ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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明日早いので、こっちも早めに


第157話: 騎手・調教師・関係者「     」 ← 控えめに言って、地獄

 

 

 

 いちおう言っておくが、さすがにエロだけで釣ったりはしない。

 

 エロのパワーは偉大だが、遠い昔の事とはいえ、元男だったから分かる。こういうのは、メリハリが大事なのだ。

 

 

「ご褒美にコーラ冷やしているから、頑張るように」

「お~!!」

 

「プルタブと空き缶はまとめて処分するから、そこらに捨てないように。とくにプルタブ放り捨てたら拳だからね」

「お、お~?」

 

「君らも、ジュース飲んだ後とかにプルタブをポイッと捨てたら駄目だよ。あれ、子供とか踏んづけたり遊んだりして足とか指とかを切っちゃう事が多いらしいから」

「お、お~……うっす、気を付けます」

 

 

 おかげで、無事にリハビリも進み、来月には3人とも元の生活に戻って……本当に無事に終わっているのかは別として。

 

 とりあえず、また因縁を付けられては堪らんと、学校を卒業するまでは、バイクはアルバイトぐらいに使う程度に留めておこう……という話になったらしい。

 

 

 その方が賢明だろうと千賀子は思った。

 

 

 この頃の暴走族なんて、ほとんど反グレ……後に大流行する暴走族系の漫画(あるいは不良系・アウトロー系を舞台とした漫画)なんてのとは、根本から違う。

 

 命よりもバイク……ならばともかく、3人で仲良くバイクを走らせるといった程度なら、卒業するまでおとなしくしておくのが安全なのは明白で。

 

 今回は千賀子のおかげで助かったが、暴走族に因縁を付けられて怪我を負ったり、金銭を奪われたり……なんてのが『よくある不運な話』として扱われるような頃だったので。

 

 千賀子としても、大人になってからその道を進むならともかく、学生のうちは素直に勉強しておいた方がいい……と、思っていたのであった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………さて、そんなトラブルがあった千賀子だが、それはそれとして、実のところ、3人には見せないようにしていたが、千賀子はとても忙しかった。

 

 

 サラッと年明けから時が進んで1975年の5月からスタートしたのだが、少しばかり時間を戻そう。

 

 実際は4月からチラホラ忙しく、5月も末に差し掛かろうとしている頃……すなわち、明たち3人の面倒を見ていた時は特に忙しかった。

 

 

 いったい、何に? 

 

 

 理由は、お馬さん関係であり……具体的には、現役の競走馬としてデビューした所有馬が2頭、バチバチに勝ち星をあげまくっていたからなのと、怪我をして調子を崩している1頭をどうするかと相談されていたから。

 

 

 まず、悪いニュース……と、千賀子はそこまで思っていないが、怪我をして調子を崩しているのは、九州産馬の『ニルキング』である。

 

 キッカケは、1975年2月(つまり、3ヵ月前)に走った『きさらぎ賞』での骨折だ。レースこそ、ゴール前の横一列といった感じで非常に盛りあがたが、そんな問題ではない。

 

 当時、千賀子としては嫌な予感を覚えていたので、『きさらぎ賞』は辞退した方が良いかも……と、思っていたのだが、騎手や調教師から是非とも出走させてくださいとお願いされたのだ。

 

 

 まあ、客観的に見れば、だ。

 

 

 1974年のデビュー戦こそ3着に終わったが、続けて『新馬』、『九州産3歳特別』、『オープン』、『デイリー杯3歳ステークス』と、怒涛の4連勝。

 

 このままの快進撃で、皐月賞 → ダービー → 菊花賞へと……期待を膨らませていたわけだが、その後の『紅葉杯(距離1600m・芝)』でまさかの9着。

 

 そこでガクンと流れが変わってしまったのか、次の『阪神3歳ステークス』では7着。翌年……つまり、今年の1月に走った『シンザン記念』でも3着に終わった。

 

 これを調子が上がってきていると取るか、あるいは別の理由と取るかは判断に迷うところだが……どうやら、千賀子以外は前者と捉えたようだ。

 

 

 まあ、これまた客観的に見たら(Part.2)、だ。

 

 

 一度はガクンと調子を落としたが、9着、7着、3着と、勝利こそ逃しているが、少しずつ着順を上げていっているわけだ。

 

 普通に考えたら、調子を戻している(あるいは、上がっている)と思うのが自然な流れだろう。

 

 実際、出走取り止めを考えていると千賀子が零した際、それはもう騎手や調教師たちから熱烈な説得が行われ。

 

 

 ……最悪な展開には、ならないだろう……と。

 

 

 渋々……そう、本当に渋々といった様子で、千賀子は『きさらぎ賞』への出走を承諾し……その結果。

 

 ゴール前の激闘によってレース自体は盛り上がったものの、ニルキングはレース後の骨折が発覚したのであった。

 

