ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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※ 今回、短めです


第208話: 上司「は? 秋山千賀子から承諾を得た????」

 

 

 

 ──結論から言おう。

 

 

 千賀子は、その気になれば42.195kmぐらい、かる~く走破が可能である。

 

 なにせ、千賀子には巫女的パワーがある。

 

 このパワーはまさしくあらゆる方向に融通が利く万能パワーであり、それは千賀子の身体能力へのアシストにも作用させることが出来る。

 

 

 ……さすがに、だ。

 

 

 息を止めたまま2ヶ月生存していられるのかっていうレベルになると不可能だが、常人を超えたフィジカルを発揮することぐらいは造作もない。

 

 たとえば、100kmぐらい息切れせず全速力で走り続けるだけでなく、パワーをアップさせて超スピードで走れるとか。

 

 たとえば、普通ならば足を痛める距離でも、まるでほどよく温まったベストな状態を維持し続けるとか。

 

 たとえば、雨風にさらされたことによる身体へのダメージ軽減とか、なんなら僅かに浮遊して負担を軽減させることもできる。

 

 なので、改めて結論を出すならば、『42.195kmマラソンどころか、100kmマラソンを最初から最後まで全速力で駆け抜けることも可能』、ということになるわけだ。

 

 

 ──もちろん、そんな事はするつもりもない。

 

 

 色々あって今ではすっかり常人離れしているとはいえ、千賀子は常識的な普通の女の子(前世は男)なのだ。

 

 さすがに、そんな距離を息切れせず全速力で走るなんてのは人間業(褒め言葉ではない)ではない……というのは理解している。

 

 それ以前に、だ。

 

 真面目に陸上をやってきた人たちを差し置いて、ど素人の自分がコネで参加するのは如何なものか……といった考えが千賀子にはあった。

 

 

「う~ん……でもまあ、少しでも盛り上げたいという気持ちは分かる。最初が肝心ってのは真理だし、最初が盛り上がらないと次に繋がらないのは事実だものなあ……」

「しかし、やっていることは体のいい客寄せですが? ナメられている、ということにはなりませんか?」

「いや、どうだろう」

 

 

 ロボ子からの忠告に、千賀子は首を傾げた。

 

 

「たぶんだけど、電話してきた連盟の人、新人さんとかじゃないの?」

「そう、なのですか?」

「そんな感じがする。これ、人から人に話が行く中で、猪突猛進な新人が電話してきたって流れだね」

「そんな流れで電話が来るのですか? 関係性が拗れるリスクが高過ぎませんか?」

「私の子供の頃ほどじゃないけど、今でもそんなモノだよ」

 

 

 さすがのロボ子でも、電話してきた相手が新人だったかどうかまでは把握していない。

 

 いや、正確には、現在大急ぎで調査&データまとめ中であり、連盟内のパワーバランスや関係部署の情報精査を行っている途中である。

 

 いくらロボ子とはいえ、無から答えを生み出すことなんて出来ないし、千賀子のように『Q&A』のQをされる前にAを返すなんてことは出来ない。

 

 というか、いくらロボ子でも不可能である。

 

 相手から質問される前に、その質問内容を直感的に把握し、その質問に答えるなんてのは……当人ですら思い浮かべていない事まで答えてくるのだから、比較するのが間違いである。

 

 まあ、それでも、だ。

 

 マスターであるロボ子に害をもたらしそうな組織や人物などは事前に調査し、定期的に動向を確認しているだけ、相当に優秀である。

 

 

 ……で、話を戻すが、千賀子はなんとなくだが察していた。

 

 

 ロボ子が電話を受けた相手は、客観的に見たら失礼に当たりかねない方法ではあるが、そこに悪気が無いということに。

 

 言うなれば、若いってすごいし怖いよね、っていうやつである。

 

 ここで、『受けません』と一言で終わらせるのは簡単だが……どうも、それで終わらせるのは……もったいない気がするからだ。

 

 なにせ、出だしが新人の先走りで、怖さを覚えるぐらいの若さの結果が、コレである。

 

 ぶっちゃけてしまえば、この新人がこの話を聞いていなかったら起きなかった珍事である。

 

 そんな、世界が仰天するような偶発的な流れに、だ。

 

 はたして、あっさり断って無かったことにして良いのだろうか……と、千賀子が考えるのも、仕方がないことであった。

 

 

「……まあ、それはそれとして、これはチャンスかもしれない」

「チャンス、ですか?」

「そう、いや、これはちょっと前から思っていた事なんだけどね」

 

 

 と、同時に、だ。

 

 

「どうしてか、世間的な私のイメージってさぁ……なんか、お嬢様って感じっぽいんだよね」

 

 

 以前から、実はこっそり納得していなかった、第三者から向けられる己へのイメージについて、千賀子は改めて物申した。

 

 

「そういえば、そのようなイメージを持たれているようですね」

「不思議だと思わない?」

「さあ、私は人間ではありませんので、そこらへんの機微はわかりません」

 

