ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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※女神様基準では問題なしですが、人間基準では下品な表現に感じる部分があるやも?


第25話: 善意&好意10000%しかない女神様

 

 

 

 ──『初潮記念100連ガチャ』なる、あまりにもキモすぎるガチャ。

 

 

 

 女神様相手でなければドン引き……いや、女神様相手でもけっこうドン引きしたが、その中身は、これまでとそう変わりなく、驚く要素は多くなかった。

 

 ただ、このガチャには、これまで幾度となく見て来た『ガチャ』との違いが三つある。

 

 

 まず一つ目、それは通常の10連ガチャに付いている『確定SR』などが、このガチャには無いということ。

 

 

 つまり、100回ガチャを回しても、100回分の『N』しか当たらない可能性もあり、その逆もあるということだ。

 

 ちなみに、当選の割合は変わらないとのこと。

 

 なんとも、結果はどうあれ、中々にえげつないガチャを贈呈してくれていたこれまでとは打って変わって、渋いガチャだ。

 

 なにせ、『N』は基本的に得られる恩恵に時間制限があり、効果もそこまで大したものではない。

 

 中には『魚釣りが上手くなる』といった有用なモノもあるが、大半は『5分間、足がちょっとだけ速くなる』という、なんとも使い所に困るモノばかり。

 

 ……まあ、しかし。

 

 『SR』や『SSR』のように、非常に効果が高いけれどもデメリットも受け入れるしかない恩恵とは違って、毒にも薬にもならないというメリットは否定出来ないけど。

 

 

 そして、二つ目は……ガチャそのものが、少しばかり違うということだ。

 

 

 具体的には、千賀子にしか見えないルーレットボードの造形が少しばかり変わり、なんだか華やかな感じになっている。

 

 また、目元をベールで隠した『ミニ女神様』なるミニチュアサイズの女神様(見た目は、女の子)が登場し、ルーレットへダーツを投げる……といった仕様になっている。

 

 絵面(えづら)だけを見れば、なんとも可愛らしいというか、スマホゲーのガチャをそのまま出して来たかのような印象を覚えるだろう。

 

 だが、しかし。

 

 実際に身を持って体感せざるを得ない千賀子からすれば、とてもではないが、可愛らしいの一言では済まされない事であった。

 

 

 加えて、最後の三つ目。

 

 

 それは、ルーレットボードの上部にデカデカと輝いている『頑張っている愛し子へのご褒美❤ 100回』、ではなく。

 

 その下……ルーレットボードの下側に、ちょこんと飛び出ている部分。まるで、慌てて付け足したかのように歪なそこには、小さな文字。

 

 

『ver.2(仮)』

 

 

 その、小さな文字に……千賀子は、言葉には出来ない不安……(仮)ってなんやねん……そんな思いが湧いて来るのを、抑えられなかった。

 

 

 

 ……いや、だって、考えてもみてほしい。

 

 

 

 千賀子はこれまで、幾度となくガチャを回して来た。

 

 さすがに全ての当たりを見たわけではないだろうが、それでも、覚えのある内容も増えてゆくので、自然と心構えが出来ていた。

 

 それが、まさかのバージョンアップ。そのうえ(仮)という、そこはかとない不安要素まで追加されているのだ。

 

 中身が、変わっているのか。その変化は、この『ガチャ』に限るのか。

 

 今回は試運転を兼ねたモノであり、次回から、(仮)が外れた『ver.2』になるのか……ちょっと、聞ける勇気が無い。

 

 しかも、ルーレットに記されている文字が千賀子には見えない。

 

 おそらく、実際に回して当たりが出るまで、当事者である千賀子にすら分からないようにしているのだろうが……正直、嬉しくはない。

 

 思わず、千賀子が怖気づくのも致し方ないだろう。

 

 

『それじゃあ、回しますよ~……とりゃあ、まずは半分の50回分だね~』

 

 

 けれども、そんな千賀子の不安で怯える様すら愛おしいのか、女神の声はとても弾んでいて……ルーレットが回転を始めれば、ミニ女神様がダーツを投げ始める。

 

 投げる回数に合わせて、上部の数字が99、98、97……と減っていくあたり、女神様のこだわりを感じるが……今はいい。

 

 

