【完結】FF7スカーレット成り代わり物語   作:発火雨

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セフィロス・コピー

「セフィロス・コピープロジェクト……簡単に言えば成長したセフィロスの細胞や戦闘データをコピーして、セフィロスを作り出す計画だ。S細胞の模倣する能力で、セフィロスの強さを知り、それをG細胞のコピー能力で量産する。これも字面だけ見れば科学に興味のない凡人たちがはやし立てそうな計画だが、上手くいくはずがない」

 

 宝条はホランダーの主導したプロジェクトに対し、徹底的に批判を加えた。

 

「まず一つにセフィロスの正確な戦闘データを奴らは手に入れることが出来ない、我々が管理するシミュレーション訓練や実戦データから得られる情報は、ほとんどが機密扱いで詳細は一部の人間にしかアクセス出来ないようになっている。仮に実戦でデータを集めようにもすべての敵をセフィロスが逃がすことなく処理してるから、実戦でデータを取ることも不可能に近い、この辺りはソルジャー部門で敵を倒すだけでなく、情報管理を徹底している統括の功績でしょう」

 

 たしかに最強のソルジャーであるセフィロスを文字通り量産すれば、アバランチは一躍神羅の勢力を超えることも出来るだろう。

 しかし、そのために必要なセフィロスの戦闘データを手に入れることが出来ない。

 

「さらにもう一つの問題なのだが、セフィロスのデータを手に入れたところで、完璧なセフィロスを作り出すことはできない」

「完璧なセフィロスってなに?」

 

 パルマーの好奇心は、完璧という形容詞を捉えたらしく。

 気負うこともなく、無邪気に質問する。

 

「そもそもまったく同じ人間を作ることなど不可能なのだよ、確かにジェノバは姿形や行動特性なども真似できるが、所詮は模倣してるに過ぎない。あくまでデータとして触れた物だけを再現するのが限界だ。そうだな……遺伝子工学に詳しいものが私以外ここにはいないが、何人かは機械工学に多少明るいだろう。例えばバイク、自分たちで作ったことのないバイクを、見た目やカタログスペックだけを頼りにコピー品を作ろうとしよう。いったいどのくらいの完成度になるかね?」

 

 ちらりとこちらを見ながら、宝条は話す。

 パルマーやリーブ辺りはなんとなく察したみたいだが、どうも俺の答えをご所望らしい。

 仕方なく、俺は宝条が望む答えを言う。

 

「見た目だけはそれっぽい物を作れるでしょうし、私ほどの技術者になれば大まかな設計やコンセプトから逆算して同じような物は作れるわ。ただし、実際に動かしてみたら全然動きは違うだろうし、多少似てる紛い物が限界ね。それが最新鋭のメカならそれはもうお粗末なものが出来上がるでしょう」

 

 俺の答えに対してさらに質問を繰り返す宝条。

 

「コピーというのがいかに難しいかはこれで理解してもらえたと思う。次に、採算度外視で作った最新鋭のワンオフ兵器と、製造ラインを作って量産するものは同じクオリティに出来るかね?」

「無理ね、大量生産してる機械だって微妙に出来が違うのよ。オーダーメイドみたいに手間暇とコストをかけた一級品と、量産したものを張り合わせようなんて無謀ね」

「ホランダーの残した失敗作……ジェネシスやアンジールといったコピーを見たせいでいらぬ期待を科学に委ねるのはまったくもって馬鹿馬鹿しい限りだ」

 

 ふんと鼻を鳴らし、ホランダーのセンスのなさをあざ笑う宝条。

 

「そして一番の問題が、作り出したセフィロスが命令を聞くかどうかは保証出来ないということだ。体だけ作りだしても動かす意思がなければただの置物。ホランダーのG細胞をコピーした奴らはある程度の人格も相手に植え付けてコントロールしていたようだが、それはコピーする側の本体にその意思があったからにすぎん。それは本物のセフィロスを使わず、偽物を作りさらにその意思を操るなど、もはやセフィロスと呼べる代物ではない。ただ外見を似せただけのガラクタだよ」

