【完結】FF7スカーレット成り代わり物語   作:発火雨

36 / 40
BIRTH

「敵の戦力はセフィロス・コピーが4体、セフィロスは連携を取るというよりも個人で戦うことに優れた結果を残してきた。奴らが連携を取るとは考えづらいが、取れないわけではないし、一人でもうち漏らすと、余ったコピーは違う戦闘に乱入してくるだろう。つまりすべてを打倒せねばジェノバの討伐も不可能だ」

 

 宝条が改めて神羅が戦う相手の理不尽な戦力を確認する。

 

「ふぅ」

 

 プレジデントは健康のためと、一時期控えていた葉巻に火を付け、大きく吸い込む。

 葉巻を吸う人間は神羅でも少ないが、煙草を吸う人間はそれなりにいる。

 

 主に兵器開発部門と科学開発部門以外でだ。

 俺は煙草の煙が嫌いだし、服に臭いが移るのが許せないから吸うような奴は覚えが悪い。

 

 科学開発部門では、サンプルにいらぬ影響を与えぬように禁煙を推奨してる。

 推奨といっても、それをしなければ即刻宝条の実験サンプルと触れ合う名誉が与えられるので、誰一人として逆らうものはいない。

 おかげで不健康そうな技術者集団たちは、意外なことに肺を患う患者がいないと、医療課からお墨付きをもらってる。

 

 対してソルジャー部門や治安維持部門では、止血効果があるとかないとかって話で、昔から嗜好品として愛されてるらしいけどね。

 

「現場ではタークスと実験部隊が戦闘に入ったと聞いたが、彼らで対処は可能かね?」

 

 プレジデントが葉巻を吹かしながら、宝条に話を振り、葉巻の煙に不快感を隠すこともなく、親バカマッドサイエンティストは答える。

 

「無理でしょうな、実験部隊の内訳はわかりませんがいつもデータを提供しているサンプル二人では一人と対峙してそこそこは戦えるだろうが、敵に対して数が足りない。逆にタークスではそれなりの数は集まって戦いになるかもしれませんが、圧倒的に質が足りない」

 

 タークスだって神羅の上澄みを集めたエリート集団だ。

 それに対して質が足りないと断言するのは、己が作り出したソルジャーの質に自信があるからだろう。

 

 いや、この場合科学者としてセフィロスの完成度、そしてジェノバの脅威を正しく認識しているからともいえる。

 

「タークスがいくら強かろうが、所詮精鋭部隊の一つにすぎません。それで何とか出来るなら、ウータイの部隊やアバランチが使っていたレイブンの部隊相手に終わっていたでしょう。それらを跳ねのけてセフィロスという男は今日まで勝ち続けて来た」

「あら、タークスを敗戦国やテロリストの劣った科学力で改造された奴らと一緒にするのは早計じゃなくて、私の作ったオーダーメイドの新作も持たせてるんですけど」

 

 実はタークスのヴェルド主任から、彼らが使う装備の相談をされていた。

 もちろん対セフィロスのお仲間が増えるのは大歓迎だったし、みんな何かしらの武器のスペシャリストだったから、こっちも腕の見せ所だった。

 ついつい提示された予算をオーバーして武器も装備も全部頑張っちゃった。

 

 根性見せろよ、神羅カンパニー特殊工作部隊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴェルド主任!」

 

 避難が済んだニブルヘイム村にセフィロス・コピーを上手く誘導することは出来たが、それでも状況は変わらない。

 そもそも、相手はただのモンスターではなく、セフィロスのコピー。

 ソルジャーが請け負う任務の性質上、市街地戦もお手の物だ。

 

 村の中で合流したタークスのフルメンバーで時に罠を仕掛け、時に持ち込んだ神羅の兵器を惜しみなく使い、応戦する。

 それでもずっとコピーを引き付けていたヴェルド主任の負担が大きすぎた。

 

「レノ、ルード、まだ動けるな」

「あぁ、さっき休ませてもらったからな」

「っても、こっちも病み上がりなんだぞ、と」

 

 二人の返答に合わせて一斉に距離を詰める。

 吹き飛ばされ家屋に消えたヴェルド主任への追撃を一度取りやめ、こちらへと意識を向けたコピーに、三方向からの攻撃を繰り出す。

 だが、それもやはり想定の内だったのか、難なく避けられた。

 その隙を逃さず、ルードが手榴弾を投げ込み、レノも追撃するが……。

 

「うげっ!?」

「レノ!」

 

 手榴弾は刀の側面でレノへと打ち返され、怯んだレノが一瞬動きを止めた瞬間。

 空中に浮かぶ手榴弾ごとレノの腹部へと強烈な回し蹴りが撃ち込まれた。

 蹴りと爆発で吹き飛ぶレノをルードが受け止めるが、重なり合う二人を貫くように刀が迫る。

 

