ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

165 / 260
※ 今回短め、キリが良いので


第159話: ロボ子「ね、気持ち悪いでしょ?(後方腕組み)

 

 

 

 思い立ったが吉日、こういう時の千賀子の行動は、実際、ハヤイ。

 

 

「ロボ子、春木競馬場周辺の土地って、どういう扱いになっているの?」

『──商店街側は違いますが、厩舎や溜め池がある方、駐車場がある辺り一帯はマスターの土地になっております』

 

 

 自室に設置してある通信装置より、ロボ子に直接連絡を……ロボ子は千賀子の傍に居ないのかって? 

 

 

 結論から言えば、居ない。ロボ子は今、『月面神社』に居る。

 

 

 理由は、1975年7月……つまり、一か月後に行われる、アメリカのアポロ18号とロシアのソユーズ19号が、宇宙にて初の宇宙船同士のドッキング……共同実験の監視のため……と、痕一つ。

 

 それは、人類の検索範囲では分からない部分を事前に調べ、不測の事態が起こらないよう、ロボ子が入念にドッキング予定宙域の掃除を行っている……というモノである。

 

 広大な宇宙空間で、惑星に飛来する隕石ならともかく、漂流する物質と物質が衝突することはけして珍しくはない。

 

 

 ただ、前提条件が一つ。

 

 

 それは惑星の重力によって、衛星軌道上をグルグルと回り続けたとき。言い換えれば、何百万回、何億回と同じ宙域を旋回し続けた結果、どこかで当たりを引いた時……といった感じだろうか。

 

 それを、ロボ子は危惧したわけだ。ただ、それは人命を考慮したわけではない。

 

 単純に、冷戦構造が長く続けば続くほど、『恐怖の大王』の出現が早まってしまうからだ。千賀子《マスター》の平穏を考えたら、冷戦なんぞさっさと終わってほしいだけ。

 

 だから、こういう細かなところでも互いに成功体験を積み重ねることで、各国の緊張感を緩和できたらなあ……と、思ったわけで。

 

 人類の科学力の発展はまさに日進月歩だが、さすがに、衛星軌道上を回り続けている様々な物質の位置を正確に把握するなんてのは、まだまだ不可能。

 

 ロボ子としては事故が起ころうが人が死のうがどうでもよいが、それで間接的に千賀子への負担になる可能性があるならば、排除する必要がある……というわけであった。

 

 

 ──ちなみに。

 

 

 千賀子の前世では、1975年のロシアはまだ『ソ連』であり、『ソ連』が崩壊するのは1991年12月頃なのだが、この世界では既に崩壊している。

 

 崩壊した理由は色々あるけど、(=^ω^=)←こいつが関与しているというか、触れてはならない禁忌に触れた代償というか……まあ、そんな理由である。

 

 なお、名称こそ変わっているものの、前世に比べて崩壊する時期が早かったせいで末期的な状況にはなっておらず、世界各国からは『上からメッキしただけ』と思われている。

 

 なので、何処の国も冷戦が本当に終わったとは考えておらず、むしろ、各国を油断させるために『崩壊したように見せかけているだけでは?』という見解で一致していた。

 

 ……さて、話が逸れたので戻そう。

 

 

「それって、畑っていうか、田んぼっていうか、野原がそのまま放置されていた場所?」

 

 

 ガサゴソ、と。

 

 競馬場関係者より貰った航空写真を広げて、確認する。

 

 写真自体は去年ぐらいに撮影されたもので、厩舎の屋根や溜め池、競馬場を挟んで反対側に広がる住宅地などが鮮明に映し出されている。

 

 以前ならともかく、競馬場のあたりは千賀子の土地になっているし、オイルショックの影響で景気がストップした影響もあるから、まだそこまで変化はしていないはずだ。

 

 

『──あ、それは古い写真ですね』

「え?」

『──最新のデータを送りますので、確認してください』

「あ、うん……???」

 

 

 しかし、そう言われた千賀子は改めて日付を確認する……が、先ほど確認したとおり、それは千賀子が知る中でも最新の写真であった。

 

 少なくとも、これ以外の写真となると、明らかに画像が古い……はっきり言うと白黒写真の頃なので、違うのは素人の千賀子でもわかる。

 

 仮にそれが今年の写真だとしても、たった1年でそこまで激変するような工事が、春木競馬場の周辺で行われているなんて、千賀子は知らない……っと。

 

 通信装置に接続されているプリンターのランプに、光が灯る。合わせて、前世では見慣れていた稼働音と共に、ビーッとプリントアウトされた地図が印刷された。

 

 ちなみに……実は、この頃にはもう既に、FAX機が流通し始めている。

 

 正式にFAX通信が開通したのは1972年頃で、たった3年しか経ってないとはいえ、その利便性によって大手の会社に限らず、中小企業でも置いてあるところが増えていた。

 

 

 さて、閑話休題。

 

 

 印刷された地図を手に取り、並べて見比べる。

 

 撮影機器を始めとして機器のレベルが桁違いなおかげで、従来の写真ではぼやけてよく分からない部分も鮮明に映し出されており、違いがとても分かり易かった。

 

 

「……え、これが最新? なんかおかしくない?」

 

 

