【完結】FF7スカーレット成り代わり物語   作:発火雨

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LIFE

 追い詰めきれない。

 コピーされたセフィロスの強さは訓練で想定していた通り。

 しかし、それはクラウド・イリーナ・俺の三人一組で戦った場合の話だ。

 

 先ほどニブルヘイム村の方で派手な爆発音があったが、向こうでもタークスが戦闘を継続してるのだろう。

 俺が手配した援軍も、恐らくは村の方へ最初に着くはずだから、向こうの心配は無くなった。

 その代わり、こちらへの合流は期待しない方が良いだろう。

 

「先輩!」

「今のうちに回復しとけ!」

 

 接近戦を仕掛け続けたイリーナの限界が来てしまった。

 ポーションを投げつけ、俺がカバーに入るがそう長くはもたないであろう。

 

 そもそもイリーナも近接戦を得意とするが、あくまでもクラウドのような戦士のサポートが得意なタイプだ。

 クラウドと別れたのは悪手だったか?

 

 いや、ジェノバがここにコピーを配置した意図から、ここで俺たちが足止めをしなければ、村のタークスが全滅していた可能性もある。

 さすがにエルフェ一人で二人のセフィロスを相手取るのは難しいだろう。

 

 普段使うのは拳銃だが、近接戦をやれないこともない。

 何度も迫りくる刃の応酬を捌きながら、時折カウンターも狙うが、時間が経つごとにこちらの防御は抜かれ、攻撃は当たらなくなってきた。

 

 そろそろ限界か。

 ジェノバコピーの斬撃を躱し、その勢いのまま距離をとる。

 俺と入れ替わるように投げこまれた手榴弾を刀で弾き返そうとするが、俺が体を横にずらすと一発の弾丸が手榴弾の軌道を変える。

 完璧なタイミング、ほんの些細なことで狂えば、ただのミスに成り代わる。

 そしてそこを見逃すほど俺たちは甘くない。

 

「ナイスアシストだ」

 

 空中に浮かぶ手榴弾のため、軌道修正される刀。

 そのほんのわずかな動きの無駄に合わせて、俺とイリーナの銃が一斉に火を噴いた。

 弾丸はジェノバコピーの刀に防がれてしまうが、それで十分だった。

 

 稼いだ時間で手榴弾が爆発し、ようやくこちらの攻撃がクリティカルヒットした。

 

「ざまぁみろ!」

「銃の扱いも覚えておいて良かったろう」

 

 イリーナ本人は嫌がっていたが、姉譲りの射撃の腕は確かだった。

 兵器開発部門として、様々な装備に触れる環境にあったし、手数が多いことはそれだけで強みになる。

 

 あぁ見えてクラウドは銃の腕がイマイチだったのも良かったのかもしれん。

 適当にバラまくマシンガン系ならいざ知れず、精密射撃が必要な銃の成績は並み。

 おかげでイリーナが唯一勝てる訓練項目として、積極的に訓練を取り組んでたからな。

 

「そりゃ、クラウド先輩に銃を教えてるのは私ですからね!」

 

 今では銃の扱いだけは講師の立場を交代して、クラウドがイリーナに教わっている。

 

 まったく、人間関係など煩わしいと思い続けてきたが、どうにもタークスにいた時よりも充実してしまった。

 

「あら~全然効いてなさそうなんですけど」

「手榴弾の一発がヒットしたくらいでセフィロスは倒れたりしないだろう」

 

 小さいながら殺傷力のある爆発を受けたはずなのに、ジェノバコピーはかすり傷で済んでいる。

 その傷口も、まるで時間を巻き戻したかのように再生している。

 

「うわっ、なんか勝手に治ってますよ! ズルくないですか!?」

「姿形を真似たところで、結局の所中身はモンスターなんだろう。これは一気に畳みかけないとキリがないな」

「まじ最悪……私が意地でも一人で時間稼ぎますから、その間に変身して倒しちゃってくださいよ」

 

 イリーナは軽く話すが、それは命がけの賭けになることを本人が一番理解している。

 今でさえ俺のカバーがあって何とか戦いになっているのだ。

 仮にイリーナが一人で戦えば確実に負ける、運が良ければ死ぬ前に俺がジェノバコピーを倒せると踏んでいるのだろう。

 

「残念だが却下だ、あの女に報告するクラウドの身にもなれ」

「でも他に方法も無さげでしょ、村の方に呼んだエルフェ先輩っていつ頃こっちに来れそうですか?」

「恐らく先ほどの爆発はヴェルドの奴が義手に仕込んだとっておきを使ったな、それでも戦いが終わらないということは、向こうも手一杯ということだろう」

 

