ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第142話: なお、現時点で所有している資源を安価に売るだけで億万長者になれます

 

 

 

 ──UMAたちの応援はまったく効果が無かった。

 

 

 さて、ガチャの恩恵によるものか、それとも『アイテム』の中にあった軟膏が効いたのかは不明だが、千賀子の負傷はすぐに良くなった。

 

 いちおう、そうなった理由はいくつかある。

 

 一つは、『┷』そのものには薄くではあるが、常に潤滑油が膜を張っているから。この潤滑油の質が非常に良いおかげで、敏感で脆弱な粘膜を傷付けずに済んだ。

 

 二つ目は、ドッキングする瞬間、千賀子はびっくりして身体の力が抜けていたから。

 

 これにより、少なくともドッキングする瞬間は意識できる分だけ開いていたこともあって、『*』のふちが切れて鮮血の惨劇みたいな光景にはならなかった。

 

 なお、ドッキング後は反射的に力を入れてしまったことで、気絶するほどの激痛が千賀子を襲ったのだが……まあ、これは、アレだ。

 

 男で言うなら、始めて○○この皮を剥いた時、そこをギュッと握り締めた……と言えば、いくらか想像できるだろう。

 

 他にも、偶然とはいえ入射角度が良かったことや、分身たちが踏み台になったことで位置を一定に保てたこと。

 

 あとは、『アメノウズメ』に変身して踊った事によって全身が解れていたことや、手すりがあったおかげ……まあ、色々な条件が重なった結果、翌々日には普通に動けるようになっていた。

 

 ちなみに、UMAたちの応援はまったく効果が無かった。

 

 

 さて、一回目は盛大に失敗したわけだが。

 

 

 あらゆる不安は、未知から生じるとも言う。二回、三回、やることに戸惑いなどが消えてゆくというのは、千賀子とて例外ではない。

 

 身体も1回目のショックによってブレーキが掛かるようになったのか、それまでのように我を忘れて……とまで興奮することはなくなった。

 

 失敗は成功の母というやつか。

 

 UMAたちの応援はまったく効果が無かったが、結果的にはプラスな方向に働いてくれたのは、不幸中の幸いであった。

 

 まあ、相変わらず興奮はするのは変わらないけど。

 

 発散しないとまともに眠れなくなるぐらい疼いてしまうようにはなったので、改善したかと問われたら、微妙なところだが……とはいえ、だ。

 

 少なからずトラウマになって忌避感が生まれても致し方ない初回だったが、それで、へこたれて落ち込む千賀子ではない。

 

 伊達に、恩恵のおかげで小学生時代から男女問わずジロジロ見られてきたり、女神様のおぞましい愛情表現やヨシヨシを受け流してきたりしているわけではない。

 

 妊娠の危険が伴うならばともかく、結局は作り物でしかないモノを突っ込まれたぐらいでメソメソ泣くほど、千賀子は弱虫ではなかった。

 

 

 千賀子からすれば、だ。

 

 

 他人に話すことでもないので心の内に留めているが、指を入れるのと、ディ○○を入れるのとでは、何が違うのだろうか……という疑問が前からあった。

 

 そりゃあ、第三者から無理やり突っ込まれるのは屈辱である。前だろうが後ろだろうが、男だろうが女だろうが、それは分かる。

 

 分かるが、少なくとも、千賀子にとってはそれだけだ。

 

 女になった今生(あと、巫女的シックスセンス)だからこそ分かるが、女だって普通に自分で慰めるし、知識があれば普通に道具を使う。

 

 なんなら、実家の近所に住んでいたお姉さんは、中学生の時にはもうセックスを済ませていたし、近所のおばさんは不倫をしていたし、清楚でおしとやかと思われていた同世代の子は、裏で複数人の男性と関係を持っていた。

 

 

 結局、そんなものだ。

 

 

 今回のコレは自分の意思でやったことだし、なんならそのための形状をしているっぽいやつだ。事前に、清潔な状態が保たれているのも確認済みだ。

 

 それに比べたら、だ。

 

 ちゃんと事前に清潔にしていない指や、そのためではない食べ物(ナスなど)や、想定すらしていない異物(サインペンなど)を入れる方が、だ。

 

