ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第113話: 予定では毎朝1個枕元に ← 止めましょうよ先輩と止められた

 

 

「悪い事は言わないから神社に置いて行くべきよ、本体の私。生後半年程度の赤子が遠出をしたって、覚えているわけがないでしょうに」

「う、うう……で、でも、潜在的な記憶の中にママとの思い出が残ることだって……」

「可能性の話であって、必要でもないのに遠出させるのは如何なモノかと思うけど?」

「──だって、エマと離れたくないんだもの!!!」

「う~ん、この……」

 

 

 是非とも現地の様子を確認してほしいというロボ子の提案に、千賀子はそれならばと『巫女服』に着替えたわけだが……そこで、問題が一つ生じた。

 

 

 それは、『エマをどうするか?』である。

 

 

 冷静に考えたら分身たちに面倒を見てもらうか、冴陀等村の人達に預けるか、実家に数時間ばかり預かってもらうかの3択なのだが、ここで生来の気真面目さが邪魔をした。

 

 相手が暴力を辞さない態度であるならばともかく、まずは対話という形で理性的に動いている相手に対して、分身とはいえ代理人を寄越すのは……こう、失礼ではと思ってしまったこと。

 

 普通に考えたら、代理人を送るなんて事はなんら珍しい話ではない。なんなら、最後まで当事者が出て来ないで全て代理人だけで済ます事だってある。

 

 けれども、千賀子は心の片隅で考えてしまうのだ。

 

 特に理由もないのに代理人をあてがうのは失礼ではないか、と。自分が動けるのに、相手が切実なのに、任せてしまうのは不誠実ではないか、と。

 

 最近になってようやく『他人に任せる』ことを恐る恐るできるようになってきているが、やはり、まだまだ根っこの部分は変わっていない。

 

 他人に任せるのが不安ではない。

 

 他人に任せた方が自分でやるよりもずっとスムーズに行くと分かっていても、心の何処かで申しわけなさを抱いてしまう。

 

 土地の売買に極力分身ではなく千賀子自身が向かうのも、本質はそこにある。

 

 コネがないので前段階は道子を頼りにするが、その後の交渉……すなわち、自分がやれる範囲に入ると、途端に全部自分でやろうとするのもまた、理由の一端であった。

 

 

「……まあ、私たちはしょせん分身でしかないのだから、決めるのは本体の私だけど……じゃあ、せめてロボ子を護衛に連れて行けば? なにか起こる前に、なんとかしてくれるでしょ」

「ヨシッ! ロボ子、エマが何かされそうになったら撃ち殺せ! 私が許す!!」

「構いませんけど、今のマスターの指示に従うと、マスターが大量殺人を命令した首謀者として捕まりそうで心配です」

「いや、さすがにそこまでは……」

 

 

 あまりと言えばあんまりな評価だが、実際にそんな気配を醸し出していたのをちょっとばかり自覚していた千賀子は、思わず言葉を詰まらせたのであった。

 

 ……なお、結局あ~だこ~だと言い合いながらもエマを連れて行くことになったわけだが。

 

 

「……潜在的な記憶がどうたら言うのに、ワープで行くの? せっかくなら、車とか電車とか使って、合間に空を飛んで行けばいいじゃないの、情操教育ってやつでさ」

「駄目! 前世の現代ならともかく、今頃の交通機関って汚いんだよ!? ポイ捨てに副流煙は当たり前! 私は平気でも、エマが病気になったらどうするの!?」

「過保護にも程があるでしょ!? ていうか、子供の頃なんてもっと酷かったのに平気だったでしょ!? 駄目なら、今頃日本人の総人口は半分以下になっているわよ!」

「それに、近頃は何処に行っても赤ちゃんでいっぱいじゃん!? 他所様の赤子の泣き声でエマが悲しくなっちゃったら大変じゃないの!!」

「そりゃあ泣くのが仕事みたいなものだから、放っておいたってビービ―泣き喚くでしょうよ……(呆れ顔)」

「下手に都会の空を飛んだりしたら、エマは可愛いから病気になっちゃう。下手に陸路を通ったら、可愛すぎるエマを誘拐する人が出てくる……私が守ってあげないと……!!!!」