 

 ……ちなみに、だ。

 

 

 骨折が発覚した時の空気というか、千賀子が話を伺いに来た時の室内の空気というか……その時の関係者一同の顔色は、千賀子の目から見ても真っ青を通り越して真っ白であった。

 

 

 ……ま、まあ、うん、さもありなん、というやつだろう。

 

 

 常識的に考えて、だ。

 

 オーナーの反対を押し切って、それはもう説得に説得を重ねて出走させた馬が骨折してしまい、長期療養(状態によってはそのまま引退)を余儀なくされたのだ。

 

 この時の関係者一同の心境、言葉で言い表せられるモノではないだろう。そりゃあ、冷や汗どころか今にも腰が抜けんばかりに足を震わせるわけだ。

 

 そのうえ、千賀子の客観的な評価は、だ。

 

 まだこの頃はグレード制ではないが、置き換えると、何頭ものG1馬(ダービー馬含む)を所有し、日本初で唯一の競馬場所有し、そのうえ牧場(実質、競走馬用)を所有し。

 

 知る人ぞ知る話だが、政府関係にも顔が聞き、ほとんどは資産価値こそ低いもののいくつもの土地を所有する大地主であり、篤志家としても有名……という、もはや『ぼくの考えた最強の○○』のようなアレである。 

 

 そんなの……そんな状況で平気な顔ができるような図太い人間、はたしてどれほど居るだろうか? 

 

 少なくとも、この場にはいないわけで……まあ、しかし、だ。

 

 冷静に考えたら、順調に戦績を上げている馬を怪我もしていないのに出走取り止めの判断を下す方がおかしいかな……と、千賀子は思ったわけで。

 

 

『……怖がらなくてよろしい、責めたりはしません。怪我を予見できるのであれば、不運な事故などこの世には存在しません』

『どんな経緯があろうと、最後に出走を決断したのは私にあり、その責は私が背負うモノであり、それが馬主というモノであり』

『不幸中の幸いにも、ニルキングの骨折は予後不良(よごふりょう)(安楽死が適当だと診断される負傷)には当たらない』

『そして、騎手の方も怪我無くレースを終えました。無事之名馬(ぶじこれめいば)とまではいかなくとも、命を落とさず終えただけでも良し』

『──以上、この話はコレにてお終い。さあ、いつまでもしょぼくれた顔をしないで、ね』

 

 

 また、あんまりにも、この世の終わりみたいな表情をしている関係者一同の姿に、なんか肩の力が抜けたわけでもあった。

 

 

 ……で、ココからは良いニュース。

 

 

 他にも千賀子は同時期に現役の競走馬を2頭所有している。

 

 

 まず、牝馬(ひんば)の『テスコガビー』。

 

 この馬がまた、とんでもない。

 

 なんと、テスコガビーは牝馬でありながら、1974年9月の新馬戦から9戦7勝という、とてつもない記録を打ち立てたのである。

 

 しかも、その内の2勝は、『桜花賞』と『優駿牝馬(オークス)』。

 

 言うなれば、皐月賞と東京優駿に当たるレースであり、それに勝利しただけでなく。

 

 なんと、『桜花賞』では2着との距離に『大差』を付けて勝利し、『東京牝馬』では、2着より8馬身の差を付けてゴールしたのだ。

 

 そのあまりに桁違いの強さは、『桜花賞』の最後の直線時の実況にて『後ろからな~んにも来ない!』と言われた……と聞けば、想像が付きやすいだろうか。

 

 それ以外でも、牝馬のみ出走のレースだけでなく、並み居る牡馬《ぼば》を蹴散らしての勝利数である。

 

 それはもう、騒ぎの一つや二つは起こるというもので、気の早い人々より、『テスコガビーの産駒が欲しい』と連絡が殺到したぐらいなのだから、いかに騒がしかったかが窺い知れるだろう。

 

 

 そして──カブラヤオー。

 

 こいつもまあ、とんでもない。

 

 それはもう、戦績だけを見れば、千賀子がこれまで所有して来たどの馬よりもよほど化け物染みている。

 

 なにせ、最初の新馬戦こそ2着に終わったが、続いてのリベンジレースでは2着に3馬身の差を付けて快勝。

 

 それから8戦したが、全て勝利。なんと、それ以降は『東京優駿』まで一度も負けることなく勝利し続けている、とんでもない戦績なのだ。

 

 その、圧倒的な勝ち方……全ての馬をぶっちぎって先頭を走り続け、そのまま一度として抜かせないまま勝利する。

 

 付いたあだ名は、『狂気の逃げ馬カブラヤオー』。

 

 最初から最後までハイペースに逃げ続ける驚異的なレースぶり、他の逃げ馬とは異なり、付き合えば必ずバテてしまう殺人的な逃げ方から付けられた、彼だけのあだ名であった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………さて、要するに、だ。

