【完結】FF7スカーレット成り代わり物語   作:発火雨

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パルマー統括

 コレル村に魔晄炉建設が決まってから一年ほどが過ぎた。

 戦争も終わり、現在神羅が抱える一大プロジェクトのため都市開発部門主体で急ピッチに建設が進められている。

 うちからもかなりの人や資材を送り込んでるし、科学開発部門や治安維持部門からも助っ人が送られるので、もうすぐ完成予定らしい。

 

「リーブ統括が頭を抱えてましたよ、会社のマンパワーをすべて注ぎ込んでくれるのはありがたいが調整するのも大仕事だって」

「そうよね、ルーファウス副社長とソルジャーたちが優秀すぎてテロリストの対応も手が足りてるし治安維持部門が出る幕がないもんね。その分ハイデッカーが人材派遣でしっかり結果を残してるし、科学部門とうちも新しい機材とかシステム面でかなりの人を貸してるもんね」

 

 ルーファウスとハイデッカーの関係は悪くないらしく、ソルジャー部門がいくら結果を残しても邪魔はせずに他のことで点数稼ぎをする方向に舵を切ったらしい。

 いくらハイデッカーでも、さすがに社長の息子で次期社長候補相手に喧嘩腰にはならないか。

 ソルジャー部門も英雄セフィロス筆頭に大活躍。

 一時は主要メンバーが脱退した穴が懸念されていたが、ザックスがかなり活躍してるらしく当初見られた混乱も収まっているらしい。

 さすがルーファウスは優秀だね。

 

「そのうちまたコレル村には顔を出してみましょうか。私の代わりに何度か一人で行ってもらったけど変わった様子はないんでしょ?」

「はい、当初は懸念されていた建設反対派の村の住民も、魔晄炉建設に対して受け入れつつありました。賛成派筆頭のバレットが建設が始まってからも両者の間に入って、対立が起こらないようにうまく調整してるようです」

 

 本当に人をまとめ上げるのが上手いよねバレット。

 行動力はあるし、結構細かく仲間たちの様子も見れてたみたいだし、リーダー向きなのかもしれない。

 まぁ、そんなことが出来ないと魔晄炉爆破のテロに誰も付いてきてくれないよな。

 

 リメイク版でのバレットの男気溢れる映像を頭の中に流して納得していると、突然部屋の内線電話が鳴った。

 会社の電話って出るの面倒くさいよね、相手が誰だかわからない電話ってストレスなのよ。

 幸い俺の部屋に直接電話してくるなんて知ってる社員しかいないから、前世と比べると断然楽だけど。

 

 電話の液晶に表示されるのは兵器開発部門オフィスの受付だ。

 今俺に連絡を取る部門といえば、都市開発部門かな?

 

「はい、こちら兵器開発部門統括室です」

 

 あっ、クラウドが電話取っちゃった。

 そうなんだよね、個室にいること多いから電話に出てもらうこと多いし、何なら秘書みたいなもんなのよね。

 一応秘書に当たる事務員さんたちもいるんだけど、その人たちもクラウドと仲良しよ。

 なんなら、クラウドが来てくれて護衛をいちいち他部署に申請しなくて済むとか、細かな気配りも出来ると評判である。

 どんどんキャリアアップしていくなクラウド、すごいよ。

 

「はいわかりました、確認してみます。スカーレット様、宇宙開発部門のパルマー統括がオフィスに直接来ているそうです」

「パルマーが? 全然接点もないし、あそこはあそこでロケットの打ち上げに忙しいはずなのに、一体何の用かしら?」

 

 宇宙開発部門は神羅26号と呼ばれるロケットの発射準備で忙しいはずなのに……。

 

「いいわ、通して頂戴」

 

 俺がクラウドに告げると、ほどなくして一人の男が部屋に入って来た。

 白髪頭に小太りで明らかなメタボ体型、黄色のスーツを着た男は幹部会議で聞きなれたいつもの口癖を付け加え挨拶をする。

 

