ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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※ まだ新年明けて間もないので、まずは軽めに(独り言)


第218話: ……ナニアレ???(とある女神の困惑)

 

 

 

 1980年には、とある事件が発生していたのをご存じだろうか。

 

 後に、『一億円拾得事件』と呼ばれることになったりする、その名のとおり、一般人が一億円入りの風呂敷を拾ったという事件である。

 

 内容自体は、要は落とし物(金銭)を拾ったので警察に届け出たというだけの話である。

 

 

 しかし、金額が、金額であった。

 

 

 1億とはいっても、その価値は現代とは違う。

 

 なにを基準にするかで数字は大きく変わるけど、それでも、現代で換算すると約2億円以上になるとも言われている。

 

 この頃の大卒の初任給がおおよそ11万円と言えば、この頃の1億円がどれほどの価値なのかが想像しやすいだろうか。

 

 そりゃあ、現代換算で2億円拾ったとなれば、事件として取り扱われてもなんら不思議な話ではなかった。

 

 

 しかも、だ。

 

 

 この事件は、中々に闇が深い。

 

 それは後ろ暗いことがあったとかではなく、この話が広がって全国報道されてしまったことで、電話や手紙が殺到し、脅迫も受けたということで、警備員を雇わざるを得ない事態になったことだ。

 

 しかも、落とし主が現れなかったことで法に基づき所有権を取得したわけだが、その日になっても脅迫&嫌がらせが続くだけでない。

 

 執拗に寄付を迫る電話や手紙も続いていたとあって、受け取りに行く日は防弾チョッキを着て行ったというのだから、どれほど緊迫した日々が続いていたのかが想像できるというものだ。

 

 

 ……で、だ。

 

 

 どうしてそんな話をしたのかと言うと、だ。

 

 それは、何気なくテレビを見ていたエマが、そのニューズの続報というか、たまたまその話を改めて見たせいか……ポツリと、何気なく千賀子に尋ねたのだ。

 

 

「ママ、この山にも1億円とか落ちていないかな?」、と。

 

 

 もちろん、落ちているわけがない。

 

 冷静に考えて、風呂敷に1億円も入って落ちているってこと自体が、それこそ1等宝くじに当たるかどうか……いや、それ以下の確立である。

 

 だって、宝くじは必ず当たりが入っているわけだけれども、この件は誰かが意図的に落とすか、それとも、相当な偶然がいくつも重なった結果でないと起きない話だからだ。

 

 だから、千賀子は普通に答えた。

 

「1億円なんて、落ちているわけないでしょ」、と。

 

 それは、ごくごくありふれた返答である。

 

 しかし、この時、千賀子は一つだけエマに嘘をついていた。

 

 確かに、この山には1億円なんてものは落ちていない。それだけは、確信をもって言えることだ。

 

 関係者を始めとして、千賀子に対して害意を持つ者が足を踏み入れた時点で、千賀子は感知できるからだ。

 

 

 では、どんな嘘をついたのかと言うと。

 

 

 それは、落ちているのは1億円ではなく、3億円だからだ。

 

 それも、正確には落ちていたり風呂敷に包まれていたりではなく、ちゃんとしたケースに収まった状態で地面の下へと埋められているのだ。

 

 いったい、どうして……それは、千賀子も詳しくは知らない。

 

 ただ、埋まっているケースは3つ。

 

 一つに、約1億円分が入っている。あと、そのうちの一つの傍には、白骨化した人間の遺体も埋められている。

 

 詳しくは、知らない。

 

 深く追及するとろくでもない事に巻き込まれそうだし、こんなとばっちりでマスコミ連中から無いこと無いことを穿り回されるのは嫌である。

 

 だから、詳しくは知らないのだ。

 

 

「ふ~ん、まあ、そうだよね」

 

 

 さて、当然ながら自分の身近にそんなモノがあるとはつゆ知らず、聞いたエマも本気なわけではない。

 

 さすがに、エマもそんな美味しい話がゴロゴロ転がっているなんてありえないと分かっていた。

 

 

「……ママ、この山って、全部調べたの?」

 

 

 とはいえ、というか、エマの本音はお金の有無ではなく、その山の方にあったようで……察した千賀子は、ふむ……と、遠回しなおねだりについて考える。

 

 

 改めて考えてみれば、だ。

 

 

 基本的な暮らしは『神社』の方だが、別に東京の方にある家を使っていないわけではない。

 

