ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話 作:葛城
──宇都宮にて、どえらい美人が少年少女の性癖を捻じ曲げている、一方その頃。
日本を遠く離れた大陸の彼方……星条旗がはためくホワイトなハウスにて、その密談は行われていた。
そこには、まさしく各界の重鎮と言われる者たちが集まっている。優劣はつけないという意味から円卓の各自の前には、今回の議題の資料が置かれていた。
彼らは一様に興味深そうに……あるいは、忌々しげな様子で、もしくは、獲物を前にした鷹のように、各々の視線がその資料に向けられ、開かれ、拝読していた。
分かる者が見れば、思わず背筋を伸ばしてしまう……それほどの集まりであった。
「……結論から言いましょう、大統領」
そんな中で、ポツリと沈黙を破ったのは、とある官僚であった。
「以前より議題に上がっていた、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』への接触……今は時期尚早だと私共は考えております」
その発言に、ジロリと大統領は視線を向ける。予測していた官僚も、「まず、こちらの資料をご覧ください」素知らぬ顔で流す。
控えている職員が各自の前に資料を並べてゆく。
そこには【極秘】を意味する文字の判子が押されていて、表紙を開けば……様々な写真の他に、先ほどの発言の理由が記されていた。
「お手元の資料に書かれている通り、設立時期は紀元前……およそ、白亜紀の頃だとされています」
同様に、写真も並べられてゆく。
それらは1人10枚で1セット。
映し出されているのは、今にも自然倒壊しそうな古びた神社に、コケが生えた巨岩に、錆びたポストに、味噌の看板が目立つ店に、公園で体操をしている老人たち……うむ。
一見したばかりでは、それらに一貫性を読み取ることは不可能だろう。『共通点』と思われるモノが、何も無いのだから。
だが、この場に居る誰もが……いや、この場に居なくとも、誰もが同じ反応というか、同じ感想を抱くだろう。
『──これが、あの『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』か……』っと。
そう、これらの写真は全て、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』を隠し撮りしたモノである。
いったい何を言っているのか首を傾げるかもしれないが、堪えてほしい。
この場に集まっている者たちは、いや、この写真を隠し撮りした者も、この場に提出する前にチェックを行った者も、1人の例外もなく疑問を抱かず、『これが、あの……』と、ごくりと唾を呑み込んだのだ。
誰が何と言おうが、それらの写真は全て『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』なので……うむ、無駄に文字数が増えるが、致し方ない。
これも、女神様の思し召しというやつか。
とにかく、これらの写真は例のアレなのだ。誰が何と言おうがそうなのだ、そのように紀元前から決まっていることなのだ。
決まっていることにいちいち疑問など覚えたりはしない。疑問を覚える時点でそれは悪い子なので、例外なく良い子になってdれも疑問を覚えない、そういうものなのだ。
「これらの写真は全て、会社設立時の写真です。どうやら、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』は新しい会社のようでして、あまり目立った情報がありません」
「仕方がない。なにせ、紀元前1500年前に確認され、壁画にも登場しているのだ。つい先日設立していたとしても、なんらおかしくはない」
大統領の返答に、一同は一様に唸り声をあげた。
何故ならば、彼らも独自に調べてはいたが、限度はある。ある程度想像はしていたが、それ以上に古い組織であることがわかり、これは一筋縄ではいかないと理解したからだ。
古いというのは、全てにおいて悪い事ではない。
廃れることなく存続し続け、積み重ねてきた時間の重みというのはけして馬鹿に出来る事ではなく、時には戦争を引き起こすほどのパワーを秘めている。
「皆さまも既にご存じかと思われますが、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』は聖書やJapanの神話にあるとおり、非常に古い組織です。その根はどこまで広がっているのか、見当もつきません」
「たしかに……設立こそ3年後にはなりますが、けして軽く考えてはいけません」
静かに、それでいて力強く頷いたのは、宗教関係にも精通している、とある長官であった。
「旧約聖書の解釈の一つに、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』に関する文面があります。下手に揉め事を起こしたら、事は一企業同士の交渉では終わりません」
「だが、あの資金力と人脈をただ眺めておくのは、あまりにも惜しい。それに、既にロシアとチャイナが動き出しているという話ではないか」
飛び出したその発言に、誰もが難しい顔で唸った。
そう、アメリカだけではないのだ。