 セフィロスの強さは理解していたが、中々このコピーというのも出来が悪くない。

 まったく、元となった男の両親を知る数少ない者として、子供の成長を喜ぶべきか……。

 

「それじゃ、どうします。このまま時間稼ぎに徹しますか?」

 

 考えを張り巡らせると、遥か上空に一筋の光が見えた。

 

「いや、どうやらこっちにも援軍が来たようだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっとスピード出ないのか? 早くしねぇと間に合わねぇって」

「うるせぇ! 俺様のタイニーブロンコだって全速力で飛んでんだ! 少しはそっちの兄ちゃん見習って大人しくしてろ」

 

 まったく、宇宙から帰ってきてしばらくは次のロケット打ち上げまでのんびり出来るかと思ったら、この星の命運がやべぇらしいじゃねぇか。

 相手は宇宙から大昔に飛来した侵略者だとか、同じ宇宙を飛び回る同業者とはいえ、そんなあぶねぇ奴を野放しには出来ねぇからな。

 

 それに神羅26号の借りを二人に返さなきゃならねぇって時に、タイミングよく俺も本社にいたもんだ。

 

「おい、落ち着け」

「そんなの無理だって、セフィロスもそうだろ。お前の偽物でクラウドたちがピンチじゃん」

 

 クラウドにはロケットを守ってもらったが、セフィロスにはパレードを守ってもらった恩があるからな。

 何より気に入ったのは、こいつらが神羅の待機命令を無視してクラウドたちを助けに行こうとしてたことだ!

 

 ジェノバってのはソルジャーを操る力があって普通の奴らだと近づけば近づくほどやべぇから、今回ソルジャーは留守番って命令だったんだとよ。

 

 まぁ、そんなの関係ねぇって移動手段探してたら、まさかあの英雄セフィロスが俺のことを頼るとはな。

 会社の命令より、自分のやらなくちゃいけないことをやるって啖呵切って来たのは最高に笑えたな。

 

 二人ともいつでも戦えるようにってシートベルトもせずに、俺様の飛行に付き合う度胸も気に入った。

 なんだよ、宇宙開発部門や兵器開発部門以外にも、中々にぶっ飛んだ面白い奴らがいるじゃねぇか。

 正直会社組織ってやつはあんまり好きじゃないが、そこで働いてるバカってのは案外多いのかもしれねぇな。

 

「お二人さん、そろそろニブルヘイム村上空に着くが、どのあたりで降ろせばベストだ?」

 

 そう聞いてみた瞬間、村の方ででっかい爆発が起こって、空の上からでも見える位真っ赤に燃え上がった。

 あの爆発は、タークスの連中が使う新型爆弾かなんかか? あんなもん使ってるってことは相当にやべー状況だってことだろうな。

 

「あそこにも何かいるようだが、ニブルヘイム山の道中に嫌な気配がする。ザックスはそっちに、俺は直接魔晄炉を叩く」

「へっ、なんか感じ取れるのか?」

「あぁ、言葉にするのは難しいが、お前の彼女の言葉を借りると星の悲鳴だな」

 

 へっ、英雄様ってのはちょっとカッコつけすぎていけねぇ。

 ある意味若者の特権のような気もするが、まぁ悪くねぇな。

 

「爆発したエリアには誰か行かなくていいのか?」

「そっちは問題ない、俺と戦えるだけの奴が陸路から向かってるはずだ。俺たちはこのまま空から攻める」

「よっしゃ! 面白くなってきた。ギリギリまで低空飛行するから、適当なタイミングで飛び降りな!」

 

 タイニーブロンコで大空を自由に飛び回るのが醍醐味だが、たまにはこういった無茶苦茶も悪かねぇか。

 

「な、なぁ、パラシュートとかなんか積んでないのか?」

「ははっ、そんなもん積み込む時間も勿体なかったろうが。ぶっつけ本番、ちゃんとお前らなら飛び降り可能なギリギリ攻めるから心配すんな!」

 

 高度を目いっぱい下げて、ニブルヘイム山の上を低空飛行する。

 いくら高度を下げてるからって、こんな速度で飛行する複葉機から飛び降りたら普通の人間なら大怪我は必至。

 それなのに何とか出来ちまうってんだからソルジャーって奴らは頑丈だな。

 

「帰りはきちんと回収してやるから、ド派手に暴れて来な!」

「あぁ、もう、先行ってるから、クラウドを頼んだぞセフィロス! ここまでサンキューなシド!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってわけで、ここからは俺も参戦!」

「ザックス先輩? なんでここに?」

「説明は後だ、まずはあの偽物野郎をぶっ倒すぞ」

 