 

 清々しいほどにサラッと返答を誤魔化すロボ子に、千賀子は……ジト~っとした視線を向けながらも、それ以上は問い詰めなかった。

 

 まあ、とりあえず、客観的に、世間の『秋山千賀子』に対する印象は、というと。

 

 

『なんか相当な美人らしいぞ』とか。

『競馬場のオーナーさんだぞ』とか。

『すげえでっけぇおっぱいだ』とか。

『かなりの大地主らしいぞ』とか。

 

 

 他にも神社の巫女さんをやっていたりだとか、なんか相撲部屋の後援をやっていたりだとか、大学に寄付金をしていたりだとか。

 

 とにかく色々あるけど、それら全部をひっくるめて、千賀子が言いたいことは。

 

 それは、世間が想像する秋山千賀子のイメージと、実際の秋山千賀子とでは、あまりにもかけ離れ過ぎている、ということ。

 

 

 例えるなら、世間からのイメージは、深窓の令嬢みたいな感じだ。

 

 

 実際、黙ってお澄まし顔をしている時の千賀子の姿は、誰が見てもお嬢様然とした印象を覚えるほどで、清楚なオーラがビシバシ出ている。

 

 顔や胸や尻が規格外過ぎるだけで、よく見ると腕は細いし肩周りもけして広くはないし、なんなら背丈も平均値より離れていない。

 

 遠目から見る分だと、その身より放たれているオーラによって『あまりにも存在感が大き過ぎた……』と、さすがに秋山千賀子は格が違ったと思ってしまうだろうが。

 

 実際に隣に立つと、『あれ? 思っていたよりも線が細い……いや、デッッッッ!!!』といった感じで、遠目で見た時よりも小柄な印象を与えるのだ。

 

 これがまあ、良くも悪くもギャップを周囲に与えてしまい、余計に清楚な印象を覚えさせてしまうのだが……ちなみに、だ。

 

 実は、このお清楚な部分……千賀子自身は気付いていないのだが。

 

 あくまでもそれは雑誌やテレビでしか見たことがない人の印象であり、ビジネスとは別で、実際に間近で接した事がある人からの印象がかなり違っていたりする。

 

 具体的には、だ。

 

 

『おっぱいがデカい面白いおねえさん』とか。

『金の掛け方が意味不明でおもろいねえちゃん』とか。

『腰もフットワークも軽くおっぱいもデカいおねえさん』とか。

 

 

 といった感じで、身近な人であればあるほど、この人ってやっぱり根っこは小さな雑貨屋の娘なんだな~……って思われているわけだ。

 

 実際、千賀子の友人である明美や道子からの印象もそんな感じであり、家族からもそんなにすごい人とは思われていない。

 

 なんか気付いたらすごい権力とかすごい地位を築いているけど、それでも、だ。

 

 本当に身近な人たちにとって、秋山千賀子という女のイメージは、仲良しの友達と走り回っていたお転婆娘の頃から、あまり変わって……ん? 

 

 ──それでは、同じく雑誌やテレビでしか見ていないけど、清楚とか思っていない人たちからはどう見られているのか……って? 

 

 それはまあ、うん、アレだ。

 

 

『服を着ているのにモザイク掛けられそうになった人』とか。

『歩く目に毒で、青少年の情緒を破壊する人』とか。

『PTAから、子供の教育に悪いからと言われた人』とか。

 

 

 はっきり言ってしまえば、千賀子の行いよりも、千賀子のボディにばかり目がいって……話を少し戻して、と。

 

 

「とにかく、なんかお清楚みたいなイメージを持たれているのは不本意というか……もうちょっとさ、親しみやすい、そんなイメージに変えたいんだよね」

「どうして、ですか?」

「このイメージのせいで、あまりにも周りから畏まった態度を取られるのが窮屈だから」

「なるほど、マスターって基本がズボラですからね」

「そうなんだよね……朝ごはんとか私の分は茶漬けで済ませるタイプだからね、私はね」

 

 

 兎にも角にも、千賀子はこれをキッカケに己のイメージを変えたいと思ったわけで。

 

 その、第一歩として……これまでのイメージとはかけ離れたことに挑戦して、世間からの印象を変えよう……と、考えたのであった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………なお、そうやって承諾の電話を入れてから、さっそくロボ子より一般的な陸上競技のユニフォームを用意してもらったわけなのだけど。

 

 

「では、マスター、乳首と乳輪のサイズを測ります。あと、バストの測り直しもしましょう」

「え、なんで?」

「専用のカバーやプロテクターを作りますので」

「絆創膏で十分じゃないの?」

「どう見ても100円玉以上に大きいのだから収まらないじゃないでしょう、あと、強度不足です」

「え、でも、そこまでガチなのは恥ずかしいんだけど」

「冗談抜きで、摩擦で大出血しますよ?」

「……や、やる」

 

 

 前途は多難であった。

 

 

 

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