 えいや~、と。

 

 

 気の抜けるような可愛らしい掛け声と共に、一つ、二つ、三つとダーツがルーレットに当たろ──直後、消える。

 

 どうやら、当たると同時に消える仕様のようだ。

 

 その際、ルーレットを外してしまうダーツもあったが、その時はカウントが+1されるようで、きっかり100回分の当たりが出るまで投げるようだ。

 

 妙なところに気が回るというか、そのこだわりをもう少し千賀子の心に寄り添う方向に回してほしいものだが。

 

 

『N:女性器の柔軟性+1(New)』

 ──要約:女性器全体の柔軟性が良くなる。

 

 

 残念ながら、そんな都合の良い話はどこにもなかった。

 

 

「…………えぇ?」

 

 

 初っ端からの、あんまりなフルスロットル。

 

 想定していたモノよりも酷い(剛速球)中身に、さすがの千賀子も思わず言葉を失くし、辛うじて溜息のようなかすれた言葉が出せたぐらいであった。

 

 

『N:月経の痛み軽減+1(New)』

 ──要約:月経の際に発生する痛みが軽くなる。

 

『N:回復力+1(New)』

 ──要約:体力を始めとした、全体的な回復力が向上。

 

『N:分泌液+1(New)』

 ──要約:汗を始めとした分泌液が総合的に良くなる。

 

 

 だが、悲しい事に。

 

 

『N:粘膜+1(New)』

 ──要約:粘膜が強くなる。

 

『N:血液回復量UP』

 ──要約:出血量に対する血液精製量UP。

 

『N:卵子の強さ+1(New)』

 ──要約:遺伝性の病気などが発生し難くなる。

 

『N:母乳+1(New)』

 ──要約:効率良く無害に母乳が精製されやすくなる。

 

 

 どうやら、それが酷いのではなく、それはこのガチャにおいては中間に入る程度の当たりでしかなかった。

 

 

(女神様、マジでキッショイです……平仮名だけじゃなく漢字もそうですけど、前よりも事細かく表示されるようになったことも合わせてダブルでキッショイです!!!)

 

 

 堪らず、千賀子はドン引きした。

 

 

(あと、これ……もしかして、女神様は私の子を見たいとか、子が出来てほしいとか、そんな欲を込めていませんか……いますよね?)

 

 

 と、同時に、女神様の思惑(あくまでも、推測の域だが)を察した千賀子はさらにドン引きした。

 

 だってもう、内容があまりに露骨過ぎた。

 

 その、回復力とか、痛み軽減とかはまあ、言い訳が出来る。

 

 ぶっちゃけてしまえば、これから長い付き合いになる生理が軽くなるのは有り難い。

 

 特に、生理による貧血(特に、鉄分不足)の回復が早まるのは助かる。なにせ、この頃はまだ、欲しいと思った食材は現代に比べて手に入らないから。

 

 それは、単純に冷蔵技術や輸送技術が不十分だっただけでなく、そもそもが、旬の時期以外には手に入らない食材が多かったのだ。

 

 

 ……言っておくが、この頃にハウス栽培(いわゆる、ビニールハウス)が無かったわけではない。

 

 

 塩化ビニールの開発によって、まだ実験段階ではあるが、既に数年前からハウス栽培は行われており、旬の時期でなくとも食べられる食材は店に並ぶようになった。

 

 ただ、全体的に見たら数は多くない。また、まだまだハウス栽培のノウハウが無かった事もあって、質や量を安定させることが難しかった。

 

 そして、ぶっちゃけてしまうが、味も悪かったのだ。

 

 現代育ちには想像しにくいかもしれないが、昔のハウス栽培の味は……不味くはないけど、通常の栽培に比べて1段ほど味が悪かった。

 

 そんなわけで、売れはするけど、普通に育てられた方があったらそちらを選ぶ人が多かった事もあって。

 

 率先的に貧血解消に効果のある食材を探そうと思っても、その時期には手に入らない……そういう時代なのであった。

 

 

 ──Q.サプリメントは? 

