【完結】FF7スカーレット成り代わり物語   作:発火雨

25 / 40
それぞれの訓練

「ふぅ~ん、これだけ世界を探してもルクレツィア一人見つけられないのね」

「当時の記録から足取りを追ったが、途中から一切の痕跡が消されてる。おそらく逃走中に正気を取り戻しルクレツィア自身が痕跡を消しながら逃亡したものとみられる。科学者としての才もある上に元々フィールドワークが好きな人だったからな、本気で逃亡されたらタークスといえど容易に探すことはできないだろう」

 

 時たまこっそり帰ってくるヴィンセントからルクレツィアの足取りを追ってもらってるが、中々居場所が掴めない。

 どこかの洞窟の中にクリスタルと化して鎮座してると思うんだけど、その場所がわからないのだ。

 

「最初に有力候補として挙げられた滝裏の祠、あれはかなり良い線を突いてると思う。おそらく彼女が身を隠すとしたら古代種の遺跡関係、あの洞窟はおそらく古代種関係の遺跡であろう」

「そこにいるもんだと思ってたから、他の候補なんて全然考えてなかったのよね。一応ガスト博士の資料も神羅屋敷から引っ張り出したからしらみつぶしに探してもらったけど」

「俺一人での探索だ、そうすぐに結果は出まい。急ぐならもっと大々的に人員を使うのが早いが……」

「無理無理、宝条や会社にバレないようにするにはフリーのあんたしか動かせないんだから」

 

 まさかニブルエリアとゴールドソーサーエリアの境界にある滝の裏にいないとは。

 だから当時の資料から足取りを追ってみたり、ガスト博士の古代種研究で得た遺跡の情報から探してるが中々上手くいかない。

 

「ていうか、私が作った無人探索機をもっとあんたが使えれば効率よく探せるでしょうが!」

「ふん、機械での探索ではルクレツィアの痕跡は探せん。それに使い方が複雑すぎる、もっと簡単にならんのか?」

「あんたの携帯端末だって楽々使えるように特別なのを作ってやったでしょう」

「それでもあまり複雑なものはな……」

 

 この時代遅れの機械音痴が、銃や乗り物は十二分に扱えるくせに他はダメなんだから。

 

「まぁいいわ、焦っても仕方がないし気長に行きましょう。他の仕事は順調に進んでるんだから」

「各地のアバランチの動向に、神羅から流失した兵器の流れ先、そして流された経路。これらの仕事がなければもっと探索に時間を割けるんだがな」

 

 元タークスだけあって調査能力は高いし、単独で身軽だからこそ出来ることもたくさんある。

 だからクラウドには出来ない仕事を頼みまくってるけど、そっちの方は好調なんだよな。

 とりあえず横流しして小遣い稼ぎする不良社員は、俺の権限で実験機のテスターにしてやる。

 

「文句言わない、私が動かせる人員はあんたとクラウドしかいないんだから」

「統括でこれだけ部下がいるというのに、信頼できるのが二人とは……」

「あら、最近三人目になりそうなのが入ったわよ。あんたの後輩にもなるから後で見てみなさい」

 

 イリーナは本当ならタークスに入るはずだったし、当然タークス適性がある。

 そっち方面の能力も鍛えてやりたいし、元タークスのヴィンセントは適任だな。

 今もクラウドの訓練でひぃひぃ言ってるが、俺の明るい未来のためにもっと頑張ってもらわねば。

 決して若い子をいびってるわけではない。

 

 そのままヴィンセントを連れて、訓練をしてる新兵器実験室へ。

 ちょうど俺が用意したスイーパー相手にイリーナが一人で戦ってるようだ。

 

「相変わらず意地が悪いな、スイーパーも通常の機体ではあるまい」

「もちろん、そんな生ぬるいのじゃ訓練にならないじゃない。わざと関節部&エネルギー系統のリミッターを緩めて機動力を確保した一回限りの高機動カスタムよ」

 

 スカーレットという年増の女になってしまったせいで、日常生活はほぼ女として過ごしてる。

 それに関してはもう諦めたのだが、メカ作りをしてる時は前世の魂が燃えるというか、ロボなんかも作れるのに男心に火が付くのだ。

 イリーナが相手にしてるのは通常のスイーパーだが、部品に少し細工をして通常時より面倒くさい相手にしてあるのだ。

 