 いや、むしろ、最近はそっちで寝泊まりしている時間は多い……というか少しずつ東京の家で寝泊まりする時間を増やしている。

 

 なんでかって、『神社』がある山は、あまりにも環境が整い過ぎているからだ。

 

 健康を考えたら、そりゃあ『神社』に居た方が良いだろう。

 

 でも、エマはあくまでも女神様にとっては愛し子の娘であって、愛し子ではない。

 

 あまりにも整えられた無菌室な環境からいきなり出されて、はたして、平気でいられるか……そう、千賀子は思ったわけである。

 

 いつか、エマも自分の手を離れて巣立ってゆく時が来る。

 

 その時に備えて、千賀子はエマの身体を世間一般の水準に慣らし始めているのだ。

 

 『神社』の基準を普通なことだと認識してしまえば、いずれ苦労するのはエマだと分かっているから。

 

 もちろん、ロボ子による定期的な診察を行いつつなので……とりあえず、今のところは何かしらのアレルギー発生はないようなので、安心している。

 

 エマもまあ、そんな千賀子の思いが伝わっているようで、少なくとも『この神社が普通の場所ではない』というのは分かっているようだ。

 

 だから、エマは学校でも、東京の家の事は話しても、『神社』のことは一切誰にも話していないようで……その点に関しても、千賀子としては一安心であった。

 

 おそらく、エマの感覚としては家が2件あって、その時の都合で使い分けている……といった感じなのかもしれない。

 

 

「ねえ、ママ……調べたの?」

 

 

 それはそれとして、話を戻そう。

 

 

「そうね、『神社』があるこの山の事は調べたわ」

「そうなんだ……」

 

 

 ちょっと残念そうな顔をするエマを見て、さもありなんと千賀子は内心にてうなずく。

 

 エマが求めているのは、そういうモノではない。好奇心を満たすだけの未知……誰も触れていないような場所を見てみたいという思い。

 

 ぶっちゃけてしまえば、宝探しや探検みたいなことをしてみたい……というわけだ。

 

 そう思うのもまあ、無理はない。

 

 『神社』がある山に関しては、遭難の危険性があるから絶対に一人で降りるのはダメだと約束させているし、実際に怪我の危険性がある。

 

 なので、エマは身近に大自然があるわけだけど、一人でそこに足を踏み入れたことがないのだ。

 

 同様に、東京でも、友達と一緒ならばともかく、一人でどうこうなんてことはさせていない。

 

 こちらと違い、人があまりに多すぎるのだ。

 

 人が多すぎるからこその味わいというか、文化があるわけだけど、それを一人で体験させるのは不安だし、エマが求めているのはそういうものではない。

 

 それも、当然だ。

 

 今も昔も、東京なんてのは、毎日のように人々が上京しては、ひっそりと離れていく、賑やかだけどちょっと寂しい場所なのだ。

 

 それに、エマはその見た目から、あまりに目立ちすぎる。

 

 良くも悪くも男女問わず視線を集めてしまうのだから、人一倍自分の身は自分で守ることを意識しなさい……と、教えていた。

 

 ……とはいえ、だ。

 

 

「北海道の方には、ママがいくつか所有している土地とか山とかあるのだけど……見に行ってみる?」

「え、他にもあるの?」

「そうよ。でも、人の手を入れようと思っても入れられないぐらいの奥地だから、行くのだけでも大変よ」

「行ってみたい! 連れてって!」

「それじゃあ、夏休みになったら行きましょうか」

「うん!」

 

 

 それを理由にして、ただただ我慢させ続けるのもまた、かわいそうだとも千賀子は思うわけで。

 

 自分もまた中学&高校の期間、『魅力ガチャ』のせいで勉強尽くし(誇張抜きで)だったこともあって……娘を、似たような境遇に置いて放置するのは違うと思うわけで。

 

 

(……どうせ向かう途中で疲れて帰りたくなるでしょうけど……経験させておくのも勉強かな?)

