ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話   作:葛城

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第265話: 千賀子フィルターOFF

 

 

 

 ──1985年というのは、今さらな話ではあるけれども、けして穏やかな1年ではなかった。

 

 

 たとえば、この年もまた全国的に『イジメ』が問題視され、校内暴力がニュースで取り上げられ、小学生が飛び降り自殺したというニュースもあった。

 

 このイジメ問題は深刻で、東京の公立学校ではおおよそ8割が『イジメ』が発生していると報告がなされたぐらいだ。

 

 原因は様々だが、この頃になると教師による体罰と称した恣意的な暴力が問題視され、中には自分が生徒に反撃されると被害届を出した者とか。

 

 火炎ロケット弾が使用されたゲリラ事件が発生したり、日本初のエイズ患者が確認されたり、野良猫を連続して毒殺する事件が発生したり。

 

『背が伸びる薬』をうたったニセ薬が少年少女が読む雑誌に掲載され、最終的な被害総額は10億超えという巨額の詐欺事件が発生したり。

 

 後は事件とは違うけど、京都にて有名社寺などの有料拝観者に対して古都税が課せられたことに反発した社寺が、無料拝観からの拝観停止処置を行ったり。

 

 他には、事件とは違うけど『ハレー彗星』が接近した年でもあり、これを見るために望遠鏡が次々に売れたとか、天気予報に電話をする人が続出したとか。

 

 

 また、これは変わり種なのだけど。

 

 

 この頃はまだAT自動車が現代ほど普及しておらず、買い替えた人がAT車の動きに不慣れで追突事故が多発したり。

 

 政府が基準としていた人口〇〇人にあたり医師が〇人という目標が既に達成していて、医師過剰時代と称されたり。

 

 後に日本どころか世界中にその名が知られ、世界的大ヒットを記録するようになる『スーパーマリオブラザーズ』が発売された年でもある。

 

 ちなみに、この『スーパーマリオブラザーズ』の影響はすさまじく、ゲーム機本体の売り上げをさらに押し上げたとか。

 

 他にも様々な出来事があったが、とにかく、この年もけして平穏な1年ではなく、様々な不穏なニュースが流れた1年でもあった。

 

 ……そんな中で、だ。

 

 

「──あ、もしもし、官邸? 私、千賀子、少しいいかしら?」

『(スゥー……)あ、はい、千賀子様ですね、どのようなご用件でしょうか?』

「ニュースで見たけど、総理はひとまず退陣なさるのでしょう? ですから、次期総理の仲租音(なかぞおん)さんに、挨拶をしておこうと思いまして」

『──えっ!? 時期総理は仲租音様に!?』

 

 ──おお、仲租音さんか! 彼ならば任せられる! 

 ──さすがは千賀子さんだ、よく人を見ている! 

 ──そ、そんな、嫌だー!! なんで、なんで!? 

 ──仲租音さん! 総理就任おめでとうございます!! 

 ──だ、誰もそんな事は──わ、私にはまだ──!! 

 ──ええい、往生際の悪い奴め! 

 ──大丈夫、私たちみんなでサポートするから! 

 ──やー! やー! 

 

「……? なにやら騒がしいご様子ですけど、もしかして間が悪かったですか? 日を改めましょうか?」

『い、いえ、大丈夫です。ちょうど、話がまとまったところで談笑していたところでして……』

「あ、そうなの? それなら……あ、続けてのお話で申しわけないのだけど、仲租音さんに伝えてほしい事があるのだけど、よろしくて?」

『──は、はい、なんでしょうか!?』

 

 ──やー! やーなの! 聞きたくないの!! 

 ──口を塞げ! 大丈夫だ、みんなでやれば怖くない!! 

 ──元気が一番! やる気が一番! がんばれがんばれ! 

 ──だったら誰か代わってくれよ! 

 ──うっ、持病の癪が……!! 

