ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第184話: 忘れた頃にやってくる(女神様案件)

 

 

 

 ──1978年(昭和53年)にもなると、平成育ちの子でもチラホラと、『ああ、この年からだったのか』といった名前が登場するようになる。

 

 

 たとえば、20年以上に渡って愛され続けた時代劇の金字塔、『暴れん坊将軍』が放送開始されたのも、この年からである。

 

 暴れん坊将軍とは、徳川吉宗が貧乏旗本三男坊の新さんに扮して庶民の暮らしに紛れながら、江戸にはびこる悪を見つけ出し成敗していくという、痛快娯楽時代劇である。

 

 この番組の人気は凄まじく、何度も続編が作られたばかりか、スペシャル番組として別個に制作されたり、放送が完全に終了しても様々な媒体にてゲストとして登場していると聞けば、いかに人々の間で認知されていたのかが窺い知れるだろう。

 

 同様に、昭和後期の記憶がある者なら一度は絶対に目にしている音楽番組、『ザ・ベストテン』が生まれたのもこの年からだ。

 

 この番組もまた凄まじく、最高視聴率は驚異の40%越え、今でいう大御所アーティストと呼ばれる人たちも何度か出演していると聞けば、いかに凄い番組だったかを察せられるだろう。

 

 言うなれば、当時のコメディ番組と聞かれたら『ドリフターズ』、音楽番組と聞かれたら『ザ・ベストテン』というぐらいで、この番組で歌を披露する事が特大のステータスとして認知されていたぐらいだから、色々な意味で驚きである。

 

 ちなみに、後に国民的ロックバンド『サザンオールスターズ』がデビューした年でもあり、その時の『勝手にシンドバッド』は幾度となく再販されている。

 

 他には、有名どころで『ピンク・レディー』。日本レコード大賞を受賞し、合わせて、日本歌謡大賞も受賞している。

 

 映画では『スター・ウォーズエピソード4』が上映された他、後のSF(宇宙人など)作品に多大な影響を与えた『未知との遭遇』など。

 

 テレビアニメーションは躍進といえるほどにこの年も様々な作品が作られ、後に日本を代表するアニメ監督が手掛けた作品、『未来少年コナン』が放送された年でもあった。

 

 なお、知る人ぞ知る実写特撮テレビ『スパイダーマン』が放送された年でもある。このスパイダーマンは、後のスーパー戦隊シリーズにも多くの影響を残した……話を戻そう。

 

 また、食品関係だと、ホワイトデーにマシュマロを送る、といったホワイトデーの催しが生まれたのもこの頃だとされている。まあ、これは諸説あるけれども。

 

 

 そうそう、実は世界初となるビフィズス菌発酵乳飲料の『ミルミル』が販売されたのもこの年である!!! 

 

 

 今では誰もが目にしたことがないぐらいに有名になった即席カップ麺の『赤いきつねうどん』が販売されたのもこの年で。

 

 また、建物関係もそう。

 

 東京池袋にある超高層ビル『サンシャイン60』が開館したのもこの年で、農林水産省(以前は、農林省という名であった)が発足したのもこの年で。

 

 ちなみに、新東京国際空港(現在の成田国際空港)が開港した年でもあり……日本はますます世界へと視野を広げ始めた年でもあった。

 

 

 ……とはいえ、だ。

 

 

 この年(1978年)は同時に、悲惨な災害や事故や事件が起こった年でもある。

 

 たとえば、大きな地震が起こったり、とあるロックバンドのコンサートにて将棋倒しが発生して女子大生が死亡したり、列車が横転する事故が起こったり。

 

 開港する前(というか、コレで遅れた)に管制塔が占拠されるという事件が起こったり、福岡で長期に渡る干ばつが発生したり……けして明るいニュースなばかりの1年ではなかった。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………とまあ、そんな感じで、千賀子の前世において、けして平穏とは言えない1年となっていたわけだが……そして、この世界においてはというと。

 

 

「……とりあえず、『宇宙からの飛来物』ってどこにあるの?」

「回収できる限りは回収しました。ちなみに、飛来地は『北極』になります」

「ふむ……回収しているのは後にして、墜落地点を調べましょう。もしかしたら、残留思念から相手の目的を察知できるかもしれないし」

「調べるまでもなく、99.99999%の確率で侵略狙いかと思われますが?」

「異次元からの侵略者が『うわキツ』を求めて来るという前例がある以上は、ちゃんと調べておかないと……第二のうわキツとかされたら、私はしばらく引きこもる覚悟がある……!!」

「御労しや、マスター……」

 

 

 と、いう感じで、だ。

 

 冬の寒さも和らぎつつある日本より遠く離れた大地……いや、大地じゃないけど、とにかく北極へと千賀子は向かったので……ん? 

 

 

 どうやってか、って? 