「さっきのバイクの話で例えると、バイクは乗り手が居て初めてバイクとして機能するのよ。偽物のバイクを用意して、多少同じことが出来るように訓練した乗り手を用意してもその差は埋まることはないわ」

 

 早い話がこのプロジェクトは絵空事なのだ。

 たしかにプレゼンとしては魅力的な言葉をちりばめ、理想の未来を描いてはいる。

 しかし、その中身は全くもって現実的ではない。

 

 まだ言葉としてこの世界には存在しないがセフィロスのクローンとでもいうのだろうか。

 クローンがそもそも作り手の思い通りに動くかわからないし、中身が違えばいくら外見や能力が同じでも結果が同じになるとは限らないだろう。

 

 まぁ、今の俺みたいなもんだな。

 この体はスカーレットの物だし、この体譲りの才能や動きなんかは完璧なんだが、俺という存在が中身なせいで全然原作のスカーレットとしての役割が機能していない。

 

「セフィロスを新たに作り出すことも、それをコピー出来ないことも分かった。ならばなぜ複数のセフィロスが現れ、実験部隊やタークスが苦戦しているのだ?」

「ホランダーの研究もアバランチの技術もこのプロジェクトを確立出来ない。それがなぜ我々の目の前で再現されているか、私の仮説では彼らの技術を利用しジェノバが間接的に兵を作ったのだろう。我々が把握する前から奴は目覚めていたのだよ」

 

 宝条の説明にリーブが声をあげる。

 

「そうか! 魔晄炉のエネルギー使用量から今回のジェノバ討伐に踏み切りましたが、実際は計測器を設置する前から……」

「魔晄をちょろまかして着々と準備していたってわけね」

「そしてアバランチの奴らもジェノバを利用したつもりが、実態はまんまと利用されとったというわけか……忌々しいテロリストどもめ」

 

 ハイデッカーが机相手に拳を振り下ろす。

 リーブはため息をつき、パルマーも状況が飲み込めたみたい。

 ルーファウスの開く口も事態の裏付けを取るものだ。

 

「タークスからの情報と、神羅が排除したソルジャーもどきの数が合わないこともわかっている」

「副社長からもらったアバランチの内部情報を科学開発部門で解析した結果。奴ら手当たり次第に細胞を移植して実験していたようだ。最初のうちはまだ神羅の技術の真似事だったが、追い込まれていくうちに数を増やすためだけに適性のない人間に手術を行ったり、先ほどのプロジェクトのためにずいぶんと無茶なこともしているな。これではソルジャーの量産ではなく、ジェノバの手先を量産してるようなものだ。恐らく廃人化した者や、そうでないソルジャーもどきもジェノバ本体の影響をもろに受ける」

「ジェノバ本体の影響だと?」

 

 プレジデントの怪訝な声に宝条が答える。

 俺はすでに知っているが、ジェノバは同じ細胞を持っていて心の弱い存在を操ることが出来る。

 

「私が唱えた仮説にリユニオンというものがあります。たとえ細胞がバラバラになろうとも、時期が来ればやがてひとつの場所に集結し再結合する。本体からの指示が無い限り、細胞を埋め込まれた存在は明確な意思を持ちませんが、指示があればそれに意識を奪われてしまう。クックック、まさかホランダーやアバランチの失敗作から私の仮説が立証されることになるとは」

 

 緊急事態だというのに自分の仮説が証明されたことがうれしいのか、楽しそうに笑う宝条。

 白衣を揺らしながら、不気味に笑うその姿はマッドサイエンティストそのものだ。

 

 こんなのでも今は一応味方なのだが、どこからどう見ても悪の科学者ムーブにしか見えない。

 

「ソルジャーの適性とは、言い換えれば強靭な精神力を持ちジェノバの干渉を防ぐこと。現に適性がない者にソルジャーの手術を受けさせると廃人と化すのは、本人の精神がジェノバに浸食され、指令を待つ待機状態となっているからだろう。神羅のソルジャーはともかく、アバランチが作り出したもどきの多くはジェノバに操られてると見てよい」

