ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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※ ちょっと、センシティブ?な表現あるかも?


第177話: またしても置いてけぼりな千賀子さん

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………とある夜の峠にて、レディースたちバイクレーサーたちと、スーパーカーを操るロボ子の壮絶なバトルが繰り広げられていた。

 

 

 

 ──一方、その頃。

 

 

 

 時は少し遡り、前日の深夜2時。

 

 峠より距離にして400kmほど離れた、とある住宅街の一角……人通りも途絶えて、静まり返った夜の田舎の道路に……1人の少年が居た。

 

 少年は、マスクで顔を隠している。

 

 現代とは違い、この頃の市販マスクはちょっと小さめで、口元しか隠せていない。なので、帽子を深く被って目元が見えないようにしていた。

 

 格好も、ちょっとおかしい。

 

 春が近づいてきているので、以前よりはだいぶ温かくなってきている……とはいえ、夜はまだまだ冷える。

 

 なのに、少年の恰好はパジャマ。申し訳ない程度にマフラーをしているが、その身体は寒さでちょっぴり震えていた。

 

 まるで、寝室からこっそり抜け出して来たような……着替える姿を露見した際に追求されるのを恐れ、寝間着のままわざわざ出てきたといったようにも見える。

 

 かなり苦しい言い訳にはなるが、『眠れなくて外の空気を吸いたくなった』……というのが、使えなくはないのかもしれない。

 

 もっとも、本当に外の空気を吸いたくなったのなら寝間着の上に厚着をするだろうし、そこを突っ込まれたらどうにもならないが……で、だ。

 

 どうして少年がそんな恰好で外に出ているのか……お察しのとおり、外の空気を吸いに出ているわけではない。

 

 目的は……住宅街の一角にひっそりと設置されている、雑誌の販売機である。

 

 そう、現代ではほとんど(というか、まったく?)見られなくなったが、実は1970年代後半から昭和末期の辺りまで、雑誌の自販機が存在していた。

 

 正確には、平成になっても撤去する費用が高いので壊れるまで使われていたり、なんだかんだ平成の中頃まで現役だった……という話もチラホラあったりする。

 

 で、その自販機だが、中身というか、使い方はその他の一般的な自動販売機と同じである。

 

 商品のお金を入れて、ボタンを押す。

 

 飲み物の自販機と同じく、商品が受け取り棚に落ちて来るのでそれを取り出す。

 

 ただ、それだけ。

 

 入っている商品が違うだけで、原理は同じである。

 

 中には見本が並べられているはずのディスプレイに銀紙などが張られて商品が確認出来ず、買うまで分からない……なんて事の他には、見本と実際の商品がまったく違うなんてのもあったらしいが、話が長くなるので割愛する。

 

 とにかく、この頃にはそういう自販機があったわけだ。

 

 そして、現代とは違ってこの頃は書店の数が桁違いに多いのに、どうしてそんな自販機があったのか……答えはまあ、うん。

 

 ぶっちゃけてしまうなら、売られている商品はエロ本であった。

 

 実は、この頃の本屋には18禁に該当されるエロ本などがあまり流通して……いや、あるには有ったのだけど、現代に比べたら桁違いに数が少なかった。

 

 また、内容もソフトエロが主体であり、露出しても胸だけとか、きわどい下着とかで、直球的なエロはほとんどなく、ヘアヌードすら解禁されていなかった。

 

 そんな中で脚光を浴びたのが、店員と対応せずに買えるエロ本の自動販売機である。

 

 これがまあ、売れに売れたらしい。

 

 一般的な市販ルートには出回らない女優(?)のヌードや、中には修正ミス(つまり、無修正)などが混じっていた事もあったらしく、それはもうとんでもない売り上げになったらしい。

 

 なにせ、あまりに完売が連続したおかげで現金回収車の装置が壊れたなんて逸話があるぐらいなのだから……ちなみに、女性の購入者も相応に居たらしい。

 

 

 ……で、そんな自販機の一つが、少年の目的なわけだが。

 

 

 なにゆえ、息を潜め、身体が震えるほどの寒さに耐えてまで向かうのかと言うと……それは、先日の事。

 

 少年がその自販機を見付けたのは、偶然であった。

 

 少なくとも、少年の記憶には、そこには自販機などはなかったはずで、汚い路肩の用水路があるぐらい。

 

 ましてや、見本が置かれているはずのディスプレイがビニールシートで隠されている自販機など……が、しかし。

 

 偶然にも、少年は見てしまったのだ。

 

 普段は青いビニールシート内側から張られていて見本が見えなかったソレが、その日だけ、一部が捲れていて……そこに、無修正の見本が露わになっていたのを。

 

 その瞬間の感覚は、とてもではないが言葉には出来なかった。

 

 ちょっと引っ掛かっていただけなのか、少年の見ている前でペラリとシートが戻り、いつものように見本が確認できなくなったが……少年の脳裏には、これでもかと刻み込まれていた。

 

 

(おっぱい! おっぱい! ○んこ! ○んこ!!)