 

 

 好奇心旺盛なうちに色々やっておくのもまた、大事かな……と、千賀子は、想像してニコニコと楽しそうにしているエマを見て、自分もにっこり笑ったのであった。

 

 

 ……ちなみに、だ。

 

 

 途中で疲れて帰りたくなる……というのは、エマの体力を軽く見ているとか、そういうのではない。

 

 これは実際に体感するのが一番なのだが。

 

 北海道という土地の広さをうまく想像できないでいるエマを見て、千賀子はちょっとばかり意地悪そうにニヤッとも笑ったのであった。

 

 

 

 

 

 ──一方、その頃。

 

 

 ついに、時は来た。

 

 1980年某日……銀河の彼方より押し寄せてきた侵略者たちは、宇宙艦隊とも言うべき形相をもって、太陽系に入ろうとしていた。

 

 

『──あれが、冥王星と呼ばれている星か?』

『はい、総統!』

『あの星を構成している大気の主成分は?』

『はっ! 探査チームによりますと、おそらく窒素と水、内部にメタンガスがあると思われます』

『窒素に水にメタンか……あまり、使い道のない星だな』

『恒星との距離がありますので、別の星を狙った方が良いかと……』

『うむ、それではこのまま前進せよ!』

 

 

 その宇宙艦隊は、地球人類が見れば思わず言葉を無くすほどの速度かつ、統率された動きで進軍を続けていた。

 

 それは正しく、人類の滅びを告げる存在である。

 

 圧倒的なまでに隔絶した科学力の前に、人類に逃げ場無し。

 

 人類はまだ月面に降り立つだけでも偉業という段階……対して、彼らは星系を跨いで行き来することを可能としているばかりか、そのまま戦闘行為をすることができる。

 

 もはや、絶望的なんて言葉すら生ぬるい……すでに、この戦いは始まる前から終わっているも同然であった。

 

 

『──っ! 未確認の大型反応検知! 識別不能、我らのモノではありません!!』

 

 

 だが、そうならなかった。

 

 そう、人類を滅ぼさんと迫る彼らの前に立ち塞がる存在……地球を守るために立ち上がった勇者たちであった。

 

 

『──望遠モニター、出ます!!』

 

 

 その言葉とともに、艦内ディスプレイモニターに映し出されたのは……一体の、巨大な人型のナニカであった。

 

 それは、漢も見惚れるほどに良質な筋肉を搭載した、頭にはツルリと滑らかな巨大なさらが艶やかな、見事な体躯であった。

 

 

 いったい、そいつは何者なのか? 

 

 

 言うまでもなく、彼こそが地球の勇者……そう、UMAならぬ、U者であり……おお、見るがいい! 

 

 その体を構成する、おぞましさを覚えるほどに密集し、互いに肩や腕を組み合わせ、力と心と勇気を一つにした。

 

 宇宙空間における極寒の冷気すら、今の彼らには届かない。彼らは互いに複雑かつ綿密に計算されたマッスルコントロールによって、重力すらも操るのだ。

 

 まさしく、友情の二文字をこれ以上ないぐらいに表した……無数のカッパたちの集合体。

 

 

 ──ダイカッパ!!! 

 

 

 その咆哮は、真空ゆえに届かない。

 

 しかし、宇宙艦隊の誰もが耳にした……強き言葉、それは彼らの警戒心を跳ね上げるに十分過ぎた。

 

 仁王立ちして身構えていたダイカッパを前に、艦隊は隊列を動かし……しかし、彼らは見誤っていた。

 

 地球を守るU者は、カッパたちだけではない。

 

 光速には至らなくとも、それほどの速度で接近し、一瞬にしてダイカッパの隣に並び立ったのは……巨大な少女であった。

 

 

 そう、彼女こそが、花子さん。

 

 

 地球(?)の未来(?)守るために、彼女もまた無数の花子さんを結集させ、淑女としてのパワーを高めての参戦である。

 

 その姿は、おぞましく絡み合うカッパたちとは根本から異なっている。花子さんたちにとって、それは解釈違いなのだ。

 

 ゆえに、花子さんたちは自らの力を凝縮し、巨大なエネルギー体を生み出し、自らが搭乗することで動力源とした。

 

 すべては、未来ある者たちのために。

 

 主に、小学校で元気にはしゃいでいる半数の子供たちのために。

 

 

 ──ビッグ花子!! 

 

 

 ビッグ花子の咆哮が、宇宙空間を震わせる。

 

 そして、U者たちはこの二人だけではない。

 

 二人が敗れ去ろうとも、地球にはすでにUMAたちが協力体制を敷いて、いつでも迎え撃てるようになっていた。

 

 

 そう……彼方からやってきた侵略者たちは、見誤った。

 

 

 相手がどれだけ下等な存在であろうとも、追い詰められたら決死の覚悟で噛みつく。

 

 それは時に、相手の命すら奪うことだってある……それを、侵略者たちは身をもって知ることとなるのであった。

 

 

 

 

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