 よほど不健全ではないだろうか……どうやってそっちがマシかと理屈付けるのか……という認識が千賀子にはあったわけだ。

 

 

「実際のところ、どうなの?」

「……まあ、悪くはなかったよ」

 

 

 いちおう、嘘ではない。

 

 ガチャの恩恵が無かったとしても、現在の千賀子の身体は適齢期。

 

 肉体的にはもっともバランスよく成熟した時期なのだから、そういう欲求……ハッキリ言えば、性的欲求が出て来るのが普通である。

 

 

「痛いとか苦しいとかはないのね? 本体の私は変な所で意地を張る時があるから」

「……い、いちおう、具合は良い、と、思う……」

 

 

 2号から尋ねられた千賀子は、顔を逸らして答えた。

 

 

「そう、安心したわ。なんだかんだ言いつつ、本体の私も身体を持て余す時があるものね」

「言い方ぁ!」

「照れない、照れない。身体は健全を通り越して、健康優良そのもの……そういう欲求が出てくるのは自然なことでしょ」

「……っ! あ、改めて、自分の身体が女だって事を思い知らされた気分よ、本当にね……!!」

 

 

 ほんのり耳が赤くした千賀子は……集まっている分身たちやロボ子を見やりながら、こほん、と。

 

 場の空気を入れ替えるように咳をすると、中断していた『千賀子会議』を再開した。

 

 

 今回の千賀子会議は、『当面の行動方針をどうするか?』であり……と、いうのも、だ。

 

 

 まず、資源ガチャの『スタンド』と『┷』を併用して、大量の資源は用意した。発動するまでカード化されているので、場所も取らないし、女神的なパワーで帳尻が合うようにもなっている。

 

 その量は……そういった方面は無知に等しい千賀子には説明されてもよく分からなかったが、量としてはまだまだこれから、らしい。

 

 まあ、冷静に考えたら、そりゃあそうだろう。

 

 だって、千賀子が『スタンド』を使い始めてから、そんなに日にちが経っていないのだ。

 

 地方を賄う量ならともかく、日本全土ともなれば、明らかに心許ない。

 

 それでもロボ子曰く、『一度に出すと、価格が一時的に変動するかも……』と、判断できるぐらいはあるらしい。

 

 なお、『真顔になる』ぐらいの量を用意しようと思ったら、当分は朝も昼も夜も、それこそ起きている間はずっと励まないと……とのこと。

 

 さすがにそれは、『体力が持たんし、バカになるわ!』と千賀子が拒否したので、とりあえずは定期的な『スタンド』使用という感じで収まったが……で、だ。

 

 

「──ええっと、まずは田中総理から。今はもうすぐ始まる参議院選挙の対応と、党内争いの対応が忙しくて顔合わせに来られないらしく、『応援、感謝します』とだけ」

「あの人、本当に忙しいものね……」

「マスター、田中総理は少々雲行きの怪しいやり方で資産形成をなさっている疑いが出ているのが確認されましたが?」

「金が無いと動かない周りも悪い。本当に清廉潔白な対応で動いてくれるなら、そもそも、そんな金づくりをする必要性がないでしょ」

「本体の私は中々に見も蓋も無い事を言うねぇ……」

「周りが、国民が、本当に清廉潔白なら、仄暗い資産形成なんてする必要ないでしょ。自分たちがそうでないのに、政治家には清廉潔白を求めるとか図々しいわよ」

 

 

 2号からの報告(+ロボ子からの補足)に、千賀子は呆れた様子で溜息を零した。

 

 

「……春木競馬場の件ですが、関係者には体調不良も改善に向かっていると通達はしておりますが、それでも不安視する者がでており、一度顔を見せた方がよろしいかと」

「この前、ちょろっとだけど顔見せしたじゃん」

「もっとハッキリ、アピールした方が良いと思われます」

 

 

 続いて、競馬関係。

 

 これに関しては、千賀子の不在が原因の割合としては大きい。

 

 いちおう北海道の牧場、『双の葉牧場』、あとは短時間だが春木競馬場の方にも顔見せには行ったが、その姿を見ていない人が多いからだろう。

 

