にしたことがあるものから、今では珍しい機種まで置いてある。

 しかし、管理は雑なようでほとんどが埃をかぶり、無駄に大音量で音楽をかき鳴らし、ピカピカと光っていた全盛期の姿は見る影もない。

 電源がついているものに至っては一機のみだ。

 その画面を除くようにして座る人影があった。

 トシャ高校二年C組出席番号二十三番吉田太郎である。

 彼は最近見つけたここを勝手に上がり込み、使用していた。

 なかなかうまくいかず彼は舌打ちをする。

 こんなはずではないと彼は内心悪態をつく。

 彼の脳裏に浮かぶのはあのいけ好かない中学生の顔。

 あいつが現れてからすべてが狂った。

 濡れ衣を着せられ、警察にお世話になり、何とか家に帰ると両親に怒られた。

 今回の件から関係ないことまで。学校の成績だの塾には遅れずに行けだの延々と叱られた。

 なぜこんなにも言われなければならないのだど、そう、思った。

 そして、元凶はあの中学生だと思いいたったのだ。

 それに、あの天使のことも気がかりだ。恐らくつくもがみんなのだろうが、きっと売買されていたものだろう。

 きっと、やましいことをされているに違いない。

 だから、自分が助けなければ。そう、助ければきっと天使も自分のことが好きになるはずだ。

 

「絶対に解放してあげるからね」

 

 思いを決意し、作戦を練る。

 あの屑を豚箱にぶち込むために!

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