ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第263話: 立つ鳥跡を濁さないのも大事

 

 

 

 ──結論から言えば、千賀子の拳は実に良い働きをしてくれた。

 

 

 なにせ、最悪やりあう事になるかなと思っていたのに、『それは知らなかった、申しわけない』と、あっさり引いたのだから。

 

 正直、かなり拍子抜けしたという感想であった。

 

 しかし、詳しく話を聞くと……引くには引くだけの理由がウサギ宇宙人たちにはあった。

 

 曰く、『そもそも誰も使っておらず放棄されていたっぽいから基地所有という形にしていただけ』との事らしい。

 

 もちろん、何者であっても敷地内に入る事ができず、解析もほとんど行えないという不可思議な点はあったが……正直、扱いに困っていたらしい。

 

 なんでも、役に立つのか立たないのか、邪魔になるのかならないのか、それすら分からない謎の施設(?)なんて、軍事的に見たら百害あって一利なし、らしく。

 

 下手に本国(というか、母星)のお偉方や面倒くさい連中に目を付けられ、変なエピソードを捏造されて、雑に交渉だの何だのされると非常に迷惑らしい。

 

 まだ、話が通じるような相手との交渉、我々の武力で交渉のテーブルに持ち込めるような相手だったならば、まだマシだ。

 

 最悪なのは、我々よりもはるかに高度な……そう、『白銀の種族』と呼ばれているような者たちの所有物だったら、もうそこで終わり。

 

 間違いなく勝てないし、降伏したところで瞬時に絶滅させられてしまうだろう。

 

 その戦いはもはや、毒も牙も爪も持たないアリが直径数キロメートルクラスの隕石を受け止めて投げ返せってぐらい不可能は差でしかなくて。

 

 現場を知ろうともしない本国の連中から変な横やりを入れられるよりは、だ。

 

 これもまた正直なところだが、持ち主が現れて、持ち主に引き取ってもらった方が、むしろ今後の事を見据えたらとても有り難い話でしかなかった……とのことだ。

 

 

(ふ~む、嘘は付いていないけど、全部をキッチリ話しているわけじゃない……か。まあ、軍人さんだし、それぐらいは当たり前かな)

 

 

 その話を一通り聞いた千賀子は、拍子抜けしつつも、それでOKならば、それで良いと……ひとまず話を終わらせたのであった。

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………で、場面は進み……案内の下、基地の外へと出た千賀子は……ようやく、バニースーツから巫女服に着替える事にした。

 

 さすがにこんな格好をするのが嫌になっていたし、基地の方から千賀子の事は話を通すらしいから……との事だ。

 

 おかげで、千賀子さん……ようやく逆バニー(痴女仕様)という、公共の場所でやったら即座に警察が飛んでくるような恰好から卒業である。

 

 

「……結局、バニースーツになる必要なかったんじゃないの?」

『──いえ、とても重要なのですよ』

「ほんとぉ? なんか女神様ってば嘘を付いているっぽいんだけど?」

『──本当でございます、そのような事があろうはずがございません。ちゃんと読者のニーズに応えた次第であります』

「はい?」

『──そのうちAIとかでイメージ画像が作られるかもしれませんから、お気になさらず』

「……相変わらず、女神様が何を言いたいのかさっぱり分からん」

 

 

 なお、その際に、だ。

 

 ウサギ宇宙人たちからうっすら伝わって来る、『なんでこの人間、こんな格好で居るんだろう?』という心の声が、実に千賀子の精神をガリガリ削ったり……まあ、置いといて。

 

 とりあえず、いつもの巫女服へと着替え終えた千賀子は……さて、これからどうしたものかと考える。

 

 当初の目的である『月の神社』の所有権、それは達成した。

 

 ついでに、月の裏側にある異星人の基地を確認したし、その異星人たちの姿を確認したし、人類に対して敵対心があるかどうか、あるいは攻撃の意思があるのかどうかも確認したし。

 

 とにかく、これで予定はすべて片付いたわけだ。

 

 特に用事があるわけでもないし、下手に異星人の道具とか持ち帰ったら後々面倒なので、千賀子はもう色々と精神的に疲れたから帰ろうかな……と、思ったのだけれども。

 

 

『──なにか、頑張った愛し子のためにご褒美をあげなければいけませんね』

 

 

 まさか、ここに来て二度目の女神様案件である。思わず、ゾッと背筋を震わせた千賀子は悪くないだろう。

 

 極々稀に変なところでやる気を発揮させる女神様だが、まさかそれが今日この時に起こるとは……とはいえ、だ。

 

 さすがに、これぐらいの事で、ご褒美として『ガチャ』は与えないと思う。

 

 アレは何かの記念というか、女神様が設けた基準をクリアした時に与えられるモノで、前回からはそこまで間が空いていない。

 

 ぶっちゃけ、『異星人に〇〇した』とかみたいな実績をクリアしたわけでもないし……でも、この一抹の不安は何だろうか? 