 

 

 少年は、母親以外の女性の陰毛を見た経験がなかった。

 

 ましてや、女性器なんて……そんな少年にとって、写真とはいえ異性の女性器を目撃した衝撃は、とてもではないが言葉では言い表せられなかった。

 

 あまりの興奮に、その日はまったく寝付けなかった。

 

 その翌日も、翌日も……このままでは頭がおかしくなる、そう思った少年は、完全に芽生えた衝動に突き動かされるがまま、深夜の無断外出となったわけである。

 

 そうして到着すれば、100円玉を10枚。

 

 この頃はまだ、500円硬貨が無い時代。

 

 手の中で硬貨がこすれ合う音すら気を付けながら……1枚、1枚と……そして、唯一『売り切れ』にはなっていないボタンを押して……思いのほか大きな音を立てて出てきたソレを、少年は無我夢中で取り出すと、一目散に駆け出した。

 

 背後で、自販機が音も無く空気に溶け込むように消え去り……跡形も無くなっていたが、少年は欠片も気付いてはいなかった。

 

 それから、音を立てないよう必死に息を潜めながら、それでいて慎重に慎重に……自室へと戻った少年は、小さな電気スタンドを点けて……そうして、無意識に息が荒くなるぐらいに興奮を覚えながらも、震える指先でビニールを外し……表紙を開いた。

 

 ──そこには、セーラー服を身に纏った……少年がこれまで一度として見たことはない、一度見れば絶対に忘れられない美女のおっぱいが露わになっている写真が──

 

 そこまで認識した瞬間、少年は唇に伝わる血の味に我に返った。鼻血だと気付いて、慌てて枕元にたまたま置いてあったタオルで……少年は、またもや気付いていなかった。

 

 

『 25歳越えで 酒に酔って むちむちボディ セーラー服 』

 

 

 少年の背後……音も無く出現していた、見る者に精神的な重圧を強制的にもたらす、異界の姿をした化け物が居た。

 

 

『 good boy! uwa kitsu! 』

 

 

 けれども、その化け物はなんか妙に良い発音と、直視し難い顔なのに、誰が見ても満面の笑みを浮かべているのが分かる……そんな雰囲気と共に。

 

 

『 uwa kitsu forever』

 

 

 その言葉を言い残して、化け物は空気に溶けていくように……その姿を消したのであった。

 

 後に残されたのは、ようやく鼻血が止まったので、改めて無修正の雑誌へと視線を落とす。

 

 

「……頭に猫耳? 猫の手の手袋……うわキツ(ドクン……!!!)」

 

 

 目覚めてしまった少年だけであった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………所と時間変わって、夜の峠道。

 

 

 大型エンジンが奏でる爆音が鳴り響く中、先行し続けていたロボ子の車(命名:超速いカー byロボ子)を追いかけるレディース集団の技量もまた、スーパーな領域であった。

 

 単純なマシンの性能は、圧倒的にロボ子の車の方が高い。しかし、コースがあまりにもロボ子側には不利であった。

 

 直線勝負であれば、ぐうの音も言わせずロボ子が勝利していただろう。だがそれは、もしも、の話。

 

 影すら踏ませず圧勝できる瞬発力と加速力を有しているが、山の斜面に沿うようにして作られた峠道の前では、その性能をフルに発揮は出来ない。

 

 対して、右に左に蛇行しなければならない峠道で、その真価をフルに発揮できるのがバイクである。

 

 最初に不意を突いて先行を取った事で前を走り続けられているが、それはけしてロボ子が常に優勢を取っているわけではない。

 

 その優勢は、まさしく薄氷の上でのこと。

 

 何故ならば、ほんのわずかなミスが、そのまま前後を入れ替えてしまう。

 

 レディースたちの技量はプロ顔負けであり、ロボ子とて平静を装っているが、同時に、レディースたちの技量を素直に認めていた──っと、その時であった。

 

 

 ──背後より追走し続けていた1台のバイクが、いきなりガードレールの隙間を通って──斜面を下ったかと思えば、なんとコースをショートカットしたのである。

 

 

 これには、さすがのロボ子もアイセンサーをキュインと収縮させた。

 

 事前のスキャンでコースを把握していたし、その可能性を考えてはいたが、一歩間違えたら即死しかねない危険なコースを迷いなく突き進むとは思ていなかったからだ。

 

 

「で、出た~~総長の十八番(おはこ)!!!」

「地元民だけが知っている禁断のショートカット!!!」

「さすが総長!! やってくれたぜ!!」

 

 

 背後の方で、レディース仲間(要は、舎弟?)が歓声をあげる。なのに、切れよくコーナリングを済ませるのだから、彼女たちの技量もまた一流である。

 

 ……そうして、だ。

 

