ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第249話: なお、作業部屋には某漫画家のサインが飾られている

 

 

 ──そうして、様々な制作会社へと話を付け、給料が毎月各自10万円ずつぐらい最低でも増えた状態にして。

 

 様々なスポンサー会社の担当者の胃にダイレクトアタックを仕掛け、スッキリスリムボディを作り出し続けていたのだけど。

 

 ここで一つ、問題が生じた。

 

 

「ヒロインが思いつきません」

 

 

 最近ではなんかベレー帽を被るようになったロボ子の一言から、それは始まった。

 

 なんでも、現在構想中のアニメ映画……その脚本がようやく完成し、これから制作を始めるということなのだけど。

 

 その主役であるヒロインの具体的なモデルが見つからないのだという。

 

 そんなのウケそうなやつにしたら良いじゃんって思ったけど、「マスター、相手は子供です」なんか真顔で怒られた。

 

 曰く、『相手が子どもだからこそ、本気で作らねばならない』、ということらしい。

 

 その点については千賀子とて同意なので、怒られたのは受け入れるが……それはそれとして、主人公じゃなくてヒロインなのかって千賀子は首を傾げた。

 

 

 すると、ロボ子は教えてくれた。

 

 

 作品の評価を左右するのは、主人公だけではない。いや、それどころか、場合によってはヒロインの存在によってより多くのファンを獲得できるのだということを。

 

 そんな馬鹿な……と、あまりアニメを見ない人には分かりにくいかもしれないが、これは一理ある話だったりする。

 

 だいたいの場合は主人公が一番人気になったりするけど、時には、人気がある主人公よりも人気になってしまうキャラクターが生まれてしまう場合がある。

 

 これによって、作品の人気を一段あるいは二段上昇させることが可能で、狙って出せるならば出した方が良い……というのがロボ子の意見であった。

 

 

「それを私に聞いてどうするのよ。こう言ってはなんだけど、私ってそこらへんまったく分からないわよ」

 

 

 とはいえ、そんな話をされても千賀子に出来ることは何もないのだ。

 

 そりゃあ、エマと一緒にテレビアニメは何度も見てきたけど……それは好きというよりは、エマと一緒だから面白かったという方が楽しい。

 

 男だった前世の時はけっこう見ていたけど、そんなの感覚的には30年前、40年前、もっとか……ってなぐらい前の事で。

 

 タイトルとか聞いて、『あ、前世でもあったような……』という程度にしか思い出せず、内容なんてうろ覚えもいいところ。

 

 下手したら名前すら忘れている作品も多く、感覚的には『今生の己とは縁が遠いモノ』という認識が強かった。

 

 

「分からなくて良いのです、何故ならば、モデルはマスターがなるのですから」

「はぁ?」

 

 

 だからこそ、真顔のロボ子からそう言われた千賀子は……本当に意味が理解できず、首を傾げるしかなかった。

 

 

 ……で、まあ、ちゃんとロボ子の話を聞くと、だ。

 

 

 どうやら、ロボ子は千賀子が変身した姿……かつて、1度だけ試したことがある、今のガチャステータスを維持したまま年齢捜査を行う、あの変身である。

 

 ヘカテーやサラスヴァティのような変身ではない。

 

 人間のまま、目的の年齢に肉体を若返らせた状態(あるいは、年老いた状態)になるやつで……一度だけ使用し、その後封印している能力だ。

 

 なんで封印しているのか。

 

 それは通常の変身とは違い、人間の身体のまま肉体年齢が変化してしまうので、能力とのバランスが崩れてしまうからだ。

 

 なので、自分では抑えたつもりでも『魅力』が漏れ出てしまうといった事が起こってしまい、余計なトラブルを生まないよう使用しないままにしているのだ。

 

 実際、かつて一度だけ興味半分で使ってみた結果は酷いもので。

 

 抑えたつもりだけど『魅力』のリミッターが外れてしまい、分身たちに襲われて一晩中ナメクジのようにぬちょぬちょに絡み合うことに……とはいえ、だ。

 

 

「今のマスターならば、あの頃よりもよほど能力制御が磨かれております。肉体年齢を操作しても、同じ失敗は起こらないでしょう」

「まあ、それは、そうなのかもしれないけど……」

「是非とも参考に! 不安なら、その都度確認してもOKですので! さきっちょだけで大丈夫ですから!」

「言い方ぁ!!」

「もちろん、マスターを主人公にして、女主人公兼ヒロインに替えますから!!」

「さてはおまえ、初めからそっちが狙いだな?」

 

 

 正直、嫌な思い出しかないから使いたくはない一択だけど……ロボ子からそこまでお願いされると、どうにも断り切れず。

 

 資料用としては残さないことを条件に……千賀子は渋々、ロボ子のお願いに頷いたのであった。

 

 

 

 

 

 ……そうして、しばらくの間。

 

 

 ロボ子の前で12歳頃(ただし、現在のガチャステータス状態で)の自分に若返り、様々なポーズを取ったり、アクションをしたり、色々やった後で。

 

 ようやく、ロボ子監督の2作目の作品となる『真かぐや姫 ~帝よ死にたもうことなかれ~』が完成し、上映された。

 

 なお、ようやく、と前置きしているけど、前作からたった半年での発表で。

 

 その間に、後にその名が知られるようになる、有名アニメ監督や有名アニメーターの若かりし頃の作品がチラホラと上映されるのだけど。

 

 やっぱり……という言い方は違うのだろうけど、ロボ子の作品は、それはもう大反響であった。

 