 

 おそらく、女神様に対する悪い意味での信頼のせいだろう。

 

 かなりの高確率で、女神様が張り切ると大変な目に遭うのが己だからこそ、千賀子は身構え……しかし、千賀子が想像するソレとは、ちょっと違っていた。

 

 

『──せっかくですし、愛し子もウサギちゃんになってみませんか?』

 

 

 問いかけるような言い回しだが、その時点で既に女神様の指先は千賀子へと向けられて──放たれたビームを受けた千賀子は、次の瞬間……ぽん、と煙を吹いて、姿が変わっていた。

 

 

「な、なんだ……?」

 

 

 なんとなく、視線が少し下がったような気がする。

 

 両手は指先まで毛で覆われ、爪は……おお、新感覚、丸みを帯びた爪がにょきっと伸びている。

 

 視線を下げれば、先ほどまで身にまとっていた巫女服は消えていて、そこにはどーんと張り出した乳房が……いや、うん。

 

 真っ白な毛で覆われて、パッと見は分かりにくいのだけど、よく見れば乳首だけは確認できて……いや、そこだけじゃない。

 

 

「……っ!? お、おお、おっぱいが8個もあるぞ……!!」

 

 

 最初は気付かなかったが、よく見たら乳房の感覚というか、乳首の感覚が左右4つずつ、計8個感じ取れる。

 

 なんとも、表現し難い不思議な感覚だ。毛で覆われて分かりにくいが、乳房が縦に並んでいる感じだ。

 

 さすがに、その分だけ一つあたりの大きさが小さくなっているようだけど、それでも一目で乳房だと分かる膨らみが左右4個ずつ並んでいると、壮観だろう。

 

 下半身は……下腹部も毛で覆われているので分からない。自分の下腹部に体毛があることに、ちょっと感動する。

 

 ただ、手で触れば……おお、とりあえず、真正面からだと分からないようになっていて、一安心。

 

 なお、その下の両足は……なんだろう、ウサギっぽい足だけど、骨格や筋肉の造形からして、二足歩行できるようになったら、みたいな感じだろうか。

 

 なんとなく、ウサギ宇宙人たちのソレに似ているな……と、思いながらも、ロボ子に鏡を出してもらって……おお! 

 

 

「これアレ、動物系のキャラクターになったみたいだ」

 

 

 思わず、千賀子は感心のため息をこぼした。

 

 鏡に映っていたのは、ウサギの女獣人と言われたら大半の人が納得しそうな、そんな造形をした千賀子であった。

 

 髪の毛が真っ白フワフワなウサギの体毛を思わせる感じになっていて、天然のモフモフヘアー。

 

 ぴょんと伸びた耳は長く、触ればちゃんと感覚が伝わって……目の色も赤く、人間の鼻ではなくウサギの鼻が代わりにあった。

 

 口元に関しては、人間のそれだが……なんだろう、胸と下腹部をちゃんと隠せば、ファンタジー系住人の一人と言われても納得する風貌になっていた。

 

 姿を変えられた事に関しては……正直、そこまで怒ってはいない。その程度、今さらな事だから。

 

 むしろ、なんかこうアニメキャラクターになったみたいで、ちょっとばかりテンションが上がった。

 

 まあ、それはそれとして、問題なのは……元の姿に戻れるかどうか、だろう。

 

 いちおう聞いてみたら、小一時間ぐらいで戻るのだとか。

 

 つまり、小一時間はウサギキャラになったと思って楽しめというわけか……なるほど、こういうのであれば、あまり悪くはないなと千賀子は──ん? 

 

 

「……あれ?」

 

 

 何気なく辺りを見回してみて、千賀子は首を傾げた。

 

 理由は、先ほどまでこちらを遠巻きにしていたウサギ宇宙人たちが、軒並み倒れているというか……こう、鼻血を吹いていたからだ。

 

 それは、1体や2体の話ではない。

 

 近場の者たちは全滅で、遠くからこちらを伺った者たちもフラッと態勢を崩してしまったのが千賀子の目にも見えた。

 

 いったい、何が起こったのか。

 

 下手に近寄るのも危なそうだから距離を取る。

 

 そのうえで、巫女的パワーによるバリアの強度を上げつつ……考えても分からないので、素直にロボ子に尋ねてみた。

 

 

「あ~、ダメですね、エッチ過ぎます。なんですかそれ、ケモナーを生み出すために生まれたエッチ存在Xですか?」

「ケモ……え、なに?」

 

 

 なんだろう、何を言っているのかさっぱり分からなかった。

 

 なんとなくだが、酷い言われようなのは察することが出来た。たぶん、あまり良い意味ではないのだろう。

 

 

「マスター……貴女は鬼ですか。眠ったままだった特殊性癖をそこまでして解放させたいのですか?」

「えぇ……なに、そこまで今の私って酷い恰好なの?」

「酷いなんてもんじゃないですよ。その8個のおっぱい、マスターの色気すら耐えきる生まれついての特殊性癖たちをピンポイントでぶち抜く状態ですよ!」

「いや、おっぱいが8個あるだけじゃん」

「何をおっしゃいますやら……そこまで言うならば、ちょっと四つん這いになってください」

「え、ええ……こ、こう?」

「あ~ダメダメダメ、エッチ過ぎますって。もうシルエットだけでも罪深さが分かります、これはダメです、直ちにここを出ましょう」

「えぇ……べ、別に私が好き好んでこんな姿になったわけじゃないのに……」

「残念ながら、マスターの自由意志はもはや関係ありません。このままここで時間を食っていますと、理性を失った者たちがビーストモードになってメイクラブへ一直線ですよ」

「おぉ……」

 

 

 なんだか分からなかったけれども、結局最後の最後まで、余計な騒動を引き起こしてしまった。

 

 それだけはなんとか察することができた千賀子は……ぴょんぴょん、とウサギのように飛びながら、基地を出たのであった。

 

 

 






※ウサギモードになっている千賀子を直視してはいけません、完治不可能なケモナー属性が付与されます。
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