 

 そんなの、いつものワープである。

 

 

 昔とは違い、今の千賀子は地球の反対側までワープが可能である。ベトナムの時に比べて多く見積もっても倍程度、恐れるに足りぬのだ。

 

 とはいえ、安全には安全を、なので『巫女服』は着て行く。あと、ロボ子より用意してくれた『羽衣型万能飛行装置』も忘れず装備する。

 

 この『羽衣型万能飛行装置』とは、その名のとおり羽衣の形をした飛行装置であり、組み込まれた反重力装置によって自由自在に移動することができる。

 

 また、万能と名が付いているだけあって、それだけではない。

 

 装着した者の周囲に不可視のバリアを形成し、外気の影響をシャットアウト。

 

 文字通り、隣で核爆発が起こってもノーダメージ。マグマの中だろうと-○○℃の中だろうと、故障しない限りはまず平気である。

 

 

 ただし、だ。

 

 

 この羽衣型万能飛行装置が作動している間、周囲への影響を考えて地面等に降り立つことはできない。

 

 また、装置が作動している間は、背中に日輪のような光が生じるというか、こう、傍から見ると後光が差しているように見えるというか。

 

 とにかく、見た目の問題から、人の視線が有る場所では中々に使い所に困る装置である……そのかわり、高性能だけれども。

 

 安全機能が作動しているので万が一の事故もないけれど、それでも絶対ではない以上は……とのことで、装置が作動している間は常に空中をホバリングしておくのが無難である。

 

 

「エマ、ちょっとお留守番できる?」

 

 

 さすがに、地球外侵略者の調査にエマを連れて行くわけにはいかないので、分身たちに任せて向かうことにする。

 

 ならば分身に任せたらとか言われそうだが、分身たちは例えるなら電池で稼働している存在だし、万が一の場合は本体ほどの出力がないので、千賀子自身が行くしかないのである。

 

 ロボ子に残留思念を探る機能が搭載されていたら良かったのだが、さすがにそこらへんは科学では解明できない領域、いわゆる超能力の領域なので……無い物ねだりというやつか。

 

 

「うん、大丈夫。でも、早く帰ってきてね」

「エマ……うぅ、良い子なエマの我慢した顔が可愛くて足が竦んじゃう……」

「馬鹿な事を言っていないで、はよ行け本体の私」

 

 

 分身たちから尻を蹴飛ばされるような冷たさを受けた千賀子は、泣く泣く『神社』を後にして……北極へと向かった。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………そうして、やってきた北極だが……初見の感想はと言うと。

 

 

「本当に見渡す限り一面氷しかないな」

『それはそうですよ』

 

 

 思ったままを呟けば、装着したイヤホンよりロボ子よりそんな返事をされた。

 

 千賀子のワープ能力は基本的に、移動する距離やワープさせる質量や体積などによって、消費される精神力に違いが生じる。

 

 直線距離にして片道6000kmを超える距離を単独ワープするだけなら問題ないのだが、誰かを連れてワープするとなれば、その負担は一気に跳ね上がる。

 

 簡潔にまとめると、自分一人で行く(裸ならばなおヨシ!)のが一番消費が抑えられる、というわけだ。

 

 なので、千賀子自身はワープにて先行し、その後をロボ子が追いかけてくる……といった感じになるわけで、到着までは通信装置を使うわけだ。

 

 ちなみに、ロボ子は世界各国の観測基地のレーダーを誤魔化しながら光学迷彩にて来るらしいので、少し時間が掛かるとのこと。

 

 

 ……で、だ。

 

 

 北極……正確には北極圏だが、けっこう誤解している人は多いと思うけど、北極というのは巨大な氷がプカプカ浮いている……というだけではない。

 

 実は、北極圏というのはとても広く、大部分が北極海ではあるのだが、浮いている氷だけでなく、陸地も含まれている。

 

 その数は8つ。

 

 ロシア、アメリカ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの8ヵ国であり、全て合わせたら北極圏内には数百万人もの人々が暮らしているのだとか。

 

 つまり、氷塊の上には誰も住んでないというのは正しいが、北極圏内には人が暮らしており、各国の基地もまた陸地(島や沿岸部)に置かれている……というのが正しいわけだ。

 

 ちなみに、日本初となる観測基地が開設するのは1991年になってからであり、まだこの頃(1978年)にはそういったモノはなかった。

 

 

「それにしても、風がすごいなあ……」

『遮蔽物がありませので、仕方ありません……では、目的地までのナビを行います』

「了解、それにしても、かなり距離が離れているのによく通信が届くね」

『それ専用の通信機ですから……あ、そこから北西の方角に約7kmの距離が目的地になります』

「思っていたより遠い……」

『北極圏の広さを考えたら、僅かな誤差みたいなものです』

「それもそうか……それにしても、地球の広さを痛感する景色ではあるけれども、広すぎて方向感覚を失いそうだわ」

 

 

 スイーッ、と。

 

 目撃される可能性なんて皆無だが、あまり高く飛ぶ必要でもないので、それなりの高さに留めた状態で飛行する。

 

 そうすると、氷の凸凹がきらめいてなんかキレイだからと、特に深い意味もなく……っと。

 

 

「……? はて、こんな場所に人?」

 

 

 そこで、千賀子は不思議なモノを見た。

 

 具体的には、犬ぞりに乗った人である。

 

 当然ながら、北極(この場合、氷塊の上だが)にて生息している生物の数はそれほど多くはない。

 

 海中ともなれば違うが、海上にのみ生息しているとなると、その種類は限られる。それぐらい、北極というのは環境が厳しい。

 

 ましてや、沿岸部に沿って移動するならともかく、氷塊の上を通る……しかも、単独でとなれば……ふむ? 

