ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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下ネタ注意(汚い)


第149話: 後輩「おお……もう……(手で顔を覆う)」

 

 そんなわけで、ガチャを回すことになったわけだが……当然といえば、当然な疑問が生じてくる。

 

 それは、魅力ピックアップガチャで、どうやってこの問題を解決する当たりを出すのか……という、当たり前な疑問である。

 

 

 これが対人ならば、話はまだわかる。

 

 

 千賀子の魅力はもはや、意思でどうにかなるモノではない。誇張抜きで一晩でも寝床を共にすれば、生来そういう気質が無い人でも、その夜を思い出さずにはいられないレベルである。

 

 だからまあ、対人相手ならばわかる……のだが、今回の場合は違う。雄とか雌とか、年齢とか生態とか、そんな生易しい話ではない。

 

 今回の相手は、液体生物兵器だ。

 

 雄とか雌とか、そんな機能があるのだろうか。繁殖する臓器が備わっているのかどうか……そもそも、そのような思考回路があるのかどうか。

 

 いくら千賀子の『魅力』が、ときには種族の壁を超えることがあるにしても、さすがに、無機物やアメーバを発情させるといったわけではない……ということだ。

 

 

「……女神様、本当に、『ガチャ』で解決できる可能性があるんですね?」

『──可能性は否定しません』

 

 

 否定しない……ということは、可能性は低いというわけか。

 

 けれども、0でないというだけでもまず、安心。

 

 直感的に、女神様が嘘を付いていないのは察せられたので、千賀子は心底嫌そうに顔をしかめながらも、女神様より渡されたダーツを手に……眼前にて回転を始めているルーレット盤を見つめる。

 

 今回のルーレットは、初心に帰って……というやつらしい。

 

 見た目はまあこれまでの『ガチャ』に比べたら素朴だが、その分だけ中身を『豪華』にしているらしい。

 

 もっとも、ルーレット盤の見た目は黒い円だ。

 

 書かれている文字があまりにも小さ過ぎ&密集しているので、千賀子の眼には黒く見えるから。だから、どこにどんな当たりがあるのかが千賀子にも分からない。

 

 ダーツも、千賀子の手から離れてすぐにマイクロサイズにまで小さくなるので、的に当たって結果が分かるまで、どこに当たったのかすらも千賀子には分からない。

 

 千賀子としては、豪華なのは目的のやつだけで、それ以外はどれだけ粗末なモノでもまったく問題ないのだが……まあ、言ったところで意味もないので、諦めているけど。

 

 

「……女神様、もう仕方がないとして『ガチャ』は回しますけど、回数をギュッとまとめることはできますか?」

 

 

 そうして、色々と覚悟を決めて構えた千賀子は……ふと。

 

 前回のガチャ(資源ガチャの時にあらず)の時に、溜まっていたガチャコインを全て使用したくだりを思い出し、何気なく女神様にお願いしてみる。

 

 

『──と、言いますと?』

「たとえば、ガチャコイン100枚分で1回分。その代わり、私にとっての当たりの確率を含め、高ランクのやつが当たりやすくなるとかさ」

『──ふむ』

「正直、500回も1000回もルーレット回しても、どんな恩恵を得られているのか、全部覚えていられないわけでして」

『──つまり?』

「危ないから使わないならともかく、多過ぎて覚えられないから結果的に使わない……場合だと、せっかく女神様が用意してくれた恩恵も、無駄に終わるじゃない?」

『──別に、私は構いませんけど?』

「女神様が構わなくても、私はちょっと思うところがあるの。それで、どうかな?」

『──う~ん』

 

 

 首を傾げる女神様に、少しでも誤解無く伝わるよう言葉を選んで。

 

 下手に言葉を濁してしまうと、とんでもない勘違いの果てに惨劇を引き起こしてしまうので、しっかり念入りに。

 

 

『──良いでしょう。愛し子が私からの愛を少しでも無駄にしたくない、その可愛らしい願いがあまりにも可愛らしい』

 

 

 そのおかげか、特にもめる事もなく、スムーズに千賀子の意見は通ったのであった。

 

 

『──そのかわり、対称は一つに絞りません。『資源ガチャ』を除いた、これまでのガチャ全てを対象とします』

 