「なるほど、つまりジェノバがメインコンピューターで、ネットワークみたいに他の奴らを操ってるわけね。これでさっきのセフィロスの情報問題とコントロール問題はクリアってわけか」

「だから、二人でポンポン納得しとらんでわしらにわかるように説明しろスカーレット」

 

 ハイデッカーに説明を求められるが、宝条に説明を求めるのは早々に諦めたらしい。

 まぁ、俺の方が付き合いは長いし、話しかけやすいもんね。

 いや、宝条が全然かみ砕いて説明する気もないのも原因だな。

 

「つまりね、今までセフィロスが戦ってきたアバランチのソルジャーもどきやモンスターが見て経験したことは全部ジェノバに筒抜けってことよ」

「さらに付け加えるなら、あくまでS細胞もG細胞もジェノバの持つ特性の一部を受け継いだにすぎん。大本のジェノバ細胞がこれらで出来た素体を元にその能力を発揮すれば、セフィロスのコピーも作り出せるだろうね。あくまでアバランチ戦で見せたセフィロスの強さが限界だろうが」

 

 俺と宝条の説明にハイデッカーが立ち上がり怒鳴りつける。

 

「冗談じゃない! アバランチと戦ってる状態のセフィロスは乗りに乗り切ってる全盛期ではないか、それにそんなものがいくらでも量産されたらソルジャー部門と治安維持部門の全勢力でも瞬く間に蹂躙されてしまうぞ!!!」

 

 基本的に荒仕事専門の治安維持部門の戦力を把握し、運用する立場のハイデッカーだからこそ、その恐ろしさが分かるのだろう。

 

「それに関しても疑問が残る、現在確認されてるセフィロス・コピーはタークスが対応しているのと実験部隊の二名が足止めしている二体だ。なぜそれしか奴らは出さない」

 

 ルーファウスが現場からもたらされた情報と照らし合わせながら疑問を口に出す。

 現在多数のモンスターと共にニブルヘイム村を襲撃してるセフィロスが一人、魔晄炉へ向かう途中でイリーナとヴィンセントが対応してるのが一人。

 なぜセフィロスのコピーを作り出せるのに戦力を小出しにするのか。

 

「あぁ、それも簡単な仮説が成り立つ。ジェノバが生物に擬態するのは自身を強化するためではなく、油断した相手に細胞を埋め込みモンスター化するための手段にすぎん。強い生命体をコピーして使役するなど本来は出来ないのだよ。つまり、あくまでアバランチの技術を取り込んでジェノバ自身が試行錯誤した研究結果とも言えるだろう。面白いアプローチであることは認めるが、科学者でもない本能のみで進化する生物の探求などすぐに限界が来る。……他の科学者がジェノバに協力してるのか?」

 

 再びアバランチが残した研究資料に目を通しながら、口元に手を当てじっくりと考察する宝条。

 

「恐らく、誰にでもセフィロスをコピー出来るわけではないのだろう。元の素体の質が低すぎると強さの再現が出来ない」

「つまりいくら優秀なソフトが出来ても、それをインストールするハードが用意出来ないと数は量産出来ないってことね。ソフトはともかく、ハード面で言えばアバランチにそんな余力なかったはずよ」

「アバランチが独自に研究していたレイブンという改造人間、強さの代わりに自我を失うというまさにジェノバが目を付けそうな素体を最近新しく作り上げたと報告があった。アバランチもすでに崩壊が始まっている、すべてのリソースをそこに注ぎこんだのだろう。秘密裏に処理する作戦を進めていた段階で、突如4体とも行方不明になった」

 

 タークスに潜入していたエルフェの情報を口にするルーファウス。

 つまり……。

 

「多くて4体のセフィロス・コピーをジェノバは使役しているだろう。魔晄炉一つから神羅の目を誤魔化してエネルギーを使ったことを考えても、そのあたりが限界か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ……ツォンまだ動けるか?」

「はい、しかし無理なカバーをしたレノとルードが負傷しました。回復のため後方に下げましたが復帰には時間がかかるかと」

 