「本体の私に言うのもなんだけど、駄目だわ、早くなんとかしないと……(呆れ顔)」

 

 

 親バカ全力なのは欠片も引かず、分身たちからは呆れられ、ロボ子からは『……頃合いを見て、女神様に似てきましたねとでも伝えよう』と思われていたが、当の千賀子はまったく気付いていなかった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………ちなみに、だ。

 

 

 千賀子の言う『汚い』というのは、大げさな部分があるにせよ、あながち間違いとは断定しにくい話でもあった。

 

 と、言うのも、だ。

 

 1970年代に突入してようやく『環境汚染』というモノに目を向け始めた日本だが、それと同時に、衛生観念に関してもまだまだ認識が甘かった。

 

 田舎や都会に関係なく、ゴミのポイ捨ては日常茶飯事。

 

 チラシやたばこの吸い殻、ジュースの空き缶に空箱、酷いところだと、小便の跡がチラホラ確認出来るといったこともあった。

 

 人通りの多い場所に店を構えていたところでは、毎朝ちり取りにゴミが満杯まで溜まるぐらいには、衛生への意識が低かったという話もあり。

 

 その中でも、当時の日本人の衛生に関する意識を表わしているのが、『食』だ。この頃は、現代ではありえない光景が溢れていた。

 

 食品にカビやネズミの糞や虫などが混入して処分されるといった話が度々あがり、毎日のように製造&販売業者が処分を受け、飲食店にハエ取り紙が吊り下がっていたりした。

 

 現代人の感覚からすれば、思わず尻込みしてしまうような話かもしれない。

 

 だが、この頃の日本人にとってはソレが当たり前で、田舎に限らず、当時から都会であった東京ですらも、現代では考えられないような事が平気で行われていたのである。

 

 ……まあ、千賀子もエマがいなかったらまったく気にしないのだけど。

 

 伊達に、昭和30年代を過ごしたわけではない。

 

 ただ、母性過多がそうさせるのか、愛娘に関することで変に神経質になっているせいで、そうでなければ千賀子の感覚も大して世間一般と変わらないのであった。

 

 

 

 

 

 ……で、だ。

 

 核の発射スイッチでも守っているのかと言わんばかりに厳重に守られたエマを抱っこした千賀子は、ロボ子の案内で……鹿児島県の沖合にある、無人島へとやってきた。

 

 その無人島は、人の手が入っていないだけあって、自然が満ち満ちていた。

 

 どこを見ても緑、緑、緑、島なので四方全部が海に囲われ、船が入るには些か危険を伴う浜辺(海流の関係で)には、樹木の欠片や貝殻などが無数に流れ着いている。

 

 空気も綺麗で、潮風が混ざっているので独特の臭いがするけれども、本土に比べると雲泥の差だ。

 

 千賀子の『山』もまた、大気汚染が叫ばれている日本の中では例外的に綺麗な空気で満たされているが、ここはまさしく自然のままの空気が流れている。

 

 おそらく、気流の関係でそうなっているのだろう。

 

 UMAの存在が嫌過ぎるけど、こういう場所がそのまま残す事を考えたら、目ざとくアンテナを伸ばして購入に動いてくれたロボ子には、感謝の一言だと千賀子は思った。

 

 そんな中で……島の中というか、島の中央より広がる雑木林の向こうから姿を見せたのは、写真で見た、件のUMAたち。

 

 身長2m半ば、それに見合うダイナマイトボディな裸体をそのままに、長く伸ばした髪で目元こそ確認出来ないが、造形は完全に人間の女性。

 

 街中で出会えば、思わず仰け反ってしまいそうな彼女たちは、千賀子たちの存在に気付いていたようで、ノロノロと砂浜を踏みしめながら……ん? 