 

 

『──データ検索完了。おそらく、冒険家かと思われます』

「冒険家?」

『はい、総合的に判断して、おそらく目的は北極点到達を目指している冒険家でしょう』

「無視した方が良いっぽい? 隠れるべきかな?」

『顔を合わせても驚かせるだけでしょうし、無視した方が良いでしょう。隠れる必要はありません、どうせ幻覚だと思うでしょうから』

 

 

 ロボ子のその言葉に、確かに驚かせるだけだなと思った千賀子は、素直に指示に従って目的地を目指した。

 

 

 ……ロボ子にだけ責任があるわけではない。千賀子とて軽く考えていたのが原因である。

 

 

 どうせ見られても誰も信じない……そう思っていた結果、空を飛んでいたわけだが……しかし、そこに視点が一つ欠けていた。

 

 確かに、周りは信じないだろう。

 

 だが、目撃した当人はと言えば……そういうわけもなく。

 

 

 ──地球の果てに、光輪を背負った女神がいた。

 

 

 後に、そんな言葉を残す事になるのだが……当然ながら、この時の千賀子は興味が無かったこともあって、さすがに気付けなかった。

 

 

 

 

 

 ──さて、そんな感じで、何事もなく目的地に到達したわけだが……そこにはまあ分かりやすく、クレーターが出来ていた。

 

 

 しかし、大きさは思っていたよりも小さい。穴の横幅はせいぜい1m近く、深さに至っては1も無い。

 

 当然ながら、周りには何もない。南極とは違って地面が無いし、底を抜けて海水が滲み出ている気配はないし、痕跡も見られない。

 

 北極の氷の厚さは、数メートルと言われている。しかし、所詮は氷だ、地面よりもはるかに割れやすいし砕けやすい。

 

 それでも砕けていないということは、飛来物は千賀子が想像していたよりもはるかに小さかったか、それとも氷上に着弾する前にほぼほぼ燃え尽きていたか……どちらにせよ、大した大きさではなかったのだろう。

 

 

「本当にここ?」

『そこが一番大きな破片があった場所です。細かいのを入れるとその周辺に92ヶ所ありますが、他のクレーターは小さ過ぎて既に埋まってしまっています』

 

 

 どうやら、本当に燃え尽きる寸前だったようだ。

 

 とりあえず、用を済ませて帰ろうと思った千賀子は、クレーターへと手を伸ばして、残留思念を探ろうと……したのだが。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………う~ん、まったく感じ取れない。

 

 

(先にロボ子が回収した部品を見ておくべきだったかな……思っていたよりもバラバラになっているからか、わずかな思念すら残っていない……)

 

 

 残念ながら、今回は無駄足なようだ。

 

 いちおう、ロボ子の指示を受けながら、周辺の気配……残留思念も探ってみる。

 

 しかし、破片があまりに細かかったことに加え、大気圏突入に伴う圧縮熱によって燃えてしまったせいか、『巫女服』を着た状態でも探れなかった。

 

 

 ……と、なれば、後はロボ子が回収した部品を調べるしかないわけだ。

 

 

 でも、その部品とてバラバラになっただけでなく、燃えた後だ。

 

 多少なり原形が残っていたとしても、残留思念があるかどうか……まあ、調べれば分かる事だ。

 

 そう結論を出した千賀子は、この場の調査を終えて帰宅しようと……最後に、グルリと辺りを見回した──その時であった。

 

 

「あっ」

 

 

 何気なく視線を向けた、その先に。

 

 

「……あぁぁ」

 

 

 今の、今まで、確かにそこには何も無かった、その場所に。

 

 

「あぁぁ……なんで、なんで私は──」

 

 

 ポツン、と置かれた『宝箱』があって。

 

 

「──さっさと帰れば良かった!!!!」

 

 

 そう、思わず叫んで地団太を踏む千賀子の眼前に、音も無く寄って来た──そう、それは。

 

 女神様がこの世界(地球?)に設置したという、全部で777個あるらしい……『神器』を収めた箱であり。

 

 

「クーリングオフ! 女神様、これはノーカンです!!」

『──( = ^ ω ^ = )』

「うわっ、聞く気がまるでねえよこの女神様……!!!」

 

 

 女神様よりもたらされるモノはだいたいリスクを伴うこともあって……ある意味、宇宙よりやってくる侵略者の存在よりも、よほど千賀子の気持ちをガクンと落とさせたのであった。

 

 

 

 

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