 今回はなにやらフルアニメーションは止めて、キャラクターの動きに合わせて目の向きや唇の動き、服の動きなども全部合わせたらしく。

 

 

『──帰りましょう! 帰って僕たちも映画を作りますよ! もっとSFで、もっとファンタジーで、もっとダイナミックに!』

『だ、ダメですよ! ただでさえ原稿待ちが続いていて出版社がカンカンなのに!!』

 

 

 そのせいか、何やら付き人っぽい人と言い争う、ベレー帽を被ったオジサンの姿があったり。

 

 

『……こんなの駄目ですよ。こんな……母親なんて、父親なんて、こんな良いもんじゃないんですよ、もっと、本当はこんな夢心地にさせては、こんなのは……』

 

 

 と、なにやら涙目になりつつも、堪えきれず呟きながら映画館を出ていく男が居たり。

 

 

『……さん。もう少し人を信じても良いんじゃないでしょうか……きっと、みんなが思っているよりも、人は他人を信頼していると僕は思います』

 

 

 そんな男の背中をひっそりと見送り、それでもなお、自分の色を変えずに向かおうとする者へとエールを送る者がいたり。

 

 様々な色模様が生まれ……そして、将来のアニメーターの卵たちも勉強のために映画館へ足を運んだ。

 

 細かい部分に意味不明なまでに労力を注いでいることに、その道の者たちを一人残らず戦慄させたらしいのだけど……それ以上に話題になったのは。

 

 

『──こ、この美少女は誰だぁ!?』

 

 

 で、あった。

 

 なんでそうなったのかというと、この2作目となるロボ子の作品だが……短い時間だが実写シーンがある。

 

 というのも、この作品……現実世界の少女がSFファンタジー的な世界に迷い込んでしまうという冒頭から始まるのだけど。

 

 現実世界でのシーンは実写……すなわちアニメキャラクターではなく、人間の少女が映し出されているシーンなのだ。

 

 そして、その少女だが……これがまあ、上手な誉め言葉が思いつかないぐらいの、非の打ち所がない美少女だったのだ。

 

 しかも、演技も妙に板についているというか、素人特有のわざとらしさがなく……物心付いた時から演技指導を受けていたのかってぐらい、ハマっていたのだ。

 

 これがまあ、色々な意味で反響を生んだ。

 

 普段からアニメや漫画を見下している層の人たちでも、実在する人物が登場し、その子が探そうと思っても見つからない美少女ともなれば、話が変わって来る。

 

 文字通りの、100年に一人の逸材だ。

 

 それはもう、芸能関係だけでなく、様々な媒体から『是非ともわが社のCMに出演を!』という声が映画館に殺到し……映画監督であるロボ子へと連絡が向かった。

 

 

 ……この場合、ロボ子の映画のスポンサーは千賀子なので、千賀子に話が向かうものなんじゃないかって? 

 

 

 そんなの、面倒くさがった千賀子が『私はスポンサーになっているだけだから、詳細は監督に聞け』でごり押ししたからである。

 

 それで納得しろと言われても半分ぐらいが首を傾げるだろうが、あの秋山千賀子がそう言ったのであれば、従うしかなく。

 

 必然的に、人々の関心は唯一連絡先を知っていると思われる監督へと向かった。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………まあ、もちろん。

 

 その美少女の正体は言うまでもない事なので、ロボ子は絶対に口外しなかったのだけど……結局、この美少女騒動が落ち着くのは、もうしばらく月日が流れてからであった。

 

 

 

 

 

 ──まあ、それはそれとして。

 

 

 色々と騒動を起こしているロボ子をしり目に、千賀子はその日もスポンサーに……今度は作品ごとに別個でスポンサーになろうかなといった具合で動いていたのだけど。

 

 

「どうですか、僕の作品は?」

「え~、あ~、そうですね……」

 

 

 どういうわけか、行く先々で監督たちからそんな感じの質問をされるようになっていた。

 

 いや、まあ、それは良いのだ。

 

 誰だって自分の作った作品の感想が気になるわけで、その相手が日本でも有数の有名人ともなれば、なおさらである。

 

 そして、今日顔を合わせた監督は、千賀子も名前を知っているSFロボット系のアニメを手掛けて大人気になった人であった。

 

 いちおう、千賀子はその作品は娘のエマと一緒に最後まで鑑賞済みである。

 

 エマは物語の細かいところは目を向けず、ロボットがビーム兵器を手にしてバキューンと宇宙で撃ち合う様を見て喜んでいただけなのだけど。

 

 

「あまりこういう作品は見ませんけど、主人公のライバルの金髪の男……あの人、とても拗らせているなあって」

「ほう?」

「その、マザコンにロリコンにシスコンで表面上は頼れる兄貴って雰囲気なのに、中身は甘え気質な我がまま末っ子気質でしょ?」

「──っ、ふ、ふふふ、そう見えますか?」

「私には……それでいて、頼まれてもいないのに勝手に『僕がやらなきゃ誰がやる!』って一人で奮起して、周りを巻き込んで大勢を不幸にしていくわけでしょ?」

「ふふふ、そうですね……」

「正直、あの人って中間管理職というか、気楽な雇われ人の人生送っていた方がずっと幸せだったんじゃないかなって」

「あは、あははは、そうですね、そうでしょうね」

 

 

 とりあえず、素直に感想を話せば、なにやら変な感じに喜ばれたのであった。

 

 ちなみに、その作品の続編を出す予定だと話をされたから。

 

 

「え? あんな綺麗な終わり方をしたのに、なんで続けるんですか?」

 

 

 と答えたら、なんか爆笑された。

 

 

 

 

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