 

 ──A.そんなもんねえよ。

 

 

 いや、探せばもしかしたら見つかるのかもしれないが、現代のように手軽に手に入る代物ではない。

 

 また、今は厳しい基準が定められる前なので……正直、常飲出来るものではないのが現状であった。

 

 

 ……さて、話を戻し……うん、戻そう。

 

 

 そこまでは、良いのだ。うん、そこまでは。

 

 しかし、それ以外が完全にそっち向けだ。

 

 特に、『卵子の強さ』とか、『母乳』。あと、『女性器の柔軟性』は、もう暗に『子供見せてね(by女神)』にしか思えない。

 

 

『N:母体+1(New)』

 ──要約:出産に関する許容量の最大値が上がる。

 

『N:出産のダメージ減少(New)』

 ──要約:出産時のダメージが減る。

 

 

(あ、ふ~ん……)

 

 すぅ~……っと。

 

 

 駄目押しの二連発に、堪らず深呼吸。

 

 既にドン引きしていた後の、追撃のドン引き。

 

 心の動きがそのまま身体と直結していたならば、千賀子は壁をぶち破って隣の部屋へ倒れているぐらいのドン引きっぷりであった。

 

 

 しかも、それだけではない。

 

 

 呆けていた千賀子は最初、ソレに気付けなかったが……なんと、この『初潮記念ガチャ』……『N』ですら、通常ガチャの『SR』に当たる永続的な効果の当たりなようなのだ。

 

 と、いうのも、これまでの経験則から考えて、だ。

 

 『○○分間』といった、通常ガチャでは当たり前の効果時間の記載が無いやつは、基本的に効果は永続なのだ。

 

 『回復力』とか、『膣の柔軟性』とか、『分泌液』とかも、加齢による衰えは生じても、土台のレベルが上がっているということ。

 

 つまり、今回のガチャは実質、『SR以上確定100連ガチャ』という、これまで贈呈されたガチャとは段違いの破格フィーバー状態というわけだ。

 

 さすがは、『初潮記念ガチャ』という、字面だけを読めば『こいつ頭オカシイんじゃないの?』と、真顔で困惑されそうなプレゼントを渡してくる女神様である。

 

 与える加護のバランスというか、感性が人のソレではない。

 

 これの何が恐ろしいって、この女神様……欠片も千賀子を傷付けたいとは思っていないのだ。

 

 あくまでも、善意。

 

 どこまでも女神なりの愛情であり、どれだけギャーギャー騒いでも、女神の御心にはビクとも響かないのだ! 

 

 

 ……じゃあ、思いっきり嫌いだって言えばどうなるかって? 

 

 

 そんなの、女神様なりの赤ちゃん言葉で『まあ~!! それはそれで、とっても可愛らしいわね~!!』と、テンションが上がるだけ……話を戻そう。

 

 

『ん~、あれ~、なんだか調子が変だわ……もっとばらけて出るように調整したんだけど……う~ん、偏っちゃっているかな~』

 

 

 最初の宣言通り、50回分のガチャ(内容はまあ、似たり寄ったり)が回ると、『ミニ女神様』は手を止めた。

 

 次いで、困ったなあといった素振りというか、ジェスチャーを見せた……本当に、姿だけは可愛らしいのだけれども。

 

 

(女神様……もう、そのへんで良いと思いますよ……)

 

 

 というか、気にするべきポイントはそこではないような……そんな内心を隠しつつ、なんとかここで終わるようにと進言する。

 

 

『まあ、いいか。いっそのこと逆に寄せちゃえば、結果的にはちょうど良いよね❤』

 

 

 ──残念ながら、神に人の心など分からないのかもしれない。

 

 

 絶句する千賀子を尻目に『ミニ女神様』は、ルーレットボードをペシペシと叩くと……再び、ダーツを投げ始める。

 

 

『N:母性+1(New)』

 ──要約:接した相手に安心感を与え、自身も母性が強くなる。

 

 

『N:母性+1』

 

『N:母性+1』

 

『N:母性+1』

 

 

『N:地母神の素質+1(New)』

 ──要約:産めや増やせや(by女神)

 

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:母性+1』

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:地母神の素質+1』

 

『N:母性+1』

 

『N:母性+1』

 

『N:母性+1』

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 …………なんだかそんな感じの、似たような当たりが続く。

 

 

(あ~、産んだ後のことね……なんかよく分からないモノというか、露骨なモノもあるけど……)