 現代とは違い、誰もが撮影機器にもなるスマホなど無い1974年のこの頃では、まだまだカメラは高級品。

 

 ハレの日や、賞金額の高いレースならばともかく、地方の競馬レースを撮りにカメラを持参する者は、居ても極々少数である。

 

 なので、『秋山オーナーが来ていたぞ!』という単純な話でも、人から人へ伝言という形でしか情報は伝達せず、それが本当なのかどうかも分からない……というのは、よくある話であった。

 

 

「……新しく、レースでも開こうか」

「いいと思うわよ」

 

 

 ポツリと、千賀子の零した言葉を、分身たちは否定しなかったし、ロボ子にいたっては『良い考えかと』と賛成した。

 

 理由は、それだけ千賀子が健在であるかをアピールできるから。あとは、景気を刺激する意味でも開催した方が良い……という理由からだ。

 

 これからの不景気は、日本に限った話ではない。それこそ、世界中を巻き込む不況となるだろう。

 

 けれども、何もしないよりはマシだ。冷え切った石をマッチ棒だけで熱しようと思うなら、何本も何本も使って温めてやるほか、道はないのだから。

 

 

「それと、北海道の牧場とはまた別に、マスターに土地を売却したいという話が出ております」

「ん? 久しぶりだね、どこから?」

「平たく言えば、商社からです」

「……なんで?」

 

 

 ──ちょっと前まで、買い漁っていたじゃん。

 

 

「政府のインフレ対策の副作用です。明らかに経済活動が鈍った今、持っているだけで負債にしかならない土地を手放したいのでしょう」

 

 

 そんな千賀子の内心を察したのか、ロボ子は結論を先に告げた。

 

 

「……あ~、うん。まあ、投機目的で買収したわけだし、焦げ付くと判断したら、少しでも早く売って出血を抑えようとするか」

 

 

 そして、それだけで色々と察した千賀子は、なんともいえない顔で苦笑した。

 

 そう、昨年以前から行われていた商社の買い占めは土地を含むのだが、その目的は投機……すなわち、より高く売りつけるための、転売目的の土地である。

 

 前提としてあるのが、政府が推し進めていた、『日本列島改造論』を主軸とした地方への環境整備である。

 

 路線が通ったり、道路が通ったり、どのルートを通るのかは未定だが、そういうのを狙ったうえでの買収だった……しかし、オイルショックによって、それが不透明となった。

 

 なにせ、日本全国の公共事業が片っ端から中止や凍結に追い込まれているのだ。

 

 石油の値段こそ落ち着いてきているが、動いているモノをさらに動かすより、止まったモノを動かす方がエネルギーを使う……というのは、景気とて同じこと。

 

 買収した土地の値段が上がるには、国による開発が必要不可欠。

 

 その開発の見通しが全国規模で暗くなり、持っているだけで税金が掛かる土地など、すぐにでも手放したいと思う者が現れるのは、自然の流れであった。

 

 もちろん、すぐにでも持ち直すと判断するところもあるので、全てではないけど……どちらにせよ、節操のない話だなと千賀子は思ったわけである。

 

 

「どうしましょうか?」

「う~ん……買うにしても、どんな場所?」

「どうぞ、こちらに──」

 

 

 その言葉と共に、ペラリと机の上に広げられた地図。こうして見てみるとデッカイなあ……と思う千賀子たちを他所に、ロボ子はスーッと、硬い指先で、紙面をなぞった。

 

 

「ここから、ここまで。ここと、ここ、あとは、ここから、この地点までの土地です」

「……細長い理由は、道路に沿って?」

「はい、計画されていた道路に沿っています。ぶつ切りになっているのは、他の会社が購入されています」

「いや、これは使いにくいよ。マンション建てるにしたって、何をするにしたって、素人の私でも察するぐらいだよ、これ?」

「はい、ですから、どうですかと向こうは駄目で元々なアレなんでしょう」

 

 

 呆れた顔をする千賀子に、ロボ子は無表情のままそう答えた。

 

 

「……いくらで?」

「購入時の金額より、おおよそ1割引いたぐらいですね」

「ナメているでしょ、そいつら……ちなみに、開発が再開される予定はわかる?」

「国土省《こくどしょう》に飛ばしてあるスパイロボからの情報では、当分は未定の可能性94%。地方どころか、首都ですらまだ身体を起こせていないぐらいですから」

「先に、東京周辺が立ち直ってからか……」

 