「……っけ、囮になるのも命がけだぞ、と」

 

 そうだ、セフィロスの行動には無駄がない。

 多人数戦では一人一人の攻撃を確実に無効化し、一気に仕留められるときに纏めて敵を刈り取る。

 今攻撃に失敗し、無防備な手練れが二人いれば、彼らを一度に始末したくなるよな。

 

 どこからか飛んできた一発の弾丸が、コピーの頭上を通り抜ける。

 セフィロスは一人だ、一人で戦うために戦闘では徹底した合理主義者だ。

 敵の攻撃、始末する対象、すべてに優先順位が付けられる。

 自分に当たることのない弾丸の優先順位は低いだろう。

 

「……!?」

 

 言葉は話せずとも顔に感情は出るようだな。

 

 突如給水塔が小さな爆発を起こし、空いた穴から噴き出る大量の水。

 水に濡れながらも動きは止まらず、レノとルードに刀は迫るが、あまりにもこちらのことを知らなすぎる。

 

 それも当然だ、いくらセフィロスを再現しようとも、徹底した情報統制を基本としてるタークスのメンバーや装備など、セフィロス自身も知らないからだ。

 

「うぉおおお!!!」

 

 前に飛び出したルードが刀を全力で受け止める。

 真剣白刃取りと呼ぶにはあまりに力を籠めすぎているが、ルードほどの怪力が無ければセフィロスは止まらん。

 

「お次はこいつだぞ、と!」

 

 全身が濡れたコピーにレノが愛用している電磁ロッドを当てる。

 今回のために兵器開発部門に依頼して用意してもらった特注品だ。

 いかずちのマテリアを核に、チャージした電撃の威力は大型モンスターさえ感電させる。

 これで刀も離せず、機動性を封じた。

 

「こ、こいつまだ動くのか」

 

 こんな状態にもかかわらずルードが手で押さえていた刀は動きを止めない。

 

「ツォン! 早いとこ決めてくれ」

「あぁ、任せろ!」

 

 俺は構えていた拳銃をコピーに向け引き金を引く。

 発射される弾丸は常人には見えない、しかしお前は発射された弾丸を捕捉することが出来るんだろう?

 

 つまり、弾丸から目を離せない。

 

「悪いな、俺も囮だ」

 

 目が良すぎるというのも困り物だ。

 そしてモンスターではなくセフィロスをコピーした以上、人間の出来ること出来ないこともはっきりしている。

 人間は背後に目などないからな。

 

「終わりだ!」

 

 家屋に吹き飛ばされたフリをしていたヴェルド主任が、他のメンバーにヘイストを掛けられ、最高速でセフィロス・コピーの背中に右手を押し当てる。

 義手になった右手はそのまま銃になり、ゼロ距離で兵器開発部門が作り出したマテリアを起動する。

 

「さらばだセフィロスの偽物よ、体内から焼かれ細胞ごと燃え尽きろ」

 

 セフィロス・コピーの体内に直接打ち込まれるファイガ。

 俺はレノとルードの背中を引っ張り、二人を引き剥がす。

 一瞬体が赤く光ったかと思うと、体中から炎が噴き出す。

 ソルジャーの肉体とはいえ、体内から焼かれればひとたまりもあるまい。

 

「遅いぞツォン! 俺たちも一緒に火葬されるかと思って冷や冷やしたぞ、と」

「まったくだ、怪我の申請書に主任代理のミスのせいでと書かなきゃならんところだったな」

「そういうな、すぐに動けるものを集めて魔晄炉へ行かねばならん。恐らく実験部隊も手こずってるだろう……!?」

 

 目の前のセフィロス・コピーの様子がおかしい。

 先ほどまで漏れていた炎が消え、まるで体に熱をため込んでいるように……。

 

「いかん、全員伏せろ!」

 

 ヴェルド主任の声に反応し、全員が地面に伏せた瞬間。

 セフィロス・コピーの体が膨れ上がり、爆発を起こす。

 凄まじい爆音と爆風が吹き荒れ、家屋は吹き飛び、地面は大きく抉れた。

 

 爆発の衝撃で吹き飛ばされた俺たちはそれぞれ別々の場所に飛ばされる。

 

「こ、ここは……」

 

 一瞬動転した気を落ち着けて周囲を見回す。

 先ほどまでいたニブルヘイム村の家屋は見る影もなく、周囲は瓦礫の山だ。

 激しい熱が燃え広がったのか、辺り一面火の海。

 幸い、爆発の直撃を受けなかったおかげか、体に痛みはない。

 