 ニブルヘイム村に敷いた防衛ライン。

 強化されたモンスター程度、精鋭たるタークスの敵ではなかった。

 しかし、一人の人間がその差を覆す。

 

「……」

「似てるのは外見と技だけで、一言も喋れないのか。まったく、偽物相手にここまでやられるとは俺も歳だな」

「ヴェルド主任、一度村に撤退してソルジャー部門の援軍を……」

「残念ながらそれは出来ない、今ここで我々が撤退したら、追撃はせずに先行した実験部隊を挟み撃ちにするだろう。ここでこいつを始末するしかない」

 

 タークスという神羅でも屈指のエリート集団。

 ソルジャーではないとはいえ、その戦闘力は神羅の上位、くわえて主任のヴェルドはその中でもトップの腕の持ち主だ。

 そしてそれらを支えるメンバーの連携、いかなる敵対組織も彼らの前で敗北を味わわされ続けた。

 

 しかし、目の前に立つは伝説を打ち立てた男のコピー。

 

「主任、村の避難がすべて終わったようです」

「よし、これから偽物を村に誘導するぞ。そこで他のメンバーと合流し市街地戦を仕掛ける」

 

 神羅カンパニー特殊工作部隊 VS セフィロス・コピー・BIRTH

 

 

 

 

 

「イリーナ! 無理はするな一度下がって態勢を立て直せ」

「私の方が接近戦は得意なんですから、任せてください」

 

 すべての攻撃が致命傷、ヴィンセントの援護があるとはいえ、少しずつ傷が増えていくイリーナ。

 

「早いとこ片付けて先輩の援護に行かないと、一人でこいつと戦ってるかもしれないんですよ!」

 

 迫りくる斬撃を紙一重で躱し、渾身の力で得意の回し蹴りを繰り出すイリーナ。

 攻撃は見事にコピーの頭部をとらえるが、痛みを感じないのだろうか、足は顔に音を立てめり込むがコピーの表情は変わらない。

 その隙を逃すまいとコピー・セフィロスが剣を振りかぶったその時、ヴィンセントの銃弾が腕の関節部に連続で放たれ、わずかに動きが遅くなった瞬間にイリーナが距離を取る。

 

「モンスター並みの耐久力とセフィロスの戦闘技術……これほどまでに手強いとは」

「先輩もモンスターに変身して一気にドカンとやれちゃいませんか?」

「無理だな、俺が変身してる間お前が無防備になる。その隙を見逃してくれる相手じゃない」

「あぁもう! ここは私に任せて先を急いでなんていうんじゃなかった!」

 

 ここにクラウドが居れば戦いは変わっていただろう。

 しかし、時間は有限、本体であるジェノバ討伐のため、イリーナとヴィンセントがコピーの相手をすることとなった。

 

「でもまぁ……先輩は私なら出来ると信じて任せてくれた訳で」

 

 拳を握り直し、いつかクラウドと共に超えようとした存在を真っ直ぐ見据える。

 ヴィンセントがコピーの死角に回り込み、銃弾を放つとそれに合わせてイリーナも走り出す。

 

「今度は私が……クラウド先輩のピンチを救うんだ!」

「俺も少し先輩らしいところを見せないとな」

 

 イリーナ&ヴィンセント VS セフィロス・コピー・LIFE

 

 

 

 

 

 

 魔晄炉内部、モンスターを蹴散らし、廃人と化したアバランチの団員を押しのけ、たどり着いた最深部。

 大量のポッドは内側から破壊され、ガラスが飛び散らかっている。

 恐らく今まで倒したモンスターたちもここで生み出された物だろう。

 

「いらっしゃい、クラウド・ストライフ。私の子を目標にした若き戦士よ」

 

 クラウド VS ???




ちょっと会議室での説明回が続きましたが、いよいよ舞台は現場組へ!

次回『???』まだまだ毎日書き続けてるので、明日の19時に投稿予定!

セフィロス・コピーたちの名前は原作プレイ済みの方ならわかるボスたちから流用。
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