「うひょひょ、クラウド君までいるじゃないか、これは話が早い」

「あんた今宇宙開発部門は大事な時期でしょ、こんなところで油なんか売ってていいの?」

「ラードは売るものじゃなくて紅茶に入れるものだよ、それに神羅が売るのは魔晄エネルギーって決めちゃったみたいだし、ますます油なんてエネルギーの価値は下がっちゃうもんね。おかげでわしの宇宙開発部門にだ~れも期待してないみたいだし」

 

 部屋に入ってきて早々愚痴零しですか。

 まぁ、宇宙開発も神羅が力を入れて来た立派な部門のはずが、魔晄が儲かるとわかってからどんどんそっちに力をシフトしてきちゃったからな。

 打ち上げが失敗したら完全に神羅は手を引いちゃうだろうな……。

 

「でもロケットの打ち上げにさえ成功しちゃえば幹部会議での発言力も上がるし、プレジデントだって魔晄産業で得た利益を少しはこっちに優遇してくれるでしょ! だからわし今回の打ち上げは絶対に成功させたいのよ」

「それで、一体兵器開発部門に何の用よ。言っとくけど製造中の部品も全部使い道が決まってるからそっちに流せる分なんてないわよ」

 

 戦争も終わって今は再び試作機を作ったり、新型をラインに流して試験や評価をさせたり、ソルジャーたちに支給する武器の手入れをしたりと忙しい。

 

「そもそも、プレジデントもルーファウスもロケット打ち上げのセレモニーに出席してるはずでしょ、こんなところで何してるのよ」

「うひょ! それなのよそれ、お願いだからクラウド君を貸して!」

「はぁ、嫌よ。私の大事な大事な側近なのよ、誰があんたなんかに貸すもんですか!」

 

 ふざけんな、誰が俺の明るい未来のためのキーマンをおいそれと貸すもんか!

 

「スカーレット様、お気持ちはうれしいのですが一応パルマー統括の話も聞いてあげてはいかがでしょうか?」

「ありがと~クラウド君。実はね、ロケット打ち上げの前にするセレモニーで飛行機を飛ばしたり、コレル山の魔晄炉建設を急ピッチでするための輸送の関係でパイロットの予定がぎっしりでみんな忙しいの」

「知ってるわよ、社長と副社長は専用機があるから問題ないけど、他のヘリや飛行船は全部予定がびっしり埋まってる。あんたも社長と一緒に専用機で移動するんじゃなかったの?」

「それが、直前でわしの乗る席の空きが無くなったって副社長に言われちゃって、飛行機に乗れなかったの! うひょ~このままだとせっかくのロケット打ち上げを見られないよ~」

 

 なんじゃそりゃ!?

 ルーファウスからはなんの話も聞いてないけど、いくらパルマーが無能だからって意地悪で飛行機に乗せないはずないよな。

 何か理由があるのか?

 

「お願い! 飛行機の手配は出来たけどどうしてもパイロットが捕まらなくて。クラウド君なら飛行機も操縦できるんでしょ」

「なんであんたそんなこと知ってるのよ!」

「この前の幹部会議でスカーレットが自慢してたの思い出したんだよ、乗り物だったらなんでも乗りこなせるんでしょ。ねぇクラウド君お願い!」

 

 手を合わせながら頭を下げるパルマー。

 

 そういや、ここ最近の幹部会議でルーファウスはセフィロスやザックスの優秀さをプレゼンしまくるから、うちのクラウドもこんなにすごいって自慢したっけ……。

 たしかに会議では全然発言しないけどパルマーもいたよな。

 あぁ、それもこれも俺のクラウドが優秀すぎるのが悪い!

 自慢の部下なんだもん、自慢したくなるじゃん。

 

「はぁ~しょうがないわね、一つ貸しだから必ず返しなさいよ。クラウド、悪いけどロケット発射基地までパルマーを送り届けてもらえる」

「いやった~! 恩に着るよスカーレット、わし急いで飛行機の方の準備するから、すぐに飛行場の方に来てね」

 

 お礼をそこそこに、あの太った体型をユサユサと揺らしながら部屋を出て走り去っていく。

 よくもまぁ、あんな風に走れるもんだな。

 歳もそこそこだし、生活習慣病まっしぐらだろ。

 会社の健康診断きちんと受けてるんだろうか?