 事前に話は聞いてたが、マジでセフィロスそっくりでやんの。

 しかもクラウドが抜けてイリーナとヴィンセント二人でよくやるよ。

 本当なら近接戦クラウド、近接サポーターイリーナ、遠距離ヴィンセントで役割分担して戦うのがこの小隊の強みなのに、クラウドなしでよくもまぁセフィロス相手に粘ったもんだ。

 

「それじゃ、二人ともカバーよろしく! こっからは俺がガンガン前に出るから!」

「もう、正直助かっちゃいますけど、隊長ぶらないでください! 一応この部隊の指揮権は副官の私が持ってるんですからね!」

「なんにせよ手数が増えたのは助かる、ここからが実験部隊の本領発揮だ」

 

 さぁ~てセフィロスの偽物さんよ。

 一人増えただけだと侮るなよ、この構成が二人本来の戦い方なんだからな!

 

 ザックス&イリーナ&ヴィンセント VS セフィロス・コピー・LIFE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そらそら、どうしたのかしら。威勢の良かったわりに防戦一方じゃない」

「ふん、セフィロス二体をもってしても俺一人攻め切れてないことの方が問題点じゃないか?」

 

 二体のセフィロスには驚かされたが、どうやらジェノバの言葉通りならそれぞれ与えられた役目が違うらしい。

 一体は俺に積極的に攻めてくるが、もう一体は遠距離からの攻撃しかしてこないし、ジェノバへ何発か打ち込んだ魔法を刀で切り捨てている。

 前衛と後衛、いや、ジェノバのそばに控えるのはあくまでジェノバの護衛なのだろう。

 

 隙を見てルクレツィアさんの体を無力化したり、その奥の扉にいるはずのジェノバ本体を叩きたいが、向こうもそれは把握しているのだろう。

 扉の前で陣取り、ルクレツィアさんの体は一向に動く気配がない。

 

 せめてここにイリーナとヴィンセントがいてくれたら、まだとれる選択肢も多いのだが、ない物ねだりをしてもしょうがない。

 

「時間稼ぎしても無駄よ、どんどんセフィロスは成長してるんだから」

「英雄様の勤勉さには頭が下がる、俺とやり合うのは初めての癖にどんどんこっちの動きに合わせてくる」

 

 なるべく無駄な攻撃でこちらの手の内を学習させないように防御と回避に比重を置いて立ち回ってるが、どんどんこちらへの踏み込みや、狙ったカウンターのタイミングが正確になっていく。

 この分だとあと数分もすれば、今俺が行っている行動はすべて学習されるだろう。

 

「これならどうだ!」

 

 俺は目の前のコピーに手榴弾を投げつけると同時にバスターソードを叩き落とす。

 無論簡単に回避されるが問題ない。

 そのまま地面に刺さったバスターソードを軸に、体を捻り回転を加え、回転に巻き込むように先ほど投げた手榴弾に足の先端を引っ掛ける。

 

「これは俺の技じゃないからな、真似できまい」

 

 思い切り蹴り飛ばしたそれは、まっすぐにルクレツィアさんの体目掛け飛んで行く。

 もちろんこんな単純な攻撃が当たるほど、英雄様は甘くない。

 

 すぐに護衛に付き添っていたコピーがカバーに入る。

 結構引き付けてルクレツィアさんから引き離したつもりだったが、やはり俺を攻撃するよりもルクレツィアさんの体を守ることに意識を置いてるらしい。

 

 それに今の攻防でわかったが、どうやら直接剣を交えているコピーの経験は、後ろのコピーにもある程度伝わってるらしい。

 これは、やりにくいな。

 アバランチ程度でここまで仕上げられるとなると、宝条博士が関わったらもっと酷いことになりそうだ。

 尤も、あの人はセフィロスのコピーを生み出すことに良い顔はしないだろうけど……。

 

「面白い曲芸ね、もしかして彼女さんの技?」

「やはりな、他のコピーたちの情報も共有してるのか!」

「抜け目のない男ね。そうよ、私が全員の意思を操ってるんですもの、その繋がりでコピーたちは経験を共有する。つまり、この時間もどんどん強くなってるのよ」

 

 なるほど、だが分かったことがある。

 

「ジェノバの持つコピー能力には欠陥がある」

「あら、どうしたの急に、私のセフィロスたちは完璧なコピーを……」

「あくまで真似できるのはセフィロスの技だけなんだろう。他の動きは学習し、対策こそ練れるが、実戦で運用できるまで人の技は真似出来ない、違うか?」

 