 

 そこで、千賀子は首を傾げた。

 

 どうしてかって、どういうわけか、彼女たちの腰が滅茶苦茶引けているからだ。

 

 普通に立てば遠目からでも大きい(色々な意味で)のが分かる彼女たちが、まるで借りてきた猫のようにビクビクと肩を震わせながら、近寄ってきている。

 

 それも、1人や2人ではない。

 

 パッと見ただけでも30人近くも確認出来るが、全員が例外なく腰を引いて、全員が身を寄せ合うようにしてひと塊になっていた。

 

 

「ゴルフジョウ、ケンセツヤメロ~」

「……ハ、ハンタ~イ……シマス~……」

「カンキョウハカイ……ヤ、ヤメロ~」

「ココ、ココハワレラノシマダゾ~デテイケ~」

 

「図体のデカさに比べて声が小さい……小さ過ぎない?」

 

 

 そうして始まった謎の反対コールに、千賀子は首を傾げた。

 

 

「ア、ア、デモ、アカチャンイルヨ……」

「アカチャンハダメダヨ、カワイソウダヨ……」

「ソ、ソウダヨ、オカアサンヲコワガラセチャ……」

「ナ、ナラ、ソンナニデテイカナクテイイゾ~」

「チョットグライナラ、ユルスゾ~」

 

「ロボ子、このUMAたちは良いやつだよ、エマの可愛らしさに気付いたのだから」

「落ち着いてください親バカマスター、絆されるまでが早過ぎます、もう少し情報を集めてから判断することを推奨します」

「エマが可愛くないって!?」

「誰もそんな事は言っていません、どうか落ち着いてください」

 

 

 直後に下した千賀子の判断を冷静に却下したロボ子。なお、千賀子を通して様子を見ている分身たちも同意見であった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………とりあえず、だ。

 

 

 何時までも浜辺で対談というのも……というわけで、巨女(千賀子命名)たちの案内のもと、彼女たちがねぐらにしている小山の洞窟へと向かった。

 

 空から軽く見下ろした時、なだらかな隆起は確認出来たが……どうやら、その内のいくつかの側面に穴を開けて、洞窟のようにしているようだ。

 

 相変わらず腰が引けているけれども、千賀子が母親であるのを見ていくらか警戒心が弱まったのか、巨女からはチラチラと視線を向けられつつも、攻撃の意思をまるで感じられなかった。

 

 ──というか、なんか滅茶苦茶気を使われていた。

 

 

「ア、ア、チイチャイオカアサンニハタイヘンダヨネ……」

 

 という言葉と共に、進行方向を遮る小枝やら雑草やらを手早く折ったり抜いたりして、通りやすいようにしてくれたり。

 

「ノ、ノボルノテツダウヨ~」

 

 という言葉と共に、千賀子の膝ぐらいしかない段差の前に手を差し出して、踏み台代わりになろうとしてくれたり。

 

「アル、アル、アルクノツカレタ~?」

 

 という言葉と共に、千賀子を抱き上げて運ぼうとしたり、他にも細々と気を使ってくれたり……数えだすとキリがないぐらいに親切であった。

 

 

 これの何が不可解かって、巨女たちには一切の悪気はなく、100%善意で動いているという点だろう。

 

 一見するだけだとデカいだけの女に見えるが、千賀子には分かる……生命力というか、目では分からない部分が明らかに人のソレとは違うから。

 

 だからこそ、困惑してしまうのだ。

 

 なにせ、これまで出会ってきたUMAたちは大なり小なり頭がおかしいというか、根本的に変態というか。

 

 なんというか、おまえらソレで良いのかと首を傾げてしまいそうな奴らしかいなかった。

 

 それゆえに、とにかくサイズを除けばあまりに善意の塊みたいな巨女たちを前に、どう対応すれば良いのか分からなかった。

 

 ……で、歩く事いくしばらく。

 

 ようやく到着した洞窟は、長年かけてちょっとずつ補修と改築を繰り返してきたのか、内壁はとても滑らかで、どういうわけかほんのりと温かく、湿っていた。

 

 

「……なんか、潮臭くない?」

「ア、ア、オンセン、オクノホウデ、ワイテイルノデ……」

「あぁ、海水が混ざっているのね……え、あんたら平気なの?」

「……???」

「平気なのね……そういうところはUMAっぽいわね」

 