 

 まあ、そのかわり、ガチャの選択肢が広まってしまったが……とはいえ、仕方がないことである。

 

 大地が沈没する原因である『Ω』をどうにかするために『ガチャ』を回すわけだが、生半可な『当たり』でどうにかなる事はない……というのは、嫌でも想像できる。

 

 冷静に考えて、だ。

 

 惑星規模の問題を前に、『足が15分だけ少し速くなる』とか、『声が7分間だけ少し良くなる』とか、もはやハズレを通り越して妨害系の恩恵である。

 

 それを考えると、だ。

 

 今回に限っては、『UR』以外はハズレと思った方がよいだろう。と、なれば、狙うは『UR』……あるいは、それ以上のレアを狙うしかない。

 

 そう考えた千賀子は、大きく深呼吸をして……ダーツへ深く祈りを込めると、ルーレットに向かって……第一投! 

 

 細く白い指先より離れたダーツは、直後に見えなくなる。消えたのではなく、縮小して肉眼では視認できなくなっただけだ。

 

 普通ならば、そこまで小さく細いモノとなれば、わずかな気流に流されてしまい、まともに飛ぶことはないのだが……女神パワーのおかげか、ダーツは外れることなくルーレットに突き刺さった。

 

 

 

『UR:思い出の至福(New)』

 

 要約:現時点より、世界のいたるところに『愛し子自販機』が出現する。一定期間ごとに、自販機は移動する。商品購入の対価は、購入者の生命力など。購入した者以外に商品を視認する事が不可能であり、購入してからきっかり12時間後に消滅します。

 

 なお、購入した商品の複製は不可能であり、写真や記録などに残すこともできませんし、誰かに伝えることもできません。そういった行動を取ろうという意識すら芽生えません、愛し子の愛らしさを十二分に堪能し、より多くの人々が私の愛し子を愛しましょう。

 

※ 後輩よ、独占し過ぎるのは駄目なのでしょう? これならば、文句もないでしょう!! 

 

 

 

 

「URだけど、そっちじゃね~うえに、なんかすっごい気色悪い気配がする名前と能力……え、これ、能力? アイテム系っぽいけど、そっちか? それとも、オプション系か?」

 

 

 その結果、『UR』は、『UR』だったのだが……なんだろうか、どう反応して良いのか困るのが当たった。

 

 とりあえず、『愛し子自販機』という名前からして、ろくでもない類なのは分かる。分かるが、どのようにろくでもないのかが分からない。

 

 あと、要約の部分にて、あの後輩女神から何かしら言われていたっぽいのも察せられる。まあ、肝心の女神様には欠片も届いていないっぽいけど。

 

 

 ……せっかくなので(せっかくではない)、お試しという形で女神様にお願いして、眼前に用意してもらう。

 

 

 そうして現れた自販機は……なんだろう、とくに奇怪な造形をしているわけではない。

 

 普通の、自販機だ。

 

 ガラス窓の向こうには、プラスチック容器……というか、カプセル容器に入った物体が十数種類ほど置かれている。

 

 容器の見た目はガチャポンのアレだが、大きさはこっちの方がはるかに大きく、開けなければ中が確認できないのも混ざっている。

 

 その中で目立つのは、中身が見えるようになっている書物の類か。

 

 位置や角度によって確認出来ないものもあるけど、表紙には、『13歳の愛し子』とか、『夏の日の愛し子』とか……おそらくだが、その当時の千賀子の姿なのが……ん!? 

 

 

 ──これって、まさか!? 