 一転して、追いかける形になったロボ子に……余裕の笑みで見つめていた総長は、細長い指で己のマスクを外すと。

 

 

「ワタシ、綺麗?」

 

 

 耳の辺りまで裂けた大きな口で、ニタリと笑った。

 

 

「で、で、出た~~!!! 総長のビクトリースマイル!!!」

「地元民だけが知っている、魅惑のボイスゥゥゥ!!!」

「さすが総長!! 今日もやってくれた、抱いてぇ!!」

 

 

 背後の方で、レディース仲間(要は、舎弟?)が歓声をあげる。

 

 直接的な声は聞こえないが、(うるせぇな、あいつら……)巫女的シックスセンスによってこれでもかと感知してしまうせいで、千賀子はちょっと顔をしかめていた……っと。

 

 

「──なるほど、本気でやらねばなりませんね」

 

 

 その瞬間、ロボ子がボタンを一回押した。途端、車内を流れていたBGMが変わり……重低音がスピーカーを震わせた。

 

 勝負はまだまだこれから──女(?)と女(?)のぶつかり合いは、未知の領域へ突入しようとしていた。

 

 

 

 

 

 ──一方、その頃。

 

 

 時は遡り、場所も変わり……某日、某所。

 

 それは、日本全国……どころか、もしかしたら世界中で繰り広げられていた……世界の裏側の出来事。

 

 

 ある時は、田舎の畑の一角にて。

 

『 ムチムチ25歳以上、大胆水着ちょい大きめ乳首ポロリ思いのほかハイレグキツクテ恥ずかしがる 』

 

 ──(=^ω^=) スッ→『水着を着ていて、エマが裾を引っ張って乳首ポロリ&片手ではハイレグの食い込みを誤魔化そうと必死な千賀子さんの写真』

 

『 うわキツ 濃厚な うわキツ おお、神よ……』

 

 異世界からの侵略者は、満面の笑みと共に光となって、消えていった。

 

 

 ある時は、都心の一角にて。

 

『 昔の服を着て まだまだイケると思いつつ でも、太ももとかシャツとかパツパツの 大人のお姉さん 』

 

 ──(=^ω^=) スッ→『姿見の前で、小学生時代の服を着て懐かしさに浸りつつ、意外と私ってば細いじゃんとちょっと誇らし気だけど、スカートのウエストが悲鳴をあげている千賀子さん』

 

『 うわキツ 濃厚な うわキツ おお、神よ……』

 

 異世界からの侵略者は、満面の笑みと共に光となって、消えていった。

 

 

 ある時は、とある漁港にて。

 

『 子供の頃の通り道 行けると思ったけど 胸とかお尻とか引っ掛かって とても恥ずかしがる 』

 

 ──(=^ω^=) スッ→『野良猫を見掛けて追いかけた際に、子供の頃に抜け道として使っていた狭い路地裏を通ろうとした際、胸とお尻が引っ掛かって破けてしまい、ブラやパンツが丸見えになってしまった瞬間の驚愕顔の千賀子さん』

 

『 うわキツ 濃厚な うわキツ おお、神よ……』

 

 異世界からの侵略者は、満面の笑みと共に光となって、消えていった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そう、人々は知る由もない事だが、この世界の女神様は、誰からも顧みられることがなくとも、人々を守っているのである。

 

 

『 酒に酔って おっぱいブルンブルン揺らしながらダンスを踊る 』

 

 ──(=^ω^=) スッ→『アルコールの影響で顔が真っ赤になった全裸の千賀子さんが、マラカスを両手に軽やかなステップを刻んでいる写真』

 

『 うわキツ 濃厚な うわキツ おお、神よ……』

 

 そう、女神様は孤独であり……しかし、女神の慈愛はどこまでも広く……今日も、誰にも知られることなく人々の暮らしを守っているのであった。

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………なお、当の千賀子は。

 

 子供特有の、急な充電切れという名の強制睡眠に突入したエマを抱っこしつつ。

 

 

「おまえ……中々やるじゃねえか」

「貴女こそ……口裂け女にしては、相当な腕前でしたね」

「へっ! 伊達に口は裂けてねえんだぜ、こっちはな」

「また、機会があれば共に風になりましょう」

 

 

 なにやら、知らぬ間に友情を深めているロボ子と総長の姿も見やりつつ。

 

 

「で、で、出た~~!!! 総長の認めた相手には優しいやつ!!!」

「地元民だけが知っている、ちょっと甘えた感じの横顔かわゆぅい!!!」

「さすが総長!! 今日も照れくさそうかつ嬉しそうで面倒臭い可愛い!!」

 

 

 なんか、またもやよく分からんヨイショをする舎弟たちの姿に。

 

 

「……口裂け女……UMA……やめよう、触れない方がいいな……」

 

 

 千賀子は、色々な感情を呑み込んで……曖昧に、微笑んで誤魔化したのであった。

 

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