 

 塩気を含んでいるからなのか、それとも巨女たちが何かをしているのかは分からないが、結果的には殺菌の役目を果たしているようで、カビ臭さ等は特に感じなかった。

 

 それから、洞窟の中を少し進み……奥に居た、他の巨女たちよりも少しばかり背の高い巨女と対面する。

 

 いわゆる、リーダーというやつだ。

 

 本来は上も下も無いらしいが、全員が無秩序に動くと収拾が付かなくなるので、比較的リーダーシップを取れる者が交代制で就いている……との事だった。

 

 

「ア、アノ、ダイヒョウシャデス、ナマエハナイデス……」

「声ちっさ!?」

「ヒ、、ゴメンナサイ、オサカナアゲルカラ……」

「い、いや、こっちこそごめんなさい。取って食うとかしないから、そんなに震えないでね? ね?」

 

 

 なお、声も態度も他の巨女たちと変わらず、なんとも気弱な雰囲気を全身から醸し出しているリーダーだったが、なんとか対話を始めた。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして分かった事は、千賀子が想像すらしていない事であった。

 

 

 まず、巨女たちはかなり古くから存在していたらしいのだが、名前が無いとの……いや、正確には、無いのではない。

 

 その時々によって呼ばれ方が変わり、巨女たち自身もどれが正しいのかが分からず、また、自分たちの名前など気に留めていなかったので知らない……らしい。

 

 特に決まった場所に定住しているわけではなく、当人たちはとにかく身体が丈夫なので病気なども無縁で、冬山の中でも顔色一つ変えずにいられるぐらいに強い。

 

 別に巨女たちから何かをしたわけではないが、勝手に恐れられ、時には人間たちが徒党を組んで討伐にやってきた時もあったので、数十年ぐらいで住居を変えることが多い。

 

 なので、ある時は天狗と呼ばれたり、ある時は山姥と呼ばれたり、ある時は女鬼と呼ばれたり、ダイダラボッチとも呼ばれた時もあったのだとか。

 

 

 ……歴史的に考えるならば、そこまで不自然な話ではない。

 

 

 古来より巨人に関する伝承は多々あるが、それは『鬼』や『大男』などの妖怪伝承から転じているというのも、別に不思議ではない。

 

 そうでなくとも、人々は巨大なモノ、常識の外にあるモノ、年月を経ているモノを神聖視し、人知の及ばぬモノとして畏れ、あるいは新たに『神』や『妖怪』を生み出し……そう考えれば、だ。

 

 そういうのが心底信じられていた時代の平均身長は、約155cm強。女は、それよりも10cmほど小さい。

 

 身長が180cmもあれば巨人として一目置かれていたような時代だ。

 

 見間違いにしろ何にしろ、2mを超える背丈の女を見て、鬼や妖怪だと勘違いされたのも致し方ない事なのだろう。

 

 

「昔は、高女(たかおんな)だとか、ケラケラ女だとか、ろくろ首女だなんて言われたこともありました」

「なにそれ?」

「こう、特に夜道とかで、怖がらせないように屈んで歩いていますと、心配して声を掛けてくれる男の人が多くて……心配させて申し訳ないと立ち上がると、妖怪だぁって悲鳴をあげて逃げちゃって……いつの間にか、そのように呼ばれるように……」

「はあ、なるほど。昔の夜道なんて真っ暗だし、いきなり巨人になったようなものか……そりゃあ怖い」

 

 

 ようやく千賀子たちに慣れてくれたのか、多少は声が大きくなったリーダーの話に静聴の構えでいた千賀子は、ヨシヨシと抱きかかえているエマをあやしながら、う~んと唸った。

 

 高女とは、吉原などで遊女が働いている場所を、2階や3階の窓や隙間より覗き込む妖怪のこと。おもに脅かし、驚いた者たちを眺めて笑うのだとか。

 

 ケラケラ女は、着物姿の巨大な女が塀の向こうよりケラケラ笑っている妖怪のこと。人気のない道で笑いかけて驚かす女の妖怪とも解釈されている。

 