 

 

 嫌な予感を覚えた千賀子は、とりあえず『13歳の愛し子』とやらを購入し、中を開いた──それから、ペラペラとページをめくり……思わず、床に叩きつけた。

 

 

「他人様のヌードを勝手に写真集にすなーっ!!! ていうか、これって前も似たような事していたよね!!??」

『──とっても愛らしい、当時の愛し子ですよ?』

「ちげ~よ!! 誰もそんな事言っていないの!! これ、世界中のいたるところで私の裸を見られるってことでしょ!?」

『──分かってください、私も断腸の想いなのです。腸なんて無いけど。でも、これもまた試練……共に乗り越えましょうね❤』

「違うって……!! そうじゃないんだってば……!!」

 

 

 堪らず激怒する千賀子に対して、どうして怒っているのかまったく分からない女神様は首を傾げている。

 

 当たり前な話だが、怒って当然だ。

 

 いったいどこのどいつが、承諾なく自分のヌード(盗撮)写真を販売されて喜ぶのだろうか……が、しかし。

 

 

「……その、カプセルの中身ってなにかしら?」

「さあ……とりあえず、試しに二つか三つぐらい開けてみればいいんじゃないの?」

 

 

 怒っていて冷静さを欠いていた千賀子は気付かなかった。

 

 女神様を言い合う最中、2号と3号が興味本位に『愛し子自販機』を使って、お試しに中を少しばかり調べていたということに。

 

 

「……なにこれ、パンツ? ばっちぃわね、オシッコで汚れているじゃないの、ちゃんと洗濯されているの、これ?」

 

 

 一つ目のカプセルには、一枚の写真と、女児用と思われるパンツが入っていた。パンツの方はご丁寧にビニール袋へ封入されている状態である。

 

 袋から取り出した2号が『ばっちぃ』と言ったのは、ずばり、汗の臭いがしたからで……あと、その際にオシッコの臭いも紛れていたからだ。

 

 そして、写真には『見覚えのある少女』が映って……いや、いちいち、もったいぶった言い回しは止めよう。

 

 千賀子の、おおよそ10歳ごろの時の写真だろうか。

 

 裾がほつれていたり、袖が伸びていたり、いかにも使い古していますといった感じのボロボロシャツを着た千賀子が、パンツ一枚で河川にいる時の写真だ。

 

 

「……これ、もしかして、本体の私が知らぬ間に、こっそり女神様がコレクションしているやつ……の、コピー?」

「その可能性は高いと思う。これ。臭いもそうだけど、今しがた脱いだばかりみたいに生暖かいし……で、こっちは……赤い液体?」

 

 

 そして、二つ目のカプセル容器を開ければ、中には赤い液体が収められた小さなボトル容器と、『こっそり股を洗っている千賀子』の写真だった。

 

 

「ん~……うっ!? こ、これ、血よ! それも、なんか色々混ざっているっぽい……え、ていうか、この写真って……うぇ!? きったねぇ!?」

 

 

 しばしの間を置いて、容器越しにも分かるぐらいに生温かい液体の正体を察した3号は堪らず放り投げる。

 

 それを、2号が床に落ちる前にキャッチしてから……最後の三つ目を開けた。

 

 

「……こっちは、比較的最近の下着かしら?」

「そうだね、2年か3年ぐらい前に履いていたやつじゃないかな……ご丁寧に、これも写真付きか」

 

 

 その3つ目もまた、過去に千賀子が使用していた下着であった。

 

 三つとも、特に女神様の恩恵があるわけでもない。直前にて用意されたと思えるぐらいな状態を除けば、使い古しでしかない。

 

 

「…………」

「…………」

「……え、これをどうするの?」

「え、いや、そりゃあ……でもまあ、女神様チョイスだし?」

「それって、女神様の好み……ってこと!?」

「否定出来ないのが悲しいよね」

 

 

 その、あんまりと言えば、あんまりなチョイスに、2号と3号は千賀子に気付かれないよう隠しつつ……困惑に首を傾げるばかりであった。

 

 

 ……ちなみに、だ。

 

 

 この自販機、実はそれだけの機能ではない。

 

 どれだけ気色悪くとも、『UR』は伊達ではない。この自販機を使用した際に代金代わりに徴収される『生命力』だが、実はそれ……ある種のサブタンクとして保管され、必要に応じて千賀子へと送られる。

 

 つまり、自販機を使用する人が増えれば増えるほど、千賀子は万が一に備えたサブタンクを保有することになり、回復力などに補助が掛かる……という恩恵も備わっているのだ。

 

 まあ、その特性から、時間経過と共に効果を発揮する類のモノなので、今回のコレに役立つかといえば……それに、だ。

 