 

「スカーレット様、よろしかったのですか? ヴィンセントも居ませんし護衛が手薄になってしまいます、大きな動きを見せないとはいえアバランチ残党のこともあります」

「私は会社にいるから心配ないわよ、それに一応あんなのでも統括の一人なんだから恩を売って高く買い取ってもらいましょう。それに……」

「それに?」

 

 ちょっと気になるんだよな。

 ルーファウスは無駄なことをするはずないから、パルマーを飛行機から降ろしたわけがあったんじゃないかな?

 もしかして、空いた一人分の席に代わりの人や物を乗せたとしたら……。

 

「私も少し調べてみるわ、向こうに着いたらまた連絡するから、その時に追って指示を与えます」

 

 少しきな臭い気がする。

 こういう時はヴィンセントからタークスの手ほどきを受けたクラウドの使いどころ。

 どんどんハイスペックに魔改造してるけど、それがもう楽しいのよ。

 だって教えたことをどんどん吸収しちゃうし、才能に加えてやる気も十分。

 やっぱり優秀な奴を優遇すると結果を残してくれるもんだね。

 俺の部下育成術も大したもんだと、自画自賛したくなる。

 

「ってなわけだから、クラウド。私の代わりにちょっと色々調べてきてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカーレット様のお傍を離れるのは不安だが、命令なら仕方がない。

 それだけ信頼してもらってる証ではあるのだから悪い気はしない。

 

 万が一留守に何かあってもいいように、誰か別の護衛を付けることが出来れば……。

 さすがに無人機にスカーレット様を託すことはできないし、ヴィンセントは他の仕事にかかりっきり。

 ザックスは信用できるが他部門の人間だから、気軽に頼むわけにもいかない。

 

 少し残念な気もするが、スカーレット様に信用できる護衛を増やすように進言してみるか?

 実験部隊なんて言ってるが、俺と無人兵器だけの部隊だとこういう時に困るよな。

 今更他の所から人何て引き抜けないだろうし、もし追加人員が来るとしたら俺のような新入社員を一から鍛えなおす所からだろうか。

 

 そうこうスカーレット様の安全について考えていたらいつの間にかミッドガル付近の神羅飛行場に着いた。

 パルマー統括は飛行機だけは手配出来たと言っていたが、飛行機だってフル稼働で遊ばせておく余裕何てなかったように思える。

 

「機体が収納されてるとしたらあそこの格納庫か?」

 

 格納庫の中に入るとほとんどの機体が出払っているが、隅の方に古ぼけた機体が一機だけ残っていた。

 こんなオンボロが本当に飛べるのかと不安に思っていると、パルマー統括が工具箱片手に機体の点検をしている。

 

「統括自ら整備しておられるのですか!?」

「うひょひょ、これでも昔は現場にも出てたのよ。この古い機体だってわしが出てた頃は現役で動いてたんだから」

 

 そう言いながら、手際よく機体の整備を進めるパルマー統括。

 俺も兵器開発部門のテスターとしてある程度の機械の整備は出来るが、開発部門の人たちと比べてもけして劣っているとは思えない。

 そうこうしている内にパルマー統括は整備を終えたようで、俺の前に来ると手をハンカチで拭きながら機体のチェックをするように促してきた。

 

「どうクラウド君、この飛行機に乗れそう?」

「はい、問題ありません」

「うひょひょ~よかったよ。型は古くても操縦出来るなんてすごいねぇ~さすがはスカーレット君が自慢するだけはある」

 

 特徴的な笑い方をしながら小型の飛行機に乗り込むパルマー統括。

 

「滑走路まで出たら後は誘導してもらえるようにお願いしといたから、後はよろしくね」

 

 俺もその後に続いて飛行機に乗り込みエンジンをかける、特に違和感はないしこれなら問題なく飛行出来るだろう。

 今まで特に接点もなく、話したこともなかったがスカーレット様と同じく統括の地位に就く人だ。

 ひょうひょうとした見た目とは裏腹に優秀なお方なのだろう。

 

 後ろを振り返りベルトを装着してるのを確認しながら、声をかける。

 

「それでは神羅ロケット発射基地までお送ります」

「しまった! 急いでたからお菓子持ち込むのすっかり忘れてた!? クラウド君何か甘い物持ってない?」

「一般兵が携帯するキャラメルでしたら持ってますが……」

「うひょひょ、懐かしいな~。とりあえず全部貰ってもいい?」

 