 どちらも伝承というよりは、江戸時代などの妖怪絵巻や妖怪画集などに登場する創作的な妖怪(?)である。

 

 現代の言葉で例えるなら、原作には登場しないアニメオリジナルキャラが、人気のあまりに原作に逆輸入した……といった感じなのかもしれない。

 

 

「それが、どうしてこんな場所に?」

「人間さんがあんまりにも怖がってしまうので、それなら人気のない場所に行きましょうと皆で……」

「なるほど。それで、ゴルフ場とかなんの話?」

「お友達の口裂け女ちゃんが、近頃の人間はすぐに山を削って森を切り倒しちゃうから気を付けろって……」

「まあ、否定はできないよね……ん? どうちまちたか~❤❤ ポンポン空いちゃいまちたか~❤❤❤」

 

 

 人間の業を嘆くところなのか、それもまた弱肉強食の掟と思えば良いのか……そう思ったのも束の間、うぅ~、っとグズり始めようとしていたエマに、満面の笑みを向けた。

 

 

「ん~……ちょっとごめんね、お腹が空いたっぽいから」

 

 

 返事を聞く前に、千賀子はガバッと手慣れた様子で胸元を開けて……ぽろんと乳房を放り出すと、サッとエマの口にくわえさせた。

 

 最初の頃は片手で乳を出すのにちょっとばかり手間取ったり、目測とタイミングを誤って母乳で顔を汚したりしていたが、さすがに半年近くもやっていると慣れるものだ。

 

 ……そうして、エマが咽たりしないよう目を光らせながら、千賀子はロボ子にいくつか尋ねる。

 

 内容は、監視施設を作るために自然を壊したり、汚染されたりするかどうか……である。

 

 

「余分に時間は掛かりますが、この島の環境や、巨女たちの暮らしに影響を与えないように建設することは可能です」

「では、そのようにして」

「畏まりました、マスター」

「それでいい? こっちとしても、今後の事を考えれば、ここが現時点ではベストっぽいから予定を変えたくないんだよね」

「構いません、勝手に住んでいるわけですし……自然をそのままにしていただけるのであれば、何も言いません」

 

 

 千賀子が尋ねれば、巨女のリーダーはなんだか物わかりが良い。

 

 騙すつもりは特にないが、この巨女(UMA)さんたち、人が良過ぎるというか、相手によっては誇張抜きで騙されて酷い目にあいそう……っと、その時だ。

 

 

「……? あそこのアレって、なに?」

 

 

 ふと、千賀子の視線がリーダーの背後……その壁のあたりにポツンと置かれている、小さな宝箱へと向けられた。

 

 それの見た目は、本当に『宝箱』である。

 

 ただ、衣服すらまともにないこんな場所にはあまりに不釣り合いというか……海流に乗って流れ着いたモノだろうか? 

 

 

「アレが見えるのですか? 世界に777個あるという、女神様がもたらした神器を収めた宝箱を」

「え? なにそれ? 神器? 女神様?」

 

 

 いや、違う、これは罠だ! 

 

 

「見付けたのであれば、開けなければならないそうです」

「待って、唐突に嫌な予感がしてくるんだけ──あっ、これ、拒否権ないやつ?」

 

 

 残念ながら、罠からは逃れられない。

 

 その証拠に、誰も触れていないのに、宝箱は音も無く動いて千賀子の眼前へ──その隣で、( = ^ ω ^ = )といった感じで、実に嬉しそうに横幅が広がっている女神様が──ああ、うん。

 

 

「最近おとなしいなと思っていたら、隠しアイテムみたいに罠を設置しとるのか、この女神様は……」

 

 

 久しぶりに……そう、本当に久しぶりに、エマだけは巻き込まないようにと、心底苦々しく顔をしかめる千賀子を他所に。

 

 ……けぷっ、と。

 

 お腹いっぱいになったエマだけが、状況など理解出来るはずもなく、つぶらな瞳で千賀子を見上げていたのであった。

 

 

 

 

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