 

 

 千賀子はなんと、1975年の『皐月賞』と『東京優駿』を勝利しただけでなく、勝率が80%越えのカブラヤオーと。

 

 同じく同年の『桜花賞』と『優駿牝馬』を勝利した、同じく勝率が80%越えのテスコガビーの馬主になったわけで。

 

 それはもう、馬主席に行くたびに、『どうも、秋山オーナー! ○○です!』と挨拶に来られて、大変を通り越して、とにかく大変で。

 

 

『──○○記者です! いやあ、牡馬と牝馬のダービー、両方を制した馬主になりましたが、いかがお気持ちでしょうか!?』

「感謝、これ以外の言葉はありません」

 

『──××記者です! いやあ、秋山オーナーは相変わらずお美しいですな! その抜群のプロポーション、美貌の秘訣はいったいなんでしょうか!?』

「ウーロン茶ですかね、脂っこいモノを食べた時は最高ですよ」

 

 

 時々紛れる、現代基準ならば台炎上して灰になるようなレベルのセクハラ質問をされても、気付かずサラッと流してしまうぐらいには、色々と忙しかった。

 

 なお、この時のコメントのせいで、様々な方面から『ウーロン茶とはなんだ?』と連絡が届いて、それはそれで無駄に忙しなくなったのは、まあ……御愛嬌《ごあいきょう》というやつか。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………が、しかし、それはそれとして。

 

 

 これまで散々引っ張った馬の話だが、実のところ、千賀子にとってそれらは忙しない理由にはなっても、精神的な負担になるかと言えば、そこまででもなかった。

 

 

 いったい、どうして? 

 

 

 理由は、二つ。

 

 一つは、馬に関しては以前より慣れてきたし、面倒臭いことはロボ子とか分身に放り投げてしまえばOKと思っているから。

 

 二つは、あんまり深く考えていないから。

 

 いや、もうね、身も蓋も無い話だが、千賀子は色々と考えているようで、そんなに考えていない場合がけっこうあるのだ。

 

 なので、千賀子としては、競馬関係は忙しいけれども、精神的なストレスはそんなに無いので……ん? 

 

 じゃあ、精神的な負担はナニカって? 

 

 そんなの、『女神様案件』と、『UMA案件』と、『女神様案件』と、『女神様案件』と、『女神様案件』と……後は、以前から覚悟していたけど、ついに顕在化してしまった問題が一つ。

 

 

「……まだ、早いと思います!」

「いえ、マスター。エマも約4歳5ヶ月になりました。社会性を習得するためにも、そろそろ──」

「イヤッ! イヤッ! エマはまだまだママの傍にいるの!! 冴陀等村でいいじゃん!!」

「駄々を捏ねないでください、マスター。冴陀等村は特殊過ぎるコミュニティであります、不適格かと」

「ヤダーッ!! エマはまだまだママと一緒に居るの! 目の届く範囲に居ないとダメなの!!!」

「いいえ、マスター。健全なる成長と自我の確立のためにも、集団行動をちゃんと学ばなければならないかと」

「イヤッ! イヤッ! 分身たちいっぱい増やすぅ! いっぱい連れてくるからぁ!!」

「馬鹿な事を言っていないで、ほら、マスターの手でちゃんとサインしてください。子離れの最初の第一歩です」

 

 

 それは、なんだかんだと、見て見ぬふりをし続けてきた……いずれは通らなくてはいけない問題。

 

 

「たかが、幼稚園ではありませんか。遅かれ早かれ、大半の子供は通うのです──さあ、マスター」

「うぅ、うぅ、こ、こんな……鬼! 悪魔! 女神!」

『──呼びましたか?』

「呼んでない! あぁーん!! やだぁ、幼稚園はまだ早いよーっ!!!」

「早くありません、さあ」

 

 

 そう、4歳と数ヶ月になったエマ……ついに、幼稚園デビューの時が近づいて、それがもたらす精神的ストレスに比べたら、他は大した問題ではないのであった。

 

 少なくとも、千賀子には。

 

 

 







 Q.まず、年齢を教えてくれるかな? 
 A.25歳、馬主です。

 Q.馬主、あっ、ふーん(察し)
 A.カブラヤオーと、テスコガビーが現役ですね

 ↑ 馬主としては化け物レベル。



※ 千賀子の所有馬(生きている馬、時間軸など順不同)、サラブレット系、競走馬のみ


 1.テイトオー
 2.ダイシンボルガード
 3.ロングエース
 4.ハマノパレード
 5.ハイセイコー

 ↑ 引退済(1975年時点)

 6.ニルキング
 7.カブラヤオー
 8.テスコガビー
 9.テンポイント
 10.プレストウコウ
 11.クライムカイザー
 12.ニッポーキング


 ──殿堂入り『ポンポコロウシ』

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