 ──申しわけない、アレルギーで……

 

「……大丈夫? だいぶ白熱しているみたいだけど?」

『大丈夫です! それで、どのような……』

「あ、うん、今すぐ起こるわけじゃないんだけど、頭の片隅に入れて置いてほしいのよ」

 

 

 なにやら騒がしい様子だけど、気にしなくていいとの話なので、千賀子は素直に従い……サラっと言うべきことを伝えた。

 

 

「遅くても3年以内に間違いなく今の好景気が泡みたいに弾けて、そこから30年にも渡って経済が低迷し続けるかもしれないのよ」

『──え?』

 

 

 ピタッと、電話口の向こうの喧騒も静まり返った……のを感じ取ったけど、千賀子は構わず話を続ける。

 

 

「事流れにして後回しにしちゃうと、冗談抜きに人口比が不可逆的になってしまって、取り返しが付かなくなっちゃうから」

『…………』

「その頃にはもう私も今みたいに動けなくなっちゃうかも……いや、まだ動いている気がするけど……とにかく、大変なことになる気がするの」

『…………』

「だから、今のうちにちょっとでも備えておいたら……って思って連絡したの……用件はそれだけだから、どうもありがとう、私の話を聞いてくれて」

『……あ、はい』

「じゃあ、また何か感じたら電話致しますので、総理にはお大事にとだけ……」

 

 

 そう言い終えた千賀子は……とりあえず、新しく総理になると思われる仲租音さんにも、滋養強壮に良い食材を送るようロボ子に手配するのであった。

 

 

 ……この時、千賀子は知る由もないことであったのだが。

 

 

 遠く離れたとある部屋に集まっていた大臣だとかなんだとかの人たちが……阿鼻叫喚になっていたのだけど。

 

 千賀子は気にせず、少しでもバブルが弾けた時のために耐えられるようにと、せっせと色々と考えるのであった。

 

 

 

 

 

 ──さて、そんなこんなで迎えた1986年だが。

 

 

 千賀子が居るおかげか、それとも別の要因があるかはさておき、まだバブルが弾ける様子は見られなかった。

 

 千賀子の前世では、バブル景気が始まってから弾けるまでの期間は、おおよそ3年。

 

 今生の世界ではバブル景気が始まったのが1982年……なので、前世と同じならば前年あるいは今年には破裂するところ。

 

 ただ、先述したとおり、不安な部分は見られるけれども、今にも破裂する……というほどではないそうだ。

 

 千賀子としては、安心したというか、逆に不安ばかりが高まったというか……なんとも複雑な気分であった。

 

 可能ならば弾けて欲しくない、弾けるにしても緩やかにしぼむ程度で勘弁してほしいと思う。

 

 しかし、この好景気は実態が無いわけだから、萎むもくそもない。

 

 空気を入れて無理やり膨らませているのだから、一か所からでも漏れたら……そりゃあもう、大惨事確定である。

 

 だから、知り合いや関係者には『設備投資も良いけど、景気は泡みたいに弾ける時もあるから、楽観視して投資すると首をくくる結果になるよ』と、脅しは掛けている。

 

 そのおかげか、千賀子の知り合い関係者はいざという時のために、まとまったお金をプールしているようだが……それでも、日本全体で見たらごく少数である。

 

 なんというか、言い方はなんだけど、千賀子の手も無限に届くわけではない。

 

 いちおう、やろうと思えばめちゃくちゃ届く。それこそ、地球の裏側だって届くかもしれない。

 

 

 ただ、それは女神様の力を借りたうえでの話だ。

 

 

 現状ですら女神様の恩恵である『賽銭箱』とその他諸々のおかげだというのに、あまりにも『賽銭箱』に依存させるのは……え? 

 

 それを言い出したら、『春木競馬場』があるじゃないかって? 

 

 言っておくが、もうアレは競馬場の形を取った謎の複合アミューズメントパークである。

 

 そのうち『千賀子競馬場』か、その類の名前に変わるんじゃないかって実は危惧したりしているのだが……まあ、それは置いといて。

 

 とにかく、バブル崩壊によるダメージがえげつなかったのは、後先考えずに投資&投資に動いた企業や個人が多かったからだ。

 

 

 言うなれば、だ。

 

 

 設備を新しくして倍の量の商品が作れるようになったとしても、売れる量が変わらなかったら、元を取るまで何年かかるかって話で。

 

 それが変わらないどころか、売れる量が一気に半分とかになれば……その状態で、銀行から融資の返済を求められた中小零細企業は、どうなるか。

 

 しかも、バブルの影響って即座に起こったわけじゃないのだ。

 

 それからしばらくは、まだバブルの余韻が続いていたのだ。

 

 ただ、5,6年ぐらい掛けて末端から始まっていたダメージがついに心臓部へ……その頃にはもう、まあ、うん。

 

 

 ……それを防ぐためには、ある程度の内部保留をさせるしかないのだ。

 

 

 間違っても、千賀子から大々的に……そんな事をしたら、今でさえ一部で勘違いされているのに、今度こそ現人神扱いされるじゃん? 