 キャラメルを全部渡し、離陸準備をしている間もやれ歯にくっつくだの、紅茶をもってくればよかったなど威厳のない発言が多い。

 無事に滑走路を進み、離陸許可も出たので操縦桿をゆっくりと傾ける。

 エンジン音が大きくなり機体が浮き上がると徐々にスピードを上げていった。

 

「うっひょ~やっぱり空は良いよね。わしみたいな老人でも地球の重力なんて無視して大空を駆け巡れちゃうもんね! クラウド君もそう思わない?」

「確かにバイクと違って自由に飛び回れるのは魅力的ですね」

 

 パルマー統括は飛行機に乗るのが久しぶりなのか、子供のようにはしゃぎながら窓から見える景色を楽しんでいる。

 俺もバイクで風を切って走るのも好きだが、こうやって空を飛ぶ気持ちよさもわかる。

 

「うちにもシドちゃんっていう、エースパイロット兼ロケットの艦長がいるんだけど、きっとクラウド君とも仲良くやれるよ」

「今度のロケットの責任者の方ですね、スカーレット様からお名前だけ聞いております」

「スカーレット君とクラウド君の関係もお堅いねぇ~ルーファウス副社長とセフィロス君はもう少し距離が近かったよ。みんなわしとシドちゃんくらい仲良く仕事した方が楽しいのに」

 

 セフィロスか……。

 そう言えばまだ一度も会話したことがなかったな。

 訓練の映像を見せてもらったり、ザックスとの会話で身近に感じるが、ちゃんと挨拶をしたことがない。

 

 ルーファウス副社長がソルジャー部門統括になってから、対アバランチの仕事を優先して振られ、会社にいないことも多いと聞く。

 

「今の若い人はみんなセフィロスに憧れてるよね、クラウド君もそんな口でしょ?」

「えぇ、ミッドガルに来た時はセフィロスみたいな英雄になることが夢でした」

「そうそう、若者らしい夢だよね」

 

 俺の返事に興味なさげに相槌をうつパルマー統括。

 たしかにあれほどの強さを見せつけられたら、夢破れるのかもしれない。

 しかし、俺の親友はその背中を追い越そうと走り続けてるし、俺も約束のために歩みを止めるつもりもない。

 

「今の夢はセフィロスを超えることですよ、俺の友達も同じ夢です」

 

 自分で言っておいて少し恥ずかしくなってきた。

 偉い人相手に俺は何を宣言しているんだろう。

 パルマー統括の独特な空気に当てられて、柄にもないことを口走ってしまった……。

 

「うひょひょひょ!!! いいねいいね、夢はいくつになっても大きく持たなくっちゃ! わしとシドちゃんも大いなる宇宙に人が行く夢を今度こそ叶えちゃうもんね!」

 

 一際大きく笑いながら、パルマー統括は窓から見える景色に視線を向ける。

 俺も釣られて視線を外に向けると、雲の切れ間からミッドガルが一望できた。

 スカーレット様のいる神羅ビルも小さく見える。




一気に時間が飛びましたが、ただいまクラウド君16歳。
各キャラの年齢と時系列順に事件を消化していくのが難しいです。

ここまでの活躍を纏めると。
14歳 神羅入社と当時に兵器開発部テスターへ任命。
15歳 ウータイとの戦争でその実績を認められ、実験部隊隊長に就任。
16歳 いまここ!

スピード出世してますね。

前回で意外なキャラと言っていたのはパルマーのことでした。
恐らく古株で、原作でも飛行機の整備を任されていたので、元々は現場職だったのではないかと予想。

こんなにしっかり出番があるのも珍しい

コレル村編をやると見せかけて、ロケット村編に突入します。
なのでエンカウントするのは神羅社員の人たちです。

感想いつもありがとうございます
こまめに返信しますので、お気軽にお書きください。
そこからアイデアが膨らんだり、知らないことを知れたりして、小説を書く楽しみを皆さんからいただいております(誤字報告も毎回ありがとう!)

次回更新は5/22水曜日19時予定
毎週の楽しみですと言われ、頑張って書き続けたい所です。
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