 他にも試作品を引っ付けたのや、アバランチが実地で改造したものを参考にカスタムしたものも揃え、一筋縄ではいかないようにしてある。

 いや、なんていうか機械いじり楽しいんだよね。

 工作感覚でどんどんアイデアは出るし、日々のストレスの発散というか。

 いくらでも部品は使い放題だし、楽しい趣味だわこれ。

 もちろんきちんと本業で結果を出してるからこその余力を使った遊びなんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、終わった……先輩! 全部鉄屑にしてやりましたよ!」

「お疲れさん、丁度いいタイミングだ。もう一人の教官を紹介しておこう」

 

 クラウド先輩に駆け寄ったら、すぐ隣にサングラスをかけたスーツ姿の男がいた。

 ただのスーツじゃない、タークスに支給されるそこらの社員が着てるのとは別の特別なスーツだ。

 

「タークスの人が何の用ですか?」

「誤解させて悪いが、元タークスだ。訳あってスカーレット個人に雇われのフリーエージェントをしてる」

 

 むぅ、統括を呼び捨てにして偉そうな人。

 それに元タークスってことはお姉ちゃんと同僚だったのかも。

 

「ヴィンセント・ヴァレンタインだ。お前を鍛えて欲しいとそこのクラウドに頼まれた」

「イリーナです、よろしく……って先輩以外の人が私を鍛えるんですか!?」

 

 ずっとクラウド先輩が訓練に付き合ってくれたから、てっきりこれからもそうだと思ってたのに。

 なんかちょっと怖そうかも……いや、クラウド先輩も怖くはないけどすごいスパルタである意味怖いところあるし。

 

「ずっと俺の相手ばかりして、戦闘に変な癖が出来ても困るからな。それに銃の扱いはヴィンセントの方が俺よりも上手いんだ」

 

 色々試した結果お姉ちゃんと同じ銃系統に適性があるみたいで、サブウェポンとして銃を使ってる。

 ちょっと複雑な心境だけど、仕方がない。

 近距離での戦闘スタイルすぎて、中距離や遠距離の相手に困ることもあったから、出来ることを増やすのは必須よね。

 

「とりあえずイリーナとヴィンセントでしばらくペアを……」

「いらん、クラウドとの連携はある程度出来るのだろう。だったら二人同時に相手しよう」

 

 はぁ、元タークスだか知らないけど、それは私と先輩を舐めすぎなのでは?

 

「しかし……」

「クラウドは人の動きに合わせすぎてる傾向がある、護衛や負傷者を庇いながらの戦闘がどれだけ困難か覚えた方がいい」

 

 くそぉ、言わせておけば。

 

「いいですよ、私と先輩のコンビネーションを見せつけてやりましょう!」

「威勢がいいのは良いことだ」

 

 私だって学生時代とは比べ物にならない地獄の特訓をクリアしてきたんだから、元タークスに目に物見せてやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、つ、疲れた」

「あぁ、ヴィンセントとの訓練はためになる。イリーナを狙われすぎて俺の動きが制限されていた、すまん」

「い、いぇ、私が足引っ張っちゃって、本当にすいません」

 

 まさかあんなに強かったなんて……。

 っていうか、銃もまるで私が動く先が分かってたかのように銃弾が差し込まれるし、なんであんな動きが出来るのよ。

 たぶんお姉ちゃんでも無理だ。

 

「体の方はどうだ」

「問題ない、各地を渡り歩きながら鍛錬もしてる」

 

 二人ともこんな動き回った後なのにもう息が整ってる。

 さっきまであんな激しく動いてたのに、同じ人間とは思えないわ。

 

「ほら、ポーション飲めるか」

「あ、ありがとうございます」

 

 クラウド先輩が自分のポーションを分けてくれる。

 さっきの訓練で手持ちの分を全部使いきった後だったからありがたい。

 

『お疲れ様、クラウドも今まで同じか格上としか組んでこなかったから良い経験になったでしょ、ヴィンセントもごめんなさいね、面倒なこと頼んで』

「これくらい手間に入らん、俺の修行も兼ねてるからな」

『イリーナもご苦労様、貴方も並のソルジャーくらいなら相手にならないんだけど、クラウドの副官ならもっと高みを目指してもらわないと困るのよ、きついだろうけど頑張ってね』