 ただ、装備はボロボロでとても戦闘に使える状態じゃないな……。

 

「これはすぐにクラウドたちと合流ともいかなくなったぞ」

 

 動けるメンバーを集めてはみるが、今の爆発で近場にいたヴェルド主任に、ギリギリまで無茶をさせたレノとルードもボロボロで任務継続は困難だろう。

 幸い自分は動けるが、もう一度今のセフィロス・コピーを相手に出来るかと聞かれたら、精々囮か、誰かの盾になるのが関の山だろう。

 

「ひとまず、誰か負傷したメンバーがいないか、村の中を確認しなくては……急がないと火が回って、手遅れになる」

 

 体を起こし周囲を見渡すと、炎の向こうに人影を見つける。

 ゆらゆらと蜃気楼のように揺れる影は……。

 

「まさか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理だろうね、多少優れた装備品で身を固めようと、優れた兵器を持たせようと、機械は限界を超えない」

 

 宝条は眼鏡を白衣の袖で拭きながら、俺の問いに答える。

 

「それでいて、一つだけ懸念がある。セフィロスの技術や外見は似せたところで、結局ジェノバが作り出すのはモンスター。モンスターにセフィロスの力を与えたと言ったところか、ソルジャー計画とは真逆の発想だな」

「真逆の発想?」

「そうだ、ジェノバの力を与えた人間がソルジャー。しかしジェノバが作り出すセフィロス・コピーというのは恐らく限りなくモンスターに近い何かにセフィロスの力を与えた存在だ。人間であるセフィロスと差は出て当然だろうし、一番考えられるのは生物としての耐久性、特に奴らは古代種との争いに負けた記憶があるはず。ジェノバが歴史に学ばぬ愚者でない限り、古代種が得意としたマテリアによる魔法に対して何か対策を取っているだろう。私なら一度実験で敗北したサンプルが居れば、敗北した原因を放置しない、改良の余地があるのだからね」

 

 それは君も同じだろうと言わんばかりに、宝条は俺を見る。

 たしかに改良点があれば、よりバージョンアップさせるのが技術者の性かもしれない。

 

「確かに、出来ることはすべてやらないと後悔しか残らないものね」

「すでに打てる手はすべて打った。あとは現場の人間に任せるしかないな」

 

 ルーファウスも椅子に腰かけながら、連絡が一向に来ない端末を机の上に放る。

 俺たちに出来ることは、報告を待つのみ。

 

 こんな世界に転生しといてなんだけども、全然戦闘とか出来ないから、こんな時に何も介入出来ないんだよな。

 

 負けるなよ、みんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツォン、状況報告お願い」

 

 揺れる炎の奥に佇み、こちらを見ていたセフィロス・コピーが吹き飛んだかと思うと、突然隣に声が聞こえる。

 機械越しに聞きなれた声だったが、こうして肉声を聞くのは久々かもしれない。

 

「エルフェか……一体どうして」

「もうアバランチに潜入してる意味なんてないでしょ? 神羅に報告した後に直接ここまで来たのよ」

 

 そう言いながらも、視線の先はコピーを見つめ、警戒を緩めない。

 

「他のタークスは? 大きな爆発があったところまでは確認してるわ」

「爆風のせいで把握出来ていない、ヴェルド主任がダメージを与えてるはずだが油断するな」

 

 たった一人、それも女性が傍にいるだけだというのに、この安心感は何であろうか。

 それは知っているからだろう、ソルジャー最強がセフィロスだというのなら、タークス最強である彼女の実力を。

 

「了解、ツォンは他のみんなを回収して治療しなさい。村の入口に私が乗って来たチョコボが待機してるから」

「用意が良すぎるな、いつの間にそこまでタークスに染まったんだ?」

 

 彼女は表向きはアバランチに潜入していたことになっていたが、タークスとしての技術指導など何年も受けていないだろうに。

 

「礼なら実験部隊で戦ってる元タークスの先輩に言いなさい、私が間に合うようにわざわざ自分が移動手段に使っていたチョコボを潜伏先に送り込んできたのよ」

 

 なるほど……ヴェルド主任が何かあった時はヴィンセントを頼れと言っていたことがあったが、確かにこの用意周到さはタークスに違いない。

 

「わかった、すぐに動ける人員を集めて戻ってくる。受けた恩はすぐに返さないとな」

 

 先行した実験部隊も同じように戦闘してるだろう。

 ならば、早くこの場を勝利し、彼らの下へ行かなければなるまい。

 

「そっちも問題ないわ、とりあえず目の前の問題を処理しましょう」

 

 エルフェ VS セフィロス・コピー・BIRTH




とりあえずストック分全消化しました
明日更新分を今日のうちに頑張ります!

明日19時更新予定
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。