 

 暴走し続けていたインフレ対策と、石油危機に対して仕方なく行った事とはいえ、だ。

 

 軽く考えても3年、長く見積もればその倍近くは影響が出る劇薬を使ったのだから、その副作用は文字通り日本全土に及ぶようだ。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、だ。

 

 他にも色々なことをポツポツと話し合い、とりあえずは当面の方針は定まったかな……という空気の中で。

 

 

「オ食事デス」

「ありがとう、今日はなに?」

「和歌山ノ市場ヨリ、ウナギ、仕入レマシタ」

「うなぎ! テンション上がるなぁ、これ~!!」

 

 

 ロボ子開発の『Roboko』が用意した『うな重』を前にして、千賀子のみならず、分身たちもテンションが上がった。

 

 あくまでも飲食は味覚データ的な楽しみでしかないロボ子と、うなぎ初体験のエマは、その限りでもなかったが……まあ、しかし。

 

 

「美味しい、エマ?」

「うん、おいちい!」

「良かったねぇ~。でも、食べ過ぎるとお腹痛くなるから、今は我慢だよ~」

「うん!」

 

 

 細かく切り分け、丁寧に骨を取り除き、薄味ながら味付けされたうなぎの味に、エマは満面の笑みでほっぺたを膨らませていた。

 

 当然、千賀子のほっぺたも幸せでプクプクである。勝手に、頬が落ちそうなぐらいになっている。

 

 その後方で、幸せそうにしている千賀子を見て、( = ^ ω ^ = )なんか横に広がっている女神様もいたが……気にする者は誰もいなかった。

 

 

「ねえ、ママ」

「な~に?」

 

 

 そうして、誰もが満足そうにしている中で、ふと、3歳になったエマが千賀子へ向けた、可愛らしいお願い。

 

 

「うなぎって、おいちいね!」

「そうねぇ、とっても美味しかったわね」

「また、たべたい」

「いいわよ。でも、うなぎはおめでたい日に食べる物だから、また今度ね」

「ほんと?」

「本当よ」

「わたち、ママみたいに大きくなっても?」

「食べられるわよ」

「おばあちゃんに、なっても?」

「それは……うん、食べられるよ」

 

 

 それに対して、千賀子は一瞬ばかり答えられなかった。

 

 それは、ある意味では、これまで千賀子があまり認識できていなかった視点であった。

 

 いや、正確には、認識をしてはいたけど、今すぐやることでもないだろうと、後回しにしていた部分であった。

 

 何故ならば、千賀子の知る現代に比べて、この頃はたっぷり魚が獲れたのと、先に対処しておかなければならない問題が起こっていたからだ。

 

 冷凍技術が未発達という点で値段こそ上がるが、獲れる量は基本的に今の方が多い。値段だって、基本的に今の方がずっと安い。

 

 将来的に高くなるとは言っても、子供から今に至るまでずっと、基本的に安いままだから、どうにも実感し辛い。

 

 土地開発という、目に見える形で変化が体感できる(しかも、規模が大きい)方にばかりに気を取られてしまうのも、致し方ないというものだ。

 

 

「……ロボ子」

「少々、お待ちを」

 

 

 けれども、愛娘から無邪気にそちらの未来について聞かれた千賀子にとって、それはもう後回しにするような事ではなかった。

 

 

「──うなぎに限らず、既に水産資源の枯渇を危惧し、養殖の研究を始めている大学や機関があります」

「現時点で、私から面会の予約が取れそうなのってある?」

「そうですね、『北海道大学』なら、マスターの事を知っている方がいる可能性はあります。加えて、昨年にはうなぎの人工ふ化に成功したとか……どのような理由で面会予約を取りますか?」

「そうね、近い将来確実にやってくる『水産資源の枯渇』と、その問題への対応策である『養殖研究』に興味がある……と」

「了解しました」

 

 

 もしかしたら、そういう仮定の話だけど。

 

 歴史が動く最初のキッカケは、こういう何気ないことから始まるのかもしれない。

 

 

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