 

 スピーカーからスカーレット統括の声が聞こえてくる。

 訓練の合間にお声がけを頂くが、スピーカー越しは初めてだ。

 毎回キツイ訓練の後にはポーションとか美味しいお菓子とかの差し入れをくれて、そのまま装備の話なんかをするからなんだか新鮮。

 

「イリーナ、追加訓練だ。もう立てるな?」

「えっ?」

「そうか、まだ初めてか。訓練中にスピーカーでスカーレットが参加した時は大抵新作のお披露目会になるんだ」

 

 すでに武器を構え私を守るように立つクラウド先輩と、少し離れた位置で銃のリロードするヴィンセント先輩。

 いつの間にか訓練場にそびえたつ大きな……。

 

「家?」

『今年の兵器開発部門のコンペで最優秀賞を取った、建物擬態型制圧兵器、その名もヘルハウス!!!』

 

 目の前の一軒家に足が生えたかと思うと、急に歩き出しこちらに向かって距離を詰めてくる。

 

「な、なんで家が!?」

「たまに出るスカーレット様の新型だ、動きはわからんが毎回変わった武器を積み込んでる」

「ちっ、銃の通りが悪いな。どうも物理特化した装甲を積んでるようだ」

『新型のバリアシステムや、飛行ユニットなんかも搭載した自信作だから、精々足掻いてね』

 

 時たまスカーレット統括から覗き出るドSの感じだ。

 

「ぼさっとするなイリーナ、マテリアによる属性攻撃を試せ」

「はい! 次こそはクラウド先輩のお役に立ちますよ」

 

 その後空を飛びながらミサイルを乱射するヘルハウス相手に、ヴィンセント先輩が大きな怪物になってタックルをかましたり。

 まるで怪獣大戦争みたいな戦闘になったけど、兵器開発部門ってこんなこともするんだと少し現実逃避してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、それまで! 今日の訓練を終了する」

「「ありがとうございました」」

 

 ザックスに頼まれてあいつの部隊でもやる気のある者、と言っても全員なのだが、訓練を見ることになった。

 昔はジェネシスやアンジールとばかり訓練していたが、いつの間にかザックスの相手をすることが増えた。

 そんな奴も一人前のソルジャーとなり、こうして部隊を持ちたくさんの部下に慕われるようになった。

 

「どうだった、俺の部隊のみんなは?」

「あぁ、誰も彼もが自分のできることを精一杯しているし、状況判断も良い」

「でしょでしょ、みんな一生懸命ですごいのよ。セフィロスに相手してもらったら刺激になるしもっと強くなってくるよ」

「すっかり部隊長だな、あの子犬が出世したもんだ」

 

 ザックスの部隊にいる若いソルジャーは、ほとんどがザックスを慕ってきた連中だ。

 一時は大量の離反者でソルジャーの運用も危ぶまれたが、ザックスがその中心に入り込み見事みんなを統率している。

 

「よし、それじゃ次は俺と戦ってくれよ!」

「ふふっ、いいだろう」

 

 もちろん訓練では手加減しながら戦うのだが、ザックス相手なら話は別だ。

 最初は加減しながらだったが、徐々に力を付けてきて。

 今では多少本気で剣を振るっても、きちんと戦闘についてくる。

 

 懐かしいな、ジェネシスやアンジールが居た頃は良くこうやって一対一で戦ったものだ。

 そして、ジェネシスとアンジールが星に還った後は……。

 ザックスの部隊との訓練は充実したものだったが、やはり少し物足りない。

 

「今日こそは俺が勝たせてもらうぜ!」

 

 今一番訓練で俺を楽しませてくれるのはザックスだろう。

 アンジール、お前が面倒を見てた後輩はお前の先を行こうとしてるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちくしょう、今日はいけると思ったのに!」

「そうだな、今までで一番くらいついて来たな」

 

 今日こそはセフィロスに勝てると思ったのに、後一歩ってところで壁にぶち当たったように踏み込めない。

 

「しかし、回数を重ねるごとに良くなってるじゃないか」

「あぁ、クラウドとも何度も訓練してるし、着実に強くなってるからな」

「クラウドか……」

「セフィロスも一度戦えば気に入ると思うぜ」

「あぁ、そうしたいのはやまやまだが、他所との模擬戦は副社長の許可がないと出来ないからな」

 