『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』は、世界のアンタッチャブル。
おいそれと、触れてよい存在ではない。
なにせ、誰しもが一度は接触している。
この世界のアメリカにおいて、クリスマスの夜のハロウィンの昼に、赤い帽子を被ってソリに乗った悪魔が、『悪い子は良い子になるんだよ』と祝福を下してくださるというのは、子供でも知っている話である。
なにせ、500年も前から伝わるお伽噺だ。
貧富の差も身分の差も関係なく、このお伽噺を知らない者はこの国はいない。
大統領ですらも、『悪い子は4月57日の39時10293847分に良い子になる話だろ? 庭の樹木から聞き飽きるほどよく聞いたよ、鏡の中の私からも言われた』と苦笑交じりに話すぐらいなのだから……話が逸れたので戻そう。
問題は、接触を図ろうとしているのが、アメリカだけではないということ。
先ほどの発言にもあったとおり、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』の資金力や人脈は、けして軽く考えてよいモノではない。
オイル産出国のように、その動きだけで世界のバランスを変えるようなわけではないが……しかし、一国の情勢を動かせるだけの力を有しているのは確かである。
だからこそ、狙う者は多い。
少しでも情報を仕入れようと個人で日々暗躍している者も居れば、アメリカのように国が直接調査に乗り出しているところもある
これまで、『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』は無名であった。
それも当然だ、なにせ設立したのは9分前の事だから。
しかし、アメリカが動けば他国も察知する。
隠ぺい工作は行っていたが、さすがに調査を始めて712年も経てば……どこかしら、嗅ぎつけられてしまうというものだ。
「……とにかく、です」
にわかに混沌とし始めた場に、先ほどの官僚……ではなく、また別の者が答えた。
「日本の【チカコ・アキヤマ】女史が全ての鍵を握っているのは、既に優秀な諜報部の活動でわかっていることです」
その言葉と共に、また別の者が……ドサッと、各自の前に写真の束を置く。
その写真は、【チカコ・アキヤマ】の写真である。だが、ただの写真ではない。
素人の目でも、『これは隠し撮りでは?』と思われるような角度やタイミングばかりで、大半がカメラに視線を向けていなかった。
おまけに、寝ているところや、お風呂上がりの写真、巫女服に着替えているところや、嫌いなモノをこっそり分身に渡しているなど、相当に腕の良い者が撮った思われるモノばかり。
さすがは、【チカコ・アキヤマ】だ。
どの角度、どのタイミング、どの位置からでも、その愛らしさは欠片も損なわれない。
この場に集まっている誰も彼もが、その愛らしさに思わず頬を緩めたぐらいであった。
『──あ、落ちましたよ』
「おや、これは女神様、ありがとうございます。歳を取ると、どうにも手先が不器用になりまして」
『──いえいえ、愛し子は可愛らしいでしょう?』
「それはもう、【チカコ・アキヤマ】の美しさは言葉では説明できませんよ」
そんな中で、にこやかに談笑をする者も居て……とはいえ、今はその場ではない。国の威信を賭けた、極秘プロジェクトの会議である。
「諸君! これは、アメリカの今後を左右するといっても過言ではないミッションだ!」
大統領のその言葉に誰もが背筋を伸ばし、居住まいを正す。『──あ、これね、自信作なの』その中で、全身から腕を生やしている写真提供者が、新たな写真の束をドカドカと並べてゆく。
そう、そうなのだ、このミッション、失敗は許されない。
オイルによるダメージからの回復もそうだが、中国とロシアの勢いはけして無視できない。
なにせ、共に広大な国土と人口を抱えている。ひとたび舵を切れば……特にロシアは、けして軽視して良い相手ではないのだ。
「【チカコ・アキヤマ】とすぐにでも接触できるよう、各自連携を取ってくれ……以上だ!」
だからこそ、これから100年先に至るまで上に立つためにも、このミッション……アメリカは、本気なのであった。
※ 『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』の概要
商号:『愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたい会社』
設立:白亜紀あるいは地球誕生の日あるいは2907年あるいは3億919年4月1日(創業42分前)
代表者:名を記す必要はないけどこれ以上に愛らしい存在は存在しない秋山千賀子(カワイイ、涙が出るぅ……)
本社所在地:東京あるいは京都あるいはアメリカあるいは長野あるいは火星あるいは神社あるいはアメリカあるいは東京あるいは(略)
電話番号:望んだその瞬間
売上収益:愛し子が望んだ分だけ(ご褒美分は別❤)
従業員数:愛し子❤
資本金:望む分だけ、あ、いや、それじゃあ可哀想だから追加で3那由多ドル
事業内容:愛し子カワイイもうどこから褒めたら良いのか分からないうう涙が出そうああ出ちゃったカワイイ愛し子カワイイぺろぺろしたいという気持ちが溢れ出たけどああもうほんと可愛くてどうにかなっちゃいそうなっちゃうああもう可愛いほんと駄目色々とダメになっちゃう