 

 全ての企業を買収してコントロールなんてことをする気がない千賀子にとって、それが唯一の予防策だというわけであった。

 

 

 ……そんな感じで、1986年を迎えた千賀子だが……実は、ここで皆様方に話しておかなければならない事が一つある。

 

 

 そして、これによって大半の読者が意図的かつ確実に勘違いさせているだろう話をしておく。

 

 おそらく大半の読者は、エマはまだ小学生だと思っているのだろうが……実は、もうとっくに小学校を卒業していたりする。

 

 あまりにも千賀子がエマを子ども扱いというか、愛娘みたいな感じだけど……実は既に、エマは中学生なのだ。

 

 怖いですね~……本当に怖いですね~。

 

 しかも、1年生とかじゃない。もう今年(1986年)で中学卒業よってなぐらいの……怖いですね~。

 

 当然ながら、春人だって赤ちゃんじゃない。普通に、もう小学生であり、6,7歳である。

 

 なお、春人が黒いランドセルを背負って学校に行く様を見て、寂しさのあまり七転八倒した挙句、暴走した母性が母乳をまき散らし、ロボ子以外が見たらドン引きを通り越して新種のモンスターか何かだと思われる姿をさらした千賀子の姿があったりするが、その詳細はあえて語っていないから……え? 

 

 

 ……なんか、赤ちゃんみたいな扱いしていなかったかって? 

 

 

 それに気付いた人は、女神様が千賀子の背後から見つめてくるからあまり深く考えない方がいい。

 

 まだまだ春人は甘えた盛りでお母さん大好きだし、そんな年頃の子どもなんてよく分かっていないから、なんなら毎夜千賀子に抱きしめられて寝ているぐらいの勢いである。

 

 なお、エマはさすがに分別が付いているし、さすがに千賀子もその歳になっているから……え? 

 

 

 ……前の授業参観の時、エマの事を小学生だと話していなかったかって? 

 

 

 そう、そうなのだ。そう、だからこそ、怖いですよね~。

 

 バブルの膨張をいよいよ注視せねばならない段階において、誰も……そう、ロボ子とてあえて触れずにいたことなのだけど。

 

 

「……あの、マスター? そろそろ記憶改ざんを正さねばならないので、忠告しますけど」

 

 

 さすがに、今年からエマが高校生になるという段階になったので、ロボ子は……ついに、千賀子へ告げた。

 

 

「もうすぐエマ様も高校生、初潮なんてとっくの昔に始まっていますし、異性とのセックスだってする年頃ですよ?」

「──はう!?」

「いいですか? 中学校の授業参観日にブルマになる40歳前後オバチャンが出てきた、エマ様の気持ちが分かりますか?」

「…………」

「そりゃあ、恥ずかしくて顔を伏せますよ。マスター、エマ様の優しさに甘えすぎです……さすがに、そろそろちゃんと一人の女性になろうとしているってことをですね──」

「……っ」

「え?」

「……エマは、エマは、まだ清い身体なの! ママに甘えて可愛い盛りなの! 彼氏とかまだ作っちゃダメなんだよ!!」

 

 

 記憶と光景を無意識に改ざんしていた千賀子は、堪らず倒れ伏し……ジタバタと手足をばたつかせたのであった。

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 …………1986年。

 

 

 ついに、千賀子はいよいよ子離れの第一歩を踏む選択を迫られるのであった。

 

 

 

 

 




 ────────―



 千賀子フィルターON

 ・小学生の男子と密着して、一緒にストレッチ。



 千賀子フィルターOFF

 中学生の男子に、抱き合ってストレッチを行った見た目20代(めちゃくちゃバチくそ美人で若くておっぱい超デカくて良い匂い)の美熟女。


※ 恐怖の大王「あの……?」
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