 2号と3号は『愛し子自販機』の調査をそこで止めてしまったので気付かなかったが、実は、この自販機……分かり難い位置に『しーくれっと』と平仮名で書かれたボタンがあり。

 

 それを押すと、1%の確率で。

 

 『今日も立派で健康的!』と吹き出しが書かれた写真……うん、排便する千賀子の写真と、容器に納められた大便が出てくるのだが……まあ、知らない方が幸せであった。

 

 なお、女神様の感覚では、『うちの愛し子が、立派なウンチをしたのよ❤』といった感じの、冗談抜きな出血大サービスであり。

 

 

 ──えぇ……(超・ドン引きby後輩女神)。

 

 

 とある後輩女神の感覚では、しばし言葉を失くすほどにドン引きなサービスであることを、ここに記しておく。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………さて、分身たちの尊い精神的ダメージを他所に、だ。

 

 

 結局、『愛し子自販機』は強制的に世界中に設置されることが決まり、1人何も知らぬ千賀子は女神様との喧嘩を中断し、二投目のダーツを放つ。

 

 ある意味、小学生以来となる、期待と不安が込められた『ガチャ』だ。

 

 何時からか、ガチャで得られる恩恵よりも、ガチャで生じるリスクの方に目が向くようになったので、ある種の罰ゲームみたいになっていたが……まあ、それはそれとして。

 

 

 

『UR:来たれ! わたし! (New)』

 

 要約:あらゆる世界時間軸、あらゆる世界平行線、あらゆる宇宙にいる愛し子を一か所に集める。愛し子の中身がスカスカでも、どう足掻いても可愛すぎて全てが幸せになる。

 

 

 

 再び当たったダーツは、今回もURを引き当ててくれたが……これまた、いまいち説明が分かり辛い代物だった。

 

 なので、改めて女神様に説明を求め……それを、ロボ子が補足する形で、説明してくれた。

 

 この『来たれ! わたし!』というのは、その説明のとおりに、ここに居る千賀子の下に、その世界の千賀子を呼び寄せるというもの。

 

 とはいえ、その世界の千賀子をそのまま呼び寄せるのではなく、その世界の千賀子の余剰パワーを実体化させたモノなので、厳密には集まっているわけではないらしい……とのこと。

 

 余剰パワーなので1人1人が持っている『力』にはバラつきがあるけど、それでも数も集まれば……というやつである。

 

 

「……でもこれ、余剰とはいえ勝手に呼び出されたら嫌なんじゃないの、向こうは」

「あくまでも余剰分なので、呼ばれた側はまったく気付きません。伸びた爪を切って呼び寄せるようなものですから」

「ふ~ん……じゃあ、ちょっと呼んでみるか……軽くね、軽く」

 

 ロボ子よりそう言われた千賀子は……分身たちがテーブルを片付けたのを見届けてから、片手をあげた。

 

 

「『来たれ! わたし!』」

 

 

 その直後、掲げた千賀子の手より光が放たれ──そして、光が止んだ後に、別世界、別時間軸、別宇宙の千賀子が姿を見せて──。

 

 

「──あれぇ? 呼んだぁ?」

「──御呼ばれしましたけど、役に立てますかね?」

「──もう、せっかく良いところだったのに!」

 

 

 ──そして、その姿を視界に納めた瞬間、思わず千賀子はその場に膝をつくようにして、崩れ落ちるのであった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………なんでかって? 

 

 

 それは、同じ自分だからこそ、一目で分かることであり、一目で分かる姿だったのだが……まあ、具体的に言うと。

 

 

 1人は、娼婦のような官能的な下着に身を包み、胸元や下腹部に……その、男の残照がべったりとへばり付いていて。

 

 1人は、清廉潔白を絵に描いたかのような荘厳な衣装を身に纏い、総身より清らかな気配を放っていて。

 

 1人は、裸体なうえに乳首やへそにピアスがハメられ、女性器からは……その、女には出せない粘液が滲んでいて……まあ、その、うん。

 

 

(別世界の私……3人呼んだら2人はそっち系になっているって、私ってどんだけ綱渡りな人生送っているんだろうか……)

 

 

 千賀子は久しぶりに、心の底から泣きたくなった瞬間……というやつを、体感したのであった。

 

 

 

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