 ただ、従来の写真でも、誰が見ても一目で分かるぐらいには、分かりやすい違いがそこにはあった。

 

 

「厩舎周りの土地、なんでこんなに広いの? たった一年でこんなに立ち退きとか引っ越しとか工事とかあったの?」

 

 

 具体的には、厩舎や溜め息がある辺りのひらけていた場所が、去年に比べて一回りも二回りも……というか、倍以上にまで広くなっているのだ。

 

 それはまるで、緑だった場所に砂漠が広がっていくかのような……角度とか光の加減では説明がつかない。

 

 いっそのこと、合成あるいは加工写真と言われた方が納得できるぐらい、違っていた。

 

 

『──マスター、一つ勘違いをしています』

「??? なにが?」

『──よく見てください。ひらけていた場所の周辺にあった建物ですが……現在の広場の外周に沿うように点在していますよね?』

「え……えぇ???」

 

 

 けれども、恐ろしいことに、現実は加工写真と言われた方が、よほど良かったのかもしれない。

 

 

「ん? んん? んん~~~~…………あっ(絶句)」

 

 

 言われて、改めて見比べた千賀子は……ロボ子の言わんとしていることに、ようやく気付いた。

 

 結論から述べると、ひらけた場所は広がっていた。だがそれは、そこだけの話ではない。

 

 大陸規模、いや、惑星規模で、その部分だけ、誰一人として違和感を覚えないよう、始めからそうであったかのように広くなっていたのだ。

 

 そう、文字で例えるなら、去年まで1000坪しかなかった畑が、いつの間にか2000坪になっていた……いや、これも意味不明か。

 

 とにかく、そのまま広くなっているのだ。

 

 厩舎の数も溜め池のサイズも変わっていないのに、それ以外の部分だけが……今まで、どうして気付けなかったのだろうか? 

 

 

『──前にお話したではありませんか。何もかも意味不明で全てが分から無すぎて気持ちが悪い、と』

「え、アレってそういう意味でもあったの!?」

『──はい。マスターも私が認識した気持ち悪さがご理解出来たと思います。本当に、原理が一切不明で何一つ説明が付けられません……あ、犯人は女神様です』

「それは言わなくても知っているから(確信)」

 

 

 まあ、考えるまでもなく、犯人は千賀子の頭上より(=^ω^=)と見下ろしているヤツなので、この話はここでお終いである。

 

 

「……これ、もしかして今後も広がり続ける感じ?」

『──それは不明です。ただ、現時点でも僅かずつ広がっていますし、こうして話している間も、あらゆる記録媒体の中身がリアルタイムで改ざんし続けられています』

「つまり、昨日と今日とで、全世界の教科書の記述がこっそり変わっているって感じ?」

『──はい。なお、人々の記憶も随時改ざんされ続けているので、常人で気付ける者は皆無かと』

「……あ~、うん、わかった、ありがとう。ちょっと女神様に話をしてからまた連絡するね」

 

 

 そう言って、通信を一旦切った千賀子は……大きくため息をこぼすと、改めて居住まいを正し、正座になる。

 

 それから、一つ、二つ、三つ、深呼吸をしてから……女神様を見上げた。

 

 

「弁明を聞きましょう、なんでそんな事に?」

『加減を、間違えました』

「はあ、加減を……」

 

 ──加減を間違えた。

 

 

 なんともまあ、まるで砂糖小さじ1杯入れるところを、うっかり2杯入れてしまったかのような気軽な言い草だった。

 

 とはいえ、女神基準だと、本当にその程度の感覚なのだろう。なにせ、宇宙規模の変化を、頑張りましたの一言で済ませるような存在だし。

 

 

「……薄い理由で天変地異クラスの異変を起こすの止めてもらえる?」

『直すのが面倒だったし、愛し子のモノが増えるだけなので、良いかなって……』

「はは、ぬかしおる……」

 

 ──直すのが面倒。

 

 

 これまた、とんでもねえ話である。

 

 しかし、これがまた、皮肉でも煽りでもなんでもないのが悲しい。

 

 女神様的には嘘でも誇張でもなく、ティッシュ箱を定位置に戻すの面倒臭いなあ……程度の感覚だったのが千賀子には察せられるから、余計に

 

 

『それに、この宇宙は愛し子のためにあるようなものだし、異変と思うのは考え過ぎだと思うのです』

「ナチュラルに恐ろしい事を言いなさるなあ、この女神様は……(呆れ)」

 

 

 ただ、悲しい事に、女神様のやる事ってだいたい大した理由が無いというか、女神基準からすると『考える必要がある?』という程度の認識なので。

 

 

「とりあえず、広がった土地を使っても大丈夫なのですか? あとで修正とか掛けられて戻すおつもりなら、使わないのですけど」

『戻すの面倒なので……あ、もっと欲しいですか?』

「だから、異変を起こすなと言っているでしょうが!」

 

 

 半ギレしながら張り手をかましたところで、本当にこの話(土地問題)はここでお終いであった。

 

 

 































 Q.立ち退きとか、どうするの? 

 A.女神的解決法、大地の面積をこっそり増やす、誰も悲しまない、女神様は人の心がわかる立派なおひおほいほっひいいひひいひひひいひひひひ



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。