 欲を言えば戦ってみたいのだが、ルーファウスから待ったがかかってる。

 俺の英雄という肩書が少し扱いに困るらしい。

 出来るならアバランチに潜入してるエルフェが帰って来てさえくれれば、訓練相手には困らないのだが、その未来もそう遠くはないだろう。

 

「おや、セフィロス、今女のこと考えてたろ、顔に書いてあったぞ」

「そんなにわかりやすいか?」

「うんうん、俺が言うのもなんだけど、なんか楽しそうな顔してたぞ」

「共に競い合える仲間は貴重だからな、そんなこと言って、お前はどうなんだ?」

 

 ザックスがスラムに住む花売りの少女と恋仲なのはソルジャーであれば誰でも知ってる。

 恋というのがどういったものか正直俺にはわからないが、ザックスを見ればいい影響を与えてるのだろう。

 

「そうそう、実はさ。今度神羅の会社を案内する約束をしたんだけど、良かったら付き合ってくれないか?」

「おいおい、まさかデートに部外者の俺を巻き込むのか?」

「実は亡くなったお父さんが神羅の科学開発部門のエライ人で、その人のことを知りたいって言ってるんだ。ルーファウス統括に許可も貰ってるけど、それならセフィロスも連れて行けって」

 

 科学開発部門に?

 いくらルーファウスの許可やザックスが付いているとはいえ、あの男の管轄下に行くんだ。

 それであれば俺が同席した方がいいだろう。

 

「わかった、目的は聞かないが、お前の顔に免じて彼女の力になってやろう」

「すまねぇ、エアリスが自分で見聞きして納得したいって言うもんだから」

 

 どうやらザックスの彼女も、ただの一般人ではないのだろう。

 詳しいことは俺も知らされてないが、ルーファウスが気にしてるようだし、時折タークスが護衛をすることもあるらしい。

 もしかすると宝条も何か噛んでるかもしれない。

 

 顔を合わせることはないが、どうも研究が順調で、俺やソルジャー部門にもいらぬ詮索をかけてこなくなった。

 その代わりに兵器開発部門に実験要請を頻繁にしてるらしいが、そこで問題が起こったという話も聞かない。

 

「クラウドは宝条博士に気に入られてるらしいけど、俺は科学って興味ないからさ、何話していいかよくわかんないんだよね」

「変に気に入られると実験台にされるのがオチだ、関わらないのが正解だな」

「うげぇ、そこまで言う。セフィロスって宝条博士のこと苦手だよな。統括なのにずっと呼び捨てだし」

 

 たしかに他の統括にはそれなりに敬意を払うこともあるが、あの男にそんなもの必要ないと思える。

 しかし、言われてみればなぜそこまで個人を嫌いになれるのかとも疑問が浮かぶ。

 幼少期に俺のことを実験台にし、その頃からの付き合いだからかもしれん。

 

 ガスト博士が今でも存命であれば、あの程度の男が統括になることも無かったろう。




ちょいと用語説明しますね。

「ヘルハウス」
動く家。
リメイク版ではボスに昇格した、見た目お家で中身は機械だらけのボス。
面白い戦闘シーンになるし、個人的に愉快なデザインなので是非皆さんにプレイ動画で見て欲しい。

「エルフェ」
現アバランチのリーダー。
本名はフェリシア。タークス主任ヴェルドの娘。
記憶を失っていたところをアバランチに拾われ、打倒神羅カンパニーの決意、剣の腕前、カリスマ性などから、あまたのリーダー候補を押さえてのし上がった。

のだが、今作ではルーファウスの工作でヴェルドと出会い記憶を取り戻してる。
セフィロスと幾度も剣を交え、ヴェルドの説得もあり、タークスのメンバーとしての戸籍を新たに用意され、スパイ活動としてアバランチに潜入してることになっている。

この事実はルーファウス、セフィロス、ヴェルド、ヴィンセント、スカーレットしか知らない(スカーレットが知ってるのは真実にたどり着かれたら面倒だからと開示され、ヴィンセントが知ってるのは元タークスで身軽なため、双方の連絡係を裏でしてるから)

毎日更新大変です、でもあと少しなので頑張ります!
感想いつもありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。