 俺の挑発に見事引っかかったのだろう。

 二体のセフィロスの動きが止まり、俺を見据えながら警戒態勢を維持する。

 どうやら、会話でもう少し引っ張れそうだ。

 

「そうよ、完璧なソルジャーであるセフィロスをコピーしたこの子たちは、セフィロスの技しか使えないの。その代わりセフィロスが使わないような技、魔法、果てには戦術だってすぐに学習して、セフィロスの出来る行動の中でセフィロスと同じ思考から最適解を導く。それがセフィロス・コピー」

「強い戦士を作るわけではなく、強い戦士と寸分違わず同じ者を仕上げる。科学者というよりもラインを任された技術者みたいな考え方だな」

「でも、貴方だってわかるでしょ。この子たちの脅威が、学習したことを全個体で共有する。組織として完璧じゃない?」

「あまり好みの考え方じゃないな、人間違いがあるからこそ部隊を編制しそれぞれの役割をこなすんだ。会社だって同じだろ?」

 

 科学者ってのは自分の成果をわかる人間にひけらかせたい。

 宝条博士しかり、スカーレット様しかり。

 もしかするとルクレツィアさんの体を使ってる弊害か、思考の仕方が科学者寄りになってるのかもしれない。

 

「それは理想とするものが違うわね。ちなみに、どうして気づけたわけ?」

「手榴弾の処理の仕方だな、確かにセフィロスとしては完璧な対応だった。初見じゃない位スマートだったよ。ただ、戦士として最適解ではなかったな」

 

 俺の言葉に首を傾げ悩むジェノバ。

 細かいが、いまだにルクレツィアさんの振りは止めないらしい。

 人差し指を頬に当て、可愛らしく首を傾げる姿は確かにグッと来てしまう。

 

「もしイリーナのことをきちんと知っていたら、あいつは手榴弾をこっちに蹴り返してくる」

「一つ訂正しておくけど、真似が出来ないじゃなくてする必要がないのよ。セフィロス以上の戦士なんていないんだから」

「それならせめて、刀の側面で弾き返すくらいはするべきだったな。出来ないことを欠点ではなく、違う理由で覆い隠すなんて科学者として才能がないんじゃないか?」

 

 大きくため息をつくように、ジェノバが肩を落とす。

 いちいち動く仕草は俺対策として完璧だな。

 ここにいるのが俺一人でよかったかもしれない、イリーナが居たらなんて茶化されるか。

 

「彼女さん大切なのね、好みのタイプは年上なのに。そうだわ、私の恋人にならない? 私だったらあなたの理想を完璧にこなせるわよ」

 

 その瞬間俺の後ろから何かが弾丸のように飛び出し、護衛をしていたコピーと激しくぶつかり合った。

 二つの刀が何度もぶつかり合い、激しい金属音が鳴り響く。

 飛び跳ねた一人が俺の隣に降り立ち、もう一体のコピーへ刀を向ける。

 

「遅刻にしても遅すぎないか?」

「悪いな、これでも全速力で飛ばしてもらったんだ」

 

 互いの得物を握りしめ、目の前のコピーたちを見据える。

 

「英雄は遅れてくるのかもしれないが、遅刻者は後で反省文だな」

「それを言うなら増援申請が遅すぎる、責任者であるあの女が悪い」

「スカーレット様はギリギリまで粘って交渉したはずだぞ、ここに来るのだって正規のルートは使えないから、事前にシドに頼んでただろう。あの人は何も悪くない」

「相変わらずで安心した、まさか久しぶりにみた後輩が、母の体を操ったモンスターにナンパされてるところだとはな」

 

 さて、手数も来たし、今度はこちらが攻める番だ!

 

 クラウド&セフィロス VS セフィロス・コピー・DEATH & SYNTHESIS




まずはここでお詫び。

昨日更新出来ませんでした。
活動報告でお伝えしたんですが、パソコンの電源ユニットから異音がして修理に持ち込んでました(幸い埃が原因のようでとりあえずクリーニングしてもらったら直りました)
電源ユニットなんて自分じゃ掃除出来ないですよね、私も一度分解掃除したんですけど自分の力では直せませんでした。

次に頭が痛くなっちゃってすぐに寝ました
おかげさまで一日ぐっすり寝たら回復しましたよ!

あとあんまり関係ないかもですが、今回いつもより文字数多めでごめんなさい
本当は5,000少し超えるくらいで纏めるんですが、ちょっと多めで6,350文字あります
本当は一回当たりの文字数もなるべくぶれないように書くのが目標だったんですけどね

さて、あやまってばかりでも良くないですよね

次回更新予定は来週の水曜日8/28の19時の予定です!
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