 

 

 これはまあ、アレだ。

 

 女神様の感覚からすると、ものすごく可愛がっているペットが適齢期になったから、より可愛くモテるよう着飾っているようなアレなのだろう。

 

 たぶん、いや、間違いなく、女神様は本当に悪気が全く無いのだ、『基準:女神』ではあるものの。

 

 可愛がっているペットの前に同種のオスを並べて、『さあ、好きなお婿さんを選んでよ❤』みたいな感覚なのだと思う。

 

 嫌がって死ぬまで拒否しても良いし、オスを選んで交尾に励んでも良い。

 

 どちらを選んでも注がれる寵愛に変わりなく、可愛いペットから可愛い子供が生まれたら嬉しい……そんなところだろうか。

 

 ……当たりの内容が滅茶苦茶偏っているというか、同じのが来るのは……女神様の言葉が嘘でなければ、意図して逆に寄せたからなのだろうけど。

 

 正直、このガチャが終わった後、どのような変化が身に起こるかを想像すると、けっこう怖い。

 

 これまでも肉体に変化が起こる(例えば、筋力など)恩恵を得て来てはいたが、それは一度のガチャで+1、多くて+2。

 

 今回のように、一度に+10も20も得るのは初めてだ。

 

 だから、どのような変化が起こるのか分からない。

 

 寝て起きたらそうなるのか、実はジワジワと少しずつ変化をしていたのか……なにもかも不明である。

 

 

 ──なんにせよ、千賀子に拒否をする権利は無い。

 

 

 次から次に重ねられていく恩恵に戦々恐々としつつも、とにかく、これ以上ヤバいナニカを引き当てないように……元凶である女神様に必死に祈る。

 

 

『オヨヨ、名残惜しいですけど、100連ガチャも終わりの時を迎え……おや? おややや???』

 

 

 まあ、その祈りを聞き届けてくれるかどうかは。

 

 

『なんでしょうねー(棒)、ルーレットの様子がおかしい(棒)、これは、まさか(すっとぼけ)???』

 

 

 結局のところ、女神の気分次第なのだけれども。

 

 あまりにもあんまりなわざとらしい『ミニ女神様』の棒読みに、もはや乾いた笑いすら出てこない千賀子を尻目に、ルーレットにヒビが入り始めたかと思えば……ぱかーん、と粉々になった。

 

 

 

『──女神様モード──』

 

 

 

 そうして、露わになる……デカデカと輝く(千賀子にしか見えないけど)文字に、何故か拍手を送る『ミニ女神様』。

 

 

『なんてこったい……これは運が良いですね。なんと、このモードが発動致しますと、『SSR以上確定ガチャ』を1回だけ回す事が出来るのです!』

 

 

 いや、出来るのですと言われても……そう思った千賀子だが、何も言わなかった。

 

 

『さあ、最後にもう一回……専用ルーレットを回してね❤』

 

 

 だって、言ったところで聞いてくれるわけじゃないし。

 

 そんな諦めにも似た胸中を秘めつつ、千賀子は眼前に出現する、またもや凝った造形のルーレットを見やり──ひぅ、と息を呑んだ。

 

 どうしてかって、それは……ルーレットボードに記された、当たりの中身。

 

 無難なモノ(比較的に)はあるが、少しばかり大きめに区切られているスペースに記された、わざわざ他とは違うフォントで分けられた当たり。

 

 

 

『UR:アフロディテの包帯』

 

 ──要約:目に見えず、触れる事叶わない金色の包帯。手に入れた者は、行為無くとも好意を持った相手の子を産む。そこには幸せしか訪れず、時を経る必要もなく、障害は障害にならず。生まれた子の数が増えれば増えるほど、その母を起点に女神の愛が広がり続ける。

 

(他所の世界を統括している私たちより、おススメとして少し譲ってもらった。これさえあれば、何万人でも一切苦痛なく産めるよ!  おススメだよ! by女神)

 

 

 

(や、やべぇぇええええ────!!?!??!?!)

 

 

 直球に言えば、当たれば間違いなく女神様の善意によって大家族(意味深)ルート行きが確定する呪物の登場に、千賀子はゾクゾクっと恐怖